11 / 49
10話・輝く光
しおりを挟む
「何をしてるの?」
私がさっきもらった指輪に、カトルが何かしている。
「光の紋章をいれているんだ」
指輪をみると、さっきまではなかった小さな紋様がはいっていた。
「あとはこれを――」
そういって、カトルは小さな宝石がついた指輪をライトの指輪の上にはめた。
「形式だけだけどね」
形式? なんのことだろう。
「これで終わりだよ」
「これで聖女なの?」
「あぁ、君は聖女だ」
なんだか、とてもあっけない。こんなに簡単になれるものなのかしら。
心配とはよそに、カトルは続ける。
「今日はもう遅い、眠れそうなら眠ろう。続きは明日教えてあげるから」
そういって、手を引いて長い廊下を歩きだした。けれど、私がいま欲しい手の温もりじゃないことに、とても戸惑った。
ーーー
これで、本当に聖女になれたのかしら?
用意してくれたという、私の部屋に戻ってきて、カトルは王様のところに用事があるからと行ってしまった。ベッドに座り、私は二つの指輪をながめる。
ライトに貰った指輪は指にぴったりとはまってキラキラと小さな光をたたえていた。
カトルに貰った指輪は小さな宝石が煌めいていて綺麗だけどサイズに少し余裕があるのかするりと外れてしまう。
そうだ、魔法!
ランプの灯りを落として暗くなった部屋を光らせようと思い、私はライトの言った言葉を思い出す。
明るくなる光をお願い。
「ライト」
そう呟くと、あたりがポゥッと、明るくなった。
すごい、ホントにできるんだ。
明るくなった部屋がまるで自分の部屋のあかりみたいで、また辛くなってしまった。
私、帰れるのかな。
なんだか、急にすごく眠くなってきたので私はそのまま目を閉じ、意識を手放した。
カナがよんだ先ほどの残光がカナに近づいて、それからそっと泡のように消えた。
私がさっきもらった指輪に、カトルが何かしている。
「光の紋章をいれているんだ」
指輪をみると、さっきまではなかった小さな紋様がはいっていた。
「あとはこれを――」
そういって、カトルは小さな宝石がついた指輪をライトの指輪の上にはめた。
「形式だけだけどね」
形式? なんのことだろう。
「これで終わりだよ」
「これで聖女なの?」
「あぁ、君は聖女だ」
なんだか、とてもあっけない。こんなに簡単になれるものなのかしら。
心配とはよそに、カトルは続ける。
「今日はもう遅い、眠れそうなら眠ろう。続きは明日教えてあげるから」
そういって、手を引いて長い廊下を歩きだした。けれど、私がいま欲しい手の温もりじゃないことに、とても戸惑った。
ーーー
これで、本当に聖女になれたのかしら?
用意してくれたという、私の部屋に戻ってきて、カトルは王様のところに用事があるからと行ってしまった。ベッドに座り、私は二つの指輪をながめる。
ライトに貰った指輪は指にぴったりとはまってキラキラと小さな光をたたえていた。
カトルに貰った指輪は小さな宝石が煌めいていて綺麗だけどサイズに少し余裕があるのかするりと外れてしまう。
そうだ、魔法!
ランプの灯りを落として暗くなった部屋を光らせようと思い、私はライトの言った言葉を思い出す。
明るくなる光をお願い。
「ライト」
そう呟くと、あたりがポゥッと、明るくなった。
すごい、ホントにできるんだ。
明るくなった部屋がまるで自分の部屋のあかりみたいで、また辛くなってしまった。
私、帰れるのかな。
なんだか、急にすごく眠くなってきたので私はそのまま目を閉じ、意識を手放した。
カナがよんだ先ほどの残光がカナに近づいて、それからそっと泡のように消えた。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。


好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる