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『四方の王』編
四方の王の誕生
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「・・・」
「・・・」
なんとも言えない雰囲気が部屋の中に広まっている。
私の顔色は恥ずかしさと怒りで、真っ赤を通り越してどす黒くなっているはずだ。
「なんで、なんでアルと同じベッドで寝てたんですか。なんでそんな破廉恥なことになってたんですか」
「あー、北と南のお方が手を外すなって言ってたから」
「手を外さないとお着換えできないですよね ? なら私はドレス姿だったはずです。なんでネグリジェだったんですか。手を外さないでお着換えって、そんな器用なこと一体どうやったんですか」
あの後アルとおはようを言って、フッと気づくとアルはパジャマ、私はネグリジェだった。
もちろんブラとかはなし。
お互いその様子に気づいて悲鳴を上げて逃げた。
集まった人たちが見たのは、ベッドの左右に分かれて毛布を被って震える私たちだった。
「ルーの着換えはナラとアンシアだ。一瞬だけ離して着換えさせた。体のどこかが触っていればいいかと思って。アルのほうは俺たちだ。とにかくお前たちを離すなと言う指示だったから、一緒に寝かせておくしかなかったんだ」
「・・・体のどこかってどこですか。それに未成年の男女を一緒に寝かしておいて見張りもつけないって、なんかおかしくないですか。おかしいですよね。おかしいって言ってください ! 」
ちゃんと昼の服に着替えた私たちは、いつも通り私の居間に集まっている。
今日はお父様とお母様も一緒だ。
引きこもり部屋同様、全員椅子に座っている。
アルは私の対面だ。
いつもは隣なのに。
「あらあ、別にいいじゃないの。だって来年には婚約するんだし、再来年には結婚するんですものね」
「対外的には、ですよね、お父様 ?! 」
「えっと、その予定なんだけど」
お父様が私の怒りに冷や汗をかいている。
結婚前の娘が近侍と同衾した。
ものすごいスキャンダルだ。
なのにそれを母親主導でやるなんて。
「わかっていないわね、ルチアちゃん。この噂はもう王都中に流れている。つまり、こういうことよ。これから先、あなたに求婚する男性は一人もいない。結婚相手はカジマヤー以外にはいなくなったということよ」
「・・・」
「お見舞いとお祝いのついでに釣り書きを引き取っていったお家が一杯来たわ。これでダルヴィマール侯爵家を狙うことは出来なくなった。よくやったわ、カジマヤー。さっそくグレイス公爵家に養子縁組のお願いをしましょう」
「お待ちください、お方様」
浮かれまくったお母様をアルが止める。
赤かった顔はいつもの色に戻っている。
「その件については個人的にお話がありますので、後ほどお時間をいただきとうございます」
「・・・何か考えがあるようね。いいわ。ちゃんと話しましょう」
『用事は終わったか』
ポンッと空中に桑楡が現れた。
『会いたかったぞ、娘』
「私も、会いたかった。なんで会いに来てくれなかったの ? 」
『あの後、北と南に止められておったからな。我らの力が混じるといけないと言われた』
当然のように私の膝に収まる桑楡。
『それにしても随分と早く馴染んだものだ。何か月もかかると聞いていたが』
「そうね。たった二日。でも実感がないわ、四方の王になったって」
そう、何も変わっていないのだ。
なにか付加価値がついたかっていうと、メンバーが二人増えたっていうだけ。
なんかこう、外見とか変わるかくらいは考えたけど、全然なし。
「こうステータスが上がるとかあるかと思ったけど、本当に名前だけなのね」
『なに、我らと絆しただけでは不満か』
「不満じゃないけどね、スキャンダラスなことがあったから、逆に迷惑だったかも」
「失礼いたします。お邪魔してもよろしゅうございますか」
ドアが叩かれて家令のセバスチャンさんが入ってきた。
後ろに侍女さん二人がついてきている。
「どうしましたか、セバスチャンさん ? 」
「さきほど玄関前に魔物が出現いたしました」
魔物が現れた。
