狸と猫と子犬と子猫

ねこセンサー

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猫、新天地にたどり着く

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高速バスに飛び乗って、さすがにアポなしはいけないよな、と思いたぬきさんにメールしました。

『親とけんかした、そっちに向かっています』

『えっ?』

そりゃーそう思うよね、今思うとかなり無謀やらかしてますよね…私もそう思うわ。

ちょっと待って、ということで、現地で待ち合わせることに。

確か平日だったよね?お仕事休ませたかもしれません…何せ九年位前のことだし。その辺は記憶にない。

結局高速バスを降りて、たぬきさんにお会いしました。…うん、確かに仕事着着てた気がする。マジゴメン。

経緯を話して、

「もうあの家ヤダ、帰りたくない…」

とふさぎこんでいましたが、たぬきさんは比較的冷静でした。

「この状況で飛び出してきてもよくないよ、まずは一度帰宅してから、事情を話さないとね」

でもまずは君のお母さんと一度しっかりお話しするよ、車の中でちょっと待っててね、と彼は言って、母に電話を始めました。

コンビニ前で駐車し、私は車内で待つことに。


・・・・・・・・


・・・・・・・・


・・・・・・・・


…長いっすね。かれこれ、一時間近く電話していたようでした。

彼曰く、『お嬢さんの状況とその原因についての考察』なども交えてお話したそうなんですが、
どうも…概略すると、

「ちょっと!うちの子どこにやったのよ!?」

「彼女は僕がちゃんとお話していますよ、つうかあなたマジ過保護すぎ、こんなんだから彼女が病むんですよ」

「あんたに何がわかるの!キィィ~ッ!!」

「そういうところがだめなんですってば」

というやり取りだったそうです(遠い目)…

すっごくわかっちゃうんだけど。

…これ以来、うちの母はたぬきさんが超苦手になりました。

怒鳴ってもへーふーんほーで流されるし、挑発には乗らないからでしょうね。

彼曰く、

「ある意味わかりやすいし御しやすいよ君のお母さんは」

なーんて笑ってましたけど…シャカイジンコワイネ

結局『実りのない会話だった(たぬきさん談)』を終わらせ、とりあえず私を家まで送るよ、ということに。

「帰りたくないなあ…」

とぐずる私に、

「大丈夫、また来ればいいよ」

とたぬきさんには宥められ、帰途についたのでした。

後々、たぬきさんは、

「あの時家に戻さなきゃよかった」

と後悔した、と後で聞きました…

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