そのポーター、実はダンジョンマスターにつき

G.G

文字の大きさ
上 下
13 / 32

第十二話 ダンジョン調査隊がやってきた

しおりを挟む
色々、望外のご支持を頂いてもの凄く嬉しいです。作者冥利に尽きます。
というわけで、予定外の投稿です。ストック減りますが、それに増して書く意欲爆発?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ミスリルの槍と剣で少々散財してしまったので、少し稼ぎに力を入れよう。
ターニャは今では鎧猪は一檄で倒せるから、そろそろ毎日売りに出してもおかしくはない。
それにしても強くなったなあ。擬態スライムのバフを借りていたとは言え、オークキングを倒したのは良い経験値稼ぎになったようだ。

―――――――――――――――――――――――
名前:ターニャ(17)
種類:人族
体力:171(+50)
攻撃:230(+50)
敏速:108(+30)
防御:103(+20)
器用:68
知性:102
魔力:15
スキル:剣術LV2・格闘LV1・弓LV1・槍lv1
―――――――――――――――――――――――

槍のスキルが新しく増えた。
僕もステータスが増えてる。

―――――――――――――――――――――――
名前:アッシュ(13)
種類:人族(ダンジョンマスター)
体力:139(+50)
攻撃:178(+50)
敏速:112(+30)
防御:97(+20)
器用:68
知性:200
魔力:350
スキル:空間制御LV9・剣術LV2・魔法LV1
―――――――――――――――――――――――

空間制御のレベルが上がったのは、ダンジョン拡張したせいかもしれない。

そろそろ鎧猪相手では経験値が稼げなくなってきたので、次の獲物は雷狼にする。

―――――――――――――――――――――――
名前:*
種類:雷狼
体力:75
攻撃:238
敏速:150
防御:66
器用:87
知性:52
魔力:15
スキル:雷撃LV2・撃牙lv2
―――――――――――――――――――――――

こいつは素早いのと何頭か群れを作るので結構手強い。
それに雷を撃ってくるので厄介だ。痺れる程度だけど、こちらの動きが鈍る。
こいつは三層から五層に居るので、対処できるようにしておいたほうが良い。
例によってターニャにポーターの僕が付く二人パーティーだ。

オルトとダインは森で木を倒し、屋台を作っていた。
生活魔法が地味に役に立ってる。
カティとミルカは二人で角兎を狩っている。ミルカが魔法で拘束をかけ、カティがたこ殴りにするそうだ。スライムに追いかけられていた頃が懐かしいなあ。
もうすぐ角兎の屋台が出せそうだな。

ある日、例によって鎧猪を買い取りに出していると、受付嬢が僕らに声を掛けた。
「ターニャ、ランクアップのお知らせよ」
「えっ?急にどうしたの?」
「鎧猪を毎日持ち込んでくるFランクなんてあり得ないでしょう。雷狼だって持ち込んでくるし。おめでとう、Dランクよ。カード貸してちょうだい」
「えっ!嘘でしょう?いきなりDランク?」
「ソロでそれだけ狩りが出来るんだもの。良く頑張ったわね」
まあ、ポーターは数に入らないからな。

ターニャは目をつむり、拳をぎゅっと握った。
「オーディ、とうとう追いついたわよ。あなたの背中に」ほんの小さな呟き。
どんな思いが込められているんだろう。
今は亡きオーディ。彼の代わりに必死で頑張ってきたターニャ。
「へへっ、今日も肉祭りだね」僕はターニャの背中を軽く叩いた。

カードが更新されるのを待つ間、僕たちは果汁ジュースをすすりながらカウンターに座っていた。
と、どやどやと鎧姿の数人の騎士達が入ってくる。
普段は冒険者しかいないギルドに随分場違いな。
皆が眉を顰めてみていると、彼らはギルドの奥の部屋へ入っていく。

受付嬢さんが更新されたギルドカードを持ってきた。銅色のDランクカード。
「あれ、何なの?」ターニャが顔を騎士達の消え去った方を向けて尋ねた。
「ああ、領主様の使いよ。新しい階層が見つかったので調査に入るんだって」
「新しい階層?」
ああ、とうとう発見されたか。ま、僕らは関係ないし。

