地味に見せてる眼鏡魔道具令嬢は王子の溺愛に気付かない

asamurasaki

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五十話 忙しい日常と準備

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あの卒業パーティーの騒動から3ヶ月が経った。

メリル・ジラルーカス伯爵が起こした衝撃の事件のことは、今だに噂の的になっている。

可憐で美しく慈善事業にも熱心で、人柄も文句の付けようがないくらい良いと評判の『悲劇の天使伯爵』と言われたジラルーカス伯爵があれだけ多くの貴族や平民の殺害に自ら手を下していたり、関わっていたからだ。

その中には身内である両親、妹、自分の家族もそして彼女を虐待していたと思われていた叔父家族や婚約者、学院の同級生までいたことに皆は大きな衝撃を受けた。

それから闇属性の禁術の魅了を使い、そして自分が持つスキルを悪用したという前代未聞の事件だったからだ。

やはりこの国ではスキルは女神セレナ様からの特別な加護なのだと認識されていて、そのスキルを賜る人物はみな人格者であると皆が思っていたからこそ、ジラルーカス伯爵が数々の犯罪を冒していたことにさらなる衝撃を受けたのだろう。

私もその一人だ。

【公にはメリルが6歳の時にスキルで『受容』で妹セシルの闇属性を奪ったことは発表されたが、ジライヤのことについては伏せられた】

今後は属性魔法並びにスキルに対しても改めて厳しく管理していく方針が発表された。

それらに関しても早急に法を定めていくそうだ。

また卒業パーティーの3日後に国王陛下から卒業パーティーのやり直しが正式に発表された。

卒業パーティーは前回同様卒業生の貴族令息令嬢とその家族たちが招待されて、場所は王宮で行なわれることになった。

私は卒業後も王都のクエスベルト邸からほぼ毎日王宮に通って、王子妃教育を受ける日々を続けている。

それに加えて、再度の卒業パーティー等の準備もあって私もかなり忙しい日々を過ごしていた。

卒業パーティーまでの間に王太子殿下の誕生日パーティー、成人を迎えた貴族のデビュタントの夜会があり私もセントバーナル様の婚約者として出席した。

こんなに立て続けに行事に参加したことなど、もちろんない。

凄く緊張したけど、王子妃教育の賜物か、表情に出さないように出来るようになってきたと思う。

何よりセントバーナル様が隣にいてくれることに、緊張感だけではなく安心感を感じるようになったのが大きいと思う。

そしてその間に王子妃教育や卒業パーティーと、その後にある私も出席させてもらうことになっているジョルジュ様とミーナの結婚式の準備など、やることが一杯で改めて王族になることって大変なんだと感じている。

そんな私よりもっと忙しい毎日を送っているセントバーナル様は、それでも毎日少しの時間だけでも私の顔を見に来てくれている。


今年に入って王太子妃ナターシャ様が第一子の第一王子殿下を出産された。
名はクライファート様だ。

私もお生まれになってから1週間後にクライファート様のお顔をセントバーナル様と一緒に拝見させて頂いたのだけど、髪はナターシャ様の美しい月の光のようなブロンドの髪を受け継がれて、藍色の瞳をされていた。

藍色も瞳の継承者の色なのだけど、何と藍の瞳の継承者様が生まれたのは100年振りなのだそう。

大昔は瞳の継承者は金が王族、藍と赤、紫、黒が公爵と四公爵だったのだが、原因はその昔金の瞳の継承者と藍の瞳の継承者の婚姻が多かったからと言われているらしいのだけど、藍の瞳の継承者から藍色ではなく何故か金色の瞳の継承者の子が生まれてくるようになり、そのうち藍色の瞳の子が生まれにくくなったと言われている。

何故藍色の瞳を持つ子が生まれにくくなったかは今もわかっていないらしい。

そしていつしか金と藍の瞳の継承者は一緒になり、2つの瞳の継承者が王族となった。

その後に隣国シュバルツダイン帝国の脅威から国を守る為に、黒の瞳の継承者がシュバルツダイン帝国の国旗沿いに領地を構えたことによって、ダベンサードル辺境伯となり瞳の継承者は今の王族、二公爵、一辺境伯になったのだと私もお母様から教えてもらった。

なので、藍の瞳の継承者は今では珍しい存在なのだ。


王太子殿下のアルスタイン様はナターシャ様のご懐妊がわかってからそれは大騒ぎで浮かれてしまい、常にナターシャ様の側にいようとして今まで以上に過保護になられた。

それがクライファート様が生まれてからはさらに過保護になって、おまけにナターシャ様にはもちろんだが、クライファート様にもメロメロで執務をしょっちゅう抜け出してナターシャ様とクライファート様の元へ行かれるのだそう。

その皺寄せがセントバーナル様にきていて、さらに忙しくなっているらしい。

私とセントバーナル様は時間があれば王宮でお茶会をしているが、ゆっくりお茶を飲んで話が出来るのは1ヶ月に一度くらいの割合だ。

この日も1ヶ月振りに第二王子宮の中庭で、セントバーナル様とお茶会をしている。

セントバーナル様は席につくと疲労の滲む顔で「すまない」と言ってから、はぁ~と大きく溜息をついた。

私は明らかに寝不足な目の下に隈を作り、顔色もいつもより青白いセントバーナル様の顔を見て、私とお茶会をする為に無理をしていると思いセントバーナル様に声をかける。

「セントバーナル様、かなり寝不足なのではないですか?

