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十三話 私の愛する人を害そうとする者は絶対許さない ②
しおりを挟むセントバーナルside
私が学院に入学してエンヴェリカも同じ歳で同じSクラスだった。
最初は地味で顔が隠れる程、大きな眼鏡をしていて誰にも興味を示さない変わった令嬢だと思ったが、私はさほど興味を持たなかった。
あの頃はエンヴェリカだけでなく誰に対しても興味がなかった。
同じ瞳の継承者のジョルジュに対しても兄上が10歳くらいの頃に「私より2歳年下なのに凄い天才がいるんだ。私はまだまだだよ」って言っていて、それがジョルジュのことだと知っても兄上が言うくらいだから本当に天才なんだなと思ったくらいだった。
ジョルジュとも今のように親しくなったのはエンヴェリカがきっかけだった。
エンヴェリカにもっと近付きたいと思ってミーナ嬢とジョルジュに相談をしたのがきっかけで、ジョルジュとは気のおけない言いたいことを言える仲になった。
今まで家族以外で親しい人は兄上の幼い頃からの友人のクリスと兄上の婚約者のナタだけだった。
家族以外すべて兄上と繋がりのある人物だけというのが、私がいかに人と会話して交流することが苦手で、兄上がいないとろくに人と話せない人間だったかがわかるだろう。
兄上の婚約者のナタは貴族令嬢らしくない破天荒なところのある令嬢で、裏表のない言いたいことを言う性格だ。
でも時と場合に合わせて貴族令嬢としての振る舞い言動も出来る人。
普段は弟のように私を可愛がってくれる人だ。
ナタから私にあれこれと構ってくれたから親しくなれた。
そしてナタはとても聡い人だから私が構わないで欲しい時にはそっとしておいてくれる人なので、私にとって気楽に接することが出来る存在である。
クリスの方はクリス自身もヴァネッサ殿と結婚するまでは人に興味がないというより、家族の父上ランドル殿以外では自分から近寄るのは兄上とナタだけで、他の人間を嫌い寄せ付けない人だったから私と親しいかと言われれば、そうではないになる。
ある一定の距離はあった。
だが、クリスが私を嫌ってはいないことはわかっていたし、クリスも裏がまったくない人だ。
クリスと距離はあり、そんなに話すことはないけど、家族と同じくらい信用出来る人だと私は思っていた。
けど、クリスがヴァネッサ殿と結婚して随分変わったのがきっかけで気軽にお互い言いたいことが言える関係になった。
人のことは言えないが、人はこれほど変わるものなのかとクリスを見て思った。
しかしひとつ付け加えるとヴァネッサ殿とナタ以外の女性に対しては変わらず寄せ付けないようだ。
そんな私だから生まれてから友人と言えるのはジョルジュが初めてだ。
話をエンヴェリカのことに戻すが私が誰にも興味がないまま入学してから3ヶ月程経った頃、エンヴェリカがジョルジュの婚約者、ウォンタートル伯爵令嬢、ミーナ嬢と急速に仲良くなっていて、ジョルジュとも話をしたりするようになっていた。
それでもその時はミーナ嬢と仲良くなったんだな、周りの令嬢が何だかんだと嫌味を言っていて、その令嬢たちのことを人のことを論ってばっかりで、品のない自分を顧みることの出来ない愚かな者たちだと思ってエンヴェリカのことを気の毒に思うくらいだった。
それ以降もエンヴェリカは私には近付いてくることがなかった。
私を恐れるとかいうのでもなく、私を嫌っているような感じもしなかった。
ただ私に興味がないような感じだった。
エンヴェリカはジョルジュとミーナ嬢以外とは関わらないようにしているようだった。
そんな中、さらに数ヶ月経ったある日、昼間私は1人になりたくて影は付いているだろうし護衛を置いて、と言っても遠くからついて来ていただろうが、たまに行く昼間でもそんなに人が寄り付かない学院の裏手の庭へと向かった。
そこで魔道具の実験をしていたエンヴェリカに会ったのだ。
私はこんなところでしゃがんで何をしているんだ?失敗したとは?
私が「何をしてるんですか?」と声をかけたらエンヴェリカがビクッとして慌てて振り返って立ち上がった時に、目の端に魔道具が見えた。
それはクエスベルト子爵卿のものか?
そんなものを学院に持ち出して何をやろうとしているのか?
最初は怪しんでエンヴェリカに問い正した。
エンヴェリカは実験が失敗したからお父様のものだと思って欲しくない。
この魔道具は自分のものだと主張した。
エンヴェリカはSクラスだが目立った成績ではない。
魔道具を作るにはある程度の魔力が必要であると同時に魔術、魔法に関してかなりの知識がいる。
魔法陣を丸暗記したくらいでは簡単な魔道具でも作ることは出来ない。
学院で簡単な魔道具を作る授業があるが、それも魔法陣が描かれたものが予め用意されており、道具も魔力が通りやすいものが用意されていて、自分の魔力をその道具に通せば簡単に魔石に魔法陣が埋め込めるようになっている。
言えば、魔道具を作る手順を教わるだけと言っていい。
自分一人でいちから魔道具を作るには、魔術、魔法の知識に関してすぐに学院を卒業出来るレベル以上のものでないと難しいはずだ。
魔道具の権威クエスベルト子爵卿の息女であり、子息も魔道具の天才と言われ、エンヴェリカ自身もSクラスとはいえ、そんなに目立った成績ではない彼女が本当に魔道具など一人で作ったのか?と私は疑いの目で見てしまった。
それが気に入らなかったのか、エンヴェリカは口を尖らせて拗ねたと思ったら、怒って早口で捲し立て自分が研究しているものだと言い切った。
私相手にも臆さず、ちゃんと主張してくるエンヴェリカに驚いた。
少し興味を持って彼女がしている魔道具の研究内容を聞いて、それが大変素晴らしいもので、私は素直に感嘆した。
その後、エンヴェリカは話は終わったとばかりに、私との会話を早々に切り上げてすぐさまその場を足早に去ったが、私はそれがきっかけでエンヴェリカに興味を持つようになった。
それから毎朝エンヴェリカを見かけると「おはようございます」と挨拶したり、廊下や食堂で見かけると私から声をかけたが、エンヴェリカは何とも素っ気ない。
近寄ってくるなと言わんばかりの雰囲気を出して私を見てくる。
それでも私はエンヴェリカと話してみたいと思った。
それで何か話すきっかけを探して魔術、魔法のことを質問してみるとエンヴェリカは彼女の成績では考えられないくらい高度な質問にも難なくすんなりと答えた。
そのことでエンヴェリカは優秀で本来ならもっと成績が良いはずなのに、自分で調整しているのではないか?何故そのようなことをしているのだろう?と思うようになった。
何かとエンヴェリカのことが気になって目で追うようなったり、事あるごとに話しかけるようになった。
私はエンヴェリカを追いかけている内に彼女のことばかり考えるようになった。
しかしジョルジュ、ミーナ嬢だけでなく、私と接するようになってエンヴェリカは虐めの標的にされるようになった。
それは私にも原因がある。
私と親しくしているように見えるエンヴェリカに令嬢たちが、嫌がらせをするようになったのだ。
嫉妬か何か知らないが、本当に令嬢たちの程度の低さに呆れる。
しかしだからと言って私からエンヴェリカに近付かないようにすることが私には出来なかった。
もう少しでも近くにいたいと思うようになっていたのだ。
そんなことは初めてだった。
私は元来人と接するのが苦手で口下手だ。
幼い頃は常に兄上の後ろをついて歩いて、兄上が貴族令息や令嬢や王宮の役人たちと愛想良く話すのを兄上の背中に隠れて見ているだけで、兄上に進められたらやっと少し話す程度だった。
兄上は表面上とても愛想の良い人で誰に対しても態度が変わらない。
だけど、ちゃんと人を見ていてある程度話してみてどんな人間か把握する人だった。
そして表面上誰とでも打ち解けれるように見えるが、本当は自分がこの人と思う人以外は決して心を開かない人だ。
腹黒な面も持ち合わせている。
でも私はそんな兄上が大好きで憧れだった。
学術も剣術、魔法すべてに優秀なのにそれに奢らずに常に努力している人なのだ。
私はずっと兄上のようになりたいと思って、兄上の真似をして容姿も兄上のように髪を短くしたり喋り方も真似をして、少しでも兄上に近付こうと自分なりにあらゆることに努力をしていたつもりだったけど、学術以外は兄上には敵わなかった。
けれど兄上はそんな私に「私はセントになれないし、お前は私にはなれない。お前にはお前の良いところ、お前にしか出来ないことがあるんだよ。私はそれをちゃんとわかっていてお前を尊敬しているんだよ。お前は私にとって自慢の弟だ。ずっとね」と言ってくれた。
私は兄上からそう言われてから兄上の真似をするのをやめた。
でも私にとって兄上は眩しい目指すべき存在だった。
その兄上は3歳の頃には王太子妃になったベルナールド侯爵令嬢のナターシャと出会っていて、幼くしてナタを気に入ってもう逃さないとばかりに囲い始めていた。
兄上は幼い頃から一途にナタを愛している。
私が見ていても昔からナタ以外目に入っていない。
私はそんな兄上とナタを見ていて、幼い頃は自分にも兄上と同じく一途に愛する存在に出会えると思っていた。
でも私に近付いてくる令嬢は私の見目や地位にしか興味がないような人間ばかりだった。
私は人と接するのが苦手だが、その人間がどんな人間か一目見ただけですぐにわかった。
気のせいではなく、兄上や家族からも「セントの人を見極める力は天性のもの」とよく言われた。
私は自分にも兄上にとってナタのような存在が唯一の愛する人がすぐにでも現れると思ったのに、いつまで経っても周りの令嬢たちは私に媚びて擦り寄ってくる人間ばかりだった。
