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穴
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どこからか風の音が聞こえてくる。寂しい音だ・・・
これは荒野に吹いている風の音なのか。
違う・・・この音は私の胸の穴から出て来る風の音だ。
またいやな夢を見てしまったようだ。
「さあ、一日が始まるんだ頑張ろう」
そんなさわやかな朝を迎えられた頃が懐かしい。
今の私は何を頑張ればいいのかすらわからない。
昨夜、高校受験を控えた息子に
「お母さんもできるだけ協力するように頑張るからね」と言って励ました。
受験するのは息子だし、
私がなにを頑張ればいいのかわからないけれど、
親だもの何か息子のために出来ることがあるはずだ。
それなのに夫のあの言い草ったらなんなんだ。
「お前が何も頑張る必要はない。希望する学校に合格するしないは本人の努力だ」
夫は冗談のように言って笑ったが、冷たい目の色を私はちゃんと知っている。
十五年前に見合いをしたとき夫は、僕は子供が大好きなんだと言って笑った。
日に焼けた精悍な顔に真っ白い歯がまぶしかった。
この人とならと思い、結婚した私の選択に間違いは無かった・・・
そう、少なくても子供が産まれるまでは。
それが、息子が産まれた瞬間に夫は本性を現したのだ。
「僕は子供が大好きなんだ」
子供 だ け が 好きなんだ・・・
その通り子供は夫だけのものになった。
年いくごとにますます固い絆で結ばれていく父親と息子。
それに反比例するかのように孤独なワタシ。
「オ シ エ テ・・・ ワ タ シ ハ ダ レ ? 」
今日も眠った気がしなかった。目覚まし時計のアラームを解除した。
アラームはいつも五時四十分にセットしてあるのだが、
たいてい鳴る前に目が覚めてしまう。
眠れない・・・
十年前に母が亡くなってから一層悪くなったように思える。
一家団欒の楽しい会話の中でも私は脇役で、曖昧な顔をして笑っているだけ。
まだ眠っている夫の横でパジャマを脱ぎ、ブラウスを着てスカートを穿いた。
スカートのチャックが少し上がりにくくなっている。
太ったんだな、と思ったら一層いやな気分になった。
洗面所に行き顔を洗ってから朝食の用意をしに、台所に行った。
火をつけると、フライパンの上で焼かれてもだえ苦しんでいる自分が見える。
「もういやだ、私はお手伝いロボットなんかじゃない・・・」
いつからだろうか胸の中に穴があき、そこから風が吹く。
ギュッと強く唇をかみながら三皿目のベーコンエッグを盛り付け終えた。
今から夫と子供を起こしに行く。
渡り廊下を通るとき、壁にかかった鏡を覗くと、
寝起きの乱れた髪を無造作に束ねた中年女の顔がこちらを見ていた。
「あれ?」
鏡に映った後ろの壁に黒いひび割れを見つける。
「あんなもの、あったっけ・・・」
暗くてよく分からなかったが、それは確かにひび割れで
パックリと黒い口をあけている。
「あっ、蛙だ・・・」
いつからそこにいたのか、蛙が一匹割れ目の傍にうずくまっている。
捕まえようと手を伸ばした瞬間ピョンと跳んで中に入ってしまった。
おかしなことがあるもんだと思ったが、何故かその時はさほど気にもならなかった。
夫の寝ている部屋のドアを開ける。
「お父さん起きて、時間ですよ」機械じみた冷たい声に自分でも驚く。
しかし夫はそんなことには気もつかず、もぞもぞ起き上がる素振りを見せる。
夫の次は子供部屋、いきなりカーテンを開けられて、
息子はウゥ・・と唸って布団にしがみつく。
「起きなさい、学校遅れますよ」さすがに息子にはやさしい声になる。
親子三人朝の食卓を囲む幸せな風景・・・
開け放たれた窓から入るそよ風に吹かれて、
白いレースのカーテンが舞う。
ベーコンエッグの匂い、はじける笑い声、お皿に当たるフォークの音。
楽しいひとときはあっと言う間に過ぎていく・・・
「いってらっしゃい、気をつけてね」最高の笑顔で主人と子供を送り出した後、
ヒクヒクと痙攣している口の周りをさすりながら台所に戻り、
朝食の後片付けをして部屋中の掃除をする。
そして洗濯物が干し終わったら午前の仕事は終わりだ。
