地味に見せてる眼鏡魔道具令嬢は王子の溺愛に気付かない

asamurasaki

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九話 王宮での診察と侍女と殿下と私

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※お詫び※

探知魔法を検知魔法と記載しておりました。
訂正しております。

申し訳ございません。

☆★☆


部屋に壮年の男性の医療師様と王宮の侍女らしき人と共に殿下もまた部屋に入ってきてから、殿下は私に声をかけて部屋を出て行った。

この国では医療師様も白い神官服を着ている。
医療師様も女神セレナ様にお仕えする立場であると言われているからである。

神官様の神官服は胸や袖に金の刺繍があるが、医療師様は同じ意匠に銀の刺繍がしてあるのだ。

ブロンドの髪の壮年の男性は医療師様の銀の刺繍のある神官服を着ておられる。
恐らく高位貴族で王宮専属の医療様だろう。

殿下が部屋を出て行かれてから医療師様に診察してもらった。

服を脱ぐことなく私の心臓の近くで両手をかざして、魔力を流して身体全体を調べるのだ。
ジョルジュ様がされたように。

医療師様は探知魔法の詠唱をする。

探知魔法というものは森や街などで魔力を探知するものがある。
探知魔法を展開して魔力を探知するのだが、それは人であったり動物、魔石もそうだ。

人間もだが、動物も魔力があり植物も微量ながら魔力を持っている。
以前貴重な属性が備わっている魔石は鉱山より森で発見される方が多いと言ったが、森で探知魔法を使って発見するのが主な方法である。
たまに土から少しだけ顔を出しているのを発見することが出来るそうだが、それは滅多にないことだそうだ。

もうひとつの探知魔法は人間や他の動物などの身体の状態を調べるものだ。

それはより非常に高度なもので、医療師様でもみなが使えるものでもなく、また使えてもどの程度正確に把握出来るかはその人の魔力量、才能や努力次第で、その人の技量と言っても良く人によってバラつきがあり、体内の病気を見つけることが出来るのは医療師様によって違ってくる。

私が研究しているのはその身体の健康状態を調べる探知魔法の魔道具で微量の魔力を流せば、正確に誰にでも身体の健康状態を知ることが出来るようにしたいと思っているのだ。

その魔道具が完成すると、人によって病気を見つける見つけられないことの差がなくなると思っているし、誰でも健康状態を知ることが出来るから親が自分や子供の健康状態を知ることが出来るようになる。

けど、実験は失敗続きで完成にはまだまだ遠い。
描くようになれと思った探知魔法の魔法陣が不十分なのか、他にも原因があるようだけど、私は諦めない。


医療師様は病気や怪我を診察して魔法で治療、癒やしたりする存在で、探知魔法と貴重と言われる光属性魔法を持った人がなる職業のひとつなのだ。

光属性魔法では目に見える怪我や先程の私のように薬による作用や毒を消すことなど、人によって出来る出来ないの差はあるがそれらは概ね癒やすことが出来る。

だが、体内の病気は見つけることが出来たとしても光属性魔法で治せる人はほとんどいないと言われている。

もしかしたらジョルジュ様とこの医療師様なら出来るかもしれないけど、私は今までにそのような方にお会いしたことがない。
というか光属性魔法の使い手にすら会ったことがなかった。

光属性持っている人は貴重であり、治療や癒やすことが出来ることから光属性を持っていると神殿で属性判定された人は神殿が保護するのがほとんどで、そこから神官になったり、医療師、魔術師になると言われている。

光属性を持っている人は神官になったり医療師になる人が多いことから女神セレナ様にお仕えする人であるとされている。

ジョルジュ様もそうだが、瞳の継承者の方々はそれに当て嵌まらず、神殿で保護されることはない。

瞳の継承者の方々はこの国の起源となる方なので、もちろん女神セレナ様に近しくお仕えしている方だろうし、加護も受けておられる存在だろう。
要するに特別な存在なのだ。

それでも光属性魔法は貴重でそんなに数がいないので、神官様や医療師様になる人も光属性魔法を持っている方はそんなにいない。

また光属性はいちから魔法陣を描くことも不可能と言われていて、光属性魔法を持っている人しか使えない魔法である。

属性魔法の中で魔法陣を描くことが不可能なのは光と闇と言われている。
何故かは解明されていない。

闇属性は光属性と対になっている存在だが、決して悪いものではない。
光や他の属性同様に女神セレナ様から与えられた属性魔法だ。

闇属性は光属性よりさらに貴重で稀な魔法と言われている。
ジョルジュ様やジョルジュ様のお父様のダベンサードル辺境伯様は全属性なので、闇属性も使える。
特にダベンサードル辺境伯様は闇属性を得意とされているとか。

闇属性は使える人間が光属性よりさらに少ないから人間が解明出来ていない部分も多いが、闇属性でも治療魔法を使えると聞いたことがある。
これはぜひいずれジョルジュ様に聞いてみたいことだ。

