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六十五話 結婚式の前々日と前日
しおりを挟む街でのゴーガバンズ侯爵令嬢の一件から年の前半は国王陛下在位15年パーティー、王太子殿下の誕生日パーティーがなどあり、年の後半9の月の前半に国王陛下の誕生日パーティーがあった。
婚約が決まった時に私たちが結婚する年の前半は国王陛下在位15年パーティー、王太子殿下誕生日パーティーの他にも王家の公式行事が多く予定されていた為、セントバーナル様と私の結婚式は年の後半、11の月の20の日に決定していた。
そしていろんな行事があったり、結婚式の準備などで慌ただしい日々があっという間に過ぎて、セントバーナル様と私の結婚式前々日になった。
結婚式の予定は午前中に大神殿の式、その後に夕方から王宮で結婚披露パーティーが行なわれることになっている。
大神殿の式には王家と国内の招待した貴族方が出席する。
そして夕方の結婚披露パーティーには国内の貴族だけでなく、国外の王族や重鎮の方々の出席もあり、王太子殿下夫妻の時のように街でパレードなどはないが、パーティーはほぼ同じ規模で行なわれることになっている。
前日には私は王宮に入るので、前々日に家族と過ごした。
セントバーナル様と結婚することは嬉しいけれど、今までのようにほぼ毎日家族に会うことが出来なくなることに、私は寂しい気持ちになった。
まったく会えない訳じゃないけど、王族となる私は家族にも会いたくなったからとすぐ会えないし、お父様とお母様は私が結婚した後は領地に戻ると言っているのだ。
領地で過ごしているお兄様とシェリーナお姉様、そして昨年の末に生まれたお兄様とシェリーナお姉様の子、第一男のアーロンも1週間前に王都にやって来てくれた。
甥っ子のアーロンはシェリーナお姉様のブラウンブロンドの髪とお兄様の薄灰色の瞳を受け継いで生まれてきた。
まだ幼いけれど、クリクリした大きな瞳で愛想の良い子で、私にもニコッと笑いかけてくれてとても可愛い。
やっぱり血の繋がった子となると、特別なんだと思った。
少しセントバーナル様と私の子のことなど、想像して嬉しいやら恥ずかしい思いをしながら、アーロンと目一杯遊んだ。
お母様とお兄様は明るく楽しく、私の昔話なんかを面白可笑しく話して笑ってくれているのだけど、お父様とシェリーナお姉様がすぐ泣いてしまって、私は自分が泣くどころではなくなってしまった。
「エンヴェ~嫌だ~寂し過ぎるよ~」
お父様が酔っているのかという程、何度もそんなことを言いながらワンワンと子供みたいに泣いてしまう。
「本当に寂し過ぎる~わたくしに出来た可愛い妹なのに~」
そんなお父様に釣られてシェリーナお姉様も泣くという繰り返しで、私は「まあまあ」と言いながらも困ってしまった。
本当は私も凄く寂し過ぎると思っていたけど、お父様とシェリーナお姉様のあまりの泣きっぷりに泣けなくなってしまった。
私の独身最後の夜は遅くまで家族で過ごして、今までのいろんなことを語り合った。
その時もお母様とお兄様は場を盛り上げようとしているのか、明るくはしゃいでいたけれど、お父様とシェリーナお姉様はずっと泣き続けていた。
翌日、午後にとうとう王宮に行く時間になり、門の前で家族が見送ってくれた時に今まで明るくケラケラ笑っていたお母様が私を抱きしめて泣いた時に、私も泣いてしまった。
今まで明るく振る舞っていたお母様の涙にいっぱい感謝が込み上げてきた。
名残惜しくてなかなかお別れ出来なかったけど、「もうそろそろ行きなさい」とお母様に言われて、私は馬車に乗り込んだ。
王宮に到着して、ずっと過ごさせてもらった思い出深い部屋に入る。
本当にいろんなことがあったな。
とても愛着がある部屋だ。
この部屋に泊まるのも今日が最後になる。
結婚式が終わったら私はセントバーナル様が暮らす第二王子宮で一緒に暮らすことになる。
思い出深い部屋の中を歩き回る。
あのオマール様の事件があり、期せずして王宮に滞在するようになった。
事件にショックを受ける私をセントバーナル様は側にいて、言葉で行動で私を助けて癒やしてくれた。
私が悩んだり、不安になった時もセントバーナル様はどんなに忙しくても必ず会いに来てくれて、話を聞いてくれて励まして褒めてくれた。
セントバーナル様が事件を防げなかったことで、自分を責めて様子がおかしくなってしまった時に私はとても不安になった。
やはり私はセントバーナル様に相応しくないんじゃないかと思った。
その時もセントバーナル様とじっくりと話し合った。
その時に私はセントバーナル様のことをとてもしっかりしていて、頭も良く外面も内面も完璧な人だと思っていたけど、とても繊細な人なのだと知った。
それから私が自分の見目に自信が持てないと打ち明けた時も、セントバーナル様が実は自分に自信が持てなくてずっと悩んでいた幼い頃の話を聞いて、セントバーナル様も普通に悩める私と同じ人間なんだと思って、セントバーナル様のこと改めて愛しいと思って自分の気持ちを初めて告げたのだ。
