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十四話 私の愛する人を害そうとする者は絶対許さない ③
しおりを挟むセントバーナルside
あの男、ヴォンドウェル伯爵家のオマールを見るとその場で殺してやりたいと思ってしまうけど、ちゃんと取り調べを見ておきたい。
私が取り調べが行なわれている王宮のとある部屋へ向かうと、オマールがちょうど自白魔法をかけられているところだった。
自白魔法は事実を話さなかったり、隠そうとすると全身に刺すような痛みが生じる。
「うわあぁぁぁぁぁー、い、いだいぃー」
と絶叫のような悲鳴を上げながらオマールが自供していく。
オマールは学院に入学してしばらくしてから学院内ではなく王都の街で1人でいるところを見知らぬ男にいきなり話しかけられたという。
その得体の知れない男に自分はエンヴェリカと友人関係にある女生徒の知り合いで、エンヴェリカの情報を知っていると言われて簡単に信じた愚かで間抜けな男だ。
その男が知り合いと言った女生徒は現実にSクラスにいたが、エンヴェリカと彼女は友人関係どころか話したこともないと思われる。
オマールはその女生徒本人に確認も取っていなかった。
オマールの話ではその男たちに巧みに言いくるめられて、その女生徒とは話したこともないと言ったのだ。
何故学院関係者でもない、その女生徒との繋がりも本当かわからないような男の話をどうして鵜呑みに出来るのか信じられない。
オマールはその男からエンヴェリカは今だにオマールのことを忘れられないでいる、好きなのだ。
オマールが婚約者といるのをいつも見つめて悲しんでいると聞かされたのだと言う。
そして私と親しげにしているのもオマールにもっと嫉妬して欲しいからだとも。
それをオマールは本気にした。
だが、相手も用心深いのかオマールと外で会う場所も度々変えて、オマールが最初の1人男の慣れて信じ込むようになった頃に相手も変わったりしたという。
違う男や女に。
会った者から次の落ち合う場所を聞いて、目印は黄色のハンカチーフをもった平民風の男か女。
オマールはその複数の黄色のハンカチーフの男や女たちにエンヴェリカの話をされ続けたらしい。
まるで洗脳のようだな。
エンヴェリカはオマールのことを好きだが、オマールに婚約者がいるから自分からは話しかけられないと悩んでいる、オマールと婚約者が一緒にいるのを見るたびに心を痛めていると。
その話を聞いているうちにオマールはエンヴェリカの行動を逐一監視するようになったという。
私がエンヴェリカの気持ちを自覚してからこちらもオマールを監視していたが。
2年生になってから私やミーナが常に側にいて目を光らせるようになり、卒業したジョルジュも折に触れて学院にやってきて手助けしてくれるようになったからか、嫌がらせはなくなった。
しかしどこの誰だかまだわからないが、決して諦めていなかったのだ。
それどころかエンヴェリカを完全に排除しようと行動に起こした。
それがオマールを使って起こった昨日の出来事だ。
ある日、オマールはエンヴェリカを攫ってくるから既成事実を作ればいい。
そうすればエンヴェリカも望むオマールと婚約が出来て喜ぶはずだと誑かされたのだ。
オマールは濃いグレーの髪の琥珀色の瞳の男については一度だけ、黄色のハンカチーフをもった男と共に会ったことがあると言った。
名前や素性は聞かされなかったがその濃いグレーの髪の男が寮の料理人に変装してエンヴェリカを寮から攫い、廃墟まで運んでオマールに引き渡して、その廃墟でエンヴェリカと二人きりにしてやるから廃墟で待っているように言われたのだという。
オマールが何故騎士たちが見張りをしている廃墟に気付かれずに侵入することが出来たかだが、それは黄色のハンカチーフを持った男に魔道具を渡されたのだという。
その魔道具を使ってまた違う黄色のハンカチーフを持った男と一緒に騎士たちに気付かれることなく廃墟に侵入出来たのだと証言した。
しかしオマールはその魔道具を持っていなかった。
オマールが廃墟に侵入すると、一緒に侵入した黄色のハンカチーフを持った男がオマールが持っていた魔道具を回収して、去って行ったのだという。
恐らくその黄色のハンカチーフを持った男はオマールが使った魔道具と同じものを使用して、オマールと一緒に廃墟に侵入してからオマールの魔道具を回収し、自分は再び魔道具を使用して外の見張りの騎士たちに気付かれないように姿を消したのではないだろうか。
そこも証拠を残さない、用意周到でかなりの用心深さだ。
寮の料理人に変装した濃いグレーの髪の男も騎士たちに気付かれることなく、廃墟に侵入してエンヴェリカを置いて去って行ったという。
濃いグレーの男も魔力の擬態のようなものや変装とは別に廃墟に侵入する時は姿を見られていないからオマールと同じ魔道具を使用したのだろう。
しかし何故寮から出る時は料理人に変装して、廃墟に出入りする時は見つからないようにしたのだろう?
