109 / 461
ヒルデブランドの四季 ~ 一年目・秋から冬
年越しの祭りと一年の終わり
しおりを挟む
年末はあっという間に来た。
二学期の成績はいい位置でキープできたけど、期末の平均点が恐ろしく高かった。
「時間が足らないなどという言い訳は聞きませんよ。夏休み中勉強のできなかった佐藤さんがあの成績です。家事もしないで予備校に通っているあなたがたならもっとよい成績を残せるはずですよ」
みんな素直ないい子だから、随分頑張った。結果各科目の平均点が90点前後というのは恐れ入る。
もっとも私はこちらの空いてる時間に、兄様たちやアルに教えてもらってるってズルしてるんだけどね。
期末が終わって結果が来て、終業式が終わって大掃除をして。
淑女教育してギルドで細かいことを教えてもらってってやってたら、気が付いたらお祭りの当日だった。
「ルーちゃん、じゃがいもの皮向き終わった ? 」
「パン屋さんからパンが届いたらサンドイッチ用に切っておいてね」
「ハムを薄く切って欲しいの。出来る ?」
はい、私、人気者です。
生活魔法は火と水。
でも普通の人はかまどに火をつけたり水を出したりって使い方しかしていないので、私のウォーターカッターは珍しいらしい。
ギルマスのエアカッターも同じで、普通は戦闘用魔法らしいんだけど、私は普段使いにしか使ったことがない。
「今年はルーちゃんがいてくれて助かるわあ。手仕事倍々魔法のおかげで下ごしらえがサクサク進むし」
「邪魔なものを浮かせておいてくれるから、場所が広く使えていいわね」
「食器洗いも一瞬だったしね。ルーちゃん様様よ」
長い間大切に使われ続けてきた食器は表面に小さな傷が出来ていて、そこに汚れが入り込んで使用感が半端ない。
でも試しにエイヴァン兄様の洗濯魔法の応用で食洗器をイメージしてみたら、新品並みとはいかなかったけど、びっくりするくらい綺麗になった。
奥様方から拍手喝さいだったのは当然だ。
「ちょっと、みんな。ルーちゃんたちは初めての年越しなんだよ。本当はお手伝い免除なんだからね。なんでもかんでも頼むんじゃないよ」
主婦の皆さんのまとめ役、冒険者宿舎のおばさんが窘めてくれる。
外からヒルデブランドの街に来た人は、最初の年越しの祭ではお客様扱いらしい。
「いいんです。楽しいし、黙って座ってるのって性にあわないですから」
アンシアちゃんも野菜を切ったり汚れ物を片付けたりして手伝っている。
弟と妹のいるアンシアちゃんは、働いているお母さんの代わりをしていたから、家事一般は得意らしい。
「お姉さま、準備の時間は大丈夫ですか。そろそろ行かないと」
「ん ? なんか用事があったのかい ?」
「お姉さま、今日は踊りを見せてくれるんですって。ご老公様がすごく楽しみにしてるんですよ」
そりゃあ見にいかなくちゃね、と言っておばさんたちは送り出してくれる。
「踊り終わったらお片付けのお手伝いしますから」
「だからあんた達は本当はこんなことしなくていいんだよ。お祭りを一杯楽しみな」
「じゃあ、行ってきます。アンシアちゃん、後をお願いね」
「いってらっしゃいませ、お姉さま。時間になったらお迎えに行きますね」
◎
年越しの祭りは冒険者ギルドの武道館で行われる。
ベナンダンティ総会の時のように片側に舞台が作られ、その前に客席、冒険者たちが鍛錬をしているグラウンド部分に屋台が並ぶ。
参加者はそこで食べ物や飲み物を仕入れ、周囲を囲む階段状の客席で食べる。
どのお料理とお酒も一杯目はタダ。
二回目からは有料になるが、収益は来年の祭りの資金になるのでみんなこぞって買っている。
「おっ、見違えたじゃないか。ちゃんとバレリーナに見える」
「馬子にも衣裳ってやつか ?」
迎えに来た兄様たちが何か失礼なことを言っている。
