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五十五話 噂とお茶会
しおりを挟む終始和やかで楽しかったジョルジュ様とミーナの結婚式以降、忙しいながらも穏やかな日々が過ぎていった。
しかし2ヶ月が経った頃辺りから何か私の噂が出回るようになったのだとか。
私はまったく知らなかったのだけど、それを教えてくれたのはロザリナ様だった。
テンクラビィ子爵令嬢のロザリナ様は学院に復学してから、お互い忙しくて、なかなか会えないながらも通信魔道具や手紙などでやりとりを続けていた。
今年も終わりに近付いた12の月の中旬にロザリナ様が学期末の試験が終わり時間が出来た時に、クエスベルト邸で二人でお茶会をして久しぶりに会うことになった。
昼過ぎにロザリナ様が到着して、私の自室に招いた。
ロザリナ様は先月セントバーナル様が紹介した王宮で文官をしているコールマン・ペントベア伯爵令息と婚約して、ロザリナ様が学院卒業後結婚することが決まった。
ロザリナ様はペントベア伯爵令息と出会ってからまずは友達からと言っていた。
きっとオマール様とのことがあったからだと思うけれど、ペントベア伯爵令息はそんなこと関係ないと会う度に求婚され続けて、その熱心さに根負けしたのだと言っていたけど、話を聞いているとロザリナ様もペントベア伯爵令息のことを好きになっていることがわかるくらい惚気ていた。
この日もロザリナ様からペントベア伯爵令息の話を聞いていると、頰をピンクに染めて嬉しそうにしている姿を見て、良かったな~ロザリナ様にも幸せになってもらいたいと思った。
「何だか婚約を承諾したらあっという間に結婚する日にちまで決まってしまって、結局エンヴェリカ様より早く結婚することになってしまったの」
「まあ、それじゃあロザリナ様の卒業後すぐに結婚するの?」
私は自分のことのように嬉しくてニコニコしてしまう。
私の顔を見て恥ずかしくなったのか、ロザリナ様は誤魔化すようにコホンッと咳をひとつする。
「コールマン様は21歳になったし、わたくしも卒業したら20歳になるでしょ?
適齢期ギリギリだからわたくしの両親もコールマン様の両親も婚約した時にとっとと結婚の日にちまで決めてしまったのよ。
わたくしはそういうの気にしていないからもう少し婚約期間があっていいと思ったのだけどね」
ロザリナ様はふぅっとひとつ溜息をついた。
どうやら双方の両親がかなりに乗り気で、婚約したのだから早く結婚させてしまおうということになったみたい。
「ロザリナ様おめでとう!」
「エンヴェリカ様ありがとうございます。
エンヴェリカ様がお忙しくなければぜひ式に出席して頂きたいのですけど、…!…でも…」
ロザリナ様はハッ両手で口を覆ってから困ったような顔をする。
「ロザリナ様の結婚式よ!ぜひ出席させてもらいたいと思っているわ!
セントバーナル様にも聞いてみるわね。
それででもとは何かしら?」
私が言うと、ロザリナ様が眉をへの字にしながら微笑む。
「それです…。
エンヴェリカ様をご招待するということは、第二王子殿下をご招待していること。
わたくしなんぞの結婚式に第二王子殿下に出席して頂くなんて恐れ多いことですので…」
結婚式に出席する人を招待する時、片方の友人であっても相手が既婚者婚約者がいる場合はパートナーと一緒に招待するのが普通とされている。
しかし片方だけの招待がない訳ではない。
「私だけの出席が都合良ければ私はそうさせてもらいたいのだけど?」
ロザリナ様は慌てて首を横に振る。
「そういう訳にはいきませんわ。
エンヴェリカ様の婚約者が第二王子殿下であられるので、ご招待するのにエンヴェリカ様だけなどということは絶対に出来ません。
わたくしが不用意な発言をしてしまい申し訳ございませんわ」
「ロザリナ様、セントバーナル様が出席すると困るの?」
私は首を傾げて問う。
「うっ!首を傾げるエンヴェリカ様の破壊力が…」
「えっ?ロザリナ様何て言ったの?」
ロザリナ様が急に小声になったので何を言っているか聞こえなかった。
「い、いえいえ!困るなんて…う~ん…」
ロザリナ様は微笑みながらも悩ましげな顔になった。
「ん?迷惑になるのかしら?」
「そんな!滅相もない!
とても有り難く、光栄なことだわ。
でもコールマン様の家族もわたくしの家族も第二王子殿下とエンヴェリカ様が出席すると聞いたら、ビックリして今より大騒ぎになってしまうと思うから」
ロザリナ様は両手をブンブンと振りながら慌てて答える。
「あっそうか!