私たちは二人とも足りないところがいっぱいある。
いろんな人に助けてもらい、支えてもらいながら生きている。
これからもいろんなことがあるだろう。
また不安になったり、悲しく辛いこともきっとある。
周りに私が第二王子妃として相応しくないと言われることもあるだろう。
生きていくってたくさんのしんどいこや嫌な事、悲しい事、辛い事の方が多いかもしれないよね。
でも楽しくて嬉しくて幸せって思えることがあるから生きていけるんだよね。
逃げたくなったり怖くなったり自分に自信を失くしたりすることもまたあるだろう。
でもそんなすべてのことをセントバーナル様の隣で経験しながら、お互い成長して、笑い合って愛しているよと伝え合いながらずっとセントバーナル様と一緒に生きていきたい。
みなさんありがとう。
セントバーナル様ありがとう。
そしてこれからもよろしくお願いします。
いろんなことを思い出しながら一人浸っていたら、コンコンとノックの音が聞こえて、セントバーナル様が入ってきた。
「エンヴェリカ!」
私の名を呼んで抱きしめてくれる。
「セントバーナル様ただいま!」
私が笑顔を向けると、腕を解いて。
「エンヴェリカおかえり!
ただいまっていいね」
セントバーナル様がとても嬉しそうに笑う。
「これからはただいまおかえりを毎日言いましょう」
「うん!そうだね。
やっとやっとだよ!ずっと待っていたんだ」
「うん?」
セントバーナル様の瞳を見たら金の瞳を溶けそうにさせて微笑む。
「エンヴェリカと結婚出来ることだよ。
あぁ~長かった」
「ありがとうございます。
私も待っていました!」
私から心からの笑顔が溢れる。
「嬉しい!本当に嬉しいよ!
エンヴェリカ愛しているよ」
「私もセントバーナル様を愛してます」
またギュッと抱きしめられた。
しばしお互いを確かめ合うように抱き合った。
この日の夜、陛下に招待頂き王族みなさんで夕食を頂いた。
国王陛下夫妻、王太子殿下夫妻、そして第一王女殿下のアマリア様と殿下の婚約者のステファン様と共に。
アマリア様は王国騎士団副団長のステファン様と目出度く婚約した。
アマリア様は現在17歳なので、貴族学院を卒業して、その1年後にご結婚される。
アマリア様は幼い頃にステファン様に出会い、一目惚れして長い年月の片思いを成就させての婚約だった。
13歳の年の差があり、ステファン様は元は平民で叩き上げで王国騎士団副団長までお成りになり、騎士爵を賜った方だ。
年齢差も身分差もあり、お二人にはきっといろんなことがあっただろうと思うけど、それを乗り越えられての婚約だ。
アマリア様は隣に緊張の面持ちで座っておられるステファン様に、これ以上はないのではないかという愛しいという思いを隠さず見つめておられて、とても幸せそう。
王妃殿下もおっしゃられていた。
瞳の継承者様の男性はとても愛が重くて一途なのだという。
アマリア様を見ていると、何年もの片思いを続けても、年齢差身分差があっても決して諦めず、それらを乗り越えて思いを成就された。
男性だけではなく瞳の継承者様の女性もとても一途なんだなと思った。
そして国王陛下も王妃殿下、王太子夫妻もステファン様を認めて祝福しておられる。
私のことも子爵令嬢であるのにそんなことは気にせず、認めて下さった。
きっと瞳の継承者様の性質をよくご存知で、自分のことだけでなく家族の恋も見守り支えて下さる方たちなのだ。
とても器の大きな方たちなのだなと改めて思った。
私もセントバーナル様の隣に座りやはり緊張はするけど、幸せな気持ちで食事を頂いた。
食後、場所を移動して応接室でみなさんとお茶を飲みながら歓談の時間となった。
「いよいよ明日ですわね、エンヴェリカ」
「はい、王妃殿下」
王妃殿下に話しかけられて微笑んで答える私。
まだ緊張はするけれど、王妃殿下と接することにだいぶと慣れてきた。
「明日からは公の場以外ではお義母様と呼んで欲しいわ」
「えっ?」
私は王妃殿下の言葉に驚いて声を出してしまった。
「ふふっ、ずっと待っていたのよ。
エンヴェリカ貴方にお義母様って呼んでもらう日をね」
王妃殿下が悪戯っ子のような顔をしてウィンクした。
「王妃殿下ありがとうございます。
承知致しました」
私が返事すると。
「今呼んでみて」
王妃殿下が圧倒的な美しい顔で微笑む。
「…はい、お義母様これからもよろしくお願い致します」
「ありがとうエンヴェリカ。
よろしくね」
「私もエンヴェリカにお義父様と呼ばれたいね」
国王陛下が続いてそんなことをおっしゃれた。
国王陛下は公ではご自分のことを我とおっしゃられるけれど、普段は私と言われる。
「陛下…」
私は陛下にまで言われてビックリしてしまう。
「さあ、我が義娘よ、私もこともお義父様と呼んでもらえないか?」
陛下はいつもの覇王のような威厳はなく、優しい慈愛に満ちた顔で微笑んでおられる、
「はい…お義父様今後もよろしくお願い致します」
「ふっ、いいものだな。
アマリア、ナターシャに続き3人目の娘だな」
陛下が王妃殿下と見つめ合い、微笑んでいる。
まっ眩しい!