エンヴェリカを薬で眠らせる時はエンヴェリカに自分の正体がわからないように変装することはわかる。
しかし姿を見せないように出来るのであれば、寮を出る時も同じ魔道具を使えば良かったのではないだろうか?
そこにも何かあるのだろうか?
魔道具は幻覚魔法か何かを付与したものだったのかもしれない。
とにかく濃いグレーの髪の男を捕まえないとわからないことが多いな。
スペンサー殿がきっと捕まえてくれるだろう。
ところでオマールという男の話を聞いていると、頭が痛くなってくる。
全部自分の都合の良いように考えて身勝手な主張をする男だ。
エンヴェリカが自分を好きなのだと何回も言っていた。
自分もエンヴェリカをずっと好きなのに周りにずっと邪魔されてきたんだと言ったのだ。
エンヴェリカの容姿が変わって一度は自分で去ったくせに。
エンヴェリカ本人に確認した訳でないのに他人からの話を自分の都合の良いように歪曲して考え思い込んで、行動に起こしたのだ。
洗脳されたのかもしれないが、オマール本人の人間性にも問題があったとしか思えない。
本当に自分本位な気持ち悪い男だ。
オマールの言う協力してくれている人というのが、間に人を何人も挟んでいて、巧妙で狡猾でオマールの証言では黒幕まで辿り着けなかった。
かなり用心深く、用意周到で間に何人もの人間を介しているようで、尻尾を掴むのに骨が折れそうだと思った。
どこかの組織が絡んでいるのかもしれない。
廃墟を見張っていた男はジョルジュが見つけてくれて、ジョルジュの部下が後をつけて行き、監視を続けている。
相手側にかなり魔術魔法に精通している者がいるかもしれないから、優秀なジョルジュの部下に監視してもらった方がいいだろう。
そこから糸口を掴むしかないのだろうか?
まだ1日しか経っていない。
オマールの共犯者たちを捕らえたり、監視を続けて黒幕に辿り着く糸口を掴みたい。
オマールの処分については後日となるだろうが、しばらくは牢の中だ。
もう日の目を見ることはない。
オマールの家、ヴォンドウェル伯爵家も処分することになる。
以前も調べていたが、オマールの家のことはもう一度念の為に調べるが、現当主やその伴侶、弟や妹はまだ幼く関わっていない可能性が高い。
家自体後ろ暗いこともしていない当主は真面目で堅実な男だ。
昔にエンヴェリカの家から見合いも婚約も断られても、勝手に先触れもなくいきなりエンヴェリカの元に通っていたオマールに、両親が散々叱り説得したことは調べてわかっている。
オマール以外はまともらしい。
だからといって伯爵家が何のお咎めなしとはいかないだろう。
オマールの処分が決まってから家も処分することになる。
エンヴェリカにはしばらくは学院を休んでもらって、王宮で保護することにする。
暇を持て余すだろうから王宮内でも魔道具の研究が出来るように、設備を整えてあげよう。
エンヴェリカは私のことを嫌いではないだろう。
それにオマールが迫ってきた時に私に助けを求めたと言っていた。
鈍感なんだろうけど、私のことを少しは思ってくれていると思っていいのかな。
これからもエンヴェリカに私の気持ちを言葉と行動で表し続けて、私を好きになってもらえるように頑張るつもりだ。
そしていつか思いが通じ合った時にエンヴェリカと婚約してそして結婚したい。
その為なら私はどんなことでもするつもりだ。
エンヴェリカを害そうとしている者たちを探し出して、根こそぎ捕まえて裁きを与えてやらないと気が済まない。
☆★☆
エンヴェリカside
殿下にしばらくは学院を休み、王宮に留まってもらうと言われた翌日。
殿下は1日だけ休んで学院に通うようなったと殿下から聞いた。
殿下は帰ってきてからも忙しそうで、学院から帰ってきたらすぐに顔を出してくれるが、すぐに政務があると部屋を出て行き、夜に1時間くらい部屋で会って話すくらいになった。
王宮に来てから3日目の夕方にお父様とお母様が来てくれた。
部屋に入ってきたお父様とお母様を見たらやっぱり涙が出てきた。
お母様も涙を流しながら私を抱きしめてくれて、お母様と私をお父様が抱きしめてくれた。
しばらく泣きながら抱き合っていたけど、落ち着いてから侍女がお茶とお菓子を用意してくれて、私の両隣にお父様とお母様が座ってくれて話をした。
「そのな、…エンヴェには言ってなかったし、手紙にも書いてなかったがセントバーナル殿下とは通信魔道具でずっとやりとりさせてもらっていたんだ」
「えっ?いつから?」
お父様から聞かされて私は目を見開いた。
「えっと…マリー?」
お父様いつからか忘れたの?