「十階層でボスを倒したパーティーが奥へ続く入り口を見つけてね。ギルマスは本部に報告するやら、パーティー派遣するやら大忙し」
「何で領主様が出てくるの?」
「ばかねえ、ダンジョンは宝の宝庫。新しい階層が見つかったら、どんだけお宝が増えるのか見当も付かないわ。領主様の懐具合も様変わりするかも、なのよ。調べたいに決まってるじゃない」

おおふ。そういう方面で影響出るというのは頭になかった。
面倒事にならなきゃ良いが。

数日経って、もろ面倒事に巻き込まれた。

朝、ターニャとギルドに入ると受付嬢に呼ばれ、奥の部屋に案内される。
冒険者らしい五人と、騎士らしい人が三人、それに立派な服の青年。多分、貴族だ。
「その子が例のポーターか?」青年貴族が僕を見つめる。
「ええ、この子のマジックバッグはアンザックでも飛び抜けた収納量を誇ります」
「マジックバッグだけを借りるわけにいかないのかい?」
「この子にしか使えない誓約が掛かっているんですよ」そう言ったのはギルマス。

「まだ子供じゃないか。下層に連れて行くのは危険すぎると思うんだが」
ああ、心配して言ってくれてるのか。悪い奴ではなさそうだけど。
「このアンザックで五年もしぶとく生きてるんですぜ。ただの子供ガキじゃない」
ギルマス!余計な事言うな。全部ターニャのおかげなんだ。
「君はどうなのかな?」青年貴族が聞いてきた。

「あのー、何のことか分からないんですけど」
「ああ、そうだね、何も説明してなかった。実は今度、新しい階層が見つかった」
「聞いてます」
「それで調査隊を組む事になったんだ。ただ大人数になるし、資材も嵩む。それで優秀なポーターが欲しいんだ。君は優秀だと聞いている。危険な旅になるかもしれないが、全力で守ると約束しよう。どうかな、参加してくれるかな」

「駄目です!」ターニャが叫んだ。
「お前には聞いてないよ」ギルマスがターニャを睨んだ。
「アッシュはあたいの家族です。それに子供です。そんな危ないところに――」
「ギルマス権限で徴発もできるんだぜ。黙ってな」
こんの野郎、一回殺したろうか。

「お嬢さん、君は?」
「姉です。ターニャって言います」
「見たところ、冒険者だね。ランクは?」
「Dになったところです」
「ほう、若いのに優秀だね。どうだろう、アッシュ君の護衛にどうかな」

「駄目です!」今度は僕が叫ぶ番。
「おめーらは!贅沢言ってられないんだよ。アッシュ、おめえは徴発。ターニャ、おめえはギルド指名だ。決定事項だ。異論は認めん」
くそう、ギルマスに逆らってアンザックでは生きていけない。

こうなったらダンジョンマスターの全てを賭けてターニャを守り抜こう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

お布団から始まる異世界転生 ~寝ればたちまちスキルアップ、しかも回復機能付き!?~

雨杜屋敷
ファンタジー
目覚めるとそこは異世界で、俺は道端でお布団にくるまっていた 思わぬ″状態″で、異世界転生してしまった俺こと倉井礼二。 だがしかし! そう、俺には″お布団″がある。 いや、お布団″しか″ねーじゃん! と思っていたら、とあるスキルと組み合わせる事で とんだチートアイテムになると気づき、 しかも一緒に寝た相手にもその効果が発生すると判明してしまい…。 スキル次第で何者にでもなれる世界で、 ファンタジー好きの”元おじさん”が、 ①個性的な住人たちと紡ぐ平穏(?)な日々 ②生活費の為に、お仕事を頑張る日々 ③お布団と睡眠スキルを駆使して経験値稼ぎの日々 ④たしなむ程度の冒険者としての日々 ⑤元おじさんの成長 等を綴っていきます。 そんな物語です。 (※カクヨムにて重複掲載中です)

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

処理中です...