私はそのことに落胆した。
そしていつしか諦めてしまった。
私は愛する存在に出会えないんだと。
私は母上に似た自分の見目も好きではなかった。
王妃殿下によく似た圧倒的な美しさだとか絵画のように美しいとか、極上の美貌だなんて言われてもちっとも嬉しくなかった。
父上や兄上、兄上の親友ブレンダーザス公爵令息のクリスのように美しいと言われながらも男らしさのある格好の良い人間になりたかった。
でも私は父上や兄上のように身体に筋肉がなかなか付いてくれない。
何もかもが自分の思い通りにならない。
そう思い出してから私は家族や幼い頃から仲の良い人間以外と極力会わないようになっていった。
公の場にも出なくなり、その分学術や剣術、魔法などを必死に勉強したり鍛錬するようになった。
食事も考え身体を鍛えて筋肉を付けようとしていった。
公の場に出ないんだからと髪も面倒だから伸ばし放題になった。
余計に母上に似ていると言われるかもと思ったけど、人とそんなに会わないのだからいいやと思った。
父上と母上には父上や兄上のように自分が愛する人と結婚したいと言っていて、父上も母上もそれでいいと言って何も言わないでいてくれたけど、私は一生独身でいるつもりだった。
その頃には私は家族や極親しい人間以外に興味を失くしていた。
だから学院に入学する時にも私には婚約者がいなかった。
兄上が王太子としてもう立太子しているし、私が学院に入学した年にナタとの結婚も決まっていたから、子供が生まれれば私に婚約者などいらないとさえ思っていた。
だけどそんな私がエンヴェリカだけは違った。
彼女のことが気になって仕方なかった。
近くいれば、話しかけずにはいられなかった。
素っ気ない態度を取られると落ち込んで、でもたまに少し笑顔を見せてくれることに胸が弾んだ。
魔術、魔法のことを聞くと顔には出さないけど、嬉しそうに楽しそうに本当に好きなんだというのが隠せず饒舌に答えてくれるのが嬉しくて仕方なかった。
だから私は自分からどんどんとエンヴェリカに近づいて行った。
でもそのことでエンヴェリカが令嬢たちに嫉妬されて、悪口を言われたり嫌がらせをされるのが私は許せなかった。
だから私はそれを見つけたら相手の令嬢に厳しく注意した。
そしてミーナ嬢と一緒になるべくエンヴェリカの傍にいるようにした。
そんな日々が続いて私はエンヴェリカを好きになっていることに気付いた。
でも私は人と話すことが苦手で、つまらないことを話しかけるしか出来なかった。
経験があまりにもないからどうすればいいのかわからなかったのだ。
それでジョルジュやミーナ嬢に相談して、エンヴェリカの興味のあること(魔術、魔法、魔道具のこと)で会話が続くようにすれば?と助言をもらい、そして相手の様子を見ながらだけど自分の気持ちをちゃんと伝えていくべきだと言われた。
それから私は事あるごとにエンヴェリカと魔術魔法、魔道具の話をして、魔道具の実験研究になるべく同席するようになった。
エンヴェリカと一緒にいる機会が増えて、徐々に心を開いてきてくれてるのを感じてから自分の気持ちを徐々に伝えていっているつもりだった。
私は口下手だし不器用であると自覚している。
それに恥ずかしい気持ちもあって、直接的な言葉で伝えることが出来ていなかったが、エンヴェリカに伝わっているものだと思っていた。
しかしエンヴェリカは私が思っている以上に鈍感で、まったく私の気持ちに気付いてくれていなかった。
2年生になってからエンヴェリカの様子を見ながら、徐々に慎重に気持ちを伝えていってどんどんと距離が近付いていっている!と思っていたのに、2年生の半分の年が終わった頃にジョルジュとミーナ嬢にエンヴェリカに全然伝わっていないみたいだよと言われて、かなり驚いてガッカリしてしまった。
私が口下手なせいもある。
だからそのうちちゃんと好きだとそのまま伝えようと思っていた時に、あの事件の後王宮にエンヴェリカを連れて帰った時に好きだ、愛してると目の前で伝えた。
エンヴェリカはあの事件の直後だし、彼女にとっては突然のことでビックリしたのだろうからちゃんと言葉を返してはくれなかったけど、私の気持ちはもう決まっている。
もう逃してはあげられない。
エンヴェリカは私の唯一なのだから。
私はエンヴェリカの診察が終わって彼女が寝る支度が整ってから再び部屋を訪れて話している時に、エンヴェリカが寮へ帰るようなことを言うから私は有り得ないと彼女に言い聞かせた。
そしてエンヴェリカにも事件の事情を聞かなければならないと言うと、エンヴェリカは思い出したのだろう、震えてまた涙を流した。
私はエンヴェリカを抱きしめて、背中を擦る。
私がちゃんと守れなかったからだ。
寮まで辿り着けば大丈夫だと油断してしまったからだ。
私は自分の至らなさを情けなく恥じた。
泣いて落ち着いたエンヴェリカをベッドまで運び、眠るまで傍にいるからと手を握って頭を撫でながら睡眠誘導の魔法をかけた。
少ししたらスゥスゥと穏やかな寝息が聞こえてきて、エンヴェリカが眠ったのを見届けて侍女と護衛に目を離さず見守るように告げて、私は捕らえられたあの男の所へ向かった。
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