22 / 135
第一章 聖女と竜
第22話 嘘だよね!?
しおりを挟む
すごく頑張ってとってきた物を慣れてきたこの場所でこれまた慣れたようにしゃりしゃりとかじる。
「ねぇ、ルニア」
「何、エマ」
「これ、美味しいんだけどね」
「うん」
「飽きてきたと思わない?」
ここに来て三日目、これと焼いたお肉しか食べてない。美味しいけれど、味が変わるわけでもなく。さすがに飽きてきたのっ!!
明日から頑張れと言われたから、今日はもうお肉がもらえる可能性は低い。
「ねぇ、ルニア」
「ん」
「あなた、料理は」
自信ありげにルニアは微笑む。
「死ぬぞ」
急に寒気がした。彼女の声が低い。
「……」
返す言葉が浮かばなくて口だけで笑った。
誰かで試したことでもあるのだろうか。考えて私はぷるぷると首をふった。
「私は、料理の本は読んだ事はあるけれど作った事はないのよね……」
「知識だけかぁ。あ、料理が得意な人は知ってるぞ」
「何ですって!!」
なぜそれを先に言わないの!! さぁ、さぁ案内して。私頑張っておねがいするからぁー。
「というわけで、この人がリリーさん」
「えーっと」
ピンク色のぷるんぷるんがぺこりとたぶん挨拶した。見た感じ、スライムよね。
「ここの料理人だったらしいぞ!」
腕も足も顔もない。どうやったって調理道具を持つのは無理そうだ。
「まあ、問題はこの体だな」
「そうねぇ」
私の都合で勝手に人に戻してもいいのかな。でも、私がしたいからしたっていう方が向こうは気負わずにすむ?
えらくもないのに、シルにエマ様と呼ばれてて少し引っかかってはいた。
よーし!!
腕まくりをしてリリーへと手をのばす。待っててねー、美味しい料理ぃぃ。
「ぴ、ぴぃぃぃぃぃぃ」
「あ、逃げた。何やってるんだよ、エマ」
「え、えぇぇぇ」
自分の口からよだれが出ていた。まさか、食べられると思ってしまった!?
「ま、まってーー!! 誤解、誤解なんですぅぅぅ!!」
逃げたピンクのぷるんぷるんリリーを追いかけて走り出した。その先に、同じように走るブレイドを見つけた。あれ、何を追いかけて……。
「おぉぉぉぉっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ボディに衝撃が走る。まんまるいとかげ……、じゃない! 青竜が頭突きをしてきた。
「あー、スピアーっ!」
そうだ、スピアーに聞きたい事もあったのよ。聞こうと思って落ちる前に抱きかかえる。
「ちょっと我慢せーよ!!」
「へ?」
抱きかかえたソレに指をかぷりと噛まれた。ちょっと痛い。って、何するのよ!?
「あ、エマ……?」
「ん、なに? ブレイド」
「…………」
まじまじと見つめられる。やだなぁ、私の事もう好きになっちゃった? そんなに見つめられると照れちゃう――――。
火照る顔を押さえようとして気がついた。いつもより、丸く見える手。お腹まわりも苦しい。なんだかビリって音もする。
…………、まって。私、太ってる!? 何故!?
今日、あんなに頑張ったのにぃぃぃ。
「ねぇ、ルニア」
「何、エマ」
「これ、美味しいんだけどね」
「うん」
「飽きてきたと思わない?」
ここに来て三日目、これと焼いたお肉しか食べてない。美味しいけれど、味が変わるわけでもなく。さすがに飽きてきたのっ!!