ギルドの空き部屋でバーレッスンとフロアを終え、フロラシーさんに作ってもらった衣装を着る。
髪をきっちりまとめて布で作った赤いバラの造花を飾る。
トウシューズと小道具は巾着に入れてある。
「肩がむき出しだが冷えないか?」
「上にオーバー着るから大丈夫です」
新しく作ってもらった真っ白いコート。
ピンクウサギの毛皮でで縁どりしてある。
足首まであるので冷気が入らずとても暖かい。
「のんびりできるのも新年までだから、今日はめいっぱい楽しめよ」
「年明けに何かあるんですか、ディードリッヒ兄様」
こいつ、何も考えてないですよとディードリッヒ兄様が呆れ顔で言う。
「まさかと思うが、ただ貴族令嬢としてお茶してれば良いとは思ってないよな。お前、間諜になるんだからな」
「年明けからはそっちの教育が始まる。春まで長いようで短い。覚えることは一杯だ。忙しくなるぞ。覚悟しておけよ」
忘れてたわけじゃない。
でもここでの生活があまりに穏やかで優しくて暖かくて。
王都での生活がイメージ出来ていないってところはある。
「おかしいわ。ラノベだったら今ごろドラゴン倒したり、悪役令嬢でざまぁしたりしててもいい頃なのに」
「だからそういうのは物語の世界でやってくれ」
「名前だけは鳴り響いてるぞ。疾風のルーの評判はうなぎのぼりだ。ちなみにこっちにもウナギ料理はあるぞ」
一体どんな悪評やら。
ドアがノックされてアンシアちゃんが顔を出した。
「お姉さま、くそ爺が到着しました。そろそろ始まりますよ」
「・・・アンシアちゃん、いい加減その呼び方は止めてさしあげて ?」
ふふんと鼻をならしてアンシアちゃんが笑う。
「お姉さまのお茶会と同じで、年内はこれでいきます。まあ、明日までですけどね。それより、お姉さまったらものすごく綺麗。いつもと雰囲気が違って素敵です。御前もお方様もびっくりなさいますよ」
「そうかしら。みんな楽しんでくれると嬉しいわ」
「新作もあるんだったな。ご老公様が特等席で見ると言ってたぞ」
ピアノの伴奏が増えたのでアルも大変そうだった。
結構早い曲調が三曲もあるから、手がしびれるって言ってた。
私もカスタネットや扇子の扱いにちょっと戸惑った。
覚えてたのは手ぶらバージョンだったから。
「じゃあ行きましょうか、会場に」
「旨いもん一杯食べろよ」
「食べ過ぎたら踊れませんよ、兄様たち」
エイヴァン兄様が後ろからコートを着せかけてくれる。
ディードリッヒ兄様がドアを開けてくれて、アルが階段を降りるときに手を添えてエスコートしてくれる。
アンシアちゃんは私の巾着を持って後ろからついてくる。
私たちはすっかり侯爵令嬢とそのおつきという役に慣れてしまった。
◎
お祭りは大盛況で終わった。
舞台では騎士様たちの演武や、子供たちのお芝居。
お嬢様たちの合唱、詩の朗読などの出し物が次々と披露された。
そして私の踊り。
タンバリンをならして舞台に出ていくと、最初みんなエッと言う顔をした。
でもタンバリンを蹴り上げる頃には手拍子も沸いて、大歓声のうちに踊り終えることが出来た。
アンコールももらったので、演目の間間に入れてもらった。
大受けだったけど、お方様だけは変な顔をして見ていた。
やはり足を大きく上げるのははしたなかったかな。
でも最後は「とても素晴らしかったわ」と言って下さったからよしとしよう。
「タンバリンの踊って」「カスタネットのをもう一度」
みんな踊りの名前を知らないから、そうやってリクエストしてくれる。
貢物と言う名のお料理を頂いて、一息いれたらまた踊る。
手拍子してくれるみんなの笑顔が輝いている。
ここに来てよかった。
ベナンダンティになってよかった。
お祭りは遅くまで続いた。
◎
雪に包まれたヒルデブランドに色が戻る頃、私は冒険者の姿で広場にいた。
「王都のグランドギルドに行くんだって ? やっぱりねえ。ルーちゃんならそうだと思ったよ」
