痩せる決意をした聖女と食べてやると宣言する竜の王子〜婚約破棄されちゃったけど気になる人に愛されたいからダイエット頑張ります〜

花月夜れん

文字の大きさ
上 下
70 / 135
第二章 赤の瞳と金の瞳

第70話 竜魔道具作成!

しおりを挟む
 白い地面をさくさくと踏み固めながら進むと見慣れてきた光景があった。数人が剣を振り鍛錬をしている。私はその中の一人に手を振った。

「ルニア、ルニアー」

 名前を呼んだのは私の友達でダイエット指南の先生、女騎士ルニア。

「どうした、エマ?」

 物語に出てくる王子様みたいなカッコいい笑顔を浮かべながら彼女は私に視線を向けた。
 ルニアを探していたのはさっき、凹んでいた事を報告するためだ。

「どうしよう、体重増えたぁぁぁぁ」
「おぉ、すごいな。なんでわかるんだ」
「今、見た目は変わらないのにって考えてなかった?」
「正解」

 あれから少し時間は進んで、ついに雪が降る季節になった。
 外に出れば白い世界が広がっている。防寒具がついに頭にもついた。もこもこ帽子は耳まで覆う。厚手のコートは少し重たいけど暖かい。
 え、体重増えたのは着ぶくれじゃないかって? 違うのよ……。

「うぅ、新しく作ったの。体重計。もっと小型にできたらいいなーとは思うんだけど」

 相変わらず寒い格好をしているルニアを城の中、私の工房にしてもらった部屋に連れて行く。
 一緒に鍛えていたっぽい男達にはごめんねと謝りつつ。
 工房の中には私用の場所と隣に先生用のスペースがある。今は私一人の時間なので隣は空いている。
 真ん中あたりにドーンと鎮座するそれを、私はぺんぺんと叩いた。コレなんです。コレ。

「おぉ、なんかカッコいいじゃないか。コレで体重がわかるのか!?」
「うん。ここに乗るとね」

 両腕で箱型の竜魔道具を持ち上げる。ルニアの目の前に置き直し説明を始める。

「スピアーに作ってもらった水の竜魔石がここに入ってるの。ここに触れると――。ほら、水が中に出るでしょ? で、これが前回の体重で……乗った時に重くなると水が溢れて二重になってる外側に流れるの」
「へぇー。なら減ったらどうなるんだ?」
「水は溢れなくて、次回の目安になる」
「なるほど。ならお一人専用か」
「そうです」
「わたしが乗れば」
「私が涙するだけでしょう……」

 えいっとルニアが乗った。私の笑顔が固まる。
 次に乗った時どれだけ溢れるとっ、あぁぁぁぁぁぁぁ。

「あれ?」
「お?」
「ルニアの方が重い!!」

 水がたぷたぷと前回の量から溢れていく。
 え、どういう事? どう見たってルニアの方が細くて……。
 は、まさか!! 胸の大きさ!?

「たぶん、違うぞ」
「え?」

 心のセリフを読み取る能力持ち!?
 私が驚いているとルニアは笑って答えた。

「さっきから手で自分の胸を確認してるからコレの重さの違いとか思ってるだろ」
「はい」
「もともと身長差もあるし、脂肪と筋肉じゃ重さが違うからな」

 脂肪。それは私が戦わなければならない――――最大の敵!!

「はい、そうですね」

 鍛えているレベルが天地ほど違うルニアの体はびっくりするほど重い。私のこれも実は筋肉だったり……しませんか?
 痩せたいけど、筋肉になると重くなるならもう痩せなくても実質これは同じなのでは!? なんて、ないよね。わかってる……。ぷにぷにより引き締まった方がいいよね。
 ルニアは竜魔道具からトンッと飛び降り軽く着地する。

「持ち運びするには少しデカいな」
「そうなんだよねー」

 やっぱりもう少し改良しよう。箱を元の場所に戻してそれをじっと見る。

「まあ、それは置いといてさ。そろそろ体動かしに……」
「エマ?」
「ブレイド!!」

 ナイスタイミング、……じゃなかったどうしたんだろう。工房にまでブレイドが顔を出すなんて。
 まだ魔物化治療の時間ではないと思うのだけれど。

「どうしたの?」
「少し、エマを借りてもいいかな?」

 ブレイドはルニアに伺いを立てる。

「はいはい、どうぞってわたしはエマの親じゃないぞ。わたしに許可なんて取らなくても」

 彼女は笑いながら送り出してくれた。

「いや、何か話途中に見えたから……」
「行こう、ブレイド。何?」

 ぐいぐいと彼を押しながら外へと連れ出す。

「エマ、その……」

 私は何となく気付く。ブレイド、瘴気を食べてきたあとだ。

「お疲れ様」

 私は彼をぎゅっと抱き締めた。こうすると、彼ら竜達曰く瘴気の消化がすごく優しくなるらしい。

「ありがとう」

 ブレイドが甘えてくれるのが嬉しくて、もっともっとぎゅってしたくなってしまう。
 ――のに、この雰囲気の中に突撃してくる青いモノがいた。

「こぉらぁ!! オレが先やって言ったやろ!!」

 私とブレイドの間に無理やり入ろうとしてくる青くて小さな丸い竜、スピアーだった。

「スピアー、またその姿なの」
「ん、人の方がええか?」
「ダメ。服がないからダメ」

 服があってもなくても人の姿になられると困る。ブレイドにした事を人の姿のスピアーにはしにくいから。今の姿ならまだ可愛らしいので撫でたりしてあげられる。
 二人は一見仲が悪そうなのに一緒に瘴気を食べてる。ブレイドがわからなかった瘴気の場所や時間なんかを教えてくれて、今ではここになくてはならない一員になってしまった。
 何気に優しいし、あっちの姿はカッコいい、こっちの姿は可愛いと人気だったり。
 最初は私を食べようとしたり、クサッて言ってきたりしたけどね。
 撫でてあげると、スピアーは嬉しそうに目を細めた。

「ねぇ、スピアー」
「んー? なんや?」
「どうして私達のところに居続けるの?」

 もともとは他の場所からここにきたんだと思う。だって喋り方が全然違うんだもの。帰らなくても大丈夫なのかとか気にはなっていた。

「そりゃぁ……エマちゃんと居たいからに決まってるやろ」

 ブレイドの手が伸びてくる。また、今日もつままれてしまうんだろうか。

「あー、でもなそれだけやないんや」

 小さな丸い竜はパタパタと羽で空に浮かぶ。ブレイドの手が届かない位置につくと、彼は少しだけ微笑んだ。

「よー、似とるんや…………」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

処理中です...