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十九話 様子がおかしい殿下と大好きな人たちと私 ①
しおりを挟むお気に入りをして下さっている皆様、読んで下さっている皆様ありがとうございます。
2日のお休みを頂きましたが、本日から更新を再開させて頂きます。
よろしくお願い致します。
☆★☆
昨夜、殿下が夜には来れないとおっしゃっていた。
本当に私の部屋を殿下が訪れることなく翌朝になった。
お忙しいのだろうと思ったけれど、何だか殿下のことが気になった。
どういうところがと問われるとこれという確かなものではなく自分でもよくわからないけど、何だか自分の心の中に隙間が空いていて、風が吹いていて少し寒い?
いや、これは寂しいというのだろうか?
私はそうなる自分が何故かわからず、戸惑うのであった。
翌朝私は起きて身支度を整えてから、朝食を食べてからお父様とお母様の部屋を訪れて、少し話してからお父様とお母様と共に王宮内の私専用に作ってもらった魔道具研究スペースへと向かった。
お父様も王宮に滞在中は同じところで魔道具の研究をすることになったからだ。
お母様はお父様と一緒にいられればどこでも良い人なので、いつもニコニコと研究スペースの椅子に一緒に座っている。
部屋から出る時は今は眼鏡がないので素顔を晒している状態で、何だか慣れない。
今までも領地の邸や寮の部屋などでは眼鏡を外していたけど、眼鏡をつける姿で外出することが当たり前になっていたから違和感を感じてしまう。
もうオマール様に会うことはないだろうから顔を隠す必要もなくなったのだけど、でも学院に復学する時は今までのようにしようと思う。
そろそろ眼鏡の材料を揃えて作らないとね。
後でお母様に相談して材料を揃えてもらうことにしよう。
殿下が私の為に王宮内の魔法訓練所に魔道具研究スペースを作ってくれたのだ。
おまけに王立魔術研究所で使われている魔道具を作るのに必要な道具まで用意してくれてスペースに置いておいて下さっていた。
魔術研究所の魔道具の専門家様が実際に使っているものとまったく同じものらしく、殿下が私の為に用意して下さったと初めて研究スペースに殿下の側近のストレンダー様が案内して下さった時に聞いて、初めてそれを見た時は踊りださんばかりの歓喜の声を上げた。
その日の夜に殿下が部屋に来て下さった時に何回もお礼を言わせてもらった。
殿下もニコニコとして下さって嬉しかったな~。
私と両親が研究スペースに向かう時と部屋に帰る時は必ず殿下の側近のストレンダー様が案内して下さる。
最初は想像出来ないくらい大きく広い王宮内を自分たちだけで、移動して辿り着ける自信がなかったので、送り迎えをして下さって有り難いと思っていたけど、いつまでも殿下の側近様にそんなことをさせてしまうのはと、私たちだけで大丈夫ですと申し上げたのだけど。
「それは出来ません。
殿下の命令なので、私はそれに従っているだけなのです。
クエスベルト子爵令嬢どうかお気になさらず」
と微笑んで言われてしまった。
ストレンダー様は殿下の側近であるだけでなく殿下のお母様の王妃殿下のお兄様、クロードフィル侯爵様のご子息様だ。
そんな高貴な方が私たちなんぞの為にと思ったのだけど、ただにこやかな笑みを返してこられるだけでそのままやめて下さらないので諦めた。
ところで魔道具の研究は今は朝から殿下が学院から帰ってくるまでの時間と約束している。
私はもう元気なのだけど、殿下から私が心身共に元気になってからまた研究時間について相談しようと言われている。
研究時間についての相談と言っても、私が王宮にいる間だけだと思うから近々学院に復学したら、寮が駄目ならお父様がチラッと言っていた王都の邸から通うことになるだろうから、そんな必要なくなると思うんだよね。
でも私に気遣ってくれてる殿下に相談の必要ないなんて言えないよね。
なんて呑気に考えてたんだけど殿下が学院から戻って来られる時間が近付いてきたのをお母様に言われて気が付いて、私は部屋に戻って殿下が来られるのを待っていたんだけど。
殿下はいらっしゃった。
確かにいらっしゃったのだけど殿下が部屋に入ってこられて、挨拶をしてからほんの少しの時間で政務があるからと「また夜に」と言って殿下はすぐに部屋を出て行ってしまわれた。
殿下どうされたのだろう?
