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第四草

22・提示された条件

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 赤い光は人の集まる場所にある。引き寄せられるように近くに住みだすのか、人の集まる場所に光が出現するのか――。
 つまり巣だったり、街だったり、そうたぶんだけどこのあたりにもあるはずなんだ。
 ついでにではないが、一緒に探すなら別にいいかと家族探しに付き合っている。

「この辺だったよな」

 昨日釣りをした場所。オレがあそこに座ってた。
 チャミちゃんが大きな葉をちぎった植物もそこにある。

「はい、ここですね」
「フィンはいないね」

 昨日は夕方だったからな。曖昧な約束で朝早くからいるとは限らないよな。

「フィンー! お願いだ!! いたら返事してくれぇ!!」

 ナツメが叫ぶ。オレは怪物が出るかもしれないと耳を立て警戒した。

「……つ……」

 小さな小さな声が波の音の間に聞こえた。
 チャミちゃんにも確認してほしくて手招きしたその時――。
 ぶわっと白い靄が広がった。オレは目の前にいるはずのチャミちゃんに手を伸ばす。
 間に合えっっ!! お願いだから、消えないでくれ。
 目の前からいなくなるのはもう嫌だ。

『――君には失望したよ。もし――に会いたければい上がってこい』

 最後に会った時に喧嘩した。彼女は泣いていた。彼女の父親から会うために出された条件は生還者になれと言うことだった。

『会いにはきてくれないんだな』

 ……そうだ。なんで忘れていたんだろう。
 地上にいる彼女はまだ泣いているのか、それとも可笑しくて笑っているのだろうか……。

「チャミちゃん!!」
「もう遅いなの」

 オレの伸ばした手に手を添えたのはフェリだった。

「チャミミもヨキもそこにいないなの」
「いるだろ!! だってさっきまでそこに!!」

 守るって決めたのに。どうしていなくなるんだ。どうしてこの手からこぼれ落ちてしまうんだ。
 チャミちゃんを探して手を必死に伸ばす。

「チャミミもヨキも生きてるの。だから今は静かにするの」

 ぺちんっと小さな手で頬を叩かれた。

「フェリはガイドだから、……ユーリに死なれたら困るの。死ぬ時は一緒なのだから」
「死ぬ時は一緒?」
「ガイドは案内する人が死んだら、一緒に死ぬなの」

 オレは冷静さを少し取り戻す。
 静かにするとフェリがしゃがむように言った。

「靄が晴れていく」
「去ったなの」

 そこにはオレたち以外誰もいなかった。

「フェリ、あれが何かわかるのか!? チャミちゃんとヨキはどこに!?」
「少し待つなの。ガイドのいない男はわからないけどあとはわかるなの」

 ナツメまでいなくなっていた。

「お願いだ!! はやく」

 急いで取り戻さないと。会えなくなる。そんな焦燥感が襲ってくる。

「あっちにヨキがいるなの」
「チャミちゃんは!?」
「……ヨキを先に助けた方がいいなの」
「どうして!!」
「チャミミは、空に捕まってるなの。ヨキが一緒にいないとたぶん助けられない」

 フェリは空を見ながらそう言った。彼女が目を向けた先には先ほどの靄と大きな魚の影が見えた。
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