「あれはエンヴェがもうすぐ2年生になる前の3の月くらいからだったわ」
「そんなに前から?」
お母様から聞いて驚いた。
「ええ、マーロンド様からヘンドにセントバーナル殿下がお話したいことがあるとおっしゃられているから、通信魔道具を繋げていいか?聞かれてね。
エンヴェに何かあったのか?って凄く心配したわよ。
実際いろいろとね、あったわよね?
でもセントバーナル殿下がわたくしたちと密に連絡を取りつつエンヴェを守って下さるとおっしゃられるから大船に乗ったつもりでお任せしたのよ」
お母様が何でそこでえっへんと胸を張るのよ!
「どうして私に教えてくれなかったの?」
私当事者よ!
「それは殿下がいずれは自分からエンヴェに話すからとおっしゃったからよ!ね、ヘンド」
「そ、そうだな」
何かお母様ウキウキしてるんだけど、どういうこと?
「そうなの…」
「で、殿下から聞いたんでしょ?」
「何を?」
私が首を傾げると。
「嫌だわ~そういう鈍感なところ本当にヘンドにそっくりね」
お母様がウィンクする。
お母様のさっきの涙は何だったんだろう?
もうすっかりいつものお母様だわ。
きっと私のことを気遣ってわざと明るくしてくれているんだろうけど。
「エンヴェ、身体の健康状態を計測する探知の魔道具を研究してるらしいな」
お父様が急に話題を変えてきた。
ちょっと殿下!
お父様に内緒にしていたのに言ってしまわれたのね。
「はい、ずっと失敗続きだけど…お父様!この研究は私がやり遂げたいから!お父様ならすぐに出来るかもしれないけど、私にやらせて下さい」
私は頭を下げた。
「何を言ってるんだ、エンヴェ。
もちろんだよ、それはエンヴェの研究だからね。
それに私でもすぐに出来るものではないよ。
それくらい高度な分野だからね。
諦めずに信じて研究し続ければエンヴェならきっとやり遂げられるよ」
「お父様ありがとうございます!」
「殿下がね~エンヴェの研究を何回も凄く褒めて下さってるのよ~」
お母様がふふふっと嬉しそうに笑う。
「そうなんですか…」
私は何て言っていいかわからず、恥ずかしくなって声が小さくなっていく。
「とにかくエンヴェが無事で良かったわ。
今はとにかく身体を休めてここでお世話になりなさい」
「お母様?」
お世話になりなさいってここ王宮ですよ?
「まあ、問題が解決した後なら王都の邸から学院に通ってもいいんじゃないか?」
「ヘンド何言ってるの?殿下が王宮でって言って下さってるのだからそれでいいんではなくて?」
お父様が言ったことにお母様がすぐ反論する。
お父様も問題が解決しても今後寮から通うのは反対ということかしら?
王都の邸だと使用人を新たに雇わなければならないけど、いいのかな?
それからずっとお父様とお母様が喋り続けて、ほとんどお母様が1人で喋り続けていて私が口を挟む間がなかった。
呆気に取られたけど、いつものお父様とお母様で私は気持ちが解れてほんわかとした。
お父様とお母様は敢えて何も聞かずいつものままでいてくれたのかもしれないな。
ありがとう、お父様お母様。
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