地味に見せてる眼鏡魔道具令嬢は王子の溺愛に気付かない

asamurasaki

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四十七話 メリル・ジラルーカス ⑤

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メリルはセントバーナルがエンヴェリカを意識して追いかけるようになってから、エンヴェリカの情報を集中的に集めるようになる。

そこでメリルは貴族学院に通っているセントバーナルと同学年でAクラスの以前エンヴェリカに執着していたオマール・ヴォンドウェル伯爵令息の存在を知る。

オマールの情報を集めてからメリルは自分の配下となったセラーズのメンバーに借金を背負っている平民の男女を探させて、その平民たちに魅了で洗脳して、オマールに接触するように仕向ける。

必要ならオマールも洗脳するつもりであったが、オマールに接触した者たちに話を聞くとその必要はなさそうだ。

オマールと接触している平民たちがオマールにエンヴェリカのことをあれこれと吹き込むように指示すると、オマールは面白いようにこちらの思い通りに解釈するようだ。

やっぱりエンヴェリカは自分のことをずっと好きだったんだと思い込むようになっているという。

メリルは自分がオマールに接触する必要がないことに安心して、ニヤリと口角を上げた。


セントバーナルが2年生に進学した頃には報告を受けて、様子を見に行ったメリルは、セントバーナルが以前よりエンヴェリカに好意を抱いているのがハッキリとわかる恋する男そのものになっていた。

セントバーナルがエンヴェリカを見つめる金の瞳が、まるで宝石がトロッと飴のように溶けていくかの如く蕩けていて、愛しい人を見つめる熱に浮かされた熱い視線で、エンヴェリカを一心に見つめているのをメリルは離れた位置でしっかりと見た。

前世のジライヤが愛したこの国の王太子アレンリードが、愛する婚約者アンジェリーナを見つめる金の瞳と同じだったのだ。

そのことにメリルはお腹の底から競り上がってくる、焼け付くような嫉妬の炎がゴォゴォと燃え上がり、吐き気がする程でムカムカするのを我慢出来ずに、二人を観察する為にかけていた望遠眼鏡の魔道具を怒りのままに地面に叩き付けてしまった。

どうしてどうしてまたわたくしじゃないの!

わたくしがセントバーナル様と結ばれる運命のはずじゃないの?
わたくしはアレンリード様の生まれ変わりのセントバーナル様に出会う為にメリルになったのよね?!
今度こそあの蕩ける金の瞳はわたくしのものになるはずだったのよ!!

それなのに!それなのに!

今度はあんな地味女がわたくしの邪魔をしているんだわ!
本当に許せない!

メリルはそう思って、エンヴェリカを排除する計画を立てることにした。 
 
用意周到に計画を練って、それを実行する為の人員を集めた。

【もうメリルは前世でアンジェリーナを排除しようとしたことと同じことをまた自分がしようとしていることに気付くことが出来なかった】


今まで魅了をほとんど使うことのなかったスキル『擬態』を持っているジャスティンを魅了で洗脳した。

エンヴェリカが寮に帰った時にジャスティンがスキル『擬態』で寮の料理人に変装し、エンヴェリカを待ち伏せして攫って、廃墟にオマールを待たせておいてそこにエンヴェリカを運ばせて、オマールと既成事実を作らせてエンヴェリカを排除しようとしたのだ。

オマールにもオマールを案内した配下、そしてジャスティンにもギレンが作成した幻覚魔法が発動する魔道具を持たせて、廃墟の見張りをしている騎士たちの目を摺り抜けた。

オマールの魔道具は配下に回収させて、証拠が残らないようにした。
 
またオマールに関わった魅了により洗脳した平民たちはメリルの配下のセラーズのメンバーが処分した。

その作戦は完璧な計画ですべて上手くはずだった。

ジャスティンはエンヴェリカに付いていた護衛にも影にも見つかることなく、エンヴェリカを攫い、オマールの所へ届けて廃墟を見張らせていた配下の報告によると、オマールはエンヴェリカを攫った夜の翌朝に王国騎士団に拘束されたと聞いた。

それだけの時間が経っていれば、エンヴェリカは傷物になったに違いない。
 
オマールが翌朝くらいに捕まることも想定内だった。  

オマールが捕まってもメリルの情報を彼はまったく知らないので、心配していない。


メリルはほくそ笑む。

そしてメリルはジャスティンを始末した。
ジャスティンの素性が知れる前に自分の前から排除する為だ。

ジャスティンのスキル『擬態』を魔力を吸い取り奪ったが、自分と同じくらいあるジャスティンの魔を力すべて吸い取ることは危険なのでやめたのだ。
 
メリルが初めて妹のセシルにスキル『受容』を使った時にセシルはメリルより多く魔力を持っていた為に体調不良の原因の魔力がメリルの許容量の限界を超えて一気に流れ込んできた為に、メリルの心臓は一時停止した。

その時にジライヤの魂がメリルの身体に入り込んだきっかけとなった出来事だったが、同じくらいあるジャスティンの魔力をすべて吸い取って死なせるのは自分にも危険が及ぶ可能性が高い。

