ふわふわわたげの、ふわこちゃん。

ふわふわわたげは、たびをします。

ふわりん、ふわふわ、ふわふわりん。

まっしろわたげの、ふわこちゃん。

ふわこちゃんは、ふわふわとうかんでいます。

ふわふわ、ふわりん。

ときどきふいていく、かぜにのって。どこまでも。

「きょうもいいおてんきだわ」

ふわこちゃんは、じょうきげんです。ふわふわ、ふわりん。ふわりとおおきく、ふくらみました。



かぜにのって、ゆっくりとながれていると、ちいさななきごえがきこえてきました。

「えーん、えーん。」

ちいさなおとこのこが、ころんでしまってないていました。

ひざこぞうには、ちいさなすりきず。ちいさなおてても、すりむいてとってもいたそう。

「かわいそうだわ」

ふわこちゃんは、ゆっくりとふわふわただよいながら、そのおとこのこにむかってとんでいきます。

ふわふわ。ふわふわ。

「ねえ、どうか。なかないで。」

ふわふわ、ふわりん。そういって、ふわこちゃんはおおきくいきをすいこみました。

ごおおおお・・・

ふわこちゃんはおおきなくちをあけて、おとこのこのかなしいきもちをすいこみました。

そうしておとこのこは、かなしいきもちがへったので、なきやんでくれました。

「よかった」

ふわふわ、ふわりん。

「はると！だいじょうぶ！？」

おとこのこのおかあさんが、まっさおなかおで　はしってきました。

「ママ！」

はるとくんはおかあさんにだきついて、ほっとしすぎてなきだしてしまいました。

でも、はるとくんからはかなしいきもちをかんじません。

はるとくんのきもちは、『うれしい』あったかいきもちです。

ふわこちゃんはまんぞくして、またかぜにのってながれていきました。

ふわふわ、ふわりん。

ふわこちゃんは、すこしだけおおきくなっていました。