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十一話 殿下とジョルジュ様と私による事情聴取
しおりを挟む殿下は「ジョルジュに連絡してすぐに戻ってきます」といったん部屋を出て行った。
そして10分程して戻ってこられた。
「ジョルジュはあと15分程で来れるそうです。
こちらで事情を聞こうと思ってますが、大丈夫ですか?」
「は、はい!大丈夫です」
意外とすぐのことで大丈夫ですと返事したけど、昨夜のことをまた思い出して怖くなってしまうかも?と鼓動が早くなってしまう。
「エンヴェリカ嬢、本当に大丈夫ですか?やはり日を変えましょうか?
今からでも変更可能ですよ。
気にしたり遠慮せずに言って下さい」
殿下が私を気遣って言ってくれている。
でもきっと大丈夫!
それにジョルジュ様がお忙しい中、わざわざ足を運んで下さるんだもの。
それに私も早く解決して欲しいと思ってるから。
「殿下、ありがとうございます。
本当に大丈夫です」
「わかりました。
私が隣に行っても良いですか?」
「えっ?」
殿下の言葉に私は目を見開く。
「エンヴェリカ嬢が話をしている時やジョルジュから話を聞いてる時に、また怖かったことを思い出してしまうかもしれません。
でも私がエンヴェリカ嬢の隣にいることで、そなたの気持ちが少しでも紛れればいいなと思いまして…」
殿下が真剣な顔で私の為に言ってくれている。
それがとても嬉しい。
「殿下ありがとうございます。
よろしくお願いします」
「はい」
殿下が笑顔ではいと言われた。
後光が指してきているのではないかというくらいキラキラした殿下の笑顔を見てドキドキしてしまい、私はまともに見れず俯いてしまった。
殿下はそんな私を不思議そうに見ていた。
私が宿泊させてもらっている部屋い侍女がお茶とお菓子が用意をしてくれて、殿下に勧めてもらってお茶を飲んで美味しい王宮のお菓子をつまみ殿下とお話しながら15分程したら、コンコンとノック音が聞こえてジョルジュ様が入ってこられた。
ジョルジュ様は学院にいる間は制服だったけど、卒業されてから学院に来られた時は黒のローブを着た姿で、今もそうだ。
今更ながらジョルジュ様は魔術師なんだなぁと感慨深い思いがした。
後からジョルジュ様と同じ黒のローブを着た魔術師の方と紺色の上下の詰め襟の膝上まである上着と同じ色のトラウザーを着た文官の方も一緒に入ってきた。
私は立ってお迎えしてジョルジュ様が挨拶をして下さってから、私も挨拶をして改めて救出して下さったことのお礼と謝罪をした。
ジョルジュ様は笑顔で「気にしないで」と言って下さり、私の向かいに座られた。私も座り殿下が私の隣少し距離を置いて座られた。
魔術師と文官の方はジョルジュ様が座られたソファの後ろに立っておられる。
ジョルジュ様にもお茶が用意されて、ジョルジュ様がお茶を一口飲まれてから私の方を優しい微笑みで見てこられた。
「エンヴェリカ嬢、体調はどうかな?
大丈夫かな?」
「はい!大丈夫です。
ありがとうございます」
ジョルジュ様に問われて、私はハキハキ答えようとして、声が大きくなり恥ずかしくなって顔が熱を持ってきて、俯いてしまった。
「ふふっ、元気そうで本当に良かった。
それでは早速ですが、肩肘張らずにゆっくりで構わないので、昨日寮に帰ってからのことを私に聞かせてくれますか。
後ろの魔術師は私の部下でその隣は書紀の文官です。
大丈夫なんで安心して下さいね」
ジョルジュ様が微笑んだまま穏やかに私を促して下さった。
私は一回深呼吸してから寮に戻って食堂に向かおうとしたところを口に布のようなものを押し付けられて、身体の力が抜けてすぐに視界がグラグラとボヤケてきたこと。
そして気を失う直前に首だけで振り向いた時に濃いグレーの髪に琥珀色の瞳の男を見たことを思い出しながら話した。
続いて気が付いたら暗い部屋にいて、そこにオマール様が立っていたこと。
オマール様のことを思い出したら気持ち悪くなったけど、殿下がそれを察知してくれたのか私の手を握ってくれた。
オマール様が私に話した内容、協力してくれてる人がいること。
その濃いグレーの髪の男のことは会ったことがあるような口調だったけど、あまり知らないように感じたこと、協力してくれている人のことは言えないとオマール様が言っていたことすべて思い着く限りのことを話した。
文官の方は書紀の方で、私が話したことを全部書いておられるようだった。
ジョルジュ様の部下だという魔術師の方は黒に近いグレーの鋭い瞳をしていてジョルジュ様より背が高く体格の良い少し年上の人に見えた。
魔術師の方は直立不動のままビシッと立っておられる。
私がすべて話し終えると、ジョルジュ様がふぅっと息をひとつ吐いてから。
「確かに寮に部外者の男が入り込んでいたのは事実です。
濃いグレーの髪に琥珀色の瞳をした男ですか…」
ジョルジュ様は顎に手をやりしばし考え込む。
何なんだろう?
「どうかされましたか?」
私が気になって聞くと。
「濃いグレーの髪に琥珀色の瞳の男のことは追って話していきますね。
まずエンヴェリカ嬢も知っていると思いますが、寮には結界魔法が張られています。
なので寮生、管理人4人。
これらの人間は寮に住んでいて、それ以外には通いで料理人6人、掃除メイドと洗濯メイドが6人ずつ計12人おります。
それらすべての人間は寮の結界魔法の魔法契約を済ませた人間ばかりなので、寮に許可なくとも出入り出来ます。
それ以外の許可のない部外者は通常結界魔法で入れないはずなのです。
しかし侵入を許してしまったようです。
結界魔法は確かに感知したようですが、その感知が遅れてしまったようです。
遅れて管理人に通達がいって、管理人が現場に行った時にはもう部外者はいませんでした。
それもエンヴェリカ嬢の専属侍女のクララ嬢がエンヴェリカ嬢が時間になっても帰って来ていないと管理人に報告がきた後でした。
かなりの時間結界魔法が部外者を感知出来なかったということです。
そこで私たちが後で寮内を調べましたが、部外者の魔力痕が確かに残っていました」
「感知が遅れた?それと魔力痕、ですか?」
結界魔法の感知が遅れてしまったというのと魔力痕という言葉に驚く。
魔力痕という言葉初めて聞いたわ。
結界魔法がありながら侵入してきたことは私がその男を見たからわかるけど、感知が遅れるとは?
私はジョルジュ様の話に首を傾げる。
「そうです、今調べておりますが結界魔法の感知が遅れたというのはその魔力痕を見てこれは私の推測なのですが、魔力は指紋や血液のように人それぞれ違う魔力を持っていることは知ってますよね?」
「はい」
私はジョルジュ様に向かい頷く。
「探知魔法ではその場にいる人間の魔力を探知することが出来ますが、その場にいない人間は探知出来ませんよね?
ですが、魔法を使った後に姿を消した場合は一定の時間その場に魔力の痕跡が残ります。
それを魔力痕と言います。
いくら痕跡が残ると言っても時間が経つとそれは消えてしまいますが、今回はまだ残っていて見つけることが出来ました」
「…」
「なるほど。
ではその男は寮内で何らかの魔法を使ったということなんですね?
それで魔力痕が残っていたと」
ジョルジュ様の話に私は頭の中でいろいろ考えて無言になってしまったけど、殿下がジョルジュ様に問う。
「そうです、その魔力痕を調べましたが、現役の魔術師ではありませんでした。
退職したりした過去の魔術師も調べましたが、同じ魔力痕を持った者はいませんでした。
貴族も調べましたが、同じく該当する者はいませんでした。
魔術師や騎士文官、それと貴族は魔力の登録を王宮にしてますので、すぐに調べることが出来ました。
それらの人間ではないので、その男は平民である可能性が高いです。
平民は神殿で魔力の登録をしていますので、今それも問い合わせ中です。
これはあくまで私の推測なのですが、その男は何らかの魔道具を使ったのではないか?と思ってます。
スキルの可能性は平民だと考えにくいですが、可能性がなくはないです。
どちらであっても本人の魔力痕は残りますので。
ですので、神殿に問い合わせれば属性判定の時にスキルも判定されますので魔力とスキルどちらでも判明するかと思います。
ただスキルに関しては属性判定後に発現する場合もありますが。
それともしですが、その男が属性判定を行なっていなかったら魔力もスキルも登録はされていないので、難しくなると思います。
この国のすべての民は義務で5歳の時に神殿で属性判定を行ないますが、稀に孤児などの場合、属性判定をしていない者もいますので。
あと国外の者である可能性もないことはありませんが、国外の者に対してはかなり厳しく監視してますので、可能性は低いと思います。
今それも調べているところです。
その男の魔力痕を見て無属性魔法ではなく、擬態のようなスキルか魔道具使ったのではないかと思っています。
そのことにより、侵入を許して結界魔法の感知が遅れたのではないかと私は推測しています」
「擬態のようなスキル?か魔道具?」
私が殿下を見てからジョルジュ様の顔を見ると、ジョルジュ様は1つ大きく頷きました。
「そうです。
寮内の者の魔力に似せることが出来る擬態のようなスキルか魔道具を使用したと思います。
実際に寮に通う料理人の1人の魔力に非常に似た魔力痕が残っていました。
非常に巧妙なものでしたが、その男本人の魔力痕も同時に判明しましたので擬態のようなものだったのではと判断しています。
今その料理人本人にもいろいろと事情を聞いてます。
濃いグレーの髪の男と接触したかどうかは覚えていないようです。
その男ではないか、またはその男が変装して接触した可能性があります」
「ジョルジュ様の推測ではその男が擬態する料理人と接触している可能性があるということなんですね」
ジョルジュ様の話は凄い!
残っている魔力痕だけでそこまで考えれるとは。
その魔力痕を見ただけで他の人間に似せた魔力と本人の魔力があると見抜くことって簡単ではないのでは?
「そうですね、何らかの形で接触しないと違う人間の魔力に似せて擬態することは無理だと思うんです。
スキルであっても魔道具であっても。
もし魔道具であったならその濃いグレーの髪の男ではなく違う人間が料理人と接触した可能性はありますけれども。
ですが、その男の魔力痕が寮内に残っていたので、今父上にその男を追ってもらっていますので、すぐに捕らえることが出来ると思います」
「そうですか…」
スキルでなければ魔道具を使用した?
もし魔道具なら嫌だな。
魔道具が犯罪に使われることはあるのは知っているけど、そんな魔道具を作って犯罪に使うなんて許せないよ。
それにしてもジョルジュ様のお父様まで?
生きていればすぐ捕らえることが出来る?探知魔法で?どれだけ広範囲に展開出来るんだろ?
凄過ぎ!
私の手を握り続けてくれている殿下が心配そうに私の顔を覗き込んできた。
私は凄い!凄い!と思ってただけなので殿下に申し訳ない。
「殿下大丈夫です」
私は殿下に向かい微笑む。
殿下は無言で頷いてキュッと私の手を握る力を少し強めた。
「ところでヴォンドウェル伯爵令息、オマールとエンヴェリカ嬢が居た所は学院近くの今は廃墟となっている元は貴族の邸だった所です。
寮の周辺にセントバーナル様の影と護衛がいましたが、それらの者たちが小麦の袋を背負った料理人を目撃しています。
その濃いグレーの髪の男がその料理人に変装して大きな小麦を入れる袋にエンヴェリカ嬢を入れて運び、まんまと気付かれずオマールにエンヴェリカ嬢を引き渡したということだと思います。
その男が料理人に変装していたことはオマールから証言を得ています。
それで先程エンヴェリカ嬢が気を失う前に濃いグレーの髪に琥珀色の瞳の男を見たということが引っかかります」
「えっ?」
私はどういうことだろう?とジョルジュ様をジッと見つめる。
「エンヴェリカ嬢を攫った男は料理人に変装していたはずなのです。
ですが、エンヴェリカ嬢は料理人ではなく違う男の顔を見たことになります。
その男がエンヴェリカ嬢に薬を嗅がせてから変装したとは考えにくいです。
そんな余計に時間がかかってしまうことをするとは思えません。
それに変装出来るのであればエンヴェリカ嬢に顔を見られてしまうような危険も冒すことはしないでしょう。
なので、その男は料理人に変装していたのにエンヴェリカ嬢はその変装を見破り、本人を見たことになります」
私はジョルジュ様の話にビックリして殿下の顔を見てしまった。
「そういうことになりますね…」
殿下も思案している顔になっておられる。
「エンヴェリカ嬢にはスキルか魔道具かはわかりませんが、擬態変装は効かなかったということですね」
「そうなのですか?!」
「ええ、エンヴェリカ嬢にはそういう能力があるということです」
本当に?知らなかったです。
「オマールは一度だけ濃いグレーの髪の男と会ったと言ってました。
エンヴェリカ嬢からも証言を得られたことになります。
ありがとうございます」
ジョルジュ様に微笑まれた。
「いえ、お礼なんてやめて下さい。
大したことではありませんよね?」
私は何と言っていいかわからない。
「いや、そうでもありませんがね…」
ジョルジュ様が殿下と顔を見合わせてふふっと笑う。
「あ、あの!ジョルジュ様どうしてオマール様と私がそこにいるとあんなに早くわかったのですか?」
私は自分が濃いグレーの髪の男のことを見破ったより、そのことが気になっているのだ。
「エンヴェリカ嬢が帰ってきていないと侍女のクララから管理人に報告が上がってから、管理人からすぐに殿下に連絡がありました。
そして殿下から依頼されて私がすぐ寮の周辺一体を探知しました。
そこであの廃墟で、オマールとエンヴェリカ嬢の魔力を探知しました。
オマールは灯りを点ける為、ライトの魔法も使ったようなので、探知しやすかったですね」
いや、ジョルジュ様簡単に言ってるけど、凄いことじゃない?
かなり広範囲な探知魔法を使ったと思うのだけど、短時間でわかったんだよね?
そんな簡単なものではないはずなんだけど。
「ところで先程、エンヴェリカ嬢は協力してくれている人とオマールから聞いたと言っていましたが、何か他に気になったことなどありませんでしたか?
そのオマールに協力している人物ですが、直接オマールとは一度も接していないようなんです。
間にかなり人を挟んでるようでね。
オマールに自白魔法をかけましたが、オマールもその人物が誰かは知らないようです。
学院内の人物だと思っているようですが
確かなことはオマール自身もわかっていないようで…」
オマール様自白魔法をかけられたんだ。
身体的にかなり痛みを伴うと聞いているけど、それでも言わなかったのなら本当に直に会ってないんだろうし、知らないんだ。
私はオマール様との会話を思い返す。
その間も殿下は私の手を握ってくれている。
「あのジョルジュ様、確かオマール様にはその協力してくれている人のことを人と言ってましたが、一度ですかね、方とも言ってました」
「そうなのですね、それではオマールより身分が上の者か目上の者ということですかね…。
その人物は巧妙で狡猾なようで、なかなか本人に辿り着くまで時間がかかるかもしれません。
ですが、何としてでも割り出します。
その濃いグレーの髪の男も間に人を挟んでいると思いますが、その人物からの依頼だと思うので、濃いグレーの髪の男を捕らえるとその人物に近付く糸口になると思います」
「ジョルジュ様ありがとうございます。
そしてお忙しいのにダベンサードル辺境伯様まで動いて下さり、お手数をかけて本当に申し訳ありません」
「いえ、いいのですよ。
ですが、エンヴェリカ嬢はしばらく学院を休んで王宮にいた方がいいと思います」
ジョルジュ様にも王宮にいた方がいいと言われてしまった。
「ええええ」
思わず令嬢らしからぬ声が出てしまった。
お恥ずかしい。
「でしょう?
エンヴェリカ嬢の身の安全の為にもしばらくは王宮にいてもらいます」
殿下が私の手を握る力を強めてキッパリと言い切った。
「ところでエンヴェリカ嬢眼鏡がないと随分違って見えますね」
「あっ!」
そうだった!眼鏡はオマール様に奪われたんだった。
今まで気付かなかったわ。
昨日のことなのにいや、普通気付く!
湯浴みや服も着替えているのに!
うっかりと言えない程だわ私。
どれだけ切羽詰まっていっぱいいっぱいになっていたのよ!
「ふふっ、それでは私たちは失礼しますが、またお話を聞くかもしれませんがエンヴェリカ嬢よろしく」
「あっ、はい…ご苦労様でした。
ありがとうございます」
そう言ってジョルジュ様、魔術師、文官の方は部屋を出て行った。
「エンヴェリカ嬢今気付いたんですか?」
隣にいる殿下が呆れたような表情になっている。
「はい…すっかり忘れていて、ジョルジュ様に言われて気付きました」
「そうですか…。
眼鏡で見えなかった青い瞳がとても美しいです。
でも私は今までの眼鏡をかけたエンヴェリカ嬢もとても麗しくて好きですよ。
私はどちらのエンヴェリカ嬢も好きです」
殿下が顔を赤らめながらそんなことを言った。
「へっ?」
私の目は驚いて目が真ん丸になっているだろう。
「それでは私は政務がありますので、いったん失礼しますね。
エンヴェリカ嬢大人しくしていて下さい。
後で医療師が様子を見に来ますし、私もまた来ます、それでは」
殿下は早口で言ってからそそくさと部屋を出て行った。
私は顔が熱くなって両手で自分の顔を覆った。
私はしばらく学院を休んでそのまま王宮に留まることになった。
☆★☆
???side
昨夜オマールがあの憎きエンヴェリカを攫って、翌朝にオマールが騎士に拘束されて連れ出されたのは確認済み。
今朝エンヴェリカも学院に来ていなかった。
オマールは捕まったみたいだけど、所詮捨て駒よ。
どれだけ調べてもわたくしのところまで辿り着くはずないわ。
いくら瞳の継承者が集っても無駄よ。
ふふふっやったわ!
オマールが朝に拘束されたということはエンヴェリカは確実に傷物になったはず。
これでセントバーナル殿下と結婚なんて出来なくなったわね。
元々あの女にセントバーナル殿下は相応しくなかったのよ。
セントバーナル殿下に相応しいのはこのわたくしよ。
わたくしは何年も前からセントバーナル殿下のことを思い続けてきたのよ。
ポッと出の子爵令嬢なんかに奪われてたまるものですか。
もうすぐセントバーナル殿下はわたくしのものになるのね。
あの極上の美貌と言われる殿下こそわたくしの隣に立つのに相応しいわ。
ふふふふっいつになく気分が良い朝だこと。
☆★☆
???に報告した者が見た翌朝に騎士に拘束されたて連れ出されたオマールはダベンサードル辺境伯当主スペンサーによる幻覚魔法によるもの。
実際のオマールは殿下とジョルジュがエンヴェリカを救出してからすぐに捕られ、王宮に運ばれました。
スペンサーとジョルジュがそこまで読んで工作していたのです。
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