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第二十五話 シャニナリーアの新婚?生活
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「それでタオ殿には『工房の里』の管理を任せようと思ってね」
酒席で父様が切り出した。
「あそこはイワーニャが管理していたんだが、さすがに館の方に戻って貰わないと執事が過労で死にそうなんだよ」
「里はシャニちゃんが仕切ってるようなものなんだけどね」
イワーニャ母様がクスッと笑って言った。
「そんな事無いよ。イワーニャ母様が居なかったら連結飛空艇出来てなかったかもだし」あたしが慌てて言い足す。
そう。魔鉱石採掘の人手が十日後くらいには到着する。
『工房の里』は連結飛空艇量産の工房になる予定で、魔工技師も増員予定。
岸壁の部屋も増やす予定だし、倉庫も拡張しなくちゃいけない。
何だかんだ明日からは忙しくなる。今までみたいにイワーニャ母様丸投げ出来なくなるからなあ。
新婚旅行?そんな習慣はこの世界にはありません。
旅行自体が危険を伴うし、日数がかかるので余程必要が無い限り出かけない。
新婚さんは十日くらい休みを取っていちゃいちゃするらしいけど、あたし達はその必要ないしね。というか、できないし!
どうしたって、幼子をあやすお兄様でしかない。それで十日も過ごせるか!
あたしは忙しいんだ!
まずは新居だ。
『工房の里』の岸壁の住居をそのまま使おうとしたら、猛烈な勢いで反対された。
マンレオタの館の側に新居を用意してくれたらしい。
でも、あたし達の活動拠点は『工房の里』でしょ?
だからこればっかりは押し通した。
カーサ母様がすごくしょぼんとしてた。
全部が軌道に乗ると、ターク騎士隊の指揮のため、母様はマンレオタ館で待機しなければならない。訓練もある。『工房の里』に来るにはタークで一日かかる。
「あのね、母様、館に秘密の転移部屋作るからね」
「秘密の転移部屋?」
「うん。母様が一人だけでその部屋に入ると、『工房の里』に転移させるから。戻る時もその部屋に戻すわ」
「えーっと……」母様、困惑。
「あたしが『工房の里』に居ても、いつでも母様と会えるの」
「いつでも会えるの?」うん。食い付いた。凄い勢いで。
「会いたくなったら端末で知らせて。もちろん、あたしも会いたくなったら端末で呼ぶわ」
「シャニ!なんて良い子なの」
カーサ母様があたしを抱きしめた。ちょっと殺人的な力だけど。感極まるとこれなんだよな。でも柔らかくて暖かくて幸せだけど……息ができないから、タンマ、タンマ。
背中をタンタンするとやっと力を緩めてくれた。はふ~。
さて、結婚式が終わり、宴会も済んだとなると、後は初夜。
どうすんだよ、初夜、七歳のあたし。前世経験者。
とりあえず、新婚さんに割り当てられた客室に行ってみた。子供用ネグリジェに一応、ガウンを羽織ってるけど。
居ない。ま、予想通り。とすると……。
いつものあそこだ。居た。ゾラの寝床、竜舎。
飛竜騎士の装束を取った下着姿で、ゾラによっかかり、下藁を被ってる。いつもの姿だ。
あたしはタオ兄ちゃんの側にどっかと座って、ゾラに寄りかかった。
「ねえ、タオ兄ちゃん、って、結婚したのにこの呼び方は変か」
「好きに呼べばいい」ほんとにどうでも良さそうだ。
「旦那様?タオ様?ご主人様?主?あなた?」
「ほんとに好きにしろ。全部返事してやる」
「そ、それじゃ、旦那様」ほわああー!なんか心臓にくる!
「なんだ」ほんとに返事したっ!
こ、これはまずい。イアンナのあたしが言ってたから平気かと思ったら、駄目じゃん!
刺激が強すぎる。すうすうはあはあ。
ちょっと変な顔で首を傾げられた。
「あ、あのね?今夜はどうするの?」見上げるようにして言ってみた。
「三択だね。ひとつ、ここでゾラと一緒に寝る。ふたつ、新婚客室で二人きりで寝る。みっつ、別々で寝る」
んんー、どこまでも冷静だな。いずれにしろ、七歳のあたしには子づくり行為はできない。
……しないよね?
まあ、キスくらいなら許して良いか。
『ダソウダゾ、たお』
ぎゃああっ!ゾラに覗かれてた。
「そうだ、ゾラ。良い機会だから吐きなよ、あたしのどこまで知ってるの?」
「そうだな、夫婦の隠し事は少ない方が良いしな」
タオ兄ちゃんがゾラに言った。やっぱりこの呼び方でいいや。
『アクシャナ、ロデリック、チュワン、イアンナ、テド、クロ、ヨーコ』
うわー、やっぱり全部知ってる!
