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精霊の渡り
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王城内、外界からの使節たちは、おのおの割り振られた客室にて寛いでいた。
その中で、自然をこよなく愛し、森の中に居を構える耳長族の使節団には、王城内と言うよりは、外郭の見張り等が多く立ち並ぶ王城の外れの離宮が用意されていた。本来ならば王城中心部より離れており、外郭部分に近いことで、扱いの悪さに文句が出るところであろうが、耳長族の使節団は国王の采配に非常に満足していた。
「――いやはや、言ってみるもんだねえ。こんなに、森のよく見える建物に滞在できるとは思わなかった。…現代の人族の王は、そこそこ柔軟な思考を持っておられるようだね」
そう、主客室でメイドに出された茶を優雅に飲んでいるのは、種族名の由来でもある見事な長い耳をもった青年だった。彼らは森の中で暮らすので、色素の薄い色彩のものが多い。かの青年も、真っ直ぐな淡い色彩の金髪を緑色の組紐でゆるく結わえ、腰までたらしている。
まとう衣服も、人族に比べてゆったりとしていて、装飾にこるというよりは、美しく染め上げた生地を潤沢に使うことを善しとしていた。もともと、着飾る本人が美しいので、あまりごてごてと着飾ることを好まない。自然と同じように、あるがまま。素材をむやみやたらといじることを好まない。そういう、民族性だった。
そんな、すらりとした長躯をした青年は、向かいで座って彼に微笑む女性に笑いかける。
「リューティアはどうだい?里と、こっちではどちらがいいと思うかな」
そう片目を瞑って笑いかける年齢不詳の青年に、彼女はソーサーにカップを置いて苦笑する。
「いやですわお義兄様、私のことをいじめないってお約束ではありませんでしたか?マナ様にお伝えしてもよろしいんですのね?」
そう苦笑しながら上目遣いでねめつける義妹に、かれは両手を大仰に挙げて降参のポーズを示した。
「ずるいな、マナ様を口実にされたら。マナ様は君の絶対的な味方なんだから、かなうわけないじゃないか」
義兄の言い分に、リューティアはにっこりと微笑む。
「私は『大樹の巫女』ですものね。不肖の身ですが、マナ様の娘を名乗らせていただく以上は、マナ様のお傍が一番ですわ…」
「…まだ五年前を根にもたれるとは。どうか許しておくれ、愛する妹よ」
そういいすがる義兄に、彼女は笑みを深める。
「…『人族の分際で、大樹様に話しかけるとは。恥を知れ』…でしたかしら。ああ、私人族ですので、寿命が短いものでどうも性悪なようですわ」
「本当に!許しておくれ!…僕だって可愛い義妹に嫌われ続けるのはつらい…!!」
本当に涙目になってきた義兄を見て、彼女は許すことにした。ようやくほっと息をつく義兄をみて、彼女はにっこりと笑いかける。
笑みを深めたときにリューティアの首が少し傾いで、しゃらん、とサークレットから伸びる金具が高い金属音を奏でる。
人族だ、と名乗ったはずの彼女の両耳は、人にあるまじき形状だった。目の前の義兄ほどの細く、長い耳ではないにしろ、その先は細く尖っている。
彼女がくすくすと笑うたびに、その細く尖った耳もつられて細かく震えて、その耳が本物であることを示していた。
「さて、お義兄さま」
その顔に穏やかな微笑を浮かべながら、リューティアは優雅に紅茶の入ったカップを目の前のテーブルに置き、小さな窓の向こうに見えるうっそうと茂る森を見つめる。目の前の義妹が一瞬にして、巫女としての職務を果たす顔になったことに心中で深い満足を覚えつつ、彼は彼女に頷いた。
