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第二章 赤の瞳と金の瞳
第97話 竜魔道具職人(見習い)、腕の見せどころ!
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「エマ!」
ブレイドの声が遠ざかる。
まるで私がいなくなるのを待っていたかのように黒竜が動き出した。
また、戦うの? アメリアを食べられたのは、悲しかったかもしれないけれど――。それを彼女は望んでいて、前のブレイドは叶えただけだと思うのに……。
「ねぇ、どこまで行くの!?」
「もうちょい。っていうか、もう引き返しておいたほうがいいんちゃうか」
「ブレイドをおいていくつもり?」
「いや、ブレイドが負けた時、あいつから逃げ切れるかわからんやろ!? あいつ、めっちゃ鼻がええんや!! どこまでも追ってくる。オレ、飛ぶ速さは竜の中なら誰より遅い自信があるねん。水中戦なら誰にも負けんけど」
私はもちろん、水中で息を止め続けるなんて特技はない。だから泳ぎながら戦ったり、水中を逃げるなんて出来ないだろう。私は完全に足手まといだ。だけど、ブレイドだけあそこに置いていくのはやっぱり嫌だった。
「ねぇ、なんとか出来ないの? そうだ二人がかりなら」
「オレが入ったらダガーが余計に火つくやろ。しかもエマちゃん守りながらなんて器用な事出来んわ!!」
「何で火がつくの!?」
「そんなん、決まってるやろ。竜は全員ライバルなんや。あいつにとっては……。いや、全員が今度は絶対に渡さんて決めとるやろ」
「他に手は……」
「ないない。ダガーはアメリア以外のお願いは聞かんからな。あいつの行動は全部アメリアの為で――」
私は手を伸ばしスピアーの髪を思いっきり引っ張った。
「いっっ!? エマちゃん、なにすんのん!?」
「アメリアの為?」
「そうや、アメリアの為。でも、もうアメリアはおらん。せやから……」
「なら、やっぱりブレイドのところに行かなくちゃ」
「はぁ? オレは行かへんでっ――――っ!!??」
思いっきり噛み付いた。スピアーの腕に。びっくりして、スピアーの拘束がゆるむ。その隙に私は飛び降りた。
「な゛っ!! エマちゃんっ!?」
いつもつけている竜魔石を発動させる。ブレイドの元へ!
竜魔道具の職人になってから、体重計しか作ってないなんて事はない。これも改良している。もちろん、ブレイドの許可をとってからね。
今、私の腕の見せどころだっ!!
ただ、ふよふよと浮かぶだけだった力に推進力をつけ、竜ほどとはいかないが空を飛べるようにしたのだ。長時間は無理だけど!
私に竜の体みたいな耐久力はないから、進む方向に風の魔法をぶつけ相殺するのも忘れない。
「いっけー!!」
アメリアの願いを聞くのならば、止められるのは私しかいないじゃない。
まだ、信じられないけれど私がアメリアの生まれ変わりなら出来るんじゃないかな。
食べられそうになった時、ダガーは引いた。
さっきだって、私が離れたからブレイドに襲いかかったのかもしれない。だから――。
私は震える手をぎゅっと握りしめながらブレイドの元へと飛んだ。
ブレイドの声が遠ざかる。
まるで私がいなくなるのを待っていたかのように黒竜が動き出した。
また、戦うの? アメリアを食べられたのは、悲しかったかもしれないけれど――。それを彼女は望んでいて、前のブレイドは叶えただけだと思うのに……。
「ねぇ、どこまで行くの!?」
「もうちょい。っていうか、もう引き返しておいたほうがいいんちゃうか」
「ブレイドをおいていくつもり?」
「いや、ブレイドが負けた時、あいつから逃げ切れるかわからんやろ!? あいつ、めっちゃ鼻がええんや!! どこまでも追ってくる。オレ、飛ぶ速さは竜の中なら誰より遅い自信があるねん。水中戦なら誰にも負けんけど」
私はもちろん、水中で息を止め続けるなんて特技はない。だから泳ぎながら戦ったり、水中を逃げるなんて出来ないだろう。私は完全に足手まといだ。だけど、ブレイドだけあそこに置いていくのはやっぱり嫌だった。
「ねぇ、なんとか出来ないの? そうだ二人がかりなら」
「オレが入ったらダガーが余計に火つくやろ。しかもエマちゃん守りながらなんて器用な事出来んわ!!」
「何で火がつくの!?」
「そんなん、決まってるやろ。竜は全員ライバルなんや。あいつにとっては……。いや、全員が今度は絶対に渡さんて決めとるやろ」
「他に手は……」
「ないない。ダガーはアメリア以外のお願いは聞かんからな。あいつの行動は全部アメリアの為で――」
私は手を伸ばしスピアーの髪を思いっきり引っ張った。
「いっっ!? エマちゃん、なにすんのん!?」
「アメリアの為?」
「そうや、アメリアの為。でも、もうアメリアはおらん。せやから……」
「なら、やっぱりブレイドのところに行かなくちゃ」
「はぁ? オレは行かへんでっ――――っ!!??」
思いっきり噛み付いた。スピアーの腕に。びっくりして、スピアーの拘束がゆるむ。その隙に私は飛び降りた。
「な゛っ!! エマちゃんっ!?」
いつもつけている竜魔石を発動させる。ブレイドの元へ!
竜魔道具の職人になってから、体重計しか作ってないなんて事はない。これも改良している。もちろん、ブレイドの許可をとってからね。
今、私の腕の見せどころだっ!!
ただ、ふよふよと浮かぶだけだった力に推進力をつけ、竜ほどとはいかないが空を飛べるようにしたのだ。長時間は無理だけど!
私に竜の体みたいな耐久力はないから、進む方向に風の魔法をぶつけ相殺するのも忘れない。
「いっけー!!」
アメリアの願いを聞くのならば、止められるのは私しかいないじゃない。
まだ、信じられないけれど私がアメリアの生まれ変わりなら出来るんじゃないかな。
食べられそうになった時、ダガーは引いた。
さっきだって、私が離れたからブレイドに襲いかかったのかもしれない。だから――。
私は震える手をぎゅっと握りしめながらブレイドの元へと飛んだ。
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