なので、闇属性の解毒魔法でもあり一般的に解毒薬や近年鎮痛薬としても知られるようになった、ジナンティアを一気に大量をジャスティンの身体に流し込み、ジナンティアの中毒死をさせた。

ジライヤの頃に前世で多くの魔術魔法の書物を読み漁り、勉強してきたメリルはジナンティアは他の毒を解毒する作用があるが、量が過ぎると毒となることを知っていたのだ。

【しかしメリルは最初から闇属性魔法を使うつもりだったからなのか、ジナンティアの致死量については詳しく調べなかったようだ。
 
普通に飲み物や食べ物に混ぜたくらいでは、一度では到底致死量には及ばないこと。 

ジナンティアで服毒死するには相当な量を摂取しなければならないことに気付いていなかった。

他で完璧に工作偽装出来ると思っていたからそこを重要視しなかったからだった。

頭を使い、綿密に計画を立てて必要なものは魔道具も、作らせる。

配下を魅了によって自分思い通りに操って、配下に実行させ自分が必要な時以外は表に出ず隠れている。

人を殺めてしまうことに慣れ過ぎて罪悪感もなくなり、闇属性を持っている自分は完璧で、誰であろうと自分に敵う者はいないという慢心が招いたミスであった。

瞳の継承者を警戒していながら自分なら欺けると思ってしまったことが敗因となっていくのだ】
 

メリルの計画は比較的誰でも手に入れやすいジナンティアを使用する方が、自害の可能性を高めてくれる。

もしものことがあっても自分に辿り着くはずはないと判断したからだ。

メリルがジナンティアの致死量について詳しく知っていれば、殺害方法に闇属性の解毒魔法(ジナンティア)を使うことはなかっただろう。


【しかし結果はメリルがジナンティアを使ったことによって、黒の瞳の継承者で全属性持ちで当然闇属性も持ち、ジナンティアを解毒魔法として使ったことのあるスペンサーは、ジナンティアの特性をよく知っていた。

ジナンティアそのものを液体にして服毒したとしても、スープ一杯分でも死に至ることはない。

スープだと3杯程飲んで致死量に届くかどうかというくらいなのだ。 

なので自害の方法としては極めて可能性は低い。

殺害方法としても闇属性の解毒魔法で一気にジナンティアを大量に送り込む以外は、致死量や時間を考えても妥当ではない。

だからあるとすれば、闇属性によるものと疑って、他にも原因はあるが結果的にジャスティン殺害にジナンティアを使ったことと、幼い頃のジョルジュがメリルの魔力の揺らぎを複数感じたことが、メリルまで辿り着く最初のヒントとなったのだ】
  

メリルが何故ジャスティンをジャスティンの毒により殺害したのかというと、メリルと同等の魔力を持つジャスティンの魔力をスキルと共に奪って、魔力枯渇症で死なせることは難しいので、服毒により自害したと見せかける為だった。

ジャスティンがエンヴェリカを攫ってオマールに引き渡してから、王都のセラーズのアジトに戻ってきてすぐに殺害後、配下と共にオマールの婚約者のテンクラビィ子爵令嬢の領地に遺体を遺棄して、婚約者の父テンクラビィ子爵をメリルの魅了で洗脳して遺体を秘密裏に処理させようとしていた。

もし万が一後にジャスティンの遺体が見つかることがあり、ジナンティアを飲んで死亡したことがわかったとしても、テンクラビィ子爵領で服毒して自害したことに出来る。

もし殺害を疑われた場合はテンクラビィ子爵に罪を被ってもらうつもりた。

そのように自害の場合と殺害の場合を想定してテンクラビィ子爵を洗脳して、証言させればいい。
 
またジナンティアは時間が経てば、体内で物質自体が消えてなくなる。
生きている身体では自然に消化されるものだが、遺体となっても一定の時間防腐薬としての効果を発揮してから遺体でも時間が経てば、ジナンティアは消えて検出されなくなるのである。

服毒で亡くなった場合、その毒の性質により、身体の腐敗が遅くなるということがすべての毒ではないがあるのだ。

例え遺体が見つかったとしても時間が経っていれば、ジナンティアは検出されず、ジャスティンの死亡原因の特定は難しいだろう。

それに骨になっていなかったとしてもジナンティアにより、身体の腐敗は遅れるはずだから、死亡推定時刻も違ってくるだろう。

そしてもう1つの可能性として早期に遺体が発見されたとしても死亡原因が特定されたとしても、テンクラビィ子爵が疑われるように、わざわざジャスティンの遺体をテンクラビィ子爵領まで運ぶことにしたのだ。

テンクラビィ子爵の娘がオマールの婚約者であるから、オマールの不貞を共謀したジャスティンをテンクラビィ子爵が、許せず始末したのではないか?と疑われて、テンクラビィ子爵にも証言させれば、自分たちが疑われる可能性はうんと低くなる。


