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ニ十七話 学院復学とある騒動
しおりを挟む4の月になり新学期、セントバーナル様ミーナ、私たちは3年生になり私は復学した。
3の月にセントバーナル様と私の婚約が発表されてからの復学となった。
私はまだ王宮に居させてもらっているから王宮から学院に通うことになった。
事件についてはあまり詳細を教えてはくれなかったけど、解決に向かっているからエンヴェリカは何も心配しなくて良いとセントバーナル様が言ってくれたので、私は事件のことはすべてお任せすることにした。
不安がない訳ではないけれど、私が何か出来る訳ではないからね。
それとセントバーナル様から眼鏡をするかしないかはエンヴェリカに任せます。
私はどちらのエンヴェリカも素敵なのでどちらでも構いませんよと言われた。
セントバーナル様はどんな私でも褒めてくれる。
嬉しいけど、恥ずかしい。
たぶん婚約式の時は眼鏡を外す方がいいと思うけど、学院は眼鏡をしたままで行こうと決めて、自分で作った眼鏡をした。
なので私は王宮から殿下と同じ馬車に乗って学院に向かった。
この国では婚約期間中に婚約者の邸で暮らすことは認められている。
人によって年の期間はまちまちらしいが、伯爵位以上の高位貴族は王宮に出仕するのが義務となっているので、当主の伴侶等が主に領地経営に関わることが多いので、婚約すると各々の領地経営などの教育の為、婚約者の邸で生活することは珍しくないそうだ。
だから同じ邸に暮らす婚約者同士や別に暮らしていても婚約者を迎えに行って、同じ馬車に乗って学院に通学することは普通となっている。
婚約者なら当たり前のことなのかもしれないけど、ドキドキして馬車の中でセントバーナル様と何を話したか覚えていないくらだった。
馬車止めに到着して、セントバーナル様が先に下りて私をエスコートしてくれた。
10の月以来の学院でセントバーナル様との婚約も成立していて、凄く緊張している。
身体が震えそうになるのを必死に堪えた。
馬車から下りると、結構人が集まっていて周りがザワザワした。
そりゃ注目されてるよね。
入学当時はあれほど目立ちたくないと思ったのに、まったく逆になっていることに信じられない気持ちと緊張で胃が痛くなってきた。
セントバーナル様と婚約した後ではあるけれど、今セントバーナル様も一緒にいるからか、何か言われたりということはなかったし陰口なども聞こえてこなかった。
馬車からセントバーナル様と下りた時はザワザワしたけど、予想したより静かだと思った。
王宮で、試験を受けてSクラスに留まれることが決まって、殿下にエスコートされながら教室に向かった。
教室に入ると、ザワザワしたり悲鳴が聞こえてきた。
悲鳴は令嬢たちだろう。
セントバーナル様は非常に人気があるから私なんぞが婚約者になったことに納得していない令嬢がたくさんいるのだろう。
私のことを目の敵にしていたアンピニア伯爵令嬢は2年生から引き続き3年生でも同じクラスではないようだけど、他の令嬢たちの鋭い視線が突き刺さってくる。
それでも教室に入ると、ミーナも近寄ってきてくれてセントバーナル様と共に私を守るようにさり気なく席に案内してくれた。
ミーナがすぐ前の席でセントバーナル様が隣の席だった。
先生が教室に入ってきてから新学期の説明が行われた。
今日は授業がないから説明が終わったら下校していいことになっている。
先生の説明が終わってから再びセントバーナル様にエスコートされながら馬車に向かって歩いていき、馬車に乗り王宮に向かって帰った。
新学期から1週間程は周りがザワザワしたり、私に向けられる視線が突き刺さってくるものだったけど、何事もなく済んでいた。
しかし1週間後にそれは起こった。
昼休みになり、セントバーナル様とミーナと共に食堂に向かって廊下を歩いている時に突然後ろから大きな声がした。
「何よ!あんたのあんたのせいなんだから!あんただけし…!ぐぅっ……!」
女性の金切り声が聞こえて振り向くと、かなり離れた距離だったけど、テンクラビィ子爵令嬢がいて既にセントバーナル様の護衛?2人に取り押えられていた。
通常学舎内は護衛や従者使用人の出入りは許可されていないけど、セントバーナル様は王族だから認められたのだろうか?
確か以前はセントバーナル様の護衛や従者も学舎には出入りしていなかったはずでは?