明日から頑張れと言われたから、今日はもうお肉がもらえる可能性は低い。
「ねぇ、ルニア」
「ん」
「あなた、料理は」
自信ありげにルニアは微笑む。
「死ぬぞ」
急に寒気がした。彼女の声が低い。
「……」
返す言葉が浮かばなくて口だけで笑った。
誰かで試したことでもあるのだろうか。考えて私はぷるぷると首をふった。
「私は、料理の本は読んだ事はあるけれど作った事はないのよね……」
「知識だけかぁ。あ、料理が得意な人は知ってるぞ」
「何ですって!!」
なぜそれを先に言わないの!! さぁ、さぁ案内して。私頑張っておねがいするからぁー。
「というわけで、この人がリリーさん」
「えーっと」
ピンク色のぷるんぷるんがぺこりとたぶん挨拶した。見た感じ、スライムよね。
「ここの料理人だったらしいぞ!」
腕も足も顔もない。どうやったって調理道具を持つのは無理そうだ。
「まあ、問題はこの体だな」
「そうねぇ」
私の都合で勝手に人に戻してもいいのかな。でも、私がしたいからしたっていう方が向こうは気負わずにすむ?
えらくもないのに、シルにエマ様と呼ばれてて少し引っかかってはいた。
よーし!!
腕まくりをしてリリーへと手をのばす。待っててねー、美味しい料理ぃぃ。
「ぴ、ぴぃぃぃぃぃぃ」
「あ、逃げた。何やってるんだよ、エマ」
「え、えぇぇぇ」
自分の口からよだれが出ていた。まさか、食べられると思ってしまった!?
「ま、まってーー!! 誤解、誤解なんですぅぅぅ!!」
逃げたピンクのぷるんぷるんリリーを追いかけて走り出した。その先に、同じように走るブレイドを見つけた。あれ、何を追いかけて……。
「おぉぉぉぉっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ボディに衝撃が走る。まんまるいとかげ……、じゃない! 青竜が頭突きをしてきた。
「あー、スピアーっ!」
そうだ、スピアーに聞きたい事もあったのよ。聞こうと思って落ちる前に抱きかかえる。
「ちょっと我慢せーよ!!」
「へ?」
抱きかかえたソレに指をかぷりと噛まれた。ちょっと痛い。って、何するのよ!?
「あ、エマ……?」
「ん、なに? ブレイド」
「…………」
まじまじと見つめられる。やだなぁ、私の事もう好きになっちゃった? そんなに見つめられると照れちゃう――――。
火照る顔を押さえようとして気がついた。いつもより、丸く見える手。お腹まわりも苦しい。なんだかビリって音もする。
…………、まって。私、太ってる!? 何故!?
今日、あんなに頑張ったのにぃぃぃ。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【忘れるな、憎い君と結婚するのは亡き妻の遺言だということを】
男爵家令嬢、ジェニファーは薄幸な少女だった。両親を早くに亡くし、意地悪な叔母と叔父に育てられた彼女には忘れられない初恋があった。それは少女時代、病弱な従姉妹の話し相手として滞在した避暑地で偶然出会った少年。年が近かった2人は頻繁に会っては楽しい日々を過ごしているうちに、ジェニファーは少年に好意を抱くようになっていった。
少年に恋したジェニファーは今の生活が長く続くことを祈った。
けれど従姉妹の体調が悪化し、遠くの病院に入院することになり、ジェニファーの役目は終わった。
少年に別れを告げる事もできずに、元の生活に戻ることになってしまったのだ。
それから十数年の時が流れ、音信不通になっていた従姉妹が自分の初恋の男性と結婚したことを知る。その事実にショックを受けたものの、ジェニファーは2人の結婚を心から祝うことにした。
その2年後、従姉妹は病で亡くなってしまう。それから1年の歳月が流れ、突然彼から求婚状が届けられた。ずっと彼のことが忘れられなかったジェニファーは、喜んで後妻に入ることにしたのだが……。
そこには残酷な現実が待っていた――
*他サイトでも投稿中
【完結】結婚初夜。離縁されたらおしまいなのに、夫が来る前に寝落ちしてしまいました
Kei.S
恋愛
結婚で王宮から逃げ出すことに成功した第五王女のシーラ。もし離縁されたら腹違いのお姉様たちに虐げられる生活に逆戻り……な状況で、夫が来る前にうっかり寝落ちしてしまった結婚初夜のお話

もう、愛はいりませんから
さくたろう
恋愛
ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。
王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる