6 / 135
第一章 聖女と竜
第6話 勘違いと新たな決意
しおりを挟む
三人がこちらをじっと見ている。
急に叫んだのは確かに私だけど、見すぎでしょう?
「エマ、違うって? じゃあ、どうするつもりなの? 他に行くあてがあるの?」
ルニアに問われ答えに詰まった。
それはそうだ。だって、私地図で国の位置なんかはわかるけれど自国から一歩も出たことがないのだ。そう、初めての外出。いきなりのハードモード。最初ついてきた人達はルニアが全員追い払ってしまったし。そういえばルニアはどうして追い払ったんだろう? 彼女「はい、さよならは~」って言ってたし私置いていかれるところだったのかしら。ルニアが来てくれなかったらあそこで一人ぼっちだった?
ぶるりと体が震えた。それだと元婚約者は私なんて死んでしまえば良かったって思ったのかな。
「ないです……。ごめんなさい。違いません」
「そ、それなら話を進めておくから」
しゃりっと小さく音をさせ手のひらくらいの大きさの赤い実をかじる。甘酸っぱい。
お城の食事でもデザートによく出ていた。
もう、あそこに戻ることはないんだ。だって、あそこには新しい女がいて、結婚してそして……。
痩せたって迎えにきてくれるわけない。あそこに戻ったところでまたストレスで太れば同じ事を言われるだろう。
「私、私……。追い出されたりしない?」
ぽつりと口から不安が出てしまった。食べるだけ、太った私が。
「あー、あー。もう、大丈夫だって。ほら、ブレイドだって言ってるだろ」
「そうだ。ボクは追い出したりしない」
「でも」
「エマ、何か言われたのか? 何が心配なんだ?」
ブレイドに聞かれ、思い出してまた涙がでそうになった。
「ブレイドに初めて会ったときに言われた事よ」
そう、脂肪たっぷりの女。不味そうと無用になった私。ちょっと違うけどね。
その言葉を聞いたブレイドは眉をひそめる。あ、謝ってくれたのに、私ったら……。
「なんて、だ――」
「なんだ、そうだったのか!!」
声が重なった。私は急に笑顔になった彼を見る。
「エマ、食べられたかったのか! よし、ボクがしっかり食べてあげよう。よく見たら美味しそうだし、いい匂いだったしな!!」
獲物を見る目!?
いやいや、食べられたくなんてないんだからっ。そこじゃないんだけどぉぉぉぉ!?
「私、痩せるわ!!」
痩せて、食べがいのない体になって食べられないようにしなきゃっ!!
「ん? ボクは別にそのままのエマでも」
「痩せるわ!!」
食べられないように!!
ルニアがプププと笑いをこらえてる。私が寝てる間に説明とかしてなかったの?
「どんな姿でも美味しくたべてやるぞ」
って、怖い事言ってる人もいるんですけどぉぉ!?
とりあえず、目標は固まった。痩せる。絶対に痩せるわ!
食べられるなんて絶対にごめんです。
住むところさえなんとかなれば、なんとかなるよね?
急に叫んだのは確かに私だけど、見すぎでしょう?
「エマ、違うって? じゃあ、どうするつもりなの? 他に行くあてがあるの?」
ルニアに問われ答えに詰まった。
それはそうだ。だって、私地図で国の位置なんかはわかるけれど自国から一歩も出たことがないのだ。そう、初めての外出。いきなりのハードモード。最初ついてきた人達はルニアが全員追い払ってしまったし。そういえばルニアはどうして追い払ったんだろう? 彼女「はい、さよならは~」って言ってたし私置いていかれるところだったのかしら。ルニアが来てくれなかったらあそこで一人ぼっちだった?
ぶるりと体が震えた。それだと元婚約者は私なんて死んでしまえば良かったって思ったのかな。
「ないです……。ごめんなさい。違いません」
「そ、それなら話を進めておくから」
しゃりっと小さく音をさせ手のひらくらいの大きさの赤い実をかじる。甘酸っぱい。
お城の食事でもデザートによく出ていた。
もう、あそこに戻ることはないんだ。だって、あそこには新しい女がいて、結婚してそして……。
痩せたって迎えにきてくれるわけない。あそこに戻ったところでまたストレスで太れば同じ事を言われるだろう。
「私、私……。追い出されたりしない?」
ぽつりと口から不安が出てしまった。食べるだけ、太った私が。
「あー、あー。もう、大丈夫だって。ほら、ブレイドだって言ってるだろ」
「そうだ。ボクは追い出したりしない」
「でも」
「エマ、何か言われたのか? 何が心配なんだ?」
ブレイドに聞かれ、思い出してまた涙がでそうになった。
「ブレイドに初めて会ったときに言われた事よ」
そう、脂肪たっぷりの女。不味そうと無用になった私。ちょっと違うけどね。
その言葉を聞いたブレイドは眉をひそめる。あ、謝ってくれたのに、私ったら……。
「なんて、だ――」
「なんだ、そうだったのか!!」
声が重なった。私は急に笑顔になった彼を見る。
「エマ、食べられたかったのか! よし、ボクがしっかり食べてあげよう。よく見たら美味しそうだし、いい匂いだったしな!!」
獲物を見る目!?
いやいや、食べられたくなんてないんだからっ。そこじゃないんだけどぉぉぉぉ!?
「私、痩せるわ!!」
痩せて、食べがいのない体になって食べられないようにしなきゃっ!!
「ん? ボクは別にそのままのエマでも」
「痩せるわ!!」
食べられないように!!
ルニアがプププと笑いをこらえてる。私が寝てる間に説明とかしてなかったの?
「どんな姿でも美味しくたべてやるぞ」
って、怖い事言ってる人もいるんですけどぉぉ!?
とりあえず、目標は固まった。痩せる。絶対に痩せるわ!
食べられるなんて絶対にごめんです。
住むところさえなんとかなれば、なんとかなるよね?
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

はずれのわたしで、ごめんなさい。
ふまさ
恋愛
姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。
婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。
こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。
そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【忘れるな、憎い君と結婚するのは亡き妻の遺言だということを】
男爵家令嬢、ジェニファーは薄幸な少女だった。両親を早くに亡くし、意地悪な叔母と叔父に育てられた彼女には忘れられない初恋があった。それは少女時代、病弱な従姉妹の話し相手として滞在した避暑地で偶然出会った少年。年が近かった2人は頻繁に会っては楽しい日々を過ごしているうちに、ジェニファーは少年に好意を抱くようになっていった。
少年に恋したジェニファーは今の生活が長く続くことを祈った。
けれど従姉妹の体調が悪化し、遠くの病院に入院することになり、ジェニファーの役目は終わった。
少年に別れを告げる事もできずに、元の生活に戻ることになってしまったのだ。
それから十数年の時が流れ、音信不通になっていた従姉妹が自分の初恋の男性と結婚したことを知る。その事実にショックを受けたものの、ジェニファーは2人の結婚を心から祝うことにした。
その2年後、従姉妹は病で亡くなってしまう。それから1年の歳月が流れ、突然彼から求婚状が届けられた。ずっと彼のことが忘れられなかったジェニファーは、喜んで後妻に入ることにしたのだが……。
そこには残酷な現実が待っていた――
*他サイトでも投稿中

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

もう、愛はいりませんから
さくたろう
恋愛
ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。
王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる