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第二章 赤の瞳と金の瞳

第90話 昨日と違う朝

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 体が重いけど頭はふわふわしてる。
 まだ、寝ていたいけどフレイルに目の色を変えられる薬をもらいにいかないと。いつ来るかわからない二人の襲来に備えて作ってくれているはずだ。
 ブレイドはもう用意が済んでいる。私も服を選ぶため起き上がりクローゼットから一つ手に取る。着てみせると可愛いと言ってもらえた。

 ◇

「おはよう、ルニア」

 ルニアとフレイルが待つ場所につくと二人はすでにそこにいた。

「昨日はあれからどうだった?」

 ルニアに聞かれ思い出し顔が熱くなった。

「ありがとう。ルニアがちゃんと話せって言ってくれたからブレイドと話できたよ」
「ん、んー? その顔は、もしかして」

 ルニアがニヤニヤしてる。それ以上はダメです。本当に、待って。
 あの後、ブレイドから口付け以外の愛しあい方を教えてもらった。まさか、あんな風にするなんて。本には口付けまでしか載せられなかったのね。
 優しい言葉とは裏腹にちょっと強引にあーなって、そーなって……、うわぁぁぁ。
 思い出し、顔がすごく熱くなった。これは確実に真っ赤だ。

「二人してそんなに赤くなるなよ。こっちが照れるじゃないか」

 二人? ブレイドを見ると彼も耳まで真っ赤になっていた。

「ルニア姉様。そのあたりで勘弁してくれませんか。僕は悔しさでこの薬を落としてしまいそうになるんで」
「落とさないで!!」
「落としませんよ。エマ様に嫌われたくないし」

 フレイルの小さな手でしっかり持った小瓶を渡された。キラキラ光が反射して宝石みたいな水薬が入ってる。

「昨日のと同じものです。改良したいと言ったらルニア姉様に止められてしまいました。半分を水で薄めたら昨日のようになると思います」
「ありがとう」
「今度僕にもご褒美下さいね」
「え、あ……」

 無理です。さすがにあれを好きでもない他の人に、しかも見た目小さな子どものフレイルになんて――。

「フレイル、ありがとうな」

 頭の中でぐるぐるしながら困っていると、ルニアがフレイルのおでこに口付けをしていた。

「ルニア姉様のではなく、僕は」
「うるさい。黙ってありがたく受け取っとけ」
「ちょっ、待って! 姉様!?」

 ルニアが楽しそうに、フレイルを追いかける。離れてて心配してた分ルニアも弟に会えて嬉しいのかな。
 向こうでもこんな感じで仲良くしてたんだろうな。
 私は二人のおいかけっこを眺めながら、微笑んだ。

「あいつらきたで。今日はご丁寧に入口で待っとる。あと瘴気も近いで。どうする?」

 外を見ていたスピアーが知らせてくれる。昨日の今日でまたきたのかとげんなりしてしまうけれど昨日と今日は全然違う。私、負けないんだから。気合をいれて対応に向かおうとする。まだ薬飲んでないやろとスピアーが水を渡してくれた。危ない、危ない。
 ごくりと小瓶の中身と水を飲み込んだ。
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