いつも見るテレビのバラエティー番組までにはまだ間がある。
リビングのソファーに座り新聞を広げて読み始めたのだが、
活字を追ってるうちに睡魔が襲ってきた。
ソファーの上に横になり、ボンヤリしていると、
ベランダ右端辺りにオレンジ色の光に満ちた戸口が現れた。
何処からやってきたのか、白地に青い縦縞柄の着物を着た女が
手ぬぐいを頭にかけて小走りに入っていく。
その後姿に見覚えがあった。あれは母・・・
「お母さん 待って!!」と叫び後を追う。
「お母さん・・・」と肩を掴み声をかけると女が振り向いた。知らない顔だった。
母であるはずがない、
母はもう死んだんだと心ではわかっていたのだけれど・・・・
振り向いた女は怪訝な顔をして私をじろじろ見る。
やがて女の顔がグニャリと歪みながら縮み始め、
あっという間に一匹のがま蛙に変身した。
「あ、蛙・・・」
私は朝見た蛙を思い出した。
手を伸ばして捕まえようとすると、蛙はピョンと跳ねて、
今まで気付かなかった薄暗い壁の割れ目に入っていった。
一人取り残された部屋の中を見回すと、
六畳くらいの部屋は壁も畳もオレンジ色をしており、
部屋の隅にいかにも古そうな鏡台が一つあった。
御所車の横に赤い着物を着た女の子が立っている図柄だと、
辛うじて分かるくらいの古びたカバーを持ち上げて裏に垂らしたら、
自分の顔がどす黒く歪み私を見ていた。
気がついたらソファーの上だった。どうやら眠って夢を見ていたらしい。
「あれ、この音は?」
どこかでスースーという音がしている。
どこから聞こえるのだろうと耳をすませていたら
どうやら自分の胸から聞こえてきているようだ。
「うそ、何なのこれ・・・」
恐る恐る胸に手を当ててみると、丸く陥没している感触があり、
セーターをフワフワと揺らしている。
虚ろな気持ちで辺りを見回すと、
ベランダの右端辺りにオレンジ色に光る戸口が出来ていた。
まだ夢の中なんだ・・・
白地に青い縦縞の着物を着た女も現れた。
私はまたあとを追いかけていき、女の肩を掴んだ。
でもそれは蛙女ではなく、母だった。
私を見つめ、優しく微笑んでいる。
「お母さんっ」
私は子供にかえったように、泣きじゃくりながら母の体にしがみついた。
母は優しく私の背中をなでさすり
「どうしたんだい、そんなに泣いて・・・困った子だねえ」と言った。
私はしゃくりあげながら自分の胸を指さし、穴があいているのだと訴えた。
母は私の胸を見て笑いながら首を横に振る。
「何を馬鹿なことを言ってるのよ。
お前の胸に穴なんかあいてるはずがないじゃないか」
といって確かめてごらんというような仕草をした。
恐る恐る胸を触ってみると本当に穴などあいていない。
「穴なんてもともとあいちゃいなかったんだよ。穴はお前の心が作り出した物、
きっと私が死んで寂しかったんだね。
ごめんよ独りにしちゃって」
私と母は抱き合って泣いた。
「お前、いつまでも私のことを思っていちゃだめだよ。
お前には私のぶんまで長生きして、幸せになってもらわなくっちゃ。
私はいつでもお前の側にいて、見守っているからね。
さあ、お前の世界に戻りなさい・・・
さっき入ってきた戸口から元に戻れるからね。
心配いらないよ、目が覚めたら何もかもが元通りさ・・・
何もかもが元通りさ・・・何もかもが元通りさ」
母は何故か同じ言葉を繰り返し、やさしく笑い戸口を指差した。
そうだこれは夢だ、いつまでも寝ているわけにはいかないんだ。
「お母さん、会えてよかった。また時々でいいから夢に出てきてね、さようなら」
母が笑って手を振っている。
私は未練を振り切るように前を向き、戸口に向かってダッシュした。
気がつくとソファーの上だった。
夢だったんだ・・・私は夢で母に会えたおかげで、とても気分が良かった。
時計を見ると、お昼のバラエティー番組が丁度始まる時間だ。
テレビのリモコンを掴みスイッチを入れようとした時、
またスースーという音が聞こえてきた。
あれ ? と思い耳をすます。
「えっ・・・まさか」と不安にかられて胸元を見る。
そこには直径十センチほどの真っ黒い穴がぽっかりと口をあけていた。
底なしの穴の暗黒の遥か彼方から、物凄い勢いで風が突き上げてくる。
「何もかも元通りさ・・・」
風の音に混じり母の声が聞こえてくる。
