地味に見せてる眼鏡魔道具令嬢は王子の溺愛に気付かない

asamurasaki

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四十九話 メリル・ジラルーカス ⑦

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皆様いつもありがとうございます。

このお話でいよいよメリル編が終わります。

以降、やり直しの卒業パーティー、ジョルジュとミーナの結婚式からまだひと山あってエンディングへと続いていきます。 

大詰めとなって参りましたが、最終話までお付き合い頂けましたら嬉しく思います。

体調不良により、何度かのお休みを挟みまして一気に突っ走れなかったのが少し残念ですが、これから完結させるべき頑張ります!

拙い文章ながらお読み下さっている皆様本当にありがとうございます。

身体が弱々の私の励みになっていまして、大変嬉しく感謝しております。

どうぞよろしくお願い致します。


☆★☆



メリルはテンクラビィ子爵令嬢によるエンヴェリカ毒殺計画が失敗したことを知って、常に焦りと不安、恐怖を感じるようになる。

セントバーナルを手に入れたい気持ちは変わらずにあるが、いくら優秀と言われる瞳の継承者でも自分の完璧な計画と、配下を魅了で洗脳して自分の言いなりに正しく動く統率力に、きっと大丈夫だ上手くいくと高を括っていた。

しかしテンクラビィ子爵令嬢の計画が失敗ことで、オマールの事件も成功したと思っていたのに失敗したのではないか?

ジャスティンのことや婚約式に自分が参加したことで、自分への包囲網がもう出来ているのかも?

いや、そんなことはないと焦りと不安に苛まれていた。
 
しかし自分の周りは魅了で操っている人間ばかりで、本当に親しい信頼出来る人間が誰もいない。

たった一人の孤独な自分の足元を見て、メリルは今までのことを思い出していた。

意図せずだったが、闇属性が欲しいばかりに妹セシルを死なせてしまったこと、両親に対して疑心暗鬼に陥り、命を奪ってしまったこと。

両親の死後、邸にやってきた叔父家族とは仲良く出来て、穏やかで楽しい生活を送っていた。

それなのにミホークの言葉に拐かされてしまって、自分の平穏で幸せな生活を失ってしまったことを思い返してメリルは後悔した。

叔父家族との生活がメリルにとって一番楽しい記憶に残るもので、叔父家族がいてくれたら…なのにミホークのせいで幸せを失ってしまった。

メリルは後悔しながらも自分は悪くないと思い、人に責任を押し付ける身勝手さが抜けなかった。
 

セントバーナルのことを諦められないけど、愛しい人を奪ったエンヴェリカが憎いけど、捕まってしまっては意味がない。

わたくしには信頼出来る相談相手がいない。
わたくしはどうすればいい?と悩むメリル。

しかしいつ捕まってしまうかわからないことに思い当たって、メリルは逃亡することを思い立つ。

いったん国外に逃げよう。

表面的には争ってはいないが、水面下では我が国と対立していて我が国の魔力を持つ民、瞳の継承者を狙うことをやめないシュバルツダイン帝国ならに自分の身を保護してもらえるのでは?と考えた。

この国が力を持ち繁栄していること、ほとんどの民が魔力を持っていること、また優秀な瞳の継承者が国を守っていることを疎ましく思って何とか自分たちが主導権に握り、この国を支配して自由にしたいと思っている皇族がいるシュバルツダイン帝国なら、メリルの力を知れば利用しようとするに違いない。
だから身柄を引き渡したりしないはずだ。

その後、帝国の皇族に取り入って魅了で洗脳して自分が実権を握ってから仕切り直しをしようと決心する。


メリルは頭が切れるギルドマスターのヴィンセントに相談する。 

商業ギルドセラーズの前身はシュバルツダイン帝国と繋がっていた闇ギルドプロバンズだ。

何らかの方法を提示してくれるはずと思ったのだ。

ヴィンセントに早急に問題なくシュバルツダイン帝国に入国する方法を聞いたのだが、プロバンズの罪が暴かれて壊滅させられてから、逃げることが出来た者が残党として残ったが、メンバーほとんどが拘束された時点で、シュバルツダイン帝国との繋がりはなくなったのだと聞かされる。