「…ちょうど、この時期になると水霊の御鏡はそう言ったそうだが。…大樹の、そなたの意見も同じか?」
「…はい。わたくしも、そう思っております、長。マナ様から発せられる魔素の波長、ここ数年の数値を見るにここ数日ではないかと」
神妙に巫女は答える。その答えに、里長は満足げに頷いた。
「大陸中の、連絡が取れる部族それぞれの巫…皆この一週間のうちに『旅立ち』があるとの見立て。場所もこのあたりだと出ているな。…いいタイミングが重なったな。…というよりも、彼らがそう仕組んだのだろうけどね」
巫女は引き締めた顔のまま、頷く。
「…そのために、我らがきたのだ。新しい時代の幕開け、それを演出するために。…頼むぞ、巫女よ」
心得ております、と巫女は神妙な顔のまま深く頭を下げた。その彼女のつむじを眺めつつ、里長は一瞬だけ、その表情をゆがめたが、その変化に気づくものはいなかった。
『出来れば、お前の心を深く傷つけたこの地に、お前を連れて来たくはなかったが…里長としては、この責務を放り出すことは出来ぬ。…頼むぞ、義妹よ。…大樹に選ばれし巫女、その責務を果たしてくれ』
ずっと、行われることのなかった精霊の渡り。この地に縛られ続けた精霊たちがこの大地を去る日が、刻々と近づいていた―ー
王太子が聖堂の奥で弟と久しぶりに語らったその日の夜。
王城内の外郭の鐘楼に、各部族の主だった巫たちが王城の近衛兵を引き連れ、夜空を見上げていた。
「――して、どう読み解く、水の」
そう問いかけるのは、人族の腰ほどの背丈しかない小人族の巫だ。見た目は幼い男の子ではあるが、その目の鋭い輝きが、只者ではない風格を漂わせている。
問いかけを受けるのは、かがり火の光を受けて一瞬きらりと頬に散るうろこを光らせた水霊族の巫女。頬に縦に空いた呼吸穴を少し緊張に振るわせつつ、ひれのついた手をふわりとかざして、薄く水を生み出し、それに光る文字を浮かび上がらせた。
目の前で繰り広げられる不可思議な魔法に、近衛兵は一瞬目を瞠るものの、そのまま直立して警戒任務を続ける。その様子を横目で認めた背中に翼を生やした飛翼族の巫女は、背中の羽根を震わせて目の前の水盤の文字を読み解く。
「さすが予知に優れた水の巫女だけはあるね。やはり、今日だよね。この間霊峰に吹いた風もそう言っていたよ」
「風もそう言っておられたか。…炎は、どうだった?」
小人族の巫がそう呟くと、かがり火が一瞬にして燃え上がり、その中から炎を纏った手のひらほどの蝶が現れた。
火花をゆらゆらと散らしながら、蝶は彼の目の前を漂い、鋭い視線をむける彼の前で炎を纏わせ舞い踊る。
「…左様か。了解した。すまぬな、戻られよ」
その言葉を皮切りに、炎の蝶はあっという間にかがり火の中に飛び込み、消えていった。
「いつもながら見事な伝令ですね。…炎姫は」
ポツリとそうこぼした耳長族の巫女の言葉に、小人の巫は振り返り笑いかけた。
「炎姫は我らの中でも一番の古株であるからな。此度は炎龍様が眠りの時期ゆえに推参叶わなかったが。…そなたはまだ若い。術の熟練は年季もものを言うゆえ、焦らずとも良い」
はい、と神妙に頷く巫女を見て、他の部族の巫女達も眦を下げて微笑んだ。
「マナ様はよい娘ごを迎えられましたな」
「我らもその素直さを見習うべきでありましょうな」
「長く生きるばかりが、命の輝きを決めるものでもない。…おお、やはり今宵からであるな…さあ、皆のもの。…久方ぶりの、精霊の渡りじゃ…!!」
年長の小人族の言葉を皮切りに、巫たちはおのおののやり方で祈りの言葉を唱え、捧げ始める。
決して大声でもない彼らの祈りは、ややあって吹き始めた風に乗り、ゆっくりと拡がっていく。それにあわせて、徐々に大地から僅かな光が溢れはじめ、立ち上り始める。
