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第五草

34・鳥羽の男

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「簡単そうで良かったですね」
「あぁ。今度は大物とのバトルはなさそうだ」
「不思議だよね。簡単なのに何で自分達で行かないんだろう?」
「アレクさん、言ってましたよ? 聞いてなかったんですか、ヨキ」
「え、あはは、うん」

 王様に会うには草をとってこい。オレ達に出された条件は先ほど通ってきた場所から、三種類の草を集めてくることだった。
 ◇

 時は少し戻り、アレクの家――。

良くしゃべる草トークマウス眠る草スリープアイ音に反応する草ヒアーイヤーこの三つを持っていけば会えますよ」

 赤い液体が入ったグラスを傾け、アレクは話を続ける。
 蝶の羽の女は部屋から出ていってしまった。
 オレを見たところで姿が違うから誰だよって話だ。目の前で変化を使うのも、またあの言葉を投げつけられるような気がして出来なかった。
 今は忘れよう。他人のそら似かもしれない。

「この飲み物も、トークマウスから採れるものなんですよ」
「そうなんですか」

 なるほど、だから色と味になんとなく覚えがあったわけだ。トークマウスはあの口草だな。

「街の外には、虫の体につく菌糸があるんです。それで何人も犠牲になっていて――。ですが、この三種類の草から得る栄養が虫の体に必要でして……」
「虫の体以外にはつかないんですか?」
「はい。なので、皆さんにとってきて頂ければ王に会えるように手配させて頂きます」
「……わかった。草の見た目や詳細をもう少し詳しく教えてくれ」

 とってくるのが大変だ、と言っているわりに、オレ達にそれを振る舞う。いったいどういう意図があるのか。

 ◇

「もしかして、さっきの鳥の人は私達と同じだったのでしょうか?」
「そっか、ライバルだったんだ! だから来るなって言ったんだね! 負けないぞー」
「おいおい」

 だが、そうなのかもしれない。あの人以外にも頼む人はいるだろう。

「ねぇ、トークマウスはさっきの赤い草だよね。なら他のはどこにあるかなー」
「そうですね。近くにあるとは言っていましたが」

 バサバサと音をたて、目の前に鳥羽の男が落ちてきた。
 女とよく似た顔立ちだが、色がまったく違う。黄色と緑色の髪と腕の羽毛。

「くぁーーーー!! めんどくせぇな!!」

 落ちてきた鳥男は飛び起きて勢いよく走り出す。

「な、なんだ……」
「ライバルなら、もしかしてあっちにどれかがあるかも!!」
「いや、先に見つけてるならあいつのだろ。オレ達は別の場所で……」

 言いかけて、また上から鳥男がふってきた。今度はオレの上に。

「うぉぉぉぁぁぁぁ」

 いや、叫ぶ前に、そこのいてくれ……。
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