しかしシュバルツダイン帝国に入国することが出来れば、伝手はあるというヴィンセントの返事だった。

そこで自分たちの力でシュバルツダイン帝国に入国する方法を模索したが、この国からシュバルツダイン帝国に入国するのは、ダベンサードル辺境伯領に必ず入らなければならない。

だが、ヴィンセントは「帝国に入国するより、ダベンサードル領に入る方が難しくて危険だよ」

と肩を竦めて首を横に振りながら力なく答える。

今まで自信満々だったヴィンセントは魅了で洗脳されていながらも自分たちが危ういことになって、追い詰められていることを自覚していて半分諦めているような口調だ。

でもメリルは諦め切れない。
このままで捕まってすべてを失いたくはない。

もうセントバーナルのことは諦めなければならないと思ってはいるが、メリルのセントバーナルに対する執着心はなくならなかった。

自分がセントバーナルの隣に立つことが出来ないのなら、せめてあの女だけでも抹殺したいとメリルは決心する。

そこでヴィンセントとシュバルツダイン帝国までの逃走経路を話し合う日々になる。


そんな時に3の月のセントバーナルたちの卒業パーティーが行なわれる学院の講堂の警備態勢や結界魔法のの情報を配下が入手して報告してきた。

その時、メリルとヴィンセントが冷静であったなら、セントバーナルが出席して学院の最高責任者である国国王陛下夫妻も訪れることになっているパーティー会場の警備態勢や結界魔法の情報など手に入れることが出来るはずがないことに気付いただろう。

しかし焦りと不安に苛まれて捕まることに恐怖心を抱いているメリルとヴィンセントにその冷静さはもうなく、国外逃亡しか頭にはなかった。

それから1週間も経たない間にベルナールド侯爵家の第一男で、後継者であるウルフレッドが実はスキル保持者であるという情報がもたらされた。

それも転移魔法と同じ効果があるスキルだという。

その情報はメリルが知り合ってから魅了で操っている神官ウェンディからのものだった。

そしてウェンディにより、ウルフレッドが属性判定を行なった大神殿の神官に初めて接触することに成功する。

その大神殿の神官を魅了で操ってウルフレッドが転移魔法と同等のスキル『移動』を持っていると聞かされる。

転移魔法と同等のスキルであれば、国外逃亡に役に立てるはずだ。

しかしもう時間の猶予はない。

そこでメリルは自分がベルナールト゚侯爵領にいるウルフレッドと接触して、スキルを奪ってからの逃走することをヴィンセントと話し合った。


その計画はセントバーナルたちの卒業式の日、卒業パーティーが行なわれる会場で騒ぎを起こして人員をそちらに向かわせている間に、メリルはジャスティンから奪ったスキル『擬態』で、これまでのウルフレッドの活躍と功績により近年設立された王立薬草学研究所の女性副所長に変装して、前もって面会希望の先触れを出しておき、当日ベルナールド侯爵領にいるウルフレッドに会ってスキル『移動』を奪って、ベルナールド領の隣クロスベリー辺境伯領の西の隣国アナビア王国国境沿いにスキルを使うか、スキルが使えなかった場合、メンバーと共にクロスベリー辺境伯領に向かう。

その為に先にヴィンセントたちとベルナールド侯爵領とクロスベリー辺境伯領を下調べした。

スキル『移動』は転移魔法と同等の効果なので、一度自分が足を踏み入れたところにしか、転移出来ないからクロスベリー辺境伯領のアナビア王国国境沿いまでメリル自身が足を運んだ。