それは、先程の火の粉よりも頼りない光であったが、徐々にその光を強めながら、集まり、空へと上り始めた。
その中で、自然をこよなく愛し、森の中に居を構える耳長族の使節団には、王城内と言うよりは、外郭の見張り等が多く立ち並ぶ王城の外れの離宮が用意されていた。本来ならば王城中心部より離れており、外郭部分に近いことで、扱いの悪さに文句が出るところであろうが、耳長族の使節団は国王の采配に非常に満足していた。
「――いやはや、言ってみるもんだねえ。こんなに、森のよく見える建物に滞在できるとは思わなかった。…現代の人族の王は、そこそこ柔軟な思考を持っておられるようだね」
そう、主客室でメイドに出された茶を優雅に飲んでいるのは、種族名の由来でもある見事な長い耳をもった青年だった。彼らは森の中で暮らすので、色素の薄い色彩のものが多い。かの青年も、真っ直ぐな淡い色彩の金髪を緑色の組紐でゆるく結わえ、腰までたらしている。
まとう衣服も、人族に比べてゆったりとしていて、装飾にこるというよりは、美しく染め上げた生地を潤沢に使うことを善しとしていた。もともと、着飾る本人が美しいので、あまりごてごてと着飾ることを好まない。自然と同じように、あるがまま。素材をむやみやたらといじることを好まない。そういう、民族性だった。
そんな、すらりとした長躯をした青年は、向かいで座って彼に微笑む女性に笑いかける。
「リューティアはどうだい?里と、こっちではどちらがいいと思うかな」
そう片目を瞑って笑いかける年齢不詳の青年に、彼女はソーサーにカップを置いて苦笑する。
「いやですわお義兄様、私のことをいじめないってお約束ではありませんでしたか?マナ様にお伝えしてもよろしいんですのね?」
そう苦笑しながら上目遣いでねめつける義妹に、かれは両手を大仰に挙げて降参のポーズを示した。
「ずるいな、マナ様を口実にされたら。マナ様は君の絶対的な味方なんだから、かなうわけないじゃないか」
義兄の言い分に、リューティアはにっこりと微笑む。
「私は『大樹の巫女』ですものね。不肖の身ですが、マナ様の娘を名乗らせていただく以上は、マナ様のお傍が一番ですわ…」
「…まだ五年前を根にもたれるとは。どうか許しておくれ、愛する妹よ」
そういいすがる義兄に、彼女は笑みを深める。
「…『人族の分際で、大樹様に話しかけるとは。恥を知れ』…でしたかしら。ああ、私人族ですので、寿命が短いものでどうも性悪なようですわ」
「本当に!許しておくれ!…僕だって可愛い義妹に嫌われ続けるのはつらい…!!」
本当に涙目になってきた義兄を見て、彼女は許すことにした。ようやくほっと息をつく義兄をみて、彼女はにっこりと笑いかける。
笑みを深めたときにリューティアの首が少し傾いで、しゃらん、とサークレットから伸びる金具が高い金属音を奏でる。
人族だ、と名乗ったはずの彼女の両耳は、人にあるまじき形状だった。目の前の義兄ほどの細く、長い耳ではないにしろ、その先は細く尖っている。
彼女がくすくすと笑うたびに、その細く尖った耳もつられて細かく震えて、その耳が本物であることを示していた。
「さて、お義兄さま」
その顔に穏やかな微笑を浮かべながら、リューティアは優雅に紅茶の入ったカップを目の前のテーブルに置き、小さな窓の向こうに見えるうっそうと茂る森を見つめる。目の前の義妹が一瞬にして、巫女としての職務を果たす顔になったことに心中で深い満足を覚えつつ、彼は彼女に頷いた。
「…ちょうど、この時期になると水霊の御鏡はそう言ったそうだが。…大樹の、そなたの意見も同じか?」