明らかに昨日までとは違うと感じた。
私の目を見ようとはされなかった。
そしてどこか思い詰めていらっしゃるようで、ピリピリとしたものを感じた。
その時は学院から戻られてから政務の時間の間の少しの時間だったので、殿下は今お忙しいのかなと思ったけど、その日の夜にも殿下は部屋に来られて私が今日何をしていたか聞かれたり、私が殿下に学院のことを聞いたりしたのだけど、いつもより早く自分の部屋に戻られた。
何だか元気がないように感じるのだけど、私の気のせいだろうか?
けど、それからも殿下の様子は変わらなかった。
殿下が学院から戻ってからと夜の時間に来て下さるのは今までと変わらないのだけど、どこか今までと雰囲気が変わっていて、そして余所余所しい感じがするのだ。
やっぱり私と目を合わせてくれない。
でも今までと言いながら私が王宮に滞在してから数日のことだ。
もしかしたら私が殿下にご迷惑をかけているのかも?
そうだよね、いくら事件があったからって、殿下が言って下さったからって私なんかが王宮にずっと滞在しているなんて、恐れ多いことだし厚かましいことだよね。
私がそんなことにも気付かず、殿下が私専門の魔道具研究スペースまで用意して下さったことに良い気になって甘えてしまっていたんだ。
殿下に何て厚かましい女だと思われているのかもしれない。
どうしよう?
早く王宮を出て行かなければならないんじゃないだろうか?
お父様とお母様にそのことを相談しようと思ったのだけど、あと数日で領地に帰ってしまうお父様とお母様に何故か相談することが出来なかった。
そんな中、お父様とお母様が領地に帰ってしまった。
とっととお母様に相談するべきだったと後悔した。
お父様とお母様が領地に帰ってしまった翌日、殿下からミーナとヴァネッサお姉様が私に会いたいと言って下さっていると聞いた。
「ミーナとヴァネッサ様の迷惑でなければ?」
と私が言うと。
「エンヴェリカ嬢何で迷惑だなんて言うんですか?
ミーナ嬢とヴァネッサ夫人はそなたに会いたいと言っているんですよ?
そなたが会いたくないとかですか?」
殿下が心配そうな顔で私を見てこられた。
「いえ、そんなことありません!
私はミーナとヴァネッサ様に凄く会いたいです!」
「そうですか、良かったです。
それではすぐにでもこちらに来てもらうように連絡しますね」
と殿下に言って頂いて私は。
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
元気に返事するようにした。
殿下のことが気になって仕方なかったけど、私は殿下に何も聞くことが出来なかった。
それから数日後、ミーナが学院が休みの日にミーナとヴァネッサお姉様が王宮に来て下さることになった。
ミーナとは学院で毎日のように会ってたから何だか久しぶりな感じがして会えるのをとても楽しみだ。
ヴァネッサお姉様とも凄く会いたい。
二人が私が滞在している王宮の部屋に来てくれるのを朝から楽しみにしていた。
ミーナとヴァネッサお姉様はお昼前に部屋に来てくれた。
「エンヴェリカ!」
ミーナが扉が開いてすぐに私に歩み寄ってきて、抱きしめてくれた。
「ミーナ様会いたかった!」
「私もよ、エンヴェリカ!元気そうで本当に良かった」
私より背が低いミーナが私の肩口に顔をグリグリ押し付けてくるのが可愛い。
「ふふふっ、ミーナったら挨拶もせずにいきなりエンヴェリカに抱き付いていくんだもん」
ヴァネッサお姉様がミーナと私の様子を見て可笑しそうに笑う。
「あっ、ごめんなさい」
ミーナが抱きしめる腕を離して。
「エンヴェリカ、ごきげんよう」
とカーテシーをしながら挨拶してきた。
私もカーテシーをしながら。
「ヴァネッサ様、ミーナ様ようこそおいで下さいました」
と遅くなったけど、挨拶をした。
「エンヴェリカごきげんよう。
私も抱きしめていいかしら?」