無理に私に時間を合わせなくて良いんですよ。

セントバーナル様が心配です。
休める時は休んで下さい」

私がセントバーナル様の顔を覗き込むように見ると。

「エンヴェリカそんなこと言わないで。

私にとってエンヴェリカとの時間が唯一心安らげる癒やしの時間なのだから。

それにエンヴェリカも王子妃教育とパーティーの準備で忙しいだろう?お互い様だよ」

セントバーナル様が眉を寄せて困ったような顔をして私を気遣うように見てくる。

セントバーナル様はあの卒業パーティー以降、私に対しては敬語ではなく砕けた口調で話すようになった。

そのことが私に心を許してくれるようで、嬉しかったりする。

「確かに私も忙しくないと言えば嘘になりますが、セントバーナル様程ではないと思います。

ですが、以前の卒業パーティーのドレスやペンダントなどがあるのに、また新たなものを用意することに驚きました」

だって、王太子殿下の誕生日パーティーとデビュタントの夜会でも新しいドレスや装飾品を用意してもらったのだもの。

「えっ?私がエンヴェリカのドレスや装飾品を用意するのは当然だよ」

セントバーナル様はそれが何か?というようにすんなりと言うけど、いやいやほんの数ヶ月前に卒業パーティー用に用意してもらったドレスなどがあるから、それでいいんではないかと私は思う。

「卒業パーティー用の意匠はもう、ありますよ?」

私首を傾げてセントバーナル様を見ると、セントバーナル様はゆっくり首を横に振る。

「私たちの卒業パーティーはもう一度新たにやり直すことになったんだ。

意匠も新たに用意するのは当たり前だよ。

きっと出席する卒業生たちも新たに意匠を用意するはずだ」

「えっ?みなさんも新たに用意されるのですか!?」

私はみなさんがまたいちから新たに意匠を用意することに驚く。

「まあ確かに一度用意したのにまた用意するのか?ってエンヴェリカが思うのは当然だけど、王族もだけど貴族もそういうところに見栄を張るというか、お金を使って自分たちの権勢誇るものだからね」

そういうものなの?
私はあまり王都での社交界の常識には疎いからわからなかった。

「そういうものなんですか?」

「うん、見栄や権勢を誇る為ももちろんあるけど、王族や貴族はそういうところにお金を使って、経済を回す必要もあるんだ。

度々ドレスや装飾品を用意してお金を使うことは贅沢とも言えるけど、王族貴族は平民の上に立って領民や王都の民から税をもらって生活している。

エンヴェリカにはその税で王族貴族は贅沢をしているように思うかもしれないけど、そうやってお金を使うことで商会やドレスや靴、装飾品の元になっている生地や縫糸を生産している民や鉱山で金属や宝石を採掘して装飾品を作っている民たちの収入になるという意味もあるんだよ」

「あっ!」

そうだった。
以前私は王子妃教育で、各領地の名産や主にどんな事業で領地経営をしているか、学んだ。

そうか、王族、貴族が品物を購入したりするから民が仕事をしてそれが収入になるんだ。

平民も購入するのだろうけど王族貴族が使う金額は膨大で、その比じゃないだろう。

「ふっ、そんなカッコつけたことを言っているけど、私がエンヴェリカに私の色を纏うとこを見たいということもあるけどね」

セントバーナル様がふっと柔らかい笑みを見せる。

私はブワっと顔に熱が集まる。
私はセントバーナル様が私の為にしたいことだとか言われることに今だに慣れなくて恥ずかしくなる。

「あのっ!セントバーナル様は今ご自分のお仕事以外にアルスタイン様のお仕事もされているんですよね?」

嬉しいけど恥ずかしくなった私は思わず話題を変えてしまった。

王太子殿下、アルスタイン様の名を出したことにセントバーナル様は少し不機嫌になり口を尖らせる。

こんな幼い表情も隠さず見せてくれるようになった。
私はクスッと笑ってしまいそうになるのを堪える。

「そうなんだよ!兄上がクライファートが生まれてから度々執務を抜け出すからその皺寄せが私に思いっきりきているんだ」

「そうなんですね、でもアルスタイン様とナターシャ様がご成婚されてから念願のお子様が誕生されましたから仕方ないことであるとも思いますけれど…」

王太子殿下夫妻が結婚されてからナターシャ様がご懐妊されるまで、3年近くかかった。

周りはかなりヤキモキしたようで、このままお子様が出来ないと側妃を迎えることも有り得るという状態だった。

この国は現在は王族貴族も基本一夫一妻制で王族であっても側妃、愛妾を簡単に持つことは許されていない。

というか、瞳の継承者様はご自分が愛している方に一途になるようなので、ご本人が側妃や愛妾、第二夫人などを娶ろうという気がまったくないようなのだけど。

しかし他の国の王族貴族も自分の子を生むことはとても重要なことであるだろうけれど、この国の瞳の継承者様である王族貴族が子を生む生まないは国の存続に大きく関わる最重要事項なのだ。