室内の空気が強張る。
にも関わらず、彼らの表情はどちらかというとウキウキな、なんかばらしたいような浮かれた顔だ。
「魔物。どんな魔物かい ? 」
「こちらでございます」
お父様の質問に、後ろに控えていた侍女さんがずずいっと出てきた。
二人の手にはピンクのウサギと大熊猫がいた。
「モモちゃん・・・」
「リンリン、いや違う。別の個体だ」
侍女さんたちが抱いている二匹は確かにモモちゃんとリンリンに似ているが、サイズが全然違う。
モモちゃんよりもう一回り小さいし、大熊猫はネコくらいの、抱っこしてちょうどいいような大きさだ。
リンリンは子供を背中に乗せて歩けるくらいの、仔馬くらいの大きさだったもの。
「どういたしましょう。暴れるでもなく、大人しい個体ではあるとは思うのですが」
これは。
あれだ。
あれしかない。
で、あれば。
「しばらく様子をみましょう。子供でもあるようですし。よろしいでしょうか、お父様 ? 」
「そうだね。こちらに寄こしてくれ。ああ、確かにあの二匹じゃない。目の色が違う。ルチアと同じ色だね」
六角大熊猫の目は黒。
一角ウサギの目は赤。
だけどこの二匹の目はどちらも緑だ。
「失礼いたします。ヒルデブランドのギルドマスターがお越しです」
別の執事がギルマスを案内してきた。
「ありがとう。皆、下がってくれ」
「ご無沙汰しております、御前。ルー、目が覚めたね。よかった」
いつもの穏やかな笑顔のギルマスが、新たな魔物たちを見つけた。
そして二匹の前に膝をついて頭を下げる。
「ようやくお会いできましたね、北と南のお方」
「えっ ? 」
アンシアちゃんが口に手を当ててびっくり目をしている。
兄様たちも声こそ上げないが驚いている。
『英雄マルウィン、頭をあげてくれ』
二匹の新入りがギルマスに対峙する。
『お主とは絆しなかったが、その活躍はずっと見ておったよ』
『東、東雲が断った時点で、お主が四方の王になる可能性が無くなったのでな。自己紹介というのか ? 我らも娘に名をもらった。我は由良。南の司』
『そして我は早池峰。北の王』
そういうとピンクのウサギは私の頭に、大熊猫は膝に移動してきた。
もちろん桑楡を押しのけて。
床に落とされた桑楡は、文句を言いながらディードリッヒ兄様の膝に移る。
兄様は桑楡の首にアラベスク文様を刺したリボンを結んであげた。
『四界の王が人の世に集まるなど何百年振りであろうか』
『先代の東西が亡くなってから、五百年振りよ』
エイヴァン兄様の肩に東雲が現れた。
『さて、娘たちには説明してあるが、この二匹は我らの依代。魂こそ傷ついて休んでおるが、まだ終わりの時は来ておらん。目覚めたら仲良くしてやってくれ』
『瞳が緑の時は我ら。それ以外は本人だ。時々入れ替わるゆえ、対応を頼む。それと東と西同様、我らはただの魔物という扱いで頼むぞ』
・・・。
それはつまり、二人同様遊んですごしたいということかしら。
『その通り』
『そしてこやつらの為でもあるぞ』
たしかに、彼らが四海を統べる司だと知られれば、それなりの扱いになるだろうし、本人たちが表に出にくくなってしまう。
でも、依代となるメリットってなんなのだろう。
『大熊猫は簡単だったぞ。依代になる代わりに、いつでも抱き上げてもらえる大きさでいたいというものだった。こやつ、本当に甘ったれで寂しがり屋ゆえな』
『ウサギのほうは面倒だった。説得に二年かかったぞ』
頭の上で北のお方がフルっと揺れる。
『時間はかかったが、最終的には娘とずっと一緒にいられるのなら、で収まった。後はお主らがご老公様と呼ぶ老人の最後に立ち会えれば、というのもあった』
モモちゃんとご老公様は仲良しさんだもんね。
そっか。
二匹が依代になったということは、私が死ぬまでずっと一緒にいられるってことだよね。
・・・見送らなくていいんだ。
『それにしても、なぜ娘たちを一緒に寝かせておいた。悪い噂が広まっておるぞ』
「いや、それは南北のお二人が離さずにおけと仰ったからで・・・」
『それは力が落ち着く最初の一時間くらいだ。いつまで一緒にしておくのかと不思議だったのだがな』
・・・ちょっと待て。
今、なんて言った ?