「前回の新人王はアロイス君だったね。今年はルーちゃんか。二年続けての新人王輩出なんて、鼻が高いよ」
「来年は迷子のアンシアが取れるかな」
アンシアちゃんは元旦に可に上がった。
私と同じ年度にするより、翌年から新人王を狙ったほうが確実なんだそうだ。
もちろん王都のご家族には内緒。
北のほうから騎士団の皆さんと馬車がやってきた。
ご領主夫妻とご老公様が下りてきて、街のみんなに別れをつげる。
今年は例の件もあるので、ご老公様もご一緒するのだという。
私の設定が設定なので、ご自分が説明すればなお真実っぽくなるだろうと仰るのだが、アンシアちゃんに言わせれば「お姉さまと遊びたいだけですよ」とのことらしい。
「ダルヴィマール侯爵様、ご出立 !」
騎士団の皆さんが先導して馬車が走り出す。
私たち、『ルーと素敵な仲間たち ( 仮 ) 』とギルマスが最後尾を行く。
「気を付けてね」「生水を飲むんじゃないよ」「お菓子をもらってもついてっちゃダメだ」
街の皆さんが声をかけてくれる。
その優しさに涙が出そうになる。
グっと我慢して笑顔で手を振ってそれに応える。
「行ってきます、皆さんもお元気で !」
私の乗る馬の頭にはピンクウサギのモモちゃんがしがみついている。
ギルマスがいる。兄様たちとアンシアちゃんがいる。
そして、アルがそばにいてくれる。
心配なんか、なにもない。
こうして私たちは大好きなヒルデブランドの街に別れを告げたのだった。
=================================
これにてチュートリアル編から続いたヒルデブランドの街とお別れです。
短い閑話を挟んで王都に移ります。
お読みいただきありがとうございました。
二学期の成績はいい位置でキープできたけど、期末の平均点が恐ろしく高かった。
「時間が足らないなどという言い訳は聞きませんよ。夏休み中勉強のできなかった佐藤さんがあの成績です。家事もしないで予備校に通っているあなたがたならもっとよい成績を残せるはずですよ」
みんな素直ないい子だから、随分頑張った。結果各科目の平均点が90点前後というのは恐れ入る。
もっとも私はこちらの空いてる時間に、兄様たちやアルに教えてもらってるってズルしてるんだけどね。
期末が終わって結果が来て、終業式が終わって大掃除をして。
淑女教育してギルドで細かいことを教えてもらってってやってたら、気が付いたらお祭りの当日だった。
「ルーちゃん、じゃがいもの皮向き終わった ? 」
「パン屋さんからパンが届いたらサンドイッチ用に切っておいてね」
「ハムを薄く切って欲しいの。出来る ?」
はい、私、人気者です。
生活魔法は火と水。
でも普通の人はかまどに火をつけたり水を出したりって使い方しかしていないので、私のウォーターカッターは珍しいらしい。
ギルマスのエアカッターも同じで、普通は戦闘用魔法らしいんだけど、私は普段使いにしか使ったことがない。
「今年はルーちゃんがいてくれて助かるわあ。手仕事倍々魔法のおかげで下ごしらえがサクサク進むし」
「邪魔なものを浮かせておいてくれるから、場所が広く使えていいわね」
「食器洗いも一瞬だったしね。ルーちゃん様様よ」
長い間大切に使われ続けてきた食器は表面に小さな傷が出来ていて、そこに汚れが入り込んで使用感が半端ない。
でも試しにエイヴァン兄様の洗濯魔法の応用で食洗器をイメージしてみたら、新品並みとはいかなかったけど、びっくりするくらい綺麗になった。
奥様方から拍手喝さいだったのは当然だ。
「ちょっと、みんな。ルーちゃんたちは初めての年越しなんだよ。本当はお手伝い免除なんだからね。なんでもかんでも頼むんじゃないよ」
主婦の皆さんのまとめ役、冒険者宿舎のおばさんが窘めてくれる。