エンヴェリカにはセントバーナルの指示で、王宮の護衛と影がついていることを知っていたメリルが、エンヴェリカが行方不明になったら瞳の継承者が捜査に当たるだろうと予想していて、ジャスティンの遺体が見つかることを恐れたからということもあった。

瞳の継承者たちの力は凄いとわかっていた故の警戒心からくるものであった。

だからこそメリルは何重にも予防線を張ったのだ。

しかしジャスティンの遺体をテンクラビィ子爵領に運び、遺棄しようとしたところで大きなミスが発生してしまった。

テンクラビィ子爵領は領主の邸近くでも長閑な片田舎で、夜半だと灯りもなく真っ暗で人通りがないと前に確かめていたはずなのに、メリルの配下がジャスティンの遺体を草むらに遺棄しようとしたところで、その日に限って複数の領民が領主の邸近くにいてすぐに見つかってしまい、メリルがテンクラビィ子爵に会って洗脳する前に領民が邸に駆け込んできて、死体があるとテンクラビィ子爵に報告してしまったのだ。

それを馬車の中で待機していたメリルが配下から聞いて、急いで配下たちと共に馬車で王都へと逃げ帰った。

ここまで計画は完璧なはずだったのにここぞというところで、何ともお粗末な事になってしまった。

しかしテンクラビィ子爵に魅了で洗脳して、ジャスティンの遺体を秘密裏に処理させることには失敗したが、例え瞳の継承者が捜査することになったとしても、そう簡単に自分たちに辿り着く証拠は限りなくないに等しいとメリルは思った。

それにエンヴェリカを傷物に出来たことにメリルは特に満足してそのことに意識を持っていかれていた。

わたくしの計画ではもうすぐもうすぐセントバーナルはわたくしのものになると、メリルは幸せな溜息をついた。

相変わらずセントバーナルに近付けていないし、今後もいつ近付くことが出来るかわからない状態であるのに、エンヴェリカを排除出来たという達成感に酔い痴れて、メリルはもうセントバーナルは自分のものだと思うようになっていた。


しかしそんな浮かれるメリルに現実を突きつけられる。

セントバーナルが貴族学院の3年生になる直前の3の月にセントバーナルとエンヴェリカの婚約が正式に発表された。

えっ?どういうこと?
あの地味女はオマールにより傷物になったはずなのにどうしてセントバーナルと婚約することが出来るの?

現代では貴族令嬢の純潔は昔ほどそんなに重んじられるものではなくなった。

しかし王族、瞳の継承者は子の瞳の継承が最も大切であり、国にとってとても重要なことである。

おまけに瞳の継承者は一途で愛が重く独占欲が人一倍強いと言われている。

それなら傷物になった令嬢を婚約者にするなど考えられないだろうし、例え傷物になってもセントバーナルがあの地味女に執着していたとしても、あの地味女が精神を病んで、普通に生活出来るはずがないから第二王子と婚約なんて無理なはずたわ!

だからセントバーナルと婚約するなんて有り得ないのよ!

もしかしてあの地味女は傷物になっていないというの?
そんなことはない!
オマールは翌朝に拘束された。
あれほどの時間が経っているのだものあの地味女は傷物になっているはず。

オマールはあれだけの時間かあったのに何も出来なかったというの?

拘束されたオマールに会えないから本当はどうだったか確認を取れないけれども。

それとも傷物になったのにそれでもセントバーナルはあの地味女と婚約したというの?

それほどまでに地味女を望んでいるというの?

あの地味女は傷物になったのに図太くセントバーナルの婚約者におさまったというの?


それにしても貴族たちは概ねセントバーナルの婚約を祝福している。

あのオマールの事件がまだ公表されていないとはいえ、いったいどういうことなの?

メリルは苛立ち地団駄を踏む。

オマールの事件以降、あの地味女は学院を休学しているからてっきり傷物になり、精神を病んで塞ぎ込んでいるとばかり思っていたのに!

わたくしの愛しいセントバーナル様と婚約しただって?

何てことなの?

配下にいろいろと探らせているけれど、地味女の事件のことは何も掴むことが出来ない。 

ジャスティンの遺体を遺棄しようとしたテンクラビィ子爵領にも王国の魔術師や騎士、そして黒の瞳の継承者の部下たちがいるので近付けない。

王国の騎士、魔術師より黒の瞳の継承者の部下たちの方が厄介だ。

部下の一人は黒髪に黒色の瞳らしく間違いなく黒の瞳の継承者だ。

ダベンサードルのスペンサーとジョルジュではないようだけど、スペンサーの弟でスペンサーの側近だと思われる。

下手に動くと自分が危なくなるとメリルは思い、しばらく静観することにした。

しかし4の月になりエンヴェリカがセントバーナルと一緒に王族の馬車に乗り学院に姿を現したと聞き、それと同時にデビュタントの夜会と同じ月の8の月に婚約式が行なわれると発表され、メリルの元に招待状が届いた。

メリルは本当はすぐさま破って捨てててしまいたかった。

しかししばらくは大人しく静観することに決めたのに我慢ならず、メリルはセントバーナルとエンヴェリカの婚約式に出席することにした。






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