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第一章 聖女と竜
第42話 聖女の力は他にもあった?
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景色が流れていく。無事帰路についてホッとした。
一緒に買い物出来て楽しかったけど、大変だった。まさか、もう一度あの国で瘴気の浄化をする事になるなんて。
私が居たから対応出来たけど……、他の場所でも噴き出し始めたら交代した桃色の瞳の聖女一人では対応出来ない気がする。大丈夫なのかしら。そういえば、他の国ではどういう風にしているんだろ。聖女一人だったらけっこう大変だよね。
「エマ、さっきの女性の話なんだが」
「ん?」
「使用人だったというあの」
「あぁ、ルナのこと?」
「やはり、あの話はエマの事だったのか。伝えなくて良かったのか?」
「うーん、それには少し訳があって。今伝えるとルナが危なくなるのかなって」
「あまり詳しく聞かないほうがいいか?」
思い出したくないのだけれど、聞かれて困るような事はないのかな? バタバタしてばかりでお互いの話をあまりしていないなと私は思う。だから、ちょうどいい機会かもしれない。邪魔する竜やニヤニヤルニアもいないし……。
「あのね、話したい事、聞きたい事、すごーくいっぱいある。聞いてほしい、それとブレイドの事、もっと知りたい」
素直に聞いてみると、ブレイドの言葉が少しだけ止まっていた。あれ? おかしな事言ってないよね?
「……ボクの事か、そうだな――。それなら」
ドキンと胸がなる。でも、なんだかコレは嫌な感じの――。
「うそ!! 何が!?」
プチプチとお肉が膨らむ。ゆっくり進むそれはめちゃくちゃ怖い。また服がキツキツになる!?
は、まさかさっきのお菓子にふくらし粉が大量使用されて……。違う違う、原因はスピアーの方?
「急ごう。向こうで何かあったのかもしれない」
ブレイドは皆が待ってる場所に向かい一気に速度をはやめた。
あぁ、せっかくブレイドとゆっくり二人でじっくり話せる機会だったのに何も話せてない。
もっといっぱい話をしておけばよかった。自分の話し下手にがっかりしながらもルニア達に何か起こっていないか頭を切り替える。
任せとけって言ってたから大丈夫なんだよね。
だんだんときつくなるスカートや胸のボタンを緩めたり一段大きい方に合わせる。ボタンがいっぱいついているこの服はどんなサイズになっても対応出来るようになってる。もちろんコレはシルがやってくれた! ありがとう、シル! いま行くからね!!
◇
「……で?」
丸い竜がもっと丸くなって地面に転がっている。
「おっ! おかえりー! どうだった? って、なんだよ。エマもしかして食べすぎたか?」
ルニアはいい汗をかきながら走り込みを続けていた。
どう見ても何も起こってないこの状態で何で私のお肉だけがどんどんと膨らんでいくの? まあ、今は止まっているけれど。
丸い竜が寝転がっているところにいき横に座る。ペタッと地面に顔をつけているので私も同じ様に顔を下にもってきた。少ししんどそうに見える。もしかしてスピアー、体調が良くない? 文句の一つくらい言いたかった気持ちが一気に引っ込む。
青い色の目が開く。目が合うとスピアーはのそりと顔をあげた。
「おかえりー。ちょっとすまんけど顔あげてくれるか?」
「あ、うん」
やっぱり元気がないのかな。声に力がない。
言われた通りに顔をあげて、ただ座った姿勢になる。
「ちょっとだけくっつかせといてな」
ぽてりと丸い竜の顔が膝にのってきた。えっと、どう反応すればいいの? ダメと言って拒絶するにはなんだか弱っていて、気の毒なような。
「あぁ、やっぱりお腹に優しくなった。これなら消化しやすいわ」
って、私は胃薬なのっ!?
そしてスピアーの体調が悪いのは食べすぎただけ!?
一緒に買い物出来て楽しかったけど、大変だった。まさか、もう一度あの国で瘴気の浄化をする事になるなんて。
私が居たから対応出来たけど……、他の場所でも噴き出し始めたら交代した桃色の瞳の聖女一人では対応出来ない気がする。大丈夫なのかしら。そういえば、他の国ではどういう風にしているんだろ。聖女一人だったらけっこう大変だよね。
「エマ、さっきの女性の話なんだが」
「ん?」
「使用人だったというあの」
「あぁ、ルナのこと?」
「やはり、あの話はエマの事だったのか。伝えなくて良かったのか?」
「うーん、それには少し訳があって。今伝えるとルナが危なくなるのかなって」
「あまり詳しく聞かないほうがいいか?」
思い出したくないのだけれど、聞かれて困るような事はないのかな? バタバタしてばかりでお互いの話をあまりしていないなと私は思う。だから、ちょうどいい機会かもしれない。邪魔する竜やニヤニヤルニアもいないし……。
「あのね、話したい事、聞きたい事、すごーくいっぱいある。聞いてほしい、それとブレイドの事、もっと知りたい」
素直に聞いてみると、ブレイドの言葉が少しだけ止まっていた。あれ? おかしな事言ってないよね?
「……ボクの事か、そうだな――。それなら」
ドキンと胸がなる。でも、なんだかコレは嫌な感じの――。
「うそ!! 何が!?」
プチプチとお肉が膨らむ。ゆっくり進むそれはめちゃくちゃ怖い。また服がキツキツになる!?
は、まさかさっきのお菓子にふくらし粉が大量使用されて……。違う違う、原因はスピアーの方?
「急ごう。向こうで何かあったのかもしれない」
ブレイドは皆が待ってる場所に向かい一気に速度をはやめた。
あぁ、せっかくブレイドとゆっくり二人でじっくり話せる機会だったのに何も話せてない。
もっといっぱい話をしておけばよかった。自分の話し下手にがっかりしながらもルニア達に何か起こっていないか頭を切り替える。
任せとけって言ってたから大丈夫なんだよね。
だんだんときつくなるスカートや胸のボタンを緩めたり一段大きい方に合わせる。ボタンがいっぱいついているこの服はどんなサイズになっても対応出来るようになってる。もちろんコレはシルがやってくれた! ありがとう、シル! いま行くからね!!
◇
「……で?」
丸い竜がもっと丸くなって地面に転がっている。
「おっ! おかえりー! どうだった? って、なんだよ。エマもしかして食べすぎたか?」
ルニアはいい汗をかきながら走り込みを続けていた。
どう見ても何も起こってないこの状態で何で私のお肉だけがどんどんと膨らんでいくの? まあ、今は止まっているけれど。
丸い竜が寝転がっているところにいき横に座る。ペタッと地面に顔をつけているので私も同じ様に顔を下にもってきた。少ししんどそうに見える。もしかしてスピアー、体調が良くない? 文句の一つくらい言いたかった気持ちが一気に引っ込む。
青い色の目が開く。目が合うとスピアーはのそりと顔をあげた。
「おかえりー。ちょっとすまんけど顔あげてくれるか?」
「あ、うん」
やっぱり元気がないのかな。声に力がない。
言われた通りに顔をあげて、ただ座った姿勢になる。
「ちょっとだけくっつかせといてな」
ぽてりと丸い竜の顔が膝にのってきた。えっと、どう反応すればいいの? ダメと言って拒絶するにはなんだか弱っていて、気の毒なような。
「あぁ、やっぱりお腹に優しくなった。これなら消化しやすいわ」
って、私は胃薬なのっ!?
そしてスピアーの体調が悪いのは食べすぎただけ!?
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