「タオ兄ちゃんも?」
「うん、知ってる。だから不思議ちゃんって言っただろ?ゾラがシャニが知られたくなさそうと言ってたから、知ってるのは言わなかったけど」
『心配スルナ。魔王認定ナドシナイ、サセナイ』
ゾラが言った。なんでこいつ何でも知ってるんだろ。
「これでも夫婦だからな。私に頼れよ」
おお!全生涯で初めて言われた。言ったことも無かったな、てへ。
「タオ兄ちゃんもだよ。あたしの方がずっと長いこと生きてきてまあ、年上みたいなもんだから。あ、お姉ちゃんと呼んでも良いよ。でもお婆ちゃんと呼んだらコロス」
「で、今喋ってるの誰?アクシャナ?イアンナ?チュワン?ヨーコ?」
「え、シャニだよ。記憶はあるけど、前世の誰かになるわけじゃないんだ。あたしはあたし。でもそれに前世の誰かの影響が溶け込んでる感じかな」
タオ兄ちゃんがあたしを抱え上げて膝の上に乗せた。なにをする!
「ふむ。シャニだな。ほかの誰でもない」
そして笑った。見たこともない、良い笑顔だった。
そして、その夜はなし崩し的に三拓の一になった。つまり、ゾラも含めて竜舎でお話しした。七歳のあたしはそのうち眠くなって意識が溶けてしまった。
キス?されたっけ?覚えてない。
翌朝、目が覚めるとカーサ母様のベッドで、彼女の腕の中にいた。
タオ兄ちゃんが運んでくれたんだって。
カーサ母様はとても上機嫌だった。
翌日、連結飛空艇で『工房の里』へ向かう。
飛空艇には当面の生活物資を積み、取りあえず雇い入れた魔工技師三人も同乗している。
イワーニャ母様と新しいあたしの侍女、ミニーも一緒だ。
ミニーは実はシンハンニルの里出身で、皇都のマンレオタの館で半年ほど侍女の訓練を受けていた。戦闘力はムイと同等らしい。見た目、肩までの栗色の髪で、大人しそうな顔の十九歳。
でもシンハンニルの人達って、ほんと、見掛けが当てにならないからなあ。
で、ノーマはカーサ母様の付き人として館に残る。
タオ兄ちゃんはゾラに乗って向かっている。イワーニャ母様から引き継ぎを受ける予定。
こっれでやっとリーアのあたしが抗夫から解放される日が近づいてきたんだ。
酒席で父様が切り出した。
「あそこはイワーニャが管理していたんだが、さすがに館の方に戻って貰わないと執事が過労で死にそうなんだよ」
「里はシャニちゃんが仕切ってるようなものなんだけどね」
イワーニャ母様がクスッと笑って言った。
「そんな事無いよ。イワーニャ母様が居なかったら連結飛空艇出来てなかったかもだし」あたしが慌てて言い足す。
そう。魔鉱石採掘の人手が十日後くらいには到着する。
『工房の里』は連結飛空艇量産の工房になる予定で、魔工技師も増員予定。
岸壁の部屋も増やす予定だし、倉庫も拡張しなくちゃいけない。
何だかんだ明日からは忙しくなる。今までみたいにイワーニャ母様丸投げ出来なくなるからなあ。
新婚旅行?そんな習慣はこの世界にはありません。
旅行自体が危険を伴うし、日数がかかるので余程必要が無い限り出かけない。
新婚さんは十日くらい休みを取っていちゃいちゃするらしいけど、あたし達はその必要ないしね。というか、できないし!
どうしたって、幼子をあやすお兄様でしかない。それで十日も過ごせるか!
あたしは忙しいんだ!
まずは新居だ。
『工房の里』の岸壁の住居をそのまま使おうとしたら、猛烈な勢いで反対された。
マンレオタの館の側に新居を用意してくれたらしい。
でも、あたし達の活動拠点は『工房の里』でしょ?