外からヒルデブランドの街に来た人は、最初の年越しの祭ではお客様扱いらしい。
「いいんです。楽しいし、黙って座ってるのって性にあわないですから」
アンシアちゃんも野菜を切ったり汚れ物を片付けたりして手伝っている。
弟と妹のいるアンシアちゃんは、働いているお母さんの代わりをしていたから、家事一般は得意らしい。
「お姉さま、準備の時間は大丈夫ですか。そろそろ行かないと」
「ん ? なんか用事があったのかい ?」
「お姉さま、今日は踊りを見せてくれるんですって。ご老公様がすごく楽しみにしてるんですよ」
そりゃあ見にいかなくちゃね、と言っておばさんたちは送り出してくれる。
「踊り終わったらお片付けのお手伝いしますから」
「だからあんた達は本当はこんなことしなくていいんだよ。お祭りを一杯楽しみな」
「じゃあ、行ってきます。アンシアちゃん、後をお願いね」
「いってらっしゃいませ、お姉さま。時間になったらお迎えに行きますね」
◎
年越しの祭りは冒険者ギルドの武道館で行われる。
ベナンダンティ総会の時のように片側に舞台が作られ、その前に客席、冒険者たちが鍛錬をしているグラウンド部分に屋台が並ぶ。
参加者はそこで食べ物や飲み物を仕入れ、周囲を囲む階段状の客席で食べる。
どのお料理とお酒も一杯目はタダ。
二回目からは有料になるが、収益は来年の祭りの資金になるのでみんなこぞって買っている。
「おっ、見違えたじゃないか。ちゃんとバレリーナに見える」
「馬子にも衣裳ってやつか ?」
迎えに来た兄様たちが何か失礼なことを言っている。
ギルドの空き部屋でバーレッスンとフロアを終え、フロラシーさんに作ってもらった衣装を着る。
髪をきっちりまとめて布で作った赤いバラの造花を飾る。
トウシューズと小道具は巾着に入れてある。
「肩がむき出しだが冷えないか?」
「上にオーバー着るから大丈夫です」
新しく作ってもらった真っ白いコート。
ピンクウサギの毛皮でで縁どりしてある。
足首まであるので冷気が入らずとても暖かい。
「のんびりできるのも新年までだから、今日はめいっぱい楽しめよ」
「年明けに何かあるんですか、ディードリッヒ兄様」
こいつ、何も考えてないですよとディードリッヒ兄様が呆れ顔で言う。
「まさかと思うが、ただ貴族令嬢としてお茶してれば良いとは思ってないよな。お前、間諜になるんだからな」
「年明けからはそっちの教育が始まる。春まで長いようで短い。覚えることは一杯だ。忙しくなるぞ。覚悟しておけよ」
忘れてたわけじゃない。
でもここでの生活があまりに穏やかで優しくて暖かくて。
王都での生活がイメージ出来ていないってところはある。
「おかしいわ。ラノベだったら今ごろドラゴン倒したり、悪役令嬢でざまぁしたりしててもいい頃なのに」
「だからそういうのは物語の世界でやってくれ」
「名前だけは鳴り響いてるぞ。疾風のルーの評判はうなぎのぼりだ。ちなみにこっちにもウナギ料理はあるぞ」
一体どんな悪評やら。
ドアがノックされてアンシアちゃんが顔を出した。
「お姉さま、くそ爺が到着しました。そろそろ始まりますよ」
「・・・アンシアちゃん、いい加減その呼び方は止めてさしあげて ?」
ふふんと鼻をならしてアンシアちゃんが笑う。
「お姉さまのお茶会と同じで、年内はこれでいきます。まあ、明日までですけどね。それより、お姉さまったらものすごく綺麗。いつもと雰囲気が違って素敵です。御前もお方様もびっくりなさいますよ」
「そうかしら。みんな楽しんでくれると嬉しいわ」
「新作もあるんだったな。ご老公様が特等席で見ると言ってたぞ」
ピアノの伴奏が増えたのでアルも大変そうだった。
結構早い曲調が三曲もあるから、手がしびれるって言ってた。
私もカスタネットや扇子の扱いにちょっと戸惑った。
覚えてたのは手ぶらバージョンだったから。