「あっ!…」
テンクラビィ子爵令嬢はオマール様の婚約者の令嬢だ。
オマール様はまだ王宮に捕らえられているらしい。
でもオマール様が捕らえられたことや、今も拘留中であることはまだ表沙汰にはなっていない。
極秘事項となっていて、オマール様は病気療養中ということになっている。
テンクラビィ子爵令嬢は騎士2人に両腕を取られて膝まづいている。
そしてすぐ様猿轡をされたみたいでくぐもった声で何かを叫んで、苦しい態勢だろうに私を見上げて鋭く睨み付けてくる。
離れた距離でもそれがわかった。
「っ…!」
私は声が出てこない。
「連れて行け!」
セントバーナル様が凍えるような冷たい金の瞳で、低い声で護衛に命令してテンクラビィ子爵令嬢は何かを叫んで激しく抵抗していたけど、どこかへ連れて行かれた。
「エンヴェリカ大丈夫ですか?」
セントバーナル様が私の身体を支えながら心配そうに私を覗き込んでいる。
「あっ…大丈夫です。
あの…」
「話は後です。
とりあえず行きましょう」
私は口を閉じてセントバーナル様に腰を持たれて支えられながら歩き出した。
ミーナが反対側の私の隣にいて心配そうに私を見ながら歩いている。
テンクラビィ子爵令嬢はどうなるんだろう?
オマール様のことは極秘事項だからいくら婚約者でも知らないはず。
でも彼女は私に怒りを顕にして文句を言ってきた。
いったいどういうことなんだろう?
セントバーナル様が別のところでお昼を食べましょうと言って、食堂ではなく学舎から一番離れた庭のガゼボに連れて行かれた。
そこは学舎から離れているので、昼間はそんなに人がいないところだけど人払いをしたのか私たちしかいなかった。
ガゼボにセントバーナル様、ミーナと一緒に座る。
「エンヴェリカ、ミーナ嬢すみません。
とりあえずここに食事を運んでもらいます。
食べてから話します」
「セントバーナル様謝らないで下さい」
「そうですよ!大丈夫です!」
私とミーナが言うと、セントバーナル様は少し微笑みを見せてくれた。
先程までは厳しい表情をしていた。
王宮から派遣されている侍女たちがガゼボのテーブルにサンドイッチや果物、ケーキにお茶を用意してくれた。
セントバーナル様に食べてからと言われたけど、私はまったく食欲が湧かない。
でも食べないと、セントバーナル様にもミーナにも心配をかけてしまうと無理矢理口に押し込んでお茶で流し込んだ。
食事が終わってお茶を飲んで少しの時間が経った時。
「殿下私は戻っておいた方がいいのではないですか?」
ミーナがセントバーナル様に聞く。
「そうですね、ミーナ嬢すみません。
ちゃんと護衛も付いてますので、安心して下さい」
「はい!殿下ありがとうございます!
じゃあエンヴェリカ後でね」
「ミーナごめんなさい」
「何でエンヴェリカが謝るのよ!
何も悪くないじゃない?
気にしないでね、じゃあね」
そう言ってミーナは護衛が3人付いて学舎の方へと歩いて行った。
「エンヴェリカ申し訳ありませんでした」
「ちょっと、どうしてセントバーナル様が謝るんですか?
私何もされてないですよ!
何か言われましたけど…。
でもテンクラビィ子爵令嬢が何か言っただけで、捕らえられてしまうなんて…」
私はテンクラビィ子爵令嬢のことが心配になった。
「エンヴェリカは優しいですね。
私の婚約者に暴言を吐いたのだから当然のことです」
セントバーナル様はスンッとした顔をしている。
「暴言って…テンクラビィ子爵令嬢はあんたのせいだと言っただけですよ?」
テンクラビィ子爵令嬢はあんたのせいだと言った。
あんただけしの後、口を塞がれてしまったけど、あんただけ幸せになるなんて許せないってことだったんだろうか?
「完全な八つ当たりの暴言です」
セントバーナル様は目を細める。
何だか怒ってる?
「テンクラビィ子爵令嬢はオマール様のこと知らないんですよね?」
私が聞くとセントバーナル様が頷く。
「ええ、オマールは領地で病気療養中ということになっています。
ヴォンドウェル伯爵は事情を知っていますので、面会を希望しても会えないと言われたのでしょう。
しかしそれでもテンクラビィ子爵令嬢がエンヴェリカに暴言を吐くのは筋違いです」
「私はテンクラビィ子爵令嬢とは学院に入学してから見かけた程度なのですけど、彼女は何かを知っているのでしょうか?」
私は気になったことを聞く。
「オマールの取り調べではテンクラビィ子爵令嬢に元は自分はエンヴェリカと婚約するはずだったと話していたようですね」
「えっ?」
オマール様がそんなことをテンクラビィ子爵令嬢に話していたの?