だから3年近くもナターシャ様にご懐妊の兆候がなかった為、周りは側妃を娶る必要があるのでは?と言い始めた頃にナターシャ様がご懐妊されて、アルスタイン様だけでなく国王陛下夫妻、周りも国内全体が歓びに湧いた。

「確かにね、周りが側妃をと言い出した時の兄上はその臣下を殺してしまうんじゃないかというくらい、怒り心頭だったから義姉上の懐妊に私も父上も母上もひと安心したし、無事にクライファートが生まれて本当に良かったと私も思っているけど、その兄上が浮かれ過ぎて執務を放置するから私が今、大変なんだよ!」

セントバーナル様は今アルスタイン様に執務を押し付けられていることに怒っている。

「あ、あのアルスタイン様もそのうちに落ち着かれるかと…」

私が話題を変えようと言ったことで、セントバーナル様を怒らせてしまった。

私はセントバーナル様を何とかフォローしようとしたのだけど。

「兄上だけじゃないんだ!
父上と母上まで初孫に浮かれて毎日義姉上とクライファートのところに通う始末だし、私が兄上にちゃんと執務をやるように注意してくれと父上に進言しても、父上ももう少しの間大目に見てやれと言うばかりで…おまけに兄上の側近のクリスとフィリップまで私に兄上の執務を私に押し付けてくるし、私一人が煽りを食らっていてエンヴェリカにゆっくり会えないのが許せないんだ!」

セントバーナル様は余程腹に据えかねているのか、早口で捲し立てた。

私にゆっくり会えないのが許せないなんて嬉しいと思ってしまうけど、怒っているセントバーナル様をどう宥めようかと頭を悩ませる。

「クリスフォード様とフィリップ様はアルスタイン様の側近ですからその…」

「いや、フィリップはまあそうだけど、同じ瞳の継承者であるクリスは王族と同等の権限があって、兄上の代わりに最終決定権があって決済することが出来るんだ。

クリスは昔は仕事の虫で人の仕事までやっていたくらいなのに、ヴァネッサ夫人と結婚してしばらくしたら自分の仕事が終わったらサッサと帰るようになったし、嫡男のレオナルドが生まれたら尚更そうなって『アルはお前の兄上なんだからお前が何とかしろ』って私に兄上の執務を押し付けてくるようになったんだ!」

セントバーナル様の愚痴が止まらない。
どうしよう?


「そ、そうですか…私はセントバーナル様が忙しくても、少しでも私に会いに来てくることが凄く嬉しいですよ」

私が何とかセントバーナル様に機嫌を直してもらおうと言うと、セントバーナル様が耳を赤くして金の瞳をトロッと蕩けさせた。

「エンヴェリカ!

私も愛するエンヴェリカと毎日会えることが幸せだよ。
何ならずっとここに居て欲しいと思っている。

でもエンヴェリカの義父上と義母上が私とエンヴェリカが結婚するまでは一緒に暮らしたいって言うから我慢しているんだ。

あぁ~早く結婚したい」

セントバーナル様のストレートな言葉にまた私は恥ずかしくなる。

でも私もセントバーナル様に毎日会えているけれど、短い時間だったりするのが実は寂しいと思ったりしている。

私もセントバーナル様を愛している。
まだ言葉に出来ていない。
なかなか恥ずかしくて好きとか愛してると言えていない。

でも忙しくて大変なセントバーナル様の気持ちが少しでも解れればいいなと思う。 
 
「私はこうしてセントバーナル様の顔を見れるだけで、王子妃教育を私なりに頑張ろうと思えているんですよ。

ありがとうございます」

私は笑顔で言うと、セントバーナルは向かいの席だったのを椅子を運んで私の隣に座り、嬉しそうに顔を綻ばせながら私の手をキュッと握って私の頬にチュッとキスを落としてきた。

「エンヴェリカ私こそありがとう。

エンヴェリカ愛しているよ」

セントバーナル様は私の顔に自分の顔を近付けてきて、鼻と鼻をくっつけてきた。

もう少しで唇が触れ合う距離に私は驚いて、顔が発火してアワアワしてしまう。

そんな私を見てセントバーナル様はクスッと微笑ってからチュッと私の唇に自分の唇を触れさせすぐに離れた。

こ、これはキス!唇同士のキスだ!

私は目を丸くして、間近にあるセントバーナル様の輝く金の瞳を見つめて呆けてしまった。

少し距離は離れているけれど、侍女や護衛がいる。

顔がより一層熱を持って心臓がバクバクと凄い早さで音を立てる。

あまりにもドキドキして初めてのセントバーナル様の唇へのキスにそのまま気を失わなかった私を褒めて欲しい。



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