「…はい。わたくしも、そう思っております、長。マナ様から発せられる魔素の波長、ここ数年の数値を見るにここ数日ではないかと」
神妙に巫女は答える。その答えに、里長は満足げに頷いた。
「大陸中の、連絡が取れる部族それぞれの巫…皆この一週間のうちに『旅立ち』があるとの見立て。場所もこのあたりだと出ているな。…いいタイミングが重なったな。…というよりも、彼らがそう仕組んだのだろうけどね」
巫女は引き締めた顔のまま、頷く。
「…そのために、我らがきたのだ。新しい時代の幕開け、それを演出するために。…頼むぞ、巫女よ」
心得ております、と巫女は神妙な顔のまま深く頭を下げた。その彼女のつむじを眺めつつ、里長は一瞬だけ、その表情をゆがめたが、その変化に気づくものはいなかった。
『出来れば、お前の心を深く傷つけたこの地に、お前を連れて来たくはなかったが…里長としては、この責務を放り出すことは出来ぬ。…頼むぞ、義妹よ。…大樹に選ばれし巫女、その責務を果たしてくれ』
ずっと、行われることのなかった精霊の渡り。この地に縛られ続けた精霊たちがこの大地を去る日が、刻々と近づいていた―ー
王太子が聖堂の奥で弟と久しぶりに語らったその日の夜。
王城内の外郭の鐘楼に、各部族の主だった巫たちが王城の近衛兵を引き連れ、夜空を見上げていた。
「――して、どう読み解く、水の」
そう問いかけるのは、人族の腰ほどの背丈しかない小人族の巫だ。見た目は幼い男の子ではあるが、その目の鋭い輝きが、只者ではない風格を漂わせている。
問いかけを受けるのは、かがり火の光を受けて一瞬きらりと頬に散るうろこを光らせた水霊族の巫女。頬に縦に空いた呼吸穴を少し緊張に振るわせつつ、ひれのついた手をふわりとかざして、薄く水を生み出し、それに光る文字を浮かび上がらせた。
目の前で繰り広げられる不可思議な魔法に、近衛兵は一瞬目を瞠るものの、そのまま直立して警戒任務を続ける。その様子を横目で認めた背中に翼を生やした飛翼族の巫女は、背中の羽根を震わせて目の前の水盤の文字を読み解く。
「さすが予知に優れた水の巫女だけはあるね。やはり、今日だよね。この間霊峰に吹いた風もそう言っていたよ」
「風もそう言っておられたか。…炎は、どうだった?」
小人族の巫がそう呟くと、かがり火が一瞬にして燃え上がり、その中から炎を纏った手のひらほどの蝶が現れた。
火花をゆらゆらと散らしながら、蝶は彼の目の前を漂い、鋭い視線をむける彼の前で炎を纏わせ舞い踊る。
「…左様か。了解した。すまぬな、戻られよ」
その言葉を皮切りに、炎の蝶はあっという間にかがり火の中に飛び込み、消えていった。
「いつもながら見事な伝令ですね。…炎姫は」
ポツリとそうこぼした耳長族の巫女の言葉に、小人の巫は振り返り笑いかけた。
「炎姫は我らの中でも一番の古株であるからな。此度は炎龍様が眠りの時期ゆえに推参叶わなかったが。…そなたはまだ若い。術の熟練は年季もものを言うゆえ、焦らずとも良い」
はい、と神妙に頷く巫女を見て、他の部族の巫女達も眦を下げて微笑んだ。
「マナ様はよい娘ごを迎えられましたな」
「我らもその素直さを見習うべきでありましょうな」
「長く生きるばかりが、命の輝きを決めるものでもない。…おお、やはり今宵からであるな…さあ、皆のもの。…久方ぶりの、精霊の渡りじゃ…!!」
年長の小人族の言葉を皮切りに、巫たちはおのおののやり方で祈りの言葉を唱え、捧げ始める。
決して大声でもない彼らの祈りは、ややあって吹き始めた風に乗り、ゆっくりと拡がっていく。それにあわせて、徐々に大地から僅かな光が溢れはじめ、立ち上り始める。
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