地味に見せてる眼鏡魔道具令嬢は王子の溺愛に気付かない

asamurasaki

文字の大きさ
上 下
44 / 78

三十八話 事件とエンヴェリカと私 ①

しおりを挟む



セントバーナルside



私はいったん自室に戻って湯浴みを済ませて、着替えてからエンヴェリカの部屋へと向かった。

ストレンダーにはそれぞれ牢に入れた者たちの様子を見に行くように指示した。

メリルやアンピニア伯爵令嬢と取り巻きたちは貴族牢、他の平民たちは一般牢に収容されていると聞く。

本格的な取り調べは明日になる。

拘束時に自害などせぬようにと魔力制御の枷をメリルだけでなく全員にしたと聞いているが、様子を確認させることにした。

エンヴェリカの部屋まで護衛は伴っているが一人で行き、ノックするとすぐに侍女が扉を開けたので私は部屋に入る。

エンヴェリカが先程別れ際に私がエンヴェリカの頬にキスしたからか、何だか照れて何だかポヤポヤしているのが堪らなく可愛い。

「エンヴェリカお待たせしました」

と私が言ってエンヴェリカの目を見る。

「い、いえお待たせしていません!」

何だか変な言葉遣いになっていて、それさえ可愛いと思う私は相当重症だ。

テーブルの上には軽食やケーキなどが用意されている。

私の食事がまだなのがわかっているのか、私の為に食事を用意してくれたのだろうか?

私がエンヴェリカの向かいに座るとエンヴェリカも続けて座った。

侍女がお茶を用意した後、人払いをしたので侍女たちが部屋を出て行った。

「セントバーナル様、まだ食事していないでしょう?

一緒に食べませんか?」

エンヴェリカが私に微笑みかけながら聞いてくる。

やっぱりエンヴェリカが気を利かせてくれたんだ。

「私はまだですが、もしかしてエンヴェリカもまだ食べていなかったんですか?」

「私もまだなんです。
セントバーナル様を待っていました」

と可愛いことを言うエンヴェリカ。

「先に食べていてくれて良かったですのに」

「何だか、食欲が湧かなくて…。
でもセントバーナル様と一緒なら食べれるかとをお待ちしていたんです。

あの軽食の方が食べやすいかと用意してもらったのですけれど、ちゃんとした食事を用意してもらった方が良かったですか?」
 
私と一緒なら食べれるなんて何て可愛いことを言うんだ。
私の顔も熱くなってくる。

それに私のことを考えてサッと食べれるものを用意してくれたことも嬉しい。

「ありがとうございます。

いえ、私もそんなに空腹ではないので、今は軽食の方が有り難いです。

エンヴェリカ一緒に食べましょう」

「はい!」

エンヴェリカが笑顔で返事してきたので、まず一緒に食事した。

サンドイッチやオムレツなどの卵料理とベーコンなどを食べてから、ケーキとお茶をおかわりをして二人で甘味を味わう。

エンヴェリカは相当照れているようで、私の顔をチラッと見てはすぐ視線を逸らしてを繰り返している。

あまりに可愛くてにやけそうになるけれど、それを知るとエンヴェリカが拗そうなので堪える。

「エンヴェリカ、少しは落ち着きましたか?」

私が聞くとエンヴェリカはブンブンと音がする程、首を横に振る。

「いろんなことがあり過ぎてまったく落ち着いていません」

エンヴェリカは正直だな。

当然だろうな、いろいろあり過ぎた。
事情を知らなかったエンヴェリカは余計にそうだろう。

「それはそうですよね。

今日のことを何も知らせなかったことすみませんでした」

私が謝るとエンヴェリカがまた首をブンブンと横に振る。

「あの、アンピニア伯爵令嬢が捕らえられた直後は私に何も知らされていなかったことを怒ってしまいましたが、その…冷静になってみると作戦を成功させる為だったんですよね?

怒ってしまってすみませんでした」

エンヴェリカが頭を下げる。

「エンヴェリカ謝らないで下さい。

確かに作戦を成功させる為でしたが、エンヴェリカは私を心配して私にもし何かあったらと思ってくれたから怒ったんですよね?

私のこと大切だと言ってくれて私がいないと生きていけないと言ってくれました。

凄く嬉しかったです」

私が微笑んでエンヴェリカの顔を見ると、自分の発言を思い出したのかより顔を真っ赤にするエンヴェリカ。

本当に可愛い。

「あ、あの…本当にセントバーナル様が無事で良かったです!」

顔を赤くしたまま私をチラッと見てくるエンヴェリカが可愛い過ぎる。

私がどうにかなってしまいそうだ。
気を取り直す。

「エンヴェリカが私を守ろうとして動こうとしてくれたことは嬉しいですが、今後そんな無理はしないで下さいね!」

私が念を押すように言うと。

エンヴェリカがう~んと言ってからすぐさま私の顔を見てくる。

「でもやっぱりそれは無理です!