セントバーナル様がご出席となったらそうなるよね!
そういうことね、なら私だけが出席するということでは駄目かしら?
まったくないことではないもの。
私は全然気にしないわよ」
「エンヴェリカ様だけがご出席となったら、エンヴェリカ様を軽んじる者が出てきてもっと噂が広まることになるやもしれませんわ!
そんなことは決して出来ません!」
ロザリナ様がビシッと言われたのだけど、もっと噂が広まるってどういうこと?
「噂?もっと噂が広まるってどういうこと?」
私は何のことかと首を傾げる。
「えっ?」
ロザリナ様が目を開く。
「噂って私の?」
私は元から噂話に疎いのだけど、それは今もそうで何のことかわからない。
「あ、申し訳ありません!
わたくし何ということを…」
ロザリナ様はしまったという顔をしている。
「ロザリナ様が謝ることではないわ、私が疎すぎるから…。
噂って私だけのこと?セントバーナル様も含むことなのかしら?」
「えっと…第二王子殿下とエンヴェリカ様の噂で…本当に申し訳ございません」
ロザリナ様が身を小さくしてまた謝罪してくる。
「どうしてロザリナ様が謝るの?何も謝ることはないわ」
「でもまたわたくしの不用意な発言で、エンヴェリカ様が知らなくて良かったことを言ってしまったので…」
ロザリナ様がすまなそうな顔で俯く。
「そんなことないわ、私はあまりにも知らな過ぎるのね。
ロザリナ様教えてくれる?」
ロザリナ様が顔を上げて、私を見つめてコクンと頷く。
「実は噂はかなり広まっているようで、わたくしは学院で人伝に聞きました。
ですから第二王子殿下はご存知であえてエンヴェリカ様には言わないようにされていたかもしれなくて…もしそうならば本当に申し訳ないことです」
ロザリナ様は申し訳ないとまた頭を下げる。
本当に謝ることないのに。
セントバーナル様と私のことなら私は知りたい。
ちゃんと知っておくべきだわ。
「本当にロザリナ様が謝ることではないからもう謝らないで。
どんな噂か様教えて下さい」
「はい…それではあの、凄く馬鹿らしい噂なんですよ!
それは先に言っておきますね。
あの…エンヴェリカ様がお父様が作った魔道具を使って、セントバーナル様を誑かして婚約したという噂が出回っているのです」
「はい?」
私は思ってもいないことに声が裏返る。
「馬鹿らしくて有り得ないですわよね?
第二王子殿下とエンヴェリカ様と一緒に学院で学んでいた者たちからしたら有り得ない噂であるんですけれど、その…メリル・ジラルーカス伯爵の事件があって魔道具を悪用したというのが有名になっていまして…エンヴェリカ様のお父様が魔道具研究の権威であらせられるので、そういう噂が流れたのだと思うのですけど…」
何それ?
お父様の作った魔道具で私がセントバーナル様を誑かして婚約したと?
「お父様はそんな魔道具なんて決して作成したりしません!」
「申し訳ございません!」
私はお父様がそんなことの為に魔道具作成したと言われていること、魔道具が悪用する為に使われていると言われていることが許せない!
「違うわ!ロザリナ様に怒っているのではなくて、興奮してごめんなさい。
私はお父様がそんな魔道具を作ったと言われていること、魔道具が悪用されていると言われることが許せないの!」
「そうですよね。
エンヴェリカ様も幼い頃からずっと魔道具を研究しておられるくらい魔道具がとてもお好きですものね。
わたくしも馬鹿げた噂だと思っているんですけれど、エンヴェリカ様だけじゃなくエンヴェリカ様のお父様まで侮辱されていることに許せなくて!
それに第二王子殿下に対しても失礼ですよね?」
私の興奮が移ったのかロザリナ様も興奮して怒り始めた。
「ロザリナ様ごめんなさい」
私は少し冷静にならなければとロザリナ様に謝罪した。
「エンヴェリカ様が謝ることはありませんわ!