陛下と王妃殿下の迫力の美形が微笑み合っている。
「あら、わたくしもお姉様と呼んで欲しいわ。
わたくしにはアマリアがいるけれど、ヴァネッサがミーナとエンヴェリカにお姉様と言われているのが、羨ましくて仕方なかったのよ」
ナターシャ様も迫力の美貌で微笑む。
ここは美形だらけだ。
ナターシャ様も眩し過ぎる。
「…ナターシャお姉様、これからもよろしくお願い致します」
「まあ、素敵!ありがとうエンヴェリカ」
ナターシャ様が嬉しそうな顔をしてくれている。
「もちろん私のこともお兄様だよ」
アルスタイン様がニコッと笑う。
「はい!アルスタインお兄様よろしくお願い致します」
「いいね~でもアルでいいよ。
家族は愛称で呼ぶからね」
「あら、わたくしのこともナタでよろしくね」
アルスタイン様に続いてナターシャ様も愛称呼びをして欲しいと言う。
「アルお兄様、ナタお姉様」
「「ふふっ」」
アルスタイン様とナターシャ様も見つめ合って笑っている。
こっちも眩し過ぎる!
「わたくしのこともリアがいいわ!
それにファンのこともファンお兄様と呼んで欲しいわ。
あら、あれ?ファンは弟になるのかしら?」
「ア、アマリア様…」
そこに元気な声でアマリア様が戯けたようにおっしゃる。
ファンとはステファン様の愛称なのね。
それにステファン様が慌てているよう。
「もう、ファン!リアと呼び捨てにしてって言っているでしょう?」
とステファン様に拗ねた口調でおっしゃる。
「いや…し、しかし…」
ステファン様がオロオロとしておられる。
そうだよね、いくらアマリア様の婚約者になったとはいえ、陛下たちの前で愛称で呼び捨てはなかなか出来ないよね。
「もう、ファンは本当にお堅いんだから!」
「ふふふっ、まあリアそれはおいおいよ!
あまりステファンを困らせてはだ駄目よ。
あら、セントどうしたの?怖い顔をして」
王妃殿下がアマリア様を諌められたと同時にセントバーナル様が怖い顔をしていると言う。
私がセントバーナル様を見ると、本当に怖い顔をしている。
えっ?どうしたんだろう?
「どうして、兄上と義姉上が私より先にエンヴェリカに愛称で呼ばれているんですか?」
えっ?セントバーナル様はそれで怖い顔をしていたの?
「やだね~狭量な男は」
アルスタイン様がニヤリとする。
「それを兄上が言いますか!」
セントバーナル様がアルスタイン様の言葉に反応して、ジロッ睨む。
「ぶっ!アハハハ」
それに陛下が吹き出して声を出して笑われた。
その後も終始和やかに歓談の時間が過ぎていった。
「エンヴェリカ、後でお互いの愛称決めるからね」
セントバーナル様が私の耳元で小声で囁いてきた。
セントバーナル様の息が耳元にかかり、私は耳を押さえて顔を真っ赤にさせた。
そんな私を見てセントバーナル様は満足そうに微笑みを浮かべるのだった。
陛下たちとの歓談の後にセントバーナル様に部屋に送ってもらい、しばらく二人でお話をした。
セントバーナル様は他の人が呼ばない愛称が良いと言うので、セントバーナル様はバナ、私はリカになった。
私はまださすがに呼び捨ては出来ないと言ったので、バナ様と呼ぶことにした。
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