「お母さん ? 」
気がつくと、ベランダの右端辺りにオレンジ色の戸口が出来ていた。
(完)
これは荒野に吹いている風の音なのか。
違う・・・この音は私の胸の穴から出て来る風の音だ。
またいやな夢を見てしまったようだ。
「さあ、一日が始まるんだ頑張ろう」
そんなさわやかな朝を迎えられた頃が懐かしい。
今の私は何を頑張ればいいのかすらわからない。
昨夜、高校受験を控えた息子に
「お母さんもできるだけ協力するように頑張るからね」と言って励ました。
受験するのは息子だし、
私がなにを頑張ればいいのかわからないけれど、
親だもの何か息子のために出来ることがあるはずだ。
それなのに夫のあの言い草ったらなんなんだ。
「お前が何も頑張る必要はない。希望する学校に合格するしないは本人の努力だ」
夫は冗談のように言って笑ったが、冷たい目の色を私はちゃんと知っている。
十五年前に見合いをしたとき夫は、僕は子供が大好きなんだと言って笑った。
日に焼けた精悍な顔に真っ白い歯がまぶしかった。
この人とならと思い、結婚した私の選択に間違いは無かった・・・
そう、少なくても子供が産まれるまでは。
それが、息子が産まれた瞬間に夫は本性を現したのだ。
「僕は子供が大好きなんだ」
子供 だ け が 好きなんだ・・・
その通り子供は夫だけのものになった。
年いくごとにますます固い絆で結ばれていく父親と息子。
それに反比例するかのように孤独なワタシ。
「オ シ エ テ・・・ ワ タ シ ハ ダ レ ? 」
今日も眠った気がしなかった。目覚まし時計のアラームを解除した。
アラームはいつも五時四十分にセットしてあるのだが、
たいてい鳴る前に目が覚めてしまう。
眠れない・・・
十年前に母が亡くなってから一層悪くなったように思える。
一家団欒の楽しい会話の中でも私は脇役で、曖昧な顔をして笑っているだけ。
まだ眠っている夫の横でパジャマを脱ぎ、ブラウスを着てスカートを穿いた。
スカートのチャックが少し上がりにくくなっている。
太ったんだな、と思ったら一層いやな気分になった。
洗面所に行き顔を洗ってから朝食の用意をしに、台所に行った。
火をつけると、フライパンの上で焼かれてもだえ苦しんでいる自分が見える。
「もういやだ、私はお手伝いロボットなんかじゃない・・・」
いつからだろうか胸の中に穴があき、そこから風が吹く。
ギュッと強く唇をかみながら三皿目のベーコンエッグを盛り付け終えた。
今から夫と子供を起こしに行く。
渡り廊下を通るとき、壁にかかった鏡を覗くと、
寝起きの乱れた髪を無造作に束ねた中年女の顔がこちらを見ていた。
「あれ?」
鏡に映った後ろの壁に黒いひび割れを見つける。
「あんなもの、あったっけ・・・」
暗くてよく分からなかったが、それは確かにひび割れで
パックリと黒い口をあけている。
「あっ、蛙だ・・・」
いつからそこにいたのか、蛙が一匹割れ目の傍にうずくまっている。
捕まえようと手を伸ばした瞬間ピョンと跳んで中に入ってしまった。
おかしなことがあるもんだと思ったが、何故かその時はさほど気にもならなかった。
夫の寝ている部屋のドアを開ける。
「お父さん起きて、時間ですよ」機械じみた冷たい声に自分でも驚く。
しかし夫はそんなことには気もつかず、もぞもぞ起き上がる素振りを見せる。
夫の次は子供部屋、いきなりカーテンを開けられて、
息子はウゥ・・と唸って布団にしがみつく。
「起きなさい、学校遅れますよ」さすがに息子にはやさしい声になる。
親子三人朝の食卓を囲む幸せな風景・・・
開け放たれた窓から入るそよ風に吹かれて、
白いレースのカーテンが舞う。
ベーコンエッグの匂い、はじける笑い声、お皿に当たるフォークの音。
楽しいひとときはあっと言う間に過ぎていく・・・
「いってらっしゃい、気をつけてね」最高の笑顔で主人と子供を送り出した後、
ヒクヒクと痙攣している口の周りをさすりながら台所に戻り、
朝食の後片付けをして部屋中の掃除をする。
そして洗濯物が干し終わったら午前の仕事は終わりだ。
いつも見るテレビのバラエティー番組までにはまだ間がある。
リビングのソファーに座り新聞を広げて読み始めたのだが、
活字を追ってるうちに睡魔が襲ってきた。
ソファーの上に横になり、ボンヤリしていると、