スキルは奪ってすぐ使えるものと、訓練しなければならないものがある。

奪ったスキルがすぐに使えたならメリルだけで、クロスベリー辺境領に入ってそこで待っているヴィンセントとヴィンセントの部下たちとアナビア王国入りをして国外逃亡する。

ベルナールド侯爵領まで一緒に行く予定の配下たちは、メリルがスキルをすぐに使えた時は別でアナビア王国を目指すことになる。
 
スキルが使えなかった場合は一緒に行動して逃亡するつもりだが。

アナビア王国は我が国と友好関係にあり、他の隣国より信頼関係を築いていて、比較的入国は容易い。

だが、友好国なので罪人の引き渡しには応じるので、メリルがアナビア王国で拘束されてしまうと国に戻される可能性が高い。

なのでアナビア王国に入国することが出来たなら、見つからないよう逃亡を続けて、少しでも早くシュバルツダイン帝国に入国しなければならい。

この国の民は国外移住を許されていない。
それはこの国の民が他国より圧倒的に魔力を持っている者が多く、また魔力量も他国の民に比べれば平民の魔力も高いからだ。

特にシュバルツダイン帝国が魔力を持っている者を欲しているが、他国もそうなのである。

なので、この国は民を守る為に国外への移住を認めていない。

しかし旅行等では友好国だと認められることはある。 

メリルたちは正規な方法で入国しようとしているのではないが。

メリルはなるべくシュバルツダイン帝国から近い所からのアナビア王国の入国方法とシュバルツダイン帝国への入国方法もヴィンセントたちにあらかじめ調べておいてもらう。

そして王都のセラーズのアジトのギレン始め他のメンバーも別でアナビア王国に向かって逃亡する。

学院で結界魔法を解除するメンバーは悪いが、逃げることは難しいと思われるので、見捨てることにする。

そして卒業パーティーで騒動を起こすメンバーはあらかじめ情報を収集して把握していた、セントバーナルに懸想して尚且つエンヴェリカを目の敵にしていた令嬢4人に、卒業パーティーまで配下が接触して魅了の魔道具を使い洗脳して、エンヴェリカを排除する方法を伝授する。


メリルは逃亡前夜に地下で眠るジルベスターとフローラの処分を配下に指示する。
スキル『保存』を解除してなるべく見つかりにくいところに埋めるようにと。

いよいよ当日、メリルはスキル『擬態』で王立薬草学研究所副所長に変装して、配下たちを伴ってベルナールド侯爵領に向かう。

そして領内の薬草畑に一人でいるウルフレッドに声をかけた時点で、騎士や魔術師たちがどこからともなく現れて、メリルたちは簡単に拘束されてしまった。

そこには黒の瞳の継承者の主、スペンサー・ダベンサードルがいた。

後ろ手に拘束されたメリルを見下ろしながらスペンサーが言葉を発する。

「メリル・ジラルーカスだな。
セントバーナル殿下の婚約者エンヴェリカ妃殿下誘拐の罪で逮捕する」

「えっ?」

王立薬物学研究所副所長に変装したメリルが目を見開いて、スペンサーを見上げる。

「ジャスティンのスキル『擬態』で変装したようだが、お見通しだ。

すべては私たちの策でここに誘き寄せたのだよ。

ウルフレッド殿はスキル『移動』を持っていない。

そもそも現在ではスキル『移動』というものは存在しない。

それらの策はセントバーナル殿下が考えられた」

「そ、そんな…セントバーナル様が…」

冷ややかな黒い瞳でメリルを見下ろすスペンサーにメリルは驚愕の顔になる。

「セントバーナル殿下は愛する人を穢して排除しようとした貴様を許す訳がないだろう?

貴様にはエンヴェリカ妃殿下誘拐の罪だけでなく、ジャスティンを闇属性ジナンティアの解毒魔法で殺害した罪、テンクラビィ子爵令嬢を魅了で洗脳して操り、エンヴェリカ妃殿下を毒殺しようとした罪、数限りなくあるな。