本当に馬鹿らしくて腹立たしい噂で初めて聞いた時には腹が立って仕方なかったのです。
ですが、学院でもそんな噂は馬鹿げている出鱈目だとわたくしは言っているのですけど、信じている方たちがいるのかなかなか噂が消えなくて…」
ロザリナ様は申し訳ないという顔をしているけれど、ロザリナ様が私のことで弁解して声を上げてくれたことにとても嬉しくなった。
「ロザリナ様ありがとう」
私はお礼を言った後、ロザリナ様に申し訳ないと思って話を変えて式の出席のことや、ロザリナ様の婚約者やセントバーナル様の話に戻した。
それをロザリナ様も察してくれてお茶会終了まで楽しくお話したのだけど噂のことは許せないと思った。
ロザリナ様とのお茶会の次の日、王子妃教育の一環で王妃殿下と二人きりのお茶会があった。
ある程度教育が進んできてから王子妃としてのマナーや礼儀などを確認する為に、定期的に王妃殿下と二人きりでお茶会をしている。
もちろんマナーや礼儀のことで注意を受けたりもするけど、王妃殿下はとても大らかな方でそしてとても聞き上手。
さりげなく私の不安なことや戸惑いなどを聞いて助言を下さったりするとても優しい方。
そしてとても鋭い感性をお持ちの方だ。
私は昨日のロザリナ様から聞いた噂のことをまだセントバーナル様に会っていないし誰にも言わず、表に出さないようにしていけれど、王妃殿下にすぐに見抜かれてしまった。
「エンヴェリカ、貴方今日は様子がおかしいわね。
何があったかおっしゃい!」
とピシッと言われてしまった。
「申し訳ございません、あの大丈夫でございます」
「わたくしを誤魔化そうとしても無駄よ!
さあ白状してしまいなさい」
と迫られて私は昨日聞いた噂のことを小さくなりなら白状した。
「あら、もうエンヴェリカの耳にも入ってしまったのね」
王妃殿下がおっしゃられてもう王妃殿下もご存知なのだと思った。
「本当に愚かよね…」
「申し訳ございません!」
私が低身低頭で謝罪すると。
「まあ、動揺や不安、怒りがすぐに顔に出てしまうところは王子妃としては良くないことだわね。
国内の貴族に侮られてしまったり国外に出た時もそれは弱味になってしまうものよ。
でもセントもわたくしもここの皆はそんな貴方の素直なところがとても好きなのよ、それはわかってね」
王妃殿下が注意の後にいつも私を励まして下さる。
それがとても嬉しいけど、申し訳なくなる。
「エンヴェリカは今回は貴方のことだけじゃなく、貴方のお父様クエスベルト子爵卿のことを言われたことと、魔道具を悪いように言われたから怒りを感じているのよね?」
「はい…そうでございます。
でも冷静さを欠いておりました。
申し訳ございません」
王妃殿下がフッと見惚れるくらい美しい微笑みをされる。
「いいのよ。
そうねぇ~それでは貴方にテストをしようかしら?」
「テストでございますか?」
ええ、と王妃殿下は頷かれる。
「馬鹿げた噂の出所はもうわかっていてよ。
2ヶ月後にその方たちも招いてお茶会を開催することにするわ。
その時にエンヴェリカ、貴方は今日のように動揺や不安、怒りを表に出さないように出来るかよ」
王妃殿下の両方の口角を上げる。
さすがに噂をもうちゃんと把握しておられたんだ。
「はい!承知致しました」
「ふふっ、元気の良い返事とてもよくてよ。
何も心配しなくていいわ。
貴方はわたくしのテストに合格すること、よくて?」
「はい!」
「よろしい、ほらケーキを頂きましょう?
エンヴェリカの好きなイチゴのケーキよ」
王妃殿下は厳しいところもあるけれど、私に気遣って私の好きなものを用意して下さったりする。
私は思わず笑顔でフォークを持った。
あっいけない!はしたないことをしたわ。
また叱られるかも?
