ふわふわわたげの、ふわこちゃん。

ねこセンサー

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ふわこちゃんは、けっしんします。

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それから、ふわこちゃんはきれいなひとにつれられて、いろんなところをめぐりました。

とってもおおきなおしろや、きれいなみずうみ。おっきなたきや、まっかにもえるかざん。

きらきらひかる、ゆきのせかい。たくさんのものを、そのひとはみせてくれました。

「たのしかったですか?」

きらきらのひとは、ふわこちゃんのあたまをやさしくやさしくなでながらきいてきます。

「はい、とっても、とっても!たのしかったです!」

ふわこちゃんはにこにこです。

さあ、もといたところにもどりましょう、ときらきらのひととおててをつないで、くものしたにおりていくとき。

ふわこちゃんは、ちいさなおうちで、ちいさなあかちゃんをまんなかにして、にこにこわらうなかよしのおとこのひととおんなのひとをみかけました。

「まさとはねたかな」

まんなかでねむるあかちゃんのおなかをやさしくなでながら、おとこのひとはむかいのおんなのひとにはなしかけています。

「もうすこし。ふふ、しあわせそうなかおね」

ふたりはしあわせそうに、おたがいのかおをみつめてわらっています。そのようすをみて、ふわこちゃんはなぜか、こころがきゅうっとするのをかんじました。

あたたかくって、やさしいきもちが、ふわこちゃんのこころのなかからどんどんあふれてきて、とまりません。

ふわこちゃんははじめてのきもちにとまどっていると、おおきくてあったかい手が、ふわこちゃんのあたまをやさしくなでました。

「あのひとたちのところに、いきたいですか?」

きらきらひかるひとのことばをきいて、はじめてふわこちゃんはいまのじぶんのきもちにきづきました。

「…わたし、あんなひとたちのところにうまれたい」

それははじめてのきもちでした。ふわこちゃんは、はじめて、じぶんがしあわせになりたい、とねがったのです。

そのことばをきいて、そのひとはふわこちゃんをやさしく、やさしくなでてほほえみました。

「もし、あのふたりがあたらしいこどもにあいたいとおもったら。ふわこちゃんは、あのひとたちのところにいきますか?」

ふわこちゃんは、まよいませんでした。

「はい!わたし、あのひとたちのかぞくになりたいです」

まっすぐにひとみをみつめてこたえるふわこちゃんに、ひかるひとはうれしそうにわらいました。

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