地味に見せてる眼鏡魔道具令嬢は王子の溺愛に気付かない

asamurasaki

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ニ十八話 婚約式と準備

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あの騒動で、テンクラビィ子爵令嬢は精神が不安定ということで再び休学することになったそうだ。

彼女の事情聴取をセントバーナル様から少し聞いた。

オマール様とテンクラビィ子爵令嬢の婚約は貴族学院入学の2年前の2人が14歳の時に正式に婚約したそうだ。

オマール様のお家ヴォンドウェル伯爵家からお見合いの打診があり、お見合い後すぐに婚約の申し込みがあり正式に婚約が成立した。

テンクラビィ子爵令嬢はお見合いの時に、オマール様のことを見目麗しく優しそうな方と好印象だったという。

実際に婚約してからのオマール様はテンクラビィ子爵令嬢に次節ごとにマメに手紙や贈り物をしてくれて、お互いの領地を行き来したり王都まで一緒に出かけたりと婚約者として彼女に心配りを見せまた彼女をとても大切にしていた。

テンクラビィ子爵令嬢はオマール様を本当に好きになっていたんだろう。

婚約が成立した直後にオマール様から私のことを婚約する予定がその話がなくなった令嬢だと聞かされたらしいがその時にはそれほど気にはならなかったのだそう。

今はオマール様が愛しているのは自分で大切にしてくれているという自信があったから。

でもそれが貴族学院に入学してから徐々に変わっていってしまったのだという。

学院に入学当初はオマール様は私のことをあんな地味な見目にして、自分の見目を隠して変な女だ馬鹿な女だと愚痴を言っていたので、彼女も一緒になって私の悪口を言っていたのだという。

入学して間もなくにオマール様とテンクラビィ子爵令嬢に睨まれたような気がしたのはそういうことだったのかな。

しかし学院に入学して月日が過ぎていくと、だんだんとオマール様の様子がおかしくなっていったという。

テンクラビィ子爵令嬢と会っても気も漫ろで、どうしたのか聞いても「大丈夫だ、何もないよ」と言うだけで何も教えてくれなかったのだそう。

だがそのうち、「俺は元はエンヴェリカと婚約するはずだった」や「エンヴェリカは今も俺のことが好きなんだ」と繰り返し言い始めるようになったのだとか。

それでもテンクラビィ子爵令嬢はオマール様を信じていた。
今はオマール様が愛しているのは自分なのだと「信じていたかったのかもしれません」と彼女は語ったそうだ。

しかしお休みになってもオマール様が誘ってくれることがなくなっていき、2年生になってからはほとんど学院でしか会えなくなっていったのだという。

学院でも同じクラスなのに途中でいなくなったり、早退したりするようになりテンクラビィ子爵令嬢は凄く心配だったようだ。

特に2年生になってからは学院がお休みの日、オマール様がどこへ行き何をしているかわからなくなったのだそう。

それでも彼女はオマール様を信じていた。

なのにあの事件の1週間前にオマール様から言われたことに彼女は大きなショックを受けることになる。

「お前の髪と瞳の色がエンヴェリカと似ているから婚約しただけだ」
「でも似ても似つかない、やはりエンヴェリカでないと駄目なんだ」
「偽物ではやっぱり駄目だ、本物でないと」
「俺が愛しているのは今も昔もエンヴェリカだけだ」

オマール様はそんな酷いことをテンクラビィ子爵令嬢に言ったらしい。

彼女はどれほど傷ついただろう。

テンクラビィ子爵令嬢は事件の1週間前にオマール様に言われたことで大きなショックを受け、彼女は学院を休んで王都の邸に閉じ籠もっていた。

そして事件後、オマール様が急な病で領地で療養していると聞かされたそうだ。

テンクラビィ子爵令嬢は大きなショックから立ち直れないでいながらもオマール様を心配してお見舞いに行こうとしたのだが、ヴォンドウェル伯爵に「今は誰にも会わせられない状態だから」と断られて一度も会わせてもらえなかったという。

それらの事が重なって起きてテンクラビィ子爵令嬢は自分がオマール様と上手くいかなくなったのは私のせいだと思うようになったそうだ。

なのに年が明けて3の月にセントバーナル様と私の婚約が発表されて、どうしてクエスベルト子爵令嬢だけが幸せになって私はこんなに不幸にならねばならないと強く思ってしまったという。

それから私に憎しみを募らせていったのだという。
私さえいなければと思ったそうだ。

いくら私のせいでないとはいえ、あまりにもテンクラビィ子爵令嬢が可哀想だと思った。

だから私は彼女に対して何らかの処罰は望まないとセントバーナル様に言った。

彼女は本当にオマール様を愛していて、何も知らなかったのだから被害者だもの。

私の考えは甘いかもしれない。

でも悪いのはオマール様だ。
オマール様が彼女の人生を狂わせたんだ。

 
あの日以降、オマール様と私のことをコソコソと噂する声が聞こえてくるようになった。

私の側にいてくれているセントバーナル様が噂をしている令嬢たちを鋭い視線で見咎めると、ピタッと静かにはなるけれどそれでも何だかんだと噂されている。

『あの令息と前から関係があったということでしょうか?』
『あの令息と婚約者との三角関係だったらしいですわよ』
『まあ、何て破廉恥な…そんな方が殿下の婚約者なんてね…』
『身分だけでも相応しくないのにあの地味令嬢が男を手玉に取っていたなんて…人は見かけによらないものね』
『前々から相応しくないと思ってましたけど、殿下は騙されているんではなくて?』