そりゃセントバーナル様の方が魔法とかすべての部分で私より優れていることは前からわかっていましたけど、今日嫌という程わかりました。

でもそれでも私はセントバーナル様が危ないと思ったら動いてしまうと思います!」
 
エンヴェリカにキッパリと言われて私は堪らない気持ちになる。

「エンヴェリカ…それでもエンヴェリカはまず自分を守ることを考えて欲しいです。

それが引いては私を守ることにも繋がると思いますから」

私はエンヴェリカの美しい深い湖のような青い瞳を見つめて言う。

「セントバーナル様…わかりました。

でも私も出来ることはしたいのです」

エンヴェリカの真摯な瞳に私の胸がトクンッと鳴る。

こんなに愛おしいと思う人に出会ったことがない。

私はエンヴェリカに出会えて本当に幸せだ。

絶対手放せない。
 
私にとってエンヴェリカはやっぱり唯一の人なんだ。

「エンヴェリカありがとうございます。

その気持ちだけで私は十分です。

でもエンヴェリカのことは私が必ず守るということを忘れないで下さい。

ではまず報告ですが、あの事件に関わった犯人すべてを捕らえることが出来ました」

エンヴェリカが目を見開く。

「そうですか、本当に良かったです!

これでロザリナ様もロザリナ様のご家族も何の心配もなくなりますね」

エンヴェリカは自分が事件の被害者で、それ以降も自分が狙われていたにも関わらず、自分以外の人間テンクラビィ子爵令嬢やその家族の心配をするんだな。

「そうですね、明日から本格的な取り調べが始まります。

もう少ししたらテンクラビィ子爵令嬢は家族のところへ帰ることが出来ますよ。

テンクラビィ子爵令嬢が学院に復学したいのであればまだハッキリしていませんが、早ければ新学期からすぐには無理だと思いますが、少し遅れて通えることが出来ると思います。

学院に復学すると何か言われたりするかもしれませんが、同学年は卒業していますからね。

あまり心配はないかもしれませんが、あの時の噂は広がっているはずです。

それに1年遅れて下の学年の者たちと勉強することになりますからね。

テンクラビィ子爵令嬢に変な噂など出ないよう気を付けます」

「セントバーナル様、ロザリナ様のことも配慮して下さってありがとうございます。

よろしくお願いします」

エンヴェリカが本当に嬉しいという顔で笑う。

エンヴェリカは自分のことより人のことに一生懸命になる傾向がある。

本来の私は究極はエンヴェリカ以外がどうなろうと気にならない冷たい人間だ。

しかしエンヴェリカが他の人間を気にして、心配するからエンヴェリカの周りの人間のことも配慮して動いているに過ぎない。

「事件のこと、取り調べは明日から始まりますからすべて話すことは出来ませんが、エンヴェリカが知りたいことで今話せることは話します。

何から聞きたいですか?」

エンヴェリカがう~んと唸りながら考えている。

「えっと、まずアンピニア伯爵令嬢にも告げていましたが、パーティー会場の結界魔法は犯人たちに解除出来るように情報をわざと渡したとセントバーナル様は言ってましたが、それはアンピニア伯爵令嬢たちを捕らえる為ですよね?」

「ええ、それもありますが黒幕の犯人たちが卒業パーティーで騒動を起こして、こちら側の人員が会場に集まっている隙に逃亡しようとすると予測していましたので、あちらが思い描く騒動をアンピニア伯爵令嬢たちに起こしてもらうようにしました」

エンヴェリカに正直に説明する。

「なるほどそうだったんですね。
セントバーナル様たちがすべて思い描いた筋書き通りだったということですね」

「そういうことになりますね」

エンヴェリカが目線を斜め上にやり次の質問を考えている。

「えっと、会場で令息令嬢たちがバタバタと倒れていきましたよね?
あれも闇属性の魔道具だったということですよね?
スリープ魔法だったのですか?」

「はいその通りです。

アンピニア伯爵令嬢の取り巻きが闇属性魔法の魔道具を使いスリープの魔法を無差別に発動しましたね」

私はその通りだと頷く。

「あの時、結構人がバタバタと倒れていきましたけど、私の家族は大丈夫でした。

それは防御魔法か何かで守ってくださっていたんですか?」

「はい、エンヴェリカの家族やミーナ、ミーナの家族には防御の魔道具を付けてもらいました。

あと事情を前もって話していた卒業生の家族にはあの場でクリスとジョルジュに防御魔法をかけて守ってもらっていたんです。

ですが、すべての人たちを防御すると、アンピニア伯爵令嬢たちに彼女たちの作戦がこちらに漏れていることがバレてしまいます。

アンピニア伯爵令嬢には結界魔法解除のことや彼女が何をしようとしているか、どんな方法か口を割ってもらわなければならないので申し訳ないですが、卒業生には魔法にかかってもらうことにしました。

