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七話 事件が起きてしまいました
しおりを挟む私は2年生になってから何かされる事がなくなったこと、それに寮まで辿り着いたことに完全に油断していた。
寮には私を目の敵にしているアンピニア伯爵令嬢やその取り巻きはいなかったから、他にも私に対して陰口を叩く令嬢の中に寮に住んでいる者はいない。
だからそのことでも私を貶めていたのだ。
それと確かに学院内で姿の見えない誰かに見られている気はしていたけど、寮ではその視線も感じなかったから寮は安全だろうと思っていた。
寮の中に入って食堂に向かい歩き始めた時に背後に人の気配を感じたけど、振り向く間もなく口を何か布のようなもので押さえ付けられて、一気に身体の力が抜けてすぐに身体が前に傾き、視界がグランと揺れてボヤケてきた。
何とか力を振り絞って首だけで振り向いたけど、ボヤケた視界の中で黒に近い濃いグレーの髪と琥珀色の瞳を見た瞬間、私は気を失った。
しまったと思う間もなく。
どれくらい経ったのだろう?
頭がずーんと沈み込んでいくように重くて痛い。
すぐに気を失ってしまったのは速攻性の睡眠剤というものを使われたのだろうか。
意識が戻ってきてるけど、身体が痺れたようにまったく動かない。
私は自分が横に寝転がってる状態のようだということはわかった。
沈み込んだ意識を何とか引き上げようと目を開こうとする。
何とか重い瞼をゆっくりと開けたけど、目の前が暗いしまだ薬の影響か目の焦点が合わなくて、前がボヤケている。
寮のどこかの部屋だろうか?でも目の前が暗くてよくわからない。
「エンヴェリカ、気がついた?」
何だか聞き覚えのある声がする。
少し低くなっているけど、昔に聞いたことのある声。
誰?口を確かに開けたけど、声を出そうとしても出ない。
えっ?これただの睡眠剤じゃなかった?
身体も痺れたままでまったく動かない。
「あぁ、まだ喋れないか」
フフフッと笑う声が聞こえてくる。
暗くてどこにいるかわからない状況で、視界もまだボヤケていて、聞こえてくる男だろう声に恐怖を感じて、身体がふるっと震えて声も出せない。
喉の奥がキュッと締まって息苦しくなった。
ハッハッと小刻みに呼吸を繰り返す。
ハッハッという声は出てないけど。
さっきの濃いグレーの髪に琥珀色の瞳の男だろうか?
姿を見たのは一瞬だったけど、確かに男だった。
でもどこかで聞いたことのある声のように感じる。
そう思った時に灯りが点った。
それでもまだ暗いのだけど、少し視界が開けた。
目のボヤケも少しおさまってきたように思う。
そこで寝転がってる自分の前に立っている人物が目に入って私は目を見開く。
少し離れた所に立っているのが、ヴォンドウェル伯爵令息、オマール様だったからだ。
えっ?何故?
口を開いたけどまだ声にならない。
何でここにオマール様がいるの?
ここは寮の中ではないの?
寮の中にオマール様がいるはずないわ!
私は身体を起こそうと身動ぎをするけど、手も足も動いてくれない。
かろうじて動くのは首だけで、首を何とか起こしてオマール様の方を見上げる。
オマール様は下衆いニヤリとした笑いをしている。
「エンヴェリカ、久しぶりだね。
大人になった君は私の想像以上に美しいよ」
オマール様はそう言って自分の右手を私に見えるようにかがけた。
オマール様の手に私がしていた黒縁の眼鏡があった。
眼鏡を外されたんだ!
「……あっ!…」
その時、何とか声が出た。
「おっと、声が出せるようになった?
早いね~。
でもまだ自由に動けないだろ?
もうしばらく薬が効いているだろうからね」
「ど…し、…て?…」
私は絞り出すように声を出す。
弱々しい掠れた途切れ途切れの声。
「どうしてって?エンヴェリカ、君が悪いんだよ。
私は君を愛してるのに私から申し込んだお見合いを断るし、婚約を申し込んでも断ってきたよね?」
「…こん、…やく、?」
お見合いを断ったのはお母様から聞いているけど、オマール様側から婚約を申し込んできたのは知らなかったわ。
「そうだよ、お見合いを断られたけど私の家は伯爵でエンヴェリカの家は子爵だからね。
うちから婚約を申し込めばすんなり成立すると思ったのに、それも断られた。
君の父上は魔道具の権威で、国王陛下の覚えも目出度いし、法務大臣のベルナールド侯爵閣下の友人だからと子爵家であるにも関わらず婚約を断ってきた。
信じられない有り得ないことだよ。
私がどれだけ落胆したと思ってるの?