と名こそ出さないけど、オマール様と私のことを言っているのだ。

殿下と言っているけど、私の名を出さないのは殿下に咎められないようにとわざとなのだろう。

私は気にしないでおこうと思っているけど、私のことでセントバーナル様に迷惑をかけているのでは?と思う。

「貴族などは何でも弱味を握ろうとか余計な詮索をしてくるものです。

噂好きですしね。

私は何も気にしていません。

エンヴェリカも何も気にせず私の側にいてくれるだけでいいのです」

セントバーナル様はそう言ってくれる。

私はちゃんと覚悟をしてセントバーナル様と婚約したけれど、自分が相応しくないのは正しいと思ってしまう。


それからあっという間に月日が過ぎて、学院がお休みになり8の月の中旬、とうとうセントバーナル様と私の婚約式の日がやってきた。

大神殿での調印式は終わっているので、王宮での婚約式のパーティーのみをすることになっている。

3の月に正式に婚約してから超特急で私のドレスの仕立てが始まった。

その時に王妃殿下、ナターシャ殿下、ヴァネッサお姉様とミーナも参加して私のサイズを隅々まで計ってもらってドレスよ色は?デザインはどうするのか?とあれこれと話し合いの場が持たれた。

王妃殿下とナターシャ殿下までいらっしゃる?
やっぱり王族の方の意見を聞いた方がいいからなのかな。

私はそういうことに疎いので、お任せするしかない。

ナターシャ殿下だけじゃなく王妃殿下までおられるなんてめちゃくちゃ緊張した。

「ドレスの色はセントが銀にして欲しいと言っていたわ。

エンヴェリカ嬢はそれでいいかしら?
あとデザインの希望があるならおっしゃって」

王妃殿下が私の意見を聞いて下さるだけど、私本当にわからない。

「…私はドレスのことなど本当に疎くてわかりませんので…お任せしてよろしいでしょうか」

「まあそうですの?
ナタの時はアルの髪の色の藍色でしたわよね?」

「はいそうでございますわ。
今でも公の場では藍色ばかりで違う色を着たいのが本音ですけれども」

ナターシャ殿下が王妃殿下に話しかけられて苦笑いを溢す。

「あら、それはわたくしもよ。
陛下が色は必ず藍色とおっしゃるからたまには違う色を着たいわよね。

そういえばヴァネッサも紫ばかりですわね」

「ええ、王妃殿下。

正直私も紫以外を着てみたいと思っていますが、そうもいかないようで」

ヴァネッサは困ったような笑む。

「ふふっ本当に仕方ないわよね~。
瞳の継承者の殿方は独占欲も強いから」

前にヴァネッサお姉様とミーナが瞳の継承者の男性は一途で愛が重いって言っていたけれ、やはり陛下もそうなのね。

「今回は婚約式だからお互いの色を纏うものがいいわね。

銀のドレスに金糸の刺繍と宝石を取り入れましょうか」

「そうですわね。
セントから文句が出ないようにしなくてはならないでしょうね。

ミーナ嬢はジョルジュ殿の色だと黒になってしまうからドレスの色自体は自由なのよね?」

「はい、王妃殿下。
私の場合はドレスの色自体は好きな色を選ばせてもらっています」

ミーナも王妃殿下がいるから普段より緊張している。

「そうね~黒いドレスが駄目な訳ではではないけれど、通常お祝いの場では女性は黒を着る方はあまりいないし、ミーナ嬢のような可愛らしい方は淡い色の方が似合いそうだものね。

ミーナ嬢は何かデザインでエンヴェリカ嬢に合いそうなものの意見ありまして?」

「はい!殿下ありがとうございます。

エンヴェリカはスラッとしていて背も高い方なので、スリムなものが似合うのではないかと思います」

ミーナは王妃殿下に聞かれても臆せず自分の意見をしっかりと言っている。

ミーナ凄いわ!