だからこればっかりは押し通した。
カーサ母様がすごくしょぼんとしてた。
全部が軌道に乗ると、ターク騎士隊の指揮のため、母様はマンレオタ館で待機しなければならない。訓練もある。『工房の里』に来るにはタークで一日かかる。
「あのね、母様、館に秘密の転移部屋作るからね」
「秘密の転移部屋?」
「うん。母様が一人だけでその部屋に入ると、『工房の里』に転移させるから。戻る時もその部屋に戻すわ」
「えーっと……」母様、困惑。
「あたしが『工房の里』に居ても、いつでも母様と会えるの」
「いつでも会えるの?」うん。食い付いた。凄い勢いで。
「会いたくなったら端末で知らせて。もちろん、あたしも会いたくなったら端末で呼ぶわ」
「シャニ!なんて良い子なの」
カーサ母様があたしを抱きしめた。ちょっと殺人的な力だけど。感極まるとこれなんだよな。でも柔らかくて暖かくて幸せだけど……息ができないから、タンマ、タンマ。
背中をタンタンするとやっと力を緩めてくれた。はふ~。
さて、結婚式が終わり、宴会も済んだとなると、後は初夜。
どうすんだよ、初夜、七歳のあたし。前世経験者。
とりあえず、新婚さんに割り当てられた客室に行ってみた。子供用ネグリジェに一応、ガウンを羽織ってるけど。
居ない。ま、予想通り。とすると……。
いつものあそこだ。居た。ゾラの寝床、竜舎。
飛竜騎士の装束を取った下着姿で、ゾラによっかかり、下藁を被ってる。いつもの姿だ。
あたしはタオ兄ちゃんの側にどっかと座って、ゾラに寄りかかった。
「ねえ、タオ兄ちゃん、って、結婚したのにこの呼び方は変か」
「好きに呼べばいい」ほんとにどうでも良さそうだ。
「旦那様?タオ様?ご主人様?主?あなた?」
「ほんとに好きにしろ。全部返事してやる」
「そ、それじゃ、旦那様」ほわああー!なんか心臓にくる!
「なんだ」ほんとに返事したっ!
こ、これはまずい。イアンナのあたしが言ってたから平気かと思ったら、駄目じゃん!
刺激が強すぎる。すうすうはあはあ。
ちょっと変な顔で首を傾げられた。
「あ、あのね?今夜はどうするの?」見上げるようにして言ってみた。
「三択だね。ひとつ、ここでゾラと一緒に寝る。ふたつ、新婚客室で二人きりで寝る。みっつ、別々で寝る」
んんー、どこまでも冷静だな。いずれにしろ、七歳のあたしには子づくり行為はできない。
……しないよね?
まあ、キスくらいなら許して良いか。
『ダソウダゾ、たお』
ぎゃああっ!ゾラに覗かれてた。
「そうだ、ゾラ。良い機会だから吐きなよ、あたしのどこまで知ってるの?」
「そうだな、夫婦の隠し事は少ない方が良いしな」
タオ兄ちゃんがゾラに言った。やっぱりこの呼び方でいいや。
『アクシャナ、ロデリック、チュワン、イアンナ、テド、クロ、ヨーコ』
うわー、やっぱり全部知ってる!
「タオ兄ちゃんも?」
「うん、知ってる。だから不思議ちゃんって言っただろ?ゾラがシャニが知られたくなさそうと言ってたから、知ってるのは言わなかったけど」
『心配スルナ。魔王認定ナドシナイ、サセナイ』
ゾラが言った。なんでこいつ何でも知ってるんだろ。
「これでも夫婦だからな。私に頼れよ」
おお!全生涯で初めて言われた。言ったことも無かったな、てへ。
「タオ兄ちゃんもだよ。あたしの方がずっと長いこと生きてきてまあ、年上みたいなもんだから。あ、お姉ちゃんと呼んでも良いよ。でもお婆ちゃんと呼んだらコロス」
「で、今喋ってるの誰?アクシャナ?イアンナ?チュワン?ヨーコ?」
「え、シャニだよ。記憶はあるけど、前世の誰かになるわけじゃないんだ。あたしはあたし。でもそれに前世の誰かの影響が溶け込んでる感じかな」
タオ兄ちゃんがあたしを抱え上げて膝の上に乗せた。なにをする!
「ふむ。シャニだな。ほかの誰でもない」
そして笑った。見たこともない、良い笑顔だった。
そして、その夜はなし崩し的に三拓の一になった。つまり、ゾラも含めて竜舎でお話しした。七歳のあたしはそのうち眠くなって意識が溶けてしまった。
キス?されたっけ?覚えてない。
翌朝、目が覚めるとカーサ母様のベッドで、彼女の腕の中にいた。
タオ兄ちゃんが運んでくれたんだって。
カーサ母様はとても上機嫌だった。
翌日、連結飛空艇で『工房の里』へ向かう。
飛空艇には当面の生活物資を積み、取りあえず雇い入れた魔工技師三人も同乗している。
イワーニャ母様と新しいあたしの侍女、ミニーも一緒だ。
ミニーは実はシンハンニルの里出身で、皇都のマンレオタの館で半年ほど侍女の訓練を受けていた。戦闘力はムイと同等らしい。見た目、肩までの栗色の髪で、大人しそうな顔の十九歳。
でもシンハンニルの人達って、ほんと、見掛けが当てにならないからなあ。
で、ノーマはカーサ母様の付き人として館に残る。
タオ兄ちゃんはゾラに乗って向かっている。イワーニャ母様から引き継ぎを受ける予定。
こっれでやっとリーアのあたしが抗夫から解放される日が近づいてきたんだ。
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