「ヴァネッサ様もちろんです」
私の返事を聞いてからヴァネッサお姉様がゆっくり歩み寄ってくれて、私を抱きしめてくれた。
「本当に元気そうで良かったわ。もぉ~エンヴェリカにはいつもの呼び方をして欲しいわ、お願い」
「私もよ、様なんてやめて」
ヴァネッサお姉様はイタズラっぽい言い方をされる。
年上の奥様でもうお子様もいらっしゃるのにとても可愛らしい。
ミーナも唇を尖らせて拗ねた口調で言う。
ミーナも相変わらずいつもどんな時でも可愛い。
「場所が場所ですので、いつもの呼び方ではと思ったのですがありがとうございます。
甘えていつもの呼び方にさせて頂きます」
ヴァネッサお姉様が抱きしめながら私に声をかけてくれながら、背中をポンポンと優しく叩いてくれた。
その時、私は何故かジワッと涙が滲んだ。
何故?駄目!こんなとこで泣いちゃ駄目だと思ってグッと堪える。
「エンヴェリカ!どうしたの?身体がまだ辛いの?大丈夫なの?」
「えっ?」
ミーナに言われて、泣きそうになっているのが、ミーナに見えてしまったようだ。
「ち、違うの。ミーナとヴァネッサお姉様に会えて…それで嬉しくて…」
何とか誤魔化そうとしたのだけど、出かかっていた涙を堪えようとしたけど、ポロッと流れてしまった。
「エンヴェリカ!ちょ、ちょっとどうしたの?
体調が良くないって聞いたけど、まだ辛いんじゃないの?
医療師を呼んでもらわないと!」
ミーナとヴァネッサお姉様には事件のことは知らされていないと殿下から聞いている。
ミーナが焦って私の体調がまだ良くないと心配をしている。
「ミ、ミーナ違う!本当に違うから大丈夫よ」
私は必死で何もないと首を横にフルフル振る。
「ミーナ落ち着いて。
とりあえず二人とも座りましょうか。
座ってからゆっくりお話しましょう。
お茶の用意をお願いしてもいいかしら?」
ヴァネッサお姉様が落ち着いてクララの方を見る。
「はい、ヴァネッサ様。
もうすぐお昼ですので、お食事の用意も承っておりますが、お食事はいかが致しましょうか?」
クララがヴァネッサお姉様にお伺いを立てる。
「そうね~ミーナ、エンヴェリカお食事はもう少し後でいいかしら?
お茶を飲みながら少し3人で話さない?」
ヴァネッサお姉様に言われて、ミーナも私も頷く。
「じゃあ座りましょう。
ミーナはエンヴェリカの隣に座らせてもらって、私はこちらに座るわ」
ソファに私とミーナが隣で、ヴァネッサお姉様が私たちの正面に座った。
お茶を用意してもらってからヴァネッサお姉様が人払いをしたので、クララと私の担当をしてくれている侍女たちが部屋を出て行った。
「さあ、お茶でも飲んで二人とも落ち着いて!」
ヴァネッサお姉様に笑顔で言われる。
「はい…ごめんなさい」
ミーナが謝る。
「ミーナが謝ることなんてないわ、私が私が悪いんだもの…」
言っている間に落ち込んでしまう。
「エンヴェリカ、何か心配事があるんじゃないの?
何か思い詰めているみたいに見えるわ」
ヴァネッサお姉様に言われて、また涙が決壊しそうになる。
「ここには私たちしかいないわ。
泣きたければ泣いていいのよ」
ヴァネッサお姉様の優しい笑顔を見ていると、もう堪えられなくて涙が溢れてきた。
ミーナがすぐにハンカチを出して私の涙を拭いてくれる。
ヴァネッサお姉様とミーナの優しさにもっと涙が溢れてくる。
ヴァネッサお姉様とミーナは私の涙がおさまるまで、静かに待ってくれた。
「申し訳ありませんでした」
私はミーナとヴァネッサお姉様に向かい、頭を下げた。
「いいのよ。
何か心配事があるのかしら?
言いたくなかったら言わなくてもいいけれど、私とミーナに話して少しでも楽になるなら話してみない?」
ヴァネッサお姉様にそう言われて、私は頷いた。
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