それなのに私は両親に何度もお願いしたのに諦めなさいの一点張りだしさ。
私は自分の気持ちの行場を失くしたんだよ。
酷いよね?
おまけに私が君にせっかく会いに行ってるのに君は急に地味な格好をして私の大好きな君の顔を前髪とこの大きなこの眼鏡で隠し出すし、何で私の前でその美しい顔を隠すんだと怒りに震えたよ。
そんなに私のことが嫌なのかって思うと悲しくて夜も眠れない日々が続いたんだよ」
オマール様がドロッと陰鬱としていながらネットリと絡みついてくるような瞳で、ニヤッと口角を上げた不気味な笑みを見せて私を見つめてくる。
その瞳に笑みに昔感じた背筋がゾッとする感覚をまた私は味わっている。
「…ヴォンド、ウェル…伯爵…令息は…もう、婚約…されてる…でしょ?…」
私はまだ薬が効いているのか喋りにくいけど、だんだんとマシになってきていて少し口が回るようになってきて、何とか声に出してオマール様を問いただすように言う。
「そうだよ、仕方ないじゃないか。
私は何も悪いことをしてないはずなのに、君に嫌われたと思ってたからね、あの頃は。
しばらくは婚約なんてする気になれなかったけど、ロザリナに出会ったからね」
テンクラビィ子爵令嬢との出会いがあったのならそれで良かったじゃない。
「テンク、ラビィ…令嬢…との…出会、い…が…あって…良かった…じゃ、…ないで、…すか」
私が言うと、オマール様は不機嫌そうに唇を歪める。
「本当に良かったと思っているの?
エンヴェリカは冷たいね。
ロザリナはエンヴェリカに髪の色も瞳の色も似ていたから我慢しただけだよ。
でも本当は似ても似つかない。
君ほど美しくないからね」
オマール様は何てことを言い出すの?
テンクラビィ子爵令嬢が髪の色も瞳の色も私に似ていたから我慢したですって?
テンクラビィ子爵令嬢に失礼過ぎる!
「…我慢…って…ひど、…い…言い、方…です」
「それを君が言う?
君のせいじゃないか!
君が地味な格好をして私を避けるから仕方なしにちょっとだけ似た子にしただけだよ。
他に君に似た子がいなかったからロザリナにしただけだよ。
でもさあ、学院に入ってからわかったんだよね?」
「……」
わかったって何が?
訳がわからない。
オマール様の言ってることに薄ら寒さを感じる。目が普通じゃない。
濁っているのにギラギラしてて、身体が動かないから自分の身体を抱きしめられないけど、寒気がする。
頭痛がもっと酷くなっているように感じてくる。
「エンヴェリカ、君はもっと私に追いかけてもらいたかったんだね。
もっと早くそれに気づけば良かったよ。
そしてもっと私に嫉妬させたいからってセントバーナル殿下にまで近付いていってさ…いくら私がもうロザリナと婚約しているからってそんな手まで使わなくてもいいのに」
「は、あ?…」
何でそんな思考になっているのよ?
私に嫌われたと思ったならそれで終わりじゃない?
何で学院に入ってから私がもっと追いかけてもらいたかったとかもっと嫉妬させたかったって思考になる訳?
オマール様の自分勝手な主張に訳がわからなくて頭痛がもっと酷くなっていく。
「そんな…訳、…ありま…せん!」
私は声を張り上げるように言ったつもりが、まだ薬が少ししか抜けてないのか途切れ途切れの弱々しい声になった。
「エンヴェリカ安心して。
私は君だけだから、ずっと君が私を思うのと同じように愛してるいるから。
誰にも邪魔されないように今から既成事実を作ってしまうおうね!