「うんうん、そうね~。

あまり派手にせずにシンプルにした方がエンヴェリカ嬢の良さが際立つと思うわ」

「ええ、わたくしもお義母様の意見に賛成でございます」

王妃殿下の言葉にナターシャ殿下がにこやかに微笑んで賛成する。

あれやこれやと意見が出て、布地を私の身体に当てられたり靴を試着したりと長い時間の打ち合わせになった。


打ち合わせが終わってから。

「エンヴェリカ嬢セントのことお願いしますね」

王妃殿下からそうお声をかけて頂いた。

「そんな…私の方こそよろしくお願い致します」

王妃殿下は人間でないような美しい微笑みを浮かべられてから部屋を出て行かれた。

その時は緊張で何も感じなかったけど、終わってからヘトヘトになった。


婚約式当日は朝早くから湯浴み、全身マッサージで身体の隅々まで磨かれてそれだけでもう疲れてしまった。

髪は緩く結ってもらって、金と銀の細工に金と銀に輝く宝石が散りばめられた髪飾りをつけてもらった。

ドレスはエンパアイアラインというもので、中をそんなに膨らませないものになった。
でもボリュームの少ないものだけどパニエも履かないといけないし、コルセットもきっちり締められた。

慣れないから苦しい~。

銀色のドレスで胸のところに金糸で刺繍がされていて、小さい金の宝石が散らされていて、腰から下も金糸の刺繍と宝石が散りばめられている。
腰から下は銀の薄めの生地がいくつか重なったもの私はそれが何というのかわかっていないけど、レースは控えめにされていてシンプルなもの。

胸のところに薄い布が花弁のように幾重にも重なっていて、鎖骨の辺りまで生地があるからそんなに胸が開いてなくて良かった。

でも今まで家で用意されたものより明らかに豪華で着てみると、本当に似合っているのか自信がない。

ロンググローブもドレスと同じ銀の生地で全体に金の刺繍と宝石が散らされている。

瞳の継承者は秘宝の石をペンダント、イヤリング、指輪にして瞳の継承者の伴侶がそのペンダントとイヤリングを公式の場ですることになっている。

黒の継承者の秘宝の石のペンダントとイヤリングは王宮の地下神殿に他の継承者の指輪と共に祀られているので、伴侶が公式の場でも付けることはない。

王族は金と藍の瞳の継承者で主である国王陛下の伴侶である王妃殿下は金色の秘宝のペンダントとイヤリング、後継者の伴侶は藍色の秘宝のペンダントとイヤリングをする。

私は第二王子殿下の伴侶となるので、秘宝の石を身につけることはないが王族か、代々伝わる金の宝石のペンダントとイヤリングをつける。

マニュプレジデントという金の宝石らしい。

ペンダントはかなり大きな石で結構重い。
イヤリングは小ぶりながらシャラシャラと風に靡きそうな綺麗なもの。

何だか凄く重みを感じた。


それと今日は眼鏡を外してパーティーに出る。
公では初めてだ。
それもどう思われるか心配だ。

「エンヴェリカ様とっても美しいです」

クララが感激したように褒めてくれる。

「本当にお美しいですわ。
女神のようです」

「エンヴェリカ様はスタイルがとても良いので、このスタイルのドレスがとってもお似合いですわ」

「ええ、ええ、王妃殿下と王太子妃殿下が中心になられめて選ばれたとか。

本当に素晴らしいです」

侍女たちも褒めてくれる。

「ありがとうございます。
みなさんのお陰で勇気が出てきます」

私がお礼を言うと。

「まあ、エンヴェリカ様はもっと自信を持って下さいませ。

本当にお美しいのですから」

コンコンそこにノックの音が聞こえた。

「はいどうぞ」

私が答えるとセントバーナル様が入ってきた。

白に近いキラキラしている肩過ぎまであるプラチナブロンドの髪を青い組紐で緩く結んで、前髪は今日は上げていておでこが見えている。

おでこが見えるだけで精悍になるのね。

私と同じ銀の生地のフロックコートという長いジャケットと同じ生地のパンツ。
中のシャツは私の髪の色の薄灰色でシャツのボタンが深い青で私の瞳の色だ。

とてもスラッとしていて手足の長いセントバーナル様に似合っている。

ジャケットの胸のところと袖口に青糸の刺繍と宝石が散りばめられている。
ジャケットのボタンも青だった。

セントバーナル様も私の色を纏ってくれいる。

素直に凄くカッコいいと!と思う。

セントバーナル様は極上の美貌とか言われているけど、今日はとても男らしくてカッコいい!

カッコいいを2回言ってしまった。

「…」
「…」

2人でしばらく無言になる。

沈黙が続いて不安になってきた。
私似合ってない?

こんなに素敵なセントバーナル様の隣に立つ自信がないわ。

「あ、あの…セントバーナル様?似合っていませんか?」

私は不安になって顔を俯いてしまう。

「違います!

凄く凄く美しいてす!

ドレスもエンヴェリカのイメージにピッタリですし、まるで絵本の夜の妖精です!

ああ、どうしましょう。
エンヴェリカを見せつけたいような誰にも見せたくないような悩んでしまいます」

セントバーナル様がいつもより早口で捲し立てるように言ってくれたけど夜の妖精って!

褒め過ぎです。

「ありがとうございます。
セントバーナル様とてもカッコ良くて素敵です」

「ありがとうございます。
エンヴェリカにそう言ってもらってとても嬉しいです」

セントバーナル様と私はお互い顔を赤くさせてお互いを見る。

「…」
「…」

またお互いの間に沈黙が流れた。







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