何だこのクソゲーは!?

ねこセンサー

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こんにちは。

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朝。

同じような一日が、今日も始まる。

メイドに起こされ、毎朝の習慣を一つ。

「ステータスオープン」

あら、今日のステータスは・・・

人名が並び、その横にハートマークが並ぶ。

…あ、親密度ね…いつの間にほかの要素が混じったか。

ああ、噴水広場の彼か。対象だったのね。しかし、この開放条件えげつないわね…

『一日一回声をかけると百回目で攻略可になる』…いやー、彼モブっぽかったし。その条件を知らず、適当に毎日超えかけをしていた私は偉いわ。

…おばあちゃんに、挨拶はしっかりしなさいって耳にたこが出来るくらい言われたからね…

私おばあちゃんっこだったもので。

遠くなった昔を懐かしみながら、いつものように屋敷を巡りつつ外に出る。

噴水広場の彼はどこかな…ときょろきょろしてみると。

彼はいなくなっていた。その代わりに、別の人間がいることに気づく。

「こんにちは」

人にあったらとりあえず挨拶だよね。人んちにいきなり入ってツボ割ったりたんすの中あさったりしないわよ私は。一応私は地方都市の豪商の娘なんで。そういう、設定なので。世界を救う勇者じゃないの。

内心色々考えつつ、彼がいつもいた位置に立ち尽くす小さな女の子に声をかける。

「こんにちは!お兄ちゃん知らない?いつもここに散歩に来ているって聞いたんだけど」

彼女は私の声かけにすらすらと答えた。会話のキャッチボール。そこに、会話の途中に割り込むとか、会話を終了させるだとかそういうことは一切起こらない。

そうか、この子はあのお兄さんの妹なのね。横目でステータスを表示させ、彼の個人プロフィールを眺める。そこには、先程にはなかった小さな妹の供述が。情報が公開されたんだね。

今度はこういう趣向なのか。昨日まで眺めていた、力だとか知力だとかそういうステータスはなりをひそめ、そこには相手キャラクターと私個人のプロフィール、好感度がずらりと並ぶ。



もう一度目の前の妹さんに話しかけ、情報が出尽くしたと感じたので他の人たちにも話しかけ、適当に広場をぶらついた後はさっさと屋敷に帰宅して読みかけの本を読んで過ごした。

…こういう趣向はあまり好きではないのだ。

彼らは、私自身を見ているわけではないのだ。それが痛いほど理解できているから、私はこの趣向には共感できなくなってしまった。…昔は、好きだったんだけどね。**といっしょに遊んだ日。私は引っ込み思案だったから、***ばかりで。私は彼女を自宅に呼んで、ひたすら***ばかりしていた。***は、私のことをどう思っていたのだろう。…ああ、頭が痛い。


世界が望まないことをしようとすると、このような頭痛にさいなまれる。これを感じるたびに感じる、胸をかきむしるような孤独。私一人が、この世界の特異点。ああ、

ギリギリと頭を締め付ける痛みに本を取り落として頭を抱える。だめ、だめ。ふらふらと立ち上がり、そのまま私は自室のベッドへとダイブした。

その瞬間、自分の意識がふわりと遠ざかり、緩やかな眠りの世界に引き込まれていくのを感じる。私の寝つきは、最強に良い。寝れば、全てが回復するから。ああ、この痛みもなくなるだろう。

…心配しているかな、お母さん。…意識が完全に塗りつぶされる前、記憶の彼方においてきたはずの母の顔が、一瞬だけ脳裏に浮かんだ。

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