「じゃあ行きましょうか、会場に」
「旨いもん一杯食べろよ」
「食べ過ぎたら踊れませんよ、兄様たち」
エイヴァン兄様が後ろからコートを着せかけてくれる。
ディードリッヒ兄様がドアを開けてくれて、アルが階段を降りるときに手を添えてエスコートしてくれる。
アンシアちゃんは私の巾着を持って後ろからついてくる。
私たちはすっかり侯爵令嬢とそのおつきという役に慣れてしまった。
◎
お祭りは大盛況で終わった。
舞台では騎士様たちの演武や、子供たちのお芝居。
お嬢様たちの合唱、詩の朗読などの出し物が次々と披露された。
そして私の踊り。
タンバリンをならして舞台に出ていくと、最初みんなエッと言う顔をした。
でもタンバリンを蹴り上げる頃には手拍子も沸いて、大歓声のうちに踊り終えることが出来た。
アンコールももらったので、演目の間間に入れてもらった。
大受けだったけど、お方様だけは変な顔をして見ていた。
やはり足を大きく上げるのははしたなかったかな。
でも最後は「とても素晴らしかったわ」と言って下さったからよしとしよう。
「タンバリンの踊って」「カスタネットのをもう一度」
みんな踊りの名前を知らないから、そうやってリクエストしてくれる。
貢物と言う名のお料理を頂いて、一息いれたらまた踊る。
手拍子してくれるみんなの笑顔が輝いている。
ここに来てよかった。
ベナンダンティになってよかった。
お祭りは遅くまで続いた。
◎
雪に包まれたヒルデブランドに色が戻る頃、私は冒険者の姿で広場にいた。
「王都のグランドギルドに行くんだって ? やっぱりねえ。ルーちゃんならそうだと思ったよ」
「前回の新人王はアロイス君だったね。今年はルーちゃんか。二年続けての新人王輩出なんて、鼻が高いよ」
「来年は迷子のアンシアが取れるかな」
アンシアちゃんは元旦に可に上がった。
私と同じ年度にするより、翌年から新人王を狙ったほうが確実なんだそうだ。
もちろん王都のご家族には内緒。
北のほうから騎士団の皆さんと馬車がやってきた。
ご領主夫妻とご老公様が下りてきて、街のみんなに別れをつげる。
今年は例の件もあるので、ご老公様もご一緒するのだという。
私の設定が設定なので、ご自分が説明すればなお真実っぽくなるだろうと仰るのだが、アンシアちゃんに言わせれば「お姉さまと遊びたいだけですよ」とのことらしい。
「ダルヴィマール侯爵様、ご出立 !」
騎士団の皆さんが先導して馬車が走り出す。
私たち、『ルーと素敵な仲間たち ( 仮 ) 』とギルマスが最後尾を行く。
「気を付けてね」「生水を飲むんじゃないよ」「お菓子をもらってもついてっちゃダメだ」
街の皆さんが声をかけてくれる。
その優しさに涙が出そうになる。
グっと我慢して笑顔で手を振ってそれに応える。
「行ってきます、皆さんもお元気で !」
私の乗る馬の頭にはピンクウサギのモモちゃんがしがみついている。
ギルマスがいる。兄様たちとアンシアちゃんがいる。
そして、アルがそばにいてくれる。
心配なんか、なにもない。
こうして私たちは大好きなヒルデブランドの街に別れを告げたのだった。
=================================
これにてチュートリアル編から続いたヒルデブランドの街とお別れです。
短い閑話を挟んで王都に移ります。
お読みいただきありがとうございました。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
★恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
日間総合ランキング2位に入りました!
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる