狸と猫と子犬と子猫

ねこセンサー

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声を忘れた猫

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朝日が自室に差し込んできている…朝ですね。

布団から起き出します。

降りて朝御飯食べないと…

めんどくさいけど。

やっぱりうちのにゃんこは可愛い。

あぁそういえば。

口を開けてみる。

「………」

声の出し方、わかんなくなっちゃった、みたいだな。

当時、親の反応は全く記憶にありません。

地元で一番の友人には、メールしたらすごく心配された覚えがありますが。

「猫ちゃん、それ大丈夫なの!?」

ってメールできかれて、

「筆談すりゃいいからへーきへーき」

と返したような。

たぬきさんにも勿論知らせました。

久し振りに会う彼女がいきなり無言だったら心配するだろうし。

まぁ心配されましたが。

親は…ノートで最低限やりとりしていたみたいだし…なんか思っていたかもしれないけど、覚えてない。

ここいら辺りから、両親に関して記憶にないことが増えてまして。

たぶん、私のなかで、彼らが本当にどうでもいい存在にランクダウンし始めていたからでしょうね。

頭の中はむしろ賑やかでしたよ。

しゃべらないぶん、色々考えていました。

表情には、出にくかったとは思いますが…

私の場合、しゃべる気にならない上、しゃべり方を忘れたというか…そんな感じでした。

初めて外国語を習う際、まずは発声から始めますね。

巻き舌だったり、音のつまらせ方や、したの位置など。

細々とした口全体の動きを、図解で見ながら、実際にやってみて、感覚をつかんでいく、そんな感じではないでしょうか。

そこから忘れてしまったような感じで…

『あ』

を発音するときは、口を大きく開けて、空気を押し出すように、そんなところから。

一々発音からわかんないし、そもそも話す気もないので。

周りは慌てていたようですが、猫当人はあっけらかんとしたもんでした。

むしろせいせいしてた。

だってこれで親と話さなくていいもの。

向き合わなくていい。楽でいい。

部屋にこもってていいのですもの。

喋れないんだから、無理にしゃべらせようとはしないでしょうし。


そこまで鬼じゃないと思ってましたし…


たぬきさん、とても心配したみたいでした。

まあ、家出して、家に返したら

「しゃべれなくなったけど、筆談はできるから心配しないでね」

…心配するわ!

という、感じだったようで。

むしろ、戻さねばよかった、やはりあの家から引き離すべきか…と考えを強めていたようです。

たぬきさん、初めてあったときから猫の引き取りを考えてくれていたようで…うつに関しても、勉強していたみたいでした。

「君の場合はどうみても、環境を変えた方がいいと思ったからね」

「あのお母さんでしょ?一番ストレスかかってんの」

後々聞いたお話でした。

「自分ならあのお母さんには対処できるし、自分は猫さん引き取って愛でてればいいし猫さんはストレスなくなっていいことづくめだし」

猫さんのカーディガン毎週貸してもらってるけど、あれ臭いが減っていくし、本体が絶対いいもんねー、ですかそうですか…

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