ベランダ右端辺りにオレンジ色の光に満ちた戸口が現れた。
何処からやってきたのか、白地に青い縦縞柄の着物を着た女が
手ぬぐいを頭にかけて小走りに入っていく。
その後姿に見覚えがあった。あれは母・・・
「お母さん 待って!!」と叫び後を追う。
「お母さん・・・」と肩を掴み声をかけると女が振り向いた。知らない顔だった。
母であるはずがない、
母はもう死んだんだと心ではわかっていたのだけれど・・・・
振り向いた女は怪訝な顔をして私をじろじろ見る。
やがて女の顔がグニャリと歪みながら縮み始め、
あっという間に一匹のがま蛙に変身した。
「あ、蛙・・・」
私は朝見た蛙を思い出した。
手を伸ばして捕まえようとすると、蛙はピョンと跳ねて、
今まで気付かなかった薄暗い壁の割れ目に入っていった。
一人取り残された部屋の中を見回すと、
六畳くらいの部屋は壁も畳もオレンジ色をしており、
部屋の隅にいかにも古そうな鏡台が一つあった。
御所車の横に赤い着物を着た女の子が立っている図柄だと、
辛うじて分かるくらいの古びたカバーを持ち上げて裏に垂らしたら、
自分の顔がどす黒く歪み私を見ていた。
気がついたらソファーの上だった。どうやら眠って夢を見ていたらしい。
「あれ、この音は?」
どこかでスースーという音がしている。
どこから聞こえるのだろうと耳をすませていたら
どうやら自分の胸から聞こえてきているようだ。
「うそ、何なのこれ・・・」
恐る恐る胸に手を当ててみると、丸く陥没している感触があり、
セーターをフワフワと揺らしている。
虚ろな気持ちで辺りを見回すと、
ベランダの右端辺りにオレンジ色に光る戸口が出来ていた。
まだ夢の中なんだ・・・
白地に青い縦縞の着物を着た女も現れた。
私はまたあとを追いかけていき、女の肩を掴んだ。
でもそれは蛙女ではなく、母だった。
私を見つめ、優しく微笑んでいる。
「お母さんっ」
私は子供にかえったように、泣きじゃくりながら母の体にしがみついた。
母は優しく私の背中をなでさすり
「どうしたんだい、そんなに泣いて・・・困った子だねえ」と言った。
私はしゃくりあげながら自分の胸を指さし、穴があいているのだと訴えた。
母は私の胸を見て笑いながら首を横に振る。
「何を馬鹿なことを言ってるのよ。
お前の胸に穴なんかあいてるはずがないじゃないか」
といって確かめてごらんというような仕草をした。
恐る恐る胸を触ってみると本当に穴などあいていない。
「穴なんてもともとあいちゃいなかったんだよ。穴はお前の心が作り出した物、
きっと私が死んで寂しかったんだね。
ごめんよ独りにしちゃって」
私と母は抱き合って泣いた。
「お前、いつまでも私のことを思っていちゃだめだよ。
お前には私のぶんまで長生きして、幸せになってもらわなくっちゃ。
私はいつでもお前の側にいて、見守っているからね。
さあ、お前の世界に戻りなさい・・・
さっき入ってきた戸口から元に戻れるからね。
心配いらないよ、目が覚めたら何もかもが元通りさ・・・
何もかもが元通りさ・・・何もかもが元通りさ」
母は何故か同じ言葉を繰り返し、やさしく笑い戸口を指差した。
そうだこれは夢だ、いつまでも寝ているわけにはいかないんだ。
「お母さん、会えてよかった。また時々でいいから夢に出てきてね、さようなら」
母が笑って手を振っている。
私は未練を振り切るように前を向き、戸口に向かってダッシュした。
気がつくとソファーの上だった。
夢だったんだ・・・私は夢で母に会えたおかげで、とても気分が良かった。
時計を見ると、お昼のバラエティー番組が丁度始まる時間だ。
テレビのリモコンを掴みスイッチを入れようとした時、
またスースーという音が聞こえてきた。
あれ ? と思い耳をすます。
「えっ・・・まさか」と不安にかられて胸元を見る。
そこには直径十センチほどの真っ黒い穴がぽっかりと口をあけていた。
底なしの穴の暗黒の遥か彼方から、物凄い勢いで風が突き上げてくる。
「何もかも元通りさ・・・」
風の音に混じり母の声が聞こえてくる。
「お母さん ? 」
気がつくと、ベランダの右端辺りにオレンジ色の戸口が出来ていた。
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