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第三草
17・ヨキのお願い
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「ねぇ、ユーリ。お願い変化して!」
寝る前に膝の上に乗ってヨキがお願いしてきた。顔が近い。
「え、何でだ?」
剣が必要な場面でもないのに、変化の必要があるのだろうか。
オレとチャミちゃんは大きな木に登り太い枝の間で各自体を預けている。念のため蔓で体と枝を固定して。
ヨキは固定なんていらないと枝と枝を器用に渡り歩いていた。
「だって、あのユーリは、その……いいから変化してよ」
「わかったわかった」
よくわからないがこれほど頼み込むなら何かあるのかもしれないと、オレは変化した。
「これでいいか?」
この体じゃあうさぎの時ほど物音に反応できないのだが、そこはチャミちゃんにおねがいするか。彼女を見ると、首を傾げてこちらを見ていた。
オレもよく分からないので苦笑いを浮かべて頬をかいた。
「うん、そのままでいてね」
そう言ってヨキがぎゅうとしがみついてきた。いや、待て……くるし……。
かなりの力で絞められる。いや、いやいやいや、どんな力してるんだ。コイツ。
「お父さん……」
ポツリと彼女の口からそんな言葉がもれた。
オレは眉間にシワを寄せつつ、ヨキの頭を撫でた。
今のオレの髪の色が父親のそれと同じだった事に気がつく。
「ヨキ、少し力を抜いてくれ」
無言のまま腕の力は弱くなった。オレはふぅと息をつく。
考えてみればヨキは突然父親、それに親友とも離れなければならなくなった。寂しさがこみ上げてきたんだろう。
これで少しでも和らぐならと彼女の黒い髪をふわふわと撫で続けてやった。
「ユーリ!!」
チャミちゃんが何かの音を聞いたのか、警戒の声をあげた。
「何だ!?」
「わかりません。でも何かが」
ヨキにがっちりと捕まっている。動けるか?
体の固定ロープを外そうと手をやった時だった。
がさっと何かが急接近してきた。大きな鳥だ。
鋭い嘴はオレと変わらないくらいの大きさ。でかすぎる。
「ヨキッ!!」
間に合わない。もうそこにいたのだから。
魔術もこの体では出来ない。剣も持っていない。
目の前で……。
「うるさぁぁぁぃっっ!!」
ヨキが起き上がり口から強力な恐らくドラゴンがする攻撃の一種、ドラゴンブレスを繰り出した。
「もう、寝る時は静かにだよ…………」
消し炭になった怪鳥はさらさらと塵だけが風に飛んでいった。
「は、ははははは」
オレは笑ってしまった。オレが守るって思ってたけど、チャミちゃんもヨキも強すぎないか?
むにゃむにゃとするヨキの口からよだれがたれる。
「あ、あっつっっっ」
オレは必死に口を塞ぎ、静かに変化をといて回復をする。
チャミちゃんは、ふふふと笑っていた。
いや、これオレ寝て起きたら天国とか行ってないか?
心配で眠れないじゃないかっ!!
「うぉぉぉぉ、目覚めの草ぁっぁぁ」
小さく小さく叫びながらオレは覚醒作用のある草をポケットから取り出し噛み締めていた。
「ねぇ、フェリもそこ、いいなの?」
「ダメ、今日はダメ!!」
今の見てなかったのかよ!!
フェリが一本上の枝からぶら下がった状態で聞いてきた。お前まで消し炭にされるぞ!!
「フェリは危なくなったら消えることができるなの」
「それ、オレだけ消し炭になるじゃねーか!!」
却下だ、却下! 触るな。とりあえずこのまま寝かせておくぞ!!
「ユーリ、私が……」
「チャミちゃんはいいから。オレが番しとくよ!」
目覚めの草パワーでこのピンチを乗りきってみせる!!
寝る前に膝の上に乗ってヨキがお願いしてきた。顔が近い。
「え、何でだ?」
剣が必要な場面でもないのに、変化の必要があるのだろうか。
オレとチャミちゃんは大きな木に登り太い枝の間で各自体を預けている。念のため蔓で体と枝を固定して。
ヨキは固定なんていらないと枝と枝を器用に渡り歩いていた。
「だって、あのユーリは、その……いいから変化してよ」
「わかったわかった」
よくわからないがこれほど頼み込むなら何かあるのかもしれないと、オレは変化した。
「これでいいか?」
この体じゃあうさぎの時ほど物音に反応できないのだが、そこはチャミちゃんにおねがいするか。彼女を見ると、首を傾げてこちらを見ていた。
オレもよく分からないので苦笑いを浮かべて頬をかいた。
「うん、そのままでいてね」
そう言ってヨキがぎゅうとしがみついてきた。いや、待て……くるし……。
かなりの力で絞められる。いや、いやいやいや、どんな力してるんだ。コイツ。
「お父さん……」
ポツリと彼女の口からそんな言葉がもれた。
オレは眉間にシワを寄せつつ、ヨキの頭を撫でた。
今のオレの髪の色が父親のそれと同じだった事に気がつく。
「ヨキ、少し力を抜いてくれ」
無言のまま腕の力は弱くなった。オレはふぅと息をつく。
考えてみればヨキは突然父親、それに親友とも離れなければならなくなった。寂しさがこみ上げてきたんだろう。
これで少しでも和らぐならと彼女の黒い髪をふわふわと撫で続けてやった。
「ユーリ!!」
チャミちゃんが何かの音を聞いたのか、警戒の声をあげた。
「何だ!?」
「わかりません。でも何かが」
ヨキにがっちりと捕まっている。動けるか?
体の固定ロープを外そうと手をやった時だった。
がさっと何かが急接近してきた。大きな鳥だ。
鋭い嘴はオレと変わらないくらいの大きさ。でかすぎる。
「ヨキッ!!」
間に合わない。もうそこにいたのだから。
魔術もこの体では出来ない。剣も持っていない。
目の前で……。
「うるさぁぁぁぃっっ!!」
ヨキが起き上がり口から強力な恐らくドラゴンがする攻撃の一種、ドラゴンブレスを繰り出した。
「もう、寝る時は静かにだよ…………」
消し炭になった怪鳥はさらさらと塵だけが風に飛んでいった。
「は、ははははは」
オレは笑ってしまった。オレが守るって思ってたけど、チャミちゃんもヨキも強すぎないか?
むにゃむにゃとするヨキの口からよだれがたれる。
「あ、あっつっっっ」
オレは必死に口を塞ぎ、静かに変化をといて回復をする。
チャミちゃんは、ふふふと笑っていた。
いや、これオレ寝て起きたら天国とか行ってないか?
心配で眠れないじゃないかっ!!
「うぉぉぉぉ、目覚めの草ぁっぁぁ」
小さく小さく叫びながらオレは覚醒作用のある草をポケットから取り出し噛み締めていた。
「ねぇ、フェリもそこ、いいなの?」
「ダメ、今日はダメ!!」
今の見てなかったのかよ!!
フェリが一本上の枝からぶら下がった状態で聞いてきた。お前まで消し炭にされるぞ!!
「フェリは危なくなったら消えることができるなの」
「それ、オレだけ消し炭になるじゃねーか!!」
却下だ、却下! 触るな。とりあえずこのまま寝かせておくぞ!!
「ユーリ、私が……」
「チャミちゃんはいいから。オレが番しとくよ!」
目覚めの草パワーでこのピンチを乗りきってみせる!!
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