確定ではないので、闇属性のことは置いておくとして、治療魔法は光属性以外だと水属性を持っていると使えると言われている。
だからだいたいの医療師様は水属性魔法を使ってる治療する。


医療師様は私を診察して下さった後。

「拝見させて頂きましたが、ダベンサードル辺境伯令息、ジョルジュ様が治療して下さったお陰で薬は完全に消えておりますので、もう大丈夫です。

ですが、セントバーナル様が非常にご心配をしておられますのでもう大丈夫ですが、私がもう一度一応治療魔法をかけておきますね」

と詠唱して光属性魔法をかけて下さった。
この方は王宮専属医療師の中でもかなり上位の方なのだろう。
貴重な光属性魔法を持っておられるのだから。

私は今日とんでもない目に遭ったけど、二度も光属性魔法を目の前で見れて、おまけに自分にかけてもらってまた興奮してきた。

「クエスベルト子爵令嬢どうされましたか?」

私の興奮が伝わってしまったのか医療師様が不思議そうに首を傾げる。

しまった!光属性魔法を間近で見れて興奮してるとは言えない。

「医療様、ベッドの上から失礼致します。
私なんぞに貴重な光属性魔法をかけて下さり本当にありがとうございます」

私はベッドの上で座りながら頭を下げた。

「いえいえ、とんでもございません。

セントバーナル様とは殿下がお生まれになった頃からのお付き合いでございます。

貴方様はそのセントバーナル様自身から大切な方とお聞きしておりますから、当然でございます」

「え?、…そうなのですか…」

医療師様が優し気な微笑みを浮かべられている。

殿下ー!
何を言ってくれているんですか!
いやいや、どうしよう?
大事になってません?
 
「もう薬は完全に消えていて、大丈夫かと思いますが、一応1週間様子を見ると致しましょう。
何かあれば遠慮なさらず、すぐにお呼び下さいね。
今日は安静にゆっくりとお休み下さい。
食事や湯浴みなどは普段通りして頂いて大丈夫ですので」

「あっはい…ありがとうございました…」

「はい、それでは私は失礼致します」
 
医療師様が部屋を出て行かれてから入れ違いで、2人の侍女の方が入ってきた。
王宮の侍女でいいんだよね?

医療師様と一緒に入ってこられた方も残っている。 
 
えっ?と思っている私に医療師様と共に入ってきた侍女が聞いてきた。
 
「クエスベルト子爵令嬢お腹空かれていませんか?」

えっ?どういうこと?私診察してもらって大丈夫だから寮に戻るんでは?と思いながらも返事する。

「いえ、まだ…」

いろんなことがあり過ぎてまだ空腹を感じていないから正直に言った。

「それでは湯浴みからしていきましょうか?」

そうだ!私はどこかの部屋に寝転がっていたし、変な汗もかいた。

汚れた制服のまま殿下に抱きかかえられていたんだ!私。
嫌な汗もいっぱいかいたし臭くなったかな?

マズい!また変な汗が出てきそうになる。
でもここで湯浴み?

「…あっ、寮に戻ってからで大丈夫ですので…」

「いえいえ、何をおっしゃっているのですか。

さあ、参りますよ。
そうしないと私たちが第二王子殿下にお叱りを受けてしまいます」

「えっ?」

えええと思いながらあれ~と思っている間に湯浴みに連れて行かれて、3人がかりで身体の隅々まで綺麗に磨かれた。

私寮でも領地でも1人で湯浴みしていたのに、初めてのことに恥ずかしいやら焦りやらでアワアワしてしまった。

それでもさすがは王宮の侍女と言うべきか表情がまったく変わらなかった。

その後香油で全身マッサージされて、見るからに質の良い夜着を着せられてガウンを羽織らさらる。
いやいや夜着?と思いながらも侍女たちの有無を言わせない手際の良過ぎる対応に何か言うことが出来ず、部屋に戻ると私の専属侍女のクララが部屋の隅で不安そうに立っていた。

「クララ!」

「お嬢様!良かった…本当にご無事で良かったです。
申し訳ございません」

クララは堪え切れなかったのだろう、ハンカチで目を押さえながら私の為に涙を流している。

クララは私の寮の部屋で帰ってこない私をずっと待っていてくれたのだろう。
入学してから従者、侍女や護衛は学院内の教室内までは同行出来ないが、それ以外庭や食堂には同行を許されているけれど、私は私同様にクララに何かされたくないと、1年生の途中から私が寮に戻る時間までは彼女は王都のタウンハウスにいてもらっていた。

私はクララに歩み寄って彼女を抱きしめる。

「クララ心配かけてごめんね」

「うっ、…お嬢様~申し訳ございません。
私何も出来ませんでした。
本当にどうしようかと…生きた心地がしませんでした」

「クララ謝らないで。
貴方は何も悪くないのよ」

私はクララを抱きしめながら彼女の背中を宥めるように撫でる。

「…でも、でも私がお嬢様を守らなければならない立場ですのに、…ずっとそのお役目が出来ず、私はお嬢様の専属失格でございます!…」

「そんなことないわ、クララ。
私がクララにタウンハウスにいてくれるようにお願いしたのよ」

それを言うと、クララは余計に涙を流す。

「それも私の為でございますよね?…私を危険な目に遭わせないようにお嬢様が配慮して下さった。

私はお嬢様にお仕えする身。
私が強引にでもお嬢様のお側にいれば、ちゃんと寮の入口でお出迎えさせて頂いていれば、こんなことにはならなったかもしれませんのに…ううっ…」