まず禁術の魅了を使った時点で重罪だかな」

スペンサーが片方の口角を上げながらメリルを蔑んだ目で見てくる。

「ジナンティアを闇属性で?
どうしてわかったの?」

メリルはスペンサーの強い視線に怯えながらも、どうしてジャスティンの殺害方法がわかったのか聞いた。

「これから取り調べでいろいろとわかるだろうが、それだけは答えてやろう。

貴様はジナンティアの特性をよく調べたつもりなんだろうが、ジナンティアを使って毒殺するにはかなりの量でないと致死量に達しないのだよ。

ジナンティアの液体そのものでも毒殺するには適当ではない。

昔、私の倅が幼い頃、貴様とすれ違った時に複数の魔力の揺らぎを感じたということを覚えていた。

一人の人間から複数の魔力の揺らぎを感じるなど、普通では有り得ないことだ。

そして貴様は世間の評判が良過ぎた。
それにスキル『受容』を持っていたからな。

私は違和感を感じたのだよ。

そんな時にあの事件があり、ジャスティンの遺体がテンクラビィ子爵領で見つかった。

私がすぐに向かって遺体を調べた結果、ジナンティアによる中毒死だとわかった。

その時に闇属性の解毒魔法を疑ったんだ。

解毒魔法ならそこそこの魔力で、数分とかからず相手に致死量まで服毒させられるとな」

スペンサーの淀みない冷静な説明にメリルはガックリと肩を落として項垂れた。

「そ、そんな…わたくしの計画は完璧だったはずよ…こんなことこんなこと!…」

メリルはうわ言のようにブツブツと呟く。

「ああ、それと卒業パーティーの者たち、王都から逃走を図ろうとした者たち、クロスベリー辺境領で貴様たちを待っている者たちも同時に拘束されたと通信がきたよ。

ちなみにエンヴェリカ妃殿下は傷ひとつなくご無事だ」

「…うわあああああぁぁぁーっ」

メリルは地面に頭を打ちつけて絶叫した。

自分が焦りと不安、恐怖のあまりに冷静さを欠き、踊らされて罠に嵌って捕まってしまったこと、そしてエンヴェリカ抹殺に失敗してしまったことが悔しくてメリルは絶叫したのだ。


メリルはベルナールド侯爵領からスペンサーの転移魔法で、王宮に運ばれて、貴族牢に入れられた。

「どうしてどうしてどうして!」

メリルは貴族牢に収容されてからずっとどうして何故とばっかり叫んでいた。

「わたくしは悪くない。
すべてメリルが…アーセナルが…ミホークが悪いのよ!」

他人に責任を押し付けてばかりだった。


拘束された翌日から取り調べが行われたが、自分は悪くないと言うばかりで、自分に都合の悪いことには答えようとしなかった。

しかし3日目、そろそろ他の者たちの取り調べも進んでいたので、自白魔法をかけて白状させようとしたところ、人が変わったように謝罪の言葉を述べた。

そしてその後。

「えっ?…ま、待ってメリル待って!貴方どこへ行くの?

えっ?…女神セレナ様?

待って待って!お願い!置いていかないでぇー」

そう叫んだ後、メリルは気を失った。


【メリルの魂は女神セレナの元に還り、魂を休めてから新たな生を賜ると思われる。

何の罪もなかった優しく心が綺麗なメリルが次こそは幸せになってもらいたい】

その後、メリルことジライヤは素直に取り調べに応じた。

自らジライヤの人生とメリルの人生を語った。

そしてジライヤは極刑に処された。

【ジライヤとしての人生は幼い頃不遇で恵まれない悲惨なものだった。

だがその後、歪んでしまい許されない罪を冒した。

罪を冒したことは許されるものではないが、ジライヤの幼少期のことはジライヤは何も悪くなく一方的な被害者だった。

もしそんな幼少期でなければ罪を冒すまでにはならなかったかもしれない。
 
そのことを鑑みて女神セレナがジライヤに慈悲を与えた。
 
通常の人間より長い年月魂を休ませて、もう一度新たな生を受けてやり直すチャンスを与えた。

その時、偶然か何なのか、ジライヤの魂は前世の記憶を持ったままメリルの身体に入り込んでしまった。

それでもジライヤ次第でやり直そうと思えばやり直せたはずだ。

だが、ジライヤはまた闇属性の魅了を使い罪を冒した。

ジライヤこそが一番魅了に魅入られた人物なのだろう。

ジライヤの魂は今度こそ輪廻転生を許されず、消滅するのではないか?

それとも女神セレナはまた慈悲を与えるのか?

それは女神セレナのみ知ること】










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