でもそんな私を見た王妃殿下は「本当に可愛いわね」と小声で呟いた。
私にはそれは聞こえなかったけど、叱られなかったことにホッとした。
もっと気を付けないと。
☆★☆
王妃殿下side
エンヴェリカとのお茶会が終わった後、息子のセントを呼び出した。
エンヴェリカには厳しいことも言うけれど、彼女はどんなことにも挫けず腐らず食らいついてくる。
わたくしに対してもまったく態度が変わらない真っすぐな子だわ。
そしてどんどんと成果を上げてくる
とても努力家で、素直でわたくしの可愛い義娘。
ナターシャは侯爵家令嬢でもあ。り、早くから王太子教育を受けていたこともあるし元からとても勘が良く聡い子だったから、教育はそれなりに厳しかったけれど、幼い頃から優秀な子だったから割とすべて卒なく熟していたと思う。
でもナターシャは王太子教育だっから王子妃と比べてとても厳しい教育で本当はとても辛かったと思うけど、彼女も一切表には出さず、頑張って食らい付いてきたわ。
ナターシャも努力家で一生懸命で可愛いわたくしの大切な義娘よ。
対してエンヴェリカは母が元は侯爵令嬢で、本人は子爵令嬢ながらかなり高度な教育を受けてきたようだわ。
王子妃教育が始まってからも思ったより取得が早く、エンヴェリカもとても聡い。
でもセントとの婚約が学院在学中だったから結婚までそんなに期間がなく、かなり詰め込み教育になっている。
本来の子爵令嬢より高度な教育を受けてきたとはいえ、王子妃教育はかなり厳しい日々だと思うわ。
でもエンヴェリカはセントにも決して弱音を吐かず、真面目に取り組んでいる。
まだすぐに顔に出てしまうところがあって、それに対して必要だから注意しているけれど、わたくしはそんなエンヴェリカが凄く可愛いと思っている。
エンヴェリカにはセントと出会ってから今までいろんなことが降り掛かってきた。
わたくしには情報がちゃんと入ってきてすべてを知っていたけれど、わたくし自身は今まで表では静観して見守ってきたつもり。
今度の噂の情報はすぐにわたくしの耳に入ってきた。
でもエンヴェリカの耳に入らないのなら、セントがちゃんと対処するのを待っていようと思ったのだけど、セントが対処する前にエンヴェリカの耳に入ったようね。
王族貴族は何らの噂が出るのは日常茶飯事、わたくしもいろいろあったし、今もあるわ。
いちいちそんなことを気にしていられない。
それに少しでも弱みを見せるとそれに付け込んでこようとするのが貴族というもの。
今回もわたくしは静観するつもりだったのだけれど、噂の内容がエンヴェリカを動揺させ怒りを感じるものだったわね。
わたくしの可愛い義娘は自分のことより、人のことを気遣い思いやる本当に優しい子。
それに今回はあの子が心血を注いでる魔道具に関することと、彼女のお父様のこともだから余計に気にしているようだわ。
今回はわたくしがちょっと前に出てみようと思っているのよ。
わたくしの可愛い息子と義娘を貶める馬鹿げた噂を流した者たちをどうしてやろうか?と思っていたら、呼び出していた息子のセントが部屋に入ってきた。
「母上お呼びでしょうか?」
「ええ、そこに座りなさい」
「はい」
わたくしの前のソファに座るように言ったのだけど、あらセントは少し機嫌が悪そうね。
ふふっわたくしにエンヴェリカと会う時間を削られたと思っているのかしらね。
本当に瞳の継承者の男は愛する存在のことになると、狭量ね。
わたくし担当の侍女がお茶を用意してから徐ろに切り出す。
「あのことはどう対処するつもり?」
セントの片眉がピンッと吊り上がったわ。
うちの子たちは悟るのが本当に早いわね。
まあそれも自分の愛する子のことだからよね。
「エンヴェリカが知ってしまったということでしょうか?」
セントがお茶を一口含んでから不穏な空気を漂わせ始めた。
「ええ」
わたくしは一言肯定の言葉を発して微笑む。
「まったく!あんな馬鹿げた噂なんてエンヴェリカの耳に入れたくなかったです」
「そうね、わたくしも同感よ。
エンヴェリカの父クエスベルト子爵卿のこと、魔道具のことだからわたくしの可愛い義娘は怒りを感じているみたいね」
セントはまるで舌打ちをしそうな怒りを表す。
品がないので、舌打ちなどするとわたくしに叱られるとわかっているからしないのだろうけど。
「あら、セントもそんな顔をするようになったのね。
成長したということかしら?」
わたくし笑って言うともっと不機嫌になるセント。
「私が排除します」
「噂くらいでいきなり排除していたら貴族なんてすべていなくなってしまうわ。
今回は貴方が手を下す前にまずわたくしに任せてくれないかしら?」
わたくしがニヤリとして言うと、セントは無の表情になる。
「母上が?」
「ええ、エンヴェリカはわたくしにとっても可愛い可愛い義娘よ。
まずはわたくしが少しお灸を据えて上げるわ。
その後、相手がどう出てくるかで貴方が決めるのでどうかしら?」
「承知しました。
よろしくお願いします。
それではもうよろしいでしょうか」
セントが早々に席を立とうとする。
「久方ぶりの母とのお茶の時間だというのに愛想がないこと」
「私にはこの後用事がございますので、失礼します」
セントはそう言ってからそそくさと部屋を出て行った。
エンヴェリカのことを聞いたらいてもたってもいられなくなったのね。
「ふふっ」
とわたくしはお茶を一口飲んで笑みが溢れた。
わたくしの夫のゼナももう一人の息子のアルもそうだけど、本当に瞳の継承者の男って、愛する存在が現れたら変わるのね。
一途というか愛が重いというか執着が凄いのよね。
わたくしはまた一人ふふふっと一人笑った。
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