オマール様と私が婚約するはずだったという事実はないのに。
「テンクラビィ子爵令嬢はオマールが捕らえられて、学院に来なくなってからしばらく通学していましたが、あの事件から1ヶ月程でオマールの有責で婚約破棄となり、その後学院を休んで領地に戻っていたようです。
ずっと休学していたのですが今日復学したようで、復学してすぐ事を起こしてしまいました」
「テンクラビィ子爵令嬢は私のせいでオマール様との婚約が破棄になったと思っているのでしょうか?」
確かにオマール様が有りもしないことを言ったことで、テンクラビィ子爵令嬢が私のせいだと思った八つ当たりではあるようだけど、テンクラビィ子爵令嬢も被害者ではないだろうか。
だからと言って暴言を吐いていいことではないけど…。
「そのようですね…」
「そうですか…」
何だかテンクラビィ子爵令嬢が可哀想な気持ちになった。
「エンヴェリカが責任を感じることはありませんよ。
例えテンクラビィ子爵令嬢がオマールの話を聞いて、エンヴェリカに対して逆恨みをしたとしても悪いのはオマールです。
それでエンヴェリカを責めるのは間違っています。
それも恐らくちゃんと調べもしないでオマールの発言を丸々信じていたのなら許されることではありません」
「そうですが…テンクラビィ子爵令嬢はオマール様を信じていたんでしょうから何だか…」
私は複雑な気持ちになった。
「テンクラビィ子爵令嬢をエンヴェリカに近づけさせないようにしていましたが、まだ何もしていないのに口を閉じさせることが出来ませんでしたので、あんなことになってしまいました。
私の責任です。
申し訳ありません」
ふぅとセントバーナル様が溜息を吐いた。
「セントバーナル様謝らないで下さい。
何も悪くないじゃないですか。
それにだいぶ距離が離れていましたよ」
セントバーナル様が沈んだ顔をするので、私は声を大きくして言った。
「いえ、私の責任です。
テンクラビィ子爵令嬢が今日から復学しているのを知っていたのに…」
「でも何もしてこなかったら何も出来ないじゃないですか!」
「それでも復学を認めるべきではありませんでした」
「そんなこと!何も悪いことをしていないのにそんなこと出来る訳ありません!
自分を責めるのはやめて下さい!」
私の言葉にセントバーナル様は目を見開く。
「でもさっきのことで、オマールとエンヴェリカに何かあったのでは?と疑う者が出てきます」
セントバーナル様は自嘲するような笑みを見せる。
「そんなことはいいんです!
私は気にしません!
セントバーナル様はちゃんと私を守ってくれてます!
自分を責めるのはやめて下さい!」
セントバーナル様は私の言葉に眉尻を下げる。
「テンクラビィ子爵令嬢は私を見かけて離れた所から声をかけてきたんです!
あれは防ぎようのないことです!
私はセントバーナル様が私のことで必要以上に気にされていることが心配です。
私は大丈夫です!
守って下さってありがとうございます」
私は努めて笑顔で言った。
「エンヴェリカ…」
セントバーナル様が困ったような顔をしている。
私はテーブルの上に置いていたセントバーナル様の手をキュッと握った。
セントバーナル様がそれに驚いてそして顔を赤くする。
私はそれに恥ずかしくなって自分の手がピクッとなったけど、セントバーナル様の手を握ったまま。
「私も確かにビックリしましたよ。
突然何か言われて…でもセントバーナル様ならきっと守ってくれると信じていました。
私はセントバーナル様の婚約者になったらもっといろいろ言われると思っていました。
そりゃ正直あの事件のことは忘れていませんし、まだ怖いという気持ちもあります。
でもそういうことも全部含めてセントバーナル様が一緒にいて下さるなら大丈夫だと思っています」
「ありがとう、エンヴェリカ。
愛してますよ」
またセントバーナル様から告白された。
私はまた顔が発火したように熱くなる。
でも今はセントバーナル様から目を逸らさない方がいいと思い、セントバーナル様の手を握り続けて日に照らされて輝く金の瞳を見続けた。
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