そうすれば何の憂いもなく、誰にも邪魔されることなく私と婚約出来るからね」
オマール様の目が普通じゃない!
何言ってるの~?き、既成事実?!
これ危機的状況だよ!
ちょっと待って!
身体を動かそうとしたら指の先がピクッと動いた。
声も出せるようになってきたし、徐々に薬の効き目がなくなってきているのだろう。
でもまだ手と足の指先が動くようになった程度だ。
今の状態では魔力がそんなに巡ってこないから、きっとまだ防御魔法を展開出来ない。
魔法をかけれたとしてもすぐに消滅してしまうだろう。
落ち着け!落ち着くのよエンヴェリカ!
何とかオマール様と会話して時間を稼いで何とか逃れられる方法を考えないと!
今オマール様と私だけみたいだし!
ここはどう考えてもどこだかわからないけど、寮の中がじゃない別の所なのは確かだわ。
先程私の口を塞いだ濃いグレーの髪の男はきっと只者じゃないわ。
誰なんだろ?
女子の寮は男子禁制で部外者は入ることが出来ないはずなのに寮の中にあの男は確かにいたのだ。
普通の人はそんなことは出来ないはず。
誰か手引きした?
でも寮には部外者が許可なく入ったら結界魔法が発動してすぐに管理人に通達がいくようになっているはず。
許可を取って入った?いやそれは考えられない。
男性は親兄弟の家族だけで、それでもまず余程じゃないと許可が出ないはずだし、もし許可が出たとしても部外者、特に男性なら寮内を一人でウロウロ出来るはずがない。
必ず管理人がついているはずだ。
それにもし万が一許可を取って一人になれたとしても退出する時に寮の管理人に断ってからでないと寮から普通に出られないはず、結界魔法に阻まれるはずだ。
倒れた私をその場に置いて管理人のところへ退出するからと言いに行くということなんてまずしないだろう。
その間に誰かが私を見つけるかもしれない危険がある。
私はすぐ気を失ったから管理人のとこへ行く間、どこかの部屋に私を移動させたとかもどこの部屋が空室なのかわかってないと出来ないはずだし、そんな危険を冒すことも考えられない。
寮の誰かが手引きしていたら出来るかもだけど。
もし寮に許可を取ったとしたも私を攫ったのが複数だとしても、管理人に顔を見られていれば、後で私が門限を過ぎても帰っていないことが知られれば、まず疑われるはずだし一大事になるはず。
濃いグレーの髪の男が寮の外に出てすぐにオマール様に私を渡したとしても、寮に入り込んで外にも出れたとしたら転移魔法を使える魔術師なのではないだろうか。
それも寮内の魔法結界があっても入って出て行ける人?
そんな人、瞳の継承者以外でいるだろうか?
そもそも転移魔法が使える人間なんてこの国でもそう多くはない。
瞳の継承者でも全員が出来る訳じゃない。
おまけに一人だけでなく、私を連れて転移出来るなんて早々いないだろう。
それと魔法結界を潜り抜けれるなんてことが出来る魔術師がいる?
そんな魔術師をオマール様が手配したということ?
「ヴォンド…ウェル…伯爵、…令息…先程…寮で…男性を…見た、ように…思うの、ですが…あの方は…い、ったい…どなた、…です、か?」
「ああ、エンヴェリカ私の名前を呼んでくれないか?そんな他人行儀な言い方は悲しいよ」
オマール様が悲し気な瞳をするけど、片方の唇をニッと上げて不気味な笑みのままだ。
とりあえず刺激しないように言う通りにしながら聞き出せることは聞き出して、時間を引き延ばそう。
「オマール、様…あの男性、…の方は…どなた…なん、です?」
「私も誰かは知らないんだよね~。
私に協力をしてくれるという人が手配したはずなのだけど、エンヴェリカに姿を見られてしまうなんてまだまだだね~」
ハハハッとオマール様が笑う。
オマール様が知らない人?
協力している人がいる?
誰なんだろ?
「オマール様、…協力して…くれて…いる方…って…」
「それは言えないよ。
言わない約束をしているからね~でもその方が親切にエンヴェリカが私を忘れることが出来ないでいると教えてくれてね。
その方には感謝しているんだ」
私がオマール様を忘れることが出来ないでいる