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物語は続くよ どこまでも

末姫さまの思い出語り・その6

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 在校生ならびに四年前までの卒業生全員に王城の出入りを禁止する。

 それを聞いた生徒たちはホッとした表情を浮かべる。
 しかしそれを見た総裁は顔をしかめてまた頭を振った。

「軽い罰で良かったと言う顔をしているが、この意味が本当にわかっているのか ? 随分とおめでたい頭をしているな」

 まあ良いだろうと総裁は今度は教職員に目を向ける。

「さて、次は学校関係についてだが、おめでとう。この度王立精華女学院の廃校が決まった」
「・・・廃・・・校・・・ ? 」

 院長が目を見開いて壇上の総裁を見上げる。

「関係者全員、反逆罪と国家転覆の疑いで捕縛される」
「・・・はん、反逆罪 ?! そんなっ ! 」

 講堂の扉が開かれ、大勢の衛兵たちがなだれ込んでくる。
 生徒たちは悲鳴をあげて抱き合ったり逃げようとするが、それを衛兵たちが宥めて着席させる。

「身に覚えがないと言った顔だが、証拠はあがっている。まずは詐欺について。学生食堂の昼食、生徒に金を払わせていたな」

 生徒たちは何故総裁が突然食事について話し出したのかわからない。

「・・・この学校は家庭教師を雇うゆとりのない家庭のために、貴族令嬢としての最低限の礼儀作法を学ぶために作られた。よって貴族であれば何の負担もなしに通うことができる」
「・・・」
「平民であっても入学金と月謝を払えば入学が許される。そして月謝の中には授業で必要な全ての教材、そして昼食代が含まれる。さて、一階の食堂では安くはない金額で最低の料理を出していたことが調査でわかっている。そしてくだんの女生徒には古くなった黒パンと水のように薄いスープを半量だけ出していたこともな」

 夏休み明けから弁当持参を禁止にしたのも、生徒たちからさらに金を巻き上げるためだったのだろう ?
 そう言う総裁に職員は返す言葉がない。

「ちなみにそうやって稼いだ金で宴会をしていたことも調査済みだ。食堂関係者以外の者も招かれていたようだな」

 いつも同じ店を利用していたから簡単に調べがついたと総裁は笑う。

「礼法の教師、茶会の訓練と称して生徒に茶葉と茶菓子を提出させていたな」
「・・・必要なものですから、自分たちで用意するのは当たり前です」
「財政省に提出された書類には、訓練用の茶葉と茶菓子の購入履歴がある。日常使いでない高級品で領収書つきだ。さて、この物品はどこに消えたのかな ? 」

 礼法の教師たちが真っ青になるのを無視し、総裁は他の横領の証拠を次々とあげていく。
 さらに、と総裁は続ける。

「ここ十年以上、王城の侍女の解雇が増えている。なぜか。あまりに質が悪いからだ」

 その九割以上が女学院出身者。
 それも成績優秀者という触れ込みで採用された者たちばかりだ。

「基本動作も礼儀もわきまえず、初歩以前の問題を手取り足取り教えねばならない。階級が下の者には横柄な振舞い。筆頭侍女長には文官や騎士から苦情ばかりが舞い込む。これはどういうことか。我らが一番に疑ったのはまいないによる成績改ざん。だが、教師に袖の下を渡すような財力があるのなら、わざわざ学院に通わせず家庭教師を雇うだろう」

 総裁はまた一枚の書類を手にする。

「この調査には数年かかった。また実際に何が行われているか知るために、こちらの手の者を入学させた。その結果とても下らなくつまらない、そして悪質なあってはならない事実が判明した」

 この学院にとっては当たり前すぎて何を今更と言うのだろうがと、総裁は講堂全体に響くよう声を大きくした。
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