「・・・つまり、あの同衾は必要なかったと ? 」
『有体に言ってそうだな ? 』
「それの・・・説明は・・・」
『忘れた ! 』
こいつら・・・。
「北・・・」
『・・・応』
「・・・南」
『な、なんだ』
「そこになおれぇぇぇぇっ ! 」
偉大なる南北への尊敬と敬意は一瞬にして崩れ去った。
その日のうちに私の四方の王への即位が、二人によって王都内にアナウンスされた。
その際ついでに同衾騒ぎについても説明してもらった。
必要な処置であった。
この件について悪し様にいう者があれば、たとえどのような者であれ天罰が下ると思え。
皇帝陛下のお庭番からの報告では、私とアルの悪い噂はあっという間に消え去ったそうだ。
よかった。
・・・でもね。
『娘、そろそろ名前で呼んではくれぬか』
『せっかく美しい名前をもらったのだ。いつまでも方角ではさみしい』
「避難してきた子供たちが呼んでくれてるからいいでしょ」
『我らはお主に呼んでもらいたいのだ ! 』
「知らない。二人ともまだ反省が足らない」
おじい様と呼ばれたいご老公様と似たようなことを言ってるな。
こっちはやることが一杯あるの。
いろいろと、色々と、ね。
「・・・」
なんとも言えない雰囲気が部屋の中に広まっている。
私の顔色は恥ずかしさと怒りで、真っ赤を通り越してどす黒くなっているはずだ。
「なんで、なんでアルと同じベッドで寝てたんですか。なんでそんな破廉恥なことになってたんですか」
「あー、北と南のお方が手を外すなって言ってたから」
「手を外さないとお着換えできないですよね ? なら私はドレス姿だったはずです。なんでネグリジェだったんですか。手を外さないでお着換えって、そんな器用なこと一体どうやったんですか」
あの後アルとおはようを言って、フッと気づくとアルはパジャマ、私はネグリジェだった。
もちろんブラとかはなし。
お互いその様子に気づいて悲鳴を上げて逃げた。
集まった人たちが見たのは、ベッドの左右に分かれて毛布を被って震える私たちだった。
「ルーの着換えはナラとアンシアだ。一瞬だけ離して着換えさせた。体のどこかが触っていればいいかと思って。アルのほうは俺たちだ。とにかくお前たちを離すなと言う指示だったから、一緒に寝かせておくしかなかったんだ」
「・・・体のどこかってどこですか。それに未成年の男女を一緒に寝かしておいて見張りもつけないって、なんかおかしくないですか。おかしいですよね。おかしいって言ってください ! 」
ちゃんと昼の服に着替えた私たちは、いつも通り私の居間に集まっている。
今日はお父様とお母様も一緒だ。
引きこもり部屋同様、全員椅子に座っている。
アルは私の対面だ。
いつもは隣なのに。
「あらあ、別にいいじゃないの。だって来年には婚約するんだし、再来年には結婚するんですものね」
「対外的には、ですよね、お父様 ?! 」
「えっと、その予定なんだけど」
お父様が私の怒りに冷や汗をかいている。
結婚前の娘が近侍と同衾した。
ものすごいスキャンダルだ。
なのにそれを母親主導でやるなんて。
「わかっていないわね、ルチアちゃん。この噂はもう王都中に流れている。つまり、こういうことよ。これから先、あなたに求婚する男性は一人もいない。結婚相手はカジマヤー以外にはいなくなったということよ」
「・・・」
「お見舞いとお祝いのついでに釣り書きを引き取っていったお家が一杯来たわ。これでダルヴィマール侯爵家を狙うことは出来なくなった。よくやったわ、カジマヤー。さっそくグレイス公爵家に養子縁組のお願いをしましょう」
