狸と猫と子犬と子猫

ねこセンサー

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猫だって元はといえば九州人だけど

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元々、たぬきさんがこのしゃちほこ県にやって来た理由は、会社の基盤作りのためでした。

昔、会社の営業さんがかなり不義理をかました…らしく、この地域は彼の所属する会社でもかなりシェアが低い地域。それと、後進の役員候補育成のため、たぬきさんはこの地に降り立ったそうです。

「お相手に『あんたの会社久しぶりに来たな~、二十年ぶりかな~、悪いけどおたくの会社にはまだ用はないなぁ』って言われまくるけどとにかくアポとって挨拶にうかがって嫌な顔されてもとにかく食い下がって、顔を覚えてもらうんだ」


出張がかなり増えたので、出先で何してるの?と興味本位で聞いてみたら、そんな答えがかえってきました。

えー、何それとうふメンタルの猫には耐えられない…

『恋愛シミュレーションでの序盤みたいなのがずっと続くってやつ…?』

大昔にはまりこんだ乙女ゲーの元祖。闇の方にご挨拶にうかがう度に眉間にマリアナ海溝ばりのくっきりしたシワを刻まれてるのを拝む度、何度心が折れかかったか知れないとうふメンタルの猫。二次元ですらこれなのに、リアル三次元でお前は呼んでねぇわリアクションされたら胃に穴が開きそうな気がする。無理。



ちょっとだけ想像して涙目になり、自分はとてもじゃないけど無理だ、と返すと、まぁそういう仕事だからな、とたぬきさんは苦笑してました。

とにかく親しくなって、軽いメンテナンスでも受けられたらサービス員を派遣できる。そうしたら工場内に入れてもらえて、現場の人間同士で繋がりができる。そこから大がかりな工事発注を見込むんだ…と教わりました。長期計画なんですね…

未だに嫌みもいわれるしあからさまに追い返されたりもあるけど仕方ない、そういうもんなんだとたぬきさんは笑ってました。世の中の営業さんて凄いですね。


実はこちらで後進の育成にも力を入れる予定だった…


えぇ、過去形…


その社員さん、辞めちゃうそうです…


『九州に帰りたい、次の会社も決まってます、そういわれたら引き留められないだろう…?』


たぬきさんの顔は、切ないような、困りきったような、苦虫を噛み潰すような…とにかく弱った顔でした。

『九州の人は、本当に故郷が好きだからなぁ…』

大きなため息と共にひねり出された言葉に、猫は何も言えませんでした。

旦那の周りだけかもしれないけど。

故郷への想いが強い、って色々なんだなぁと。

たぬきさん、こちらで現地の社員さん募集をかけることにしたそうです。

いい人が来るといいですねぇ…

九州はよいとこです。

ただ、猫はそこまで愛着がないだけかもしれません。

自分には慕う親戚もいなかったから、そこかな?と思いますけどね。

父方は個性の固まり、母方も強烈でしたし…

きっと向こうだって私なんて嫌いだったでしょうけどね。

心配なのは友人、知人なので…冷血なやつと思われているでしょうが特段思うところはないですね。

自分の子供から子供たちを奪い取り実の母親を憎むように育ててしまった祖母とか、正直どうでもいい…

実際母親の立場になって、祖母がやった仕打ちがあまりにも酷いと感じたのでどうでもいいや…

生死も知りません。生きてるなら百歳越えてると思うけど…実の子である父が絶縁宣言して久しいし、母から話も聞かないので知るよしもない。

子供たちにいとこやはとこ、そういった存在がないのは申し訳ないなーとは思うけど、知らなければ多分ほしいとは思わないでしょうし、あの子らは父方の伯父ちゃん伯母ちゃん慕ってるからそれでいいかと思ったり。

少子化してますからねぇ私の周辺。

でも、幸せじゃない結婚して不幸せになるくらいなら、幸せな独り暮らしでいーじゃんと私は思うんですよね。趣味に生きてもよし、ペットを愛してもよし。

子孫に毒を巻き散らかすくらいなら幸せなまま一人でもいいじゃん?とおもう。

多分旦那に拾われなかったら、私は毒を巻き散らかしながら一人寂しく死んだと思うんですよね。

いわゆるこどもおじさん、こどもおばさんの話題を見ていると、みにつまされます。彼らは私が歩まなかった人生のひとつのいく先だろうなぁと…

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