危険なものならすぐに魔道具を破壊することになっていましたが、魔法陣がスリープのものだったのでクリスとジョルジュは様子を見たということです」

ほぉ~とエンヴェリカが声を漏らす。

「そうなんですね。

スリープの魔法が途中で解除されたようですが、クリスフォード様とジョルジュ様が魔道具を破壊したのですね」

私はエンヴェリカに向かい思案顔になっている。

「そうです。

アンピニア伯爵令嬢が魔法の発動をする時に私が魔道具を破壊して、それと同時にクリスとジョルジュに取り巻きの令嬢たちが持っている魔道具の魔石を破壊してもらって解除しました」

「スリープの魔法もアンピニア伯爵令嬢が使う魔法も予測していたということなんですね。

アンピニア伯爵令嬢は私を消すと言ってましたが、それは闇属性の魔法なんですよね?」

「そうですね、エンヴェリカも魔道具で守っているので大丈夫でしたが、魔法陣を見るまでは何の魔法かわからなかったんです。

闇属性で毒性魔法であったり精神干渉系魔法だと、対象者のみに発動することは相当な使い手じゃないと難しいのです。

アンピニア伯爵令嬢には無理だったでしょう。

私がエンヴェリカのすぐ側にいましたからね。
私も巻き添えになります。

アンピニア伯爵令嬢はエンヴェリカの側に必ず私がいることを予想していたんでしょう。

なのでまずリープ魔法で自分と一緒にエンヴェリカを異空間を飛ばそうとしていたようです。

リープとは異空間に術者と対象者を一定時間飛ばすことが出来ます。

術者の魔力によりますが、それは一定の時間だけです。

リープとは闇属性の持ち主が敵を異空間に飛ばして、自分のテリトリーで戦うというもので、闇属性に耐性がない者には有利な形で攻撃が出来ます。

なのでアンピニア伯爵令嬢はまずリープで自分とエンヴェリカを異空間に飛ばしてから、エンヴェリカを毒性魔法か何か闇属性魔法で攻撃しようとしていたのではないかと思います」

エンヴェリカは私の話を聞いてまた驚いて目を見開く。

自分が異空間に飛ばされていたらどうなっていたのだろう?と思っているのだろう。

「そうなんですか。

闇属性魔法に対象者を消すというものはなかったと思ったのですが、アンピニア伯爵令嬢があんまり自信たっぷりに言っていたので、本当に私は即消されてしまうのかと思いました」

その時のことを思い出したのか、エンヴェリカの顔が引き攣る。

「エンヴェリカ、本当に怖い思いをさせてすみませんでした」

「セントバーナル様謝らないでください。

あの時はセントバーナル様から頂いた魔道具の指輪があるのにそれが頭から飛んでいて、消されるかもと思ってしまいました。

ちゃんとこの指輪が守ってくれるはずでしたよね?」

エンヴェリカが苦笑いしながら指輪を右手の指で撫でる。

「エンヴェリカは魔道具をちゃんと付けていたので、物理もすべての魔法を弾くことが出来ます。   

でもあの時、エンヴェリカは自分のことより私のことを庇おうとしていましたよね」

「す、すみません!冷静さを失くしていました」

エンヴェリカは肩を竦める。

「エンヴェリカもう謝らないで下さい。

自分のことより私を守ろうとしてくれたこと本当に嬉しかったです」

私が愛しくて堪らないって思いでエンヴェリカを見ると、エンヴェリカは「あっ!」と声を出して恥ずかしそうに私から目線を逸らした。

私はそれにクスッと笑う。





 






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

別に要りませんけど?

ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」 そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。 「……別に要りませんけど?」 ※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。 ※なろうでも掲載中

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

廃妃の再婚

束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの 父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。 ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。 それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。 身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。 あの時助けた青年は、国王になっていたのである。 「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは 結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。 帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。 カトルはイルサナを寵愛しはじめる。 王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。 ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。 引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。 ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。 だがユリシアスは何かを隠しているようだ。 それはカトルの抱える、真実だった──。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...