「お待ちください、お方様」
浮かれまくったお母様をアルが止める。
赤かった顔はいつもの色に戻っている。
「その件については個人的にお話がありますので、後ほどお時間をいただきとうございます」
「・・・何か考えがあるようね。いいわ。ちゃんと話しましょう」
『用事は終わったか』
ポンッと空中に桑楡が現れた。
『会いたかったぞ、娘』
「私も、会いたかった。なんで会いに来てくれなかったの ? 」
『あの後、北と南に止められておったからな。我らの力が混じるといけないと言われた』
当然のように私の膝に収まる桑楡。
『それにしても随分と早く馴染んだものだ。何か月もかかると聞いていたが』
「そうね。たった二日。でも実感がないわ、四方の王になったって」
そう、何も変わっていないのだ。
なにか付加価値がついたかっていうと、メンバーが二人増えたっていうだけ。
なんかこう、外見とか変わるかくらいは考えたけど、全然なし。
「こうステータスが上がるとかあるかと思ったけど、本当に名前だけなのね」
『なに、我らと絆しただけでは不満か』
「不満じゃないけどね、スキャンダラスなことがあったから、逆に迷惑だったかも」
「失礼いたします。お邪魔してもよろしゅうございますか」
ドアが叩かれて家令のセバスチャンさんが入ってきた。
後ろに侍女さん二人がついてきている。
「どうしましたか、セバスチャンさん ? 」
「さきほど玄関前に魔物が出現いたしました」
魔物が現れた。
室内の空気が強張る。
にも関わらず、彼らの表情はどちらかというとウキウキな、なんかばらしたいような浮かれた顔だ。
「魔物。どんな魔物かい ? 」
「こちらでございます」
お父様の質問に、後ろに控えていた侍女さんがずずいっと出てきた。
二人の手にはピンクのウサギと大熊猫がいた。
「モモちゃん・・・」
「リンリン、いや違う。別の個体だ」
侍女さんたちが抱いている二匹は確かにモモちゃんとリンリンに似ているが、サイズが全然違う。
モモちゃんよりもう一回り小さいし、大熊猫はネコくらいの、抱っこしてちょうどいいような大きさだ。
リンリンは子供を背中に乗せて歩けるくらいの、仔馬くらいの大きさだったもの。
「どういたしましょう。暴れるでもなく、大人しい個体ではあるとは思うのですが」
これは。
あれだ。
あれしかない。
で、あれば。
「しばらく様子をみましょう。子供でもあるようですし。よろしいでしょうか、お父様 ? 」
「そうだね。こちらに寄こしてくれ。ああ、確かにあの二匹じゃない。目の色が違う。ルチアと同じ色だね」
六角大熊猫の目は黒。
一角ウサギの目は赤。
だけどこの二匹の目はどちらも緑だ。
「失礼いたします。ヒルデブランドのギルドマスターがお越しです」
別の執事がギルマスを案内してきた。
「ありがとう。皆、下がってくれ」
「ご無沙汰しております、御前。ルー、目が覚めたね。よかった」
いつもの穏やかな笑顔のギルマスが、新たな魔物たちを見つけた。
そして二匹の前に膝をついて頭を下げる。
「ようやくお会いできましたね、北と南のお方」
「えっ ? 」
アンシアちゃんが口に手を当ててびっくり目をしている。
兄様たちも声こそ上げないが驚いている。
『英雄マルウィン、頭をあげてくれ』
二匹の新入りがギルマスに対峙する。
『お主とは絆しなかったが、その活躍はずっと見ておったよ』
『東、東雲が断った時点で、お主が四方の王になる可能性が無くなったのでな。自己紹介というのか ? 我らも娘に名をもらった。我は由良。南の司』
『そして我は早池峰。北の王』
そういうとピンクのウサギは私の頭に、大熊猫は膝に移動してきた。
もちろん桑楡を押しのけて。
床に落とされた桑楡は、文句を言いながらディードリッヒ兄様の膝に移る。
兄様は桑楡の首にアラベスク文様を刺したリボンを結んであげた。
『四界の王が人の世に集まるなど何百年振りであろうか』
『先代の東西が亡くなってから、五百年振りよ』
エイヴァン兄様の肩に東雲が現れた。
『さて、娘たちには説明してあるが、この二匹は我らの依代。魂こそ傷ついて休んでおるが、まだ終わりの時は来ておらん。目覚めたら仲良くしてやってくれ』
『瞳が緑の時は我ら。それ以外は本人だ。時々入れ替わるゆえ、対応を頼む。それと東と西同様、我らはただの魔物という扱いで頼むぞ』
・・・。
それはつまり、二人同様遊んですごしたいということかしら。
『その通り』
『そしてこやつらの為でもあるぞ』
たしかに、彼らが四海を統べる司だと知られれば、それなりの扱いになるだろうし、本人たちが表に出にくくなってしまう。
でも、依代となるメリットってなんなのだろう。
『大熊猫は簡単だったぞ。依代になる代わりに、いつでも抱き上げてもらえる大きさでいたいというものだった。こやつ、本当に甘ったれで寂しがり屋ゆえな』
『ウサギのほうは面倒だった。説得に二年かかったぞ』
頭の上で北のお方がフルっと揺れる。
『時間はかかったが、最終的には娘とずっと一緒にいられるのなら、で収まった。後はお主らがご老公様と呼ぶ老人の最後に立ち会えれば、というのもあった』
モモちゃんとご老公様は仲良しさんだもんね。
そっか。
二匹が依代になったということは、私が死ぬまでずっと一緒にいられるってことだよね。
・・・見送らなくていいんだ。
『それにしても、なぜ娘たちを一緒に寝かせておいた。悪い噂が広まっておるぞ』
「いや、それは南北のお二人が離さずにおけと仰ったからで・・・」
『それは力が落ち着く最初の一時間くらいだ。いつまで一緒にしておくのかと不思議だったのだがな』
・・・ちょっと待て。
今、なんて言った ?
「・・・つまり、あの同衾は必要なかったと ? 」
『有体に言ってそうだな ? 』
「それの・・・説明は・・・」
『忘れた ! 』
こいつら・・・。
「北・・・」
『・・・応』
「・・・南」
『な、なんだ』
「そこになおれぇぇぇぇっ ! 」
偉大なる南北への尊敬と敬意は一瞬にして崩れ去った。
その日のうちに私の四方の王への即位が、二人によって王都内にアナウンスされた。
その際ついでに同衾騒ぎについても説明してもらった。
必要な処置であった。
この件について悪し様にいう者があれば、たとえどのような者であれ天罰が下ると思え。
皇帝陛下のお庭番からの報告では、私とアルの悪い噂はあっという間に消え去ったそうだ。
よかった。
・・・でもね。
『娘、そろそろ名前で呼んではくれぬか』
『せっかく美しい名前をもらったのだ。いつまでも方角ではさみしい』
「避難してきた子供たちが呼んでくれてるからいいでしょ」
『我らはお主に呼んでもらいたいのだ ! 』
「知らない。二人ともまだ反省が足らない」
おじい様と呼ばれたいご老公様と似たようなことを言ってるな。
こっちはやることが一杯あるの。
いろいろと、色々と、ね。
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