クララは自分を責めているようだ。
それは私が部屋で待っているように言ったのだから、クララは私の命令通りに動いていただけで何も悪くない。

専属侍女として自分を責めるのはわからなくはないけど。

「もう泣かないで、クララ。
貴方は私が幼い頃からずっと側にいてくれた大切な人よ。
これからもずっと私の側にいてくれるんでしょ?」

私が抱きしめていた腕をほどいてクララの両肩に手を乗せながらクララの顔を覗き込みながら聞いた。

「私なんぞが…まだお嬢様のお側にいさせて頂いてよろしいのでしょうか?…」

「もちろんよ。クララずっと側にいて。
良ければクララが結婚しても私の側にいて欲しいわ」

クララはより一層涙を流し始めた。

「ふっ、…お嬢様~クララはずっとずっとお嬢様にお仕え致します~っ、」

「良かった」

私は指でクララの涙を拭う。
そして振り返って先程、湯浴みなどを手伝ってくれた侍女たちを見ると温かい微笑みをして待ってくれていた。

そのことにホッと安心して良かったと思った。

「お待たせしたごめんなさい」

「いえ、ようございます。
エンヴェリカ様、お食事をお持ちしてよろしいでしょうか?」

湯浴みの時に名前で呼んで下さいと言ったので、名前を呼ばれて一人の侍女に聞かれたので、お願いして部屋に食事を持ってきてもらって食べた。

その後、「第二王子殿下がいらっしゃいます。
お茶をご用意致しますので、どうぞごゆっくりなさって下さい」

そう言ってクララ以外の侍女たちが部屋を出て行った。

えっとこれ今日帰れなくなったよね?

それからすぐコンコンとノックの後、殿下が入ってきた。
私は立ってお出迎えした。

「……」

殿下が目を見開いて無言のまま立っている。

「…殿下?どうかしましたか?」

「コホン、いや…エンヴェリカ嬢ゆっくり出来ましたか?」

殿下が咳をひとつして私に聞いてきた。
殿下は丁寧な口調に戻っている。

「殿下、湯浴みや食事、そしてこのような立派な服までありがとうございます。

それから私の専属侍女のクララを呼び寄せて下さったことにも感謝します」

私がお礼を言うと、殿下が少し顔を赤められた。

ん?どうしたんだろう?
私が首を傾げると殿下が優雅にゆっくりとソファまで歩いてこられて。

「いいんですよ。
クララ嬢がいた方がエンヴェリカ嬢も安心出来るでしょう?

エンヴェリカ嬢、さあ座りましょう。
そなたが休む前にお茶しながら少し話をしてからと思ってね」

殿下が私の向かい側に座り、私も後に続いて座った。

休む前に?と思ったけどこれどう考えても王宮に泊まれってことよね?

それから侍女たちがお茶とお菓子をテーブルに置いたところで。

「少し席を外してくれるかい?
終わったらまた呼ぶから」

と殿下がおっしゃられて侍女たちとクララは席を外した。
扉を少し開けて。

「エンヴェリカ嬢気分はどうですか?

まだ身体がダルかったり、気分が優れなかったりしていますか?」
 
殿下が優雅な仕草でお茶を一口飲んでから私に聞いてこられた。
やはり王族。
すべての所作が品があって優雅だ。

「殿下、もう大丈夫です。
何から何までありがとうございます、そしていろいろと申し訳ございません。

あの~、大丈夫なので寮に帰ろうかと思ったのですが…」

「は?」

私の言葉に殿下が私を救出してくれた直後の厳しい怖い顔になった。

「えっ?」

私何か間違ったこと言いました?

「今の状態で寮に帰るなんて何を言っているんですか?」

殿下は口角を上げて笑みを作っているけど、金の瞳が凍える程冷たい。

そこはまるで氷点下の銀世界。
金の瞳なのに…なんて現実逃避してしまう。

「エンヴェリカ嬢私の話聞いていますか?」

「は、はい…聞いております!
私も今の状態をわかっているつもりです。

ですが、私が王宮にいることがどう考えてもおかしいというか…身の程を弁えていないというか…」

殿下の瞳がどんどんと剣呑に吊り上がっていく。
ヒィッ怖い!

「私のさっきの話をもう忘れてしまったのですか?エンヴェリカ嬢は」

「うっ…」

さっきの話…。
殿下に告白されたことだよね?

医療師様にも私のことを大切な人と言ったみたいだし…。

「覚えて…ちゃんと…覚えています、殿下」

もう薬の影響はないはずなのに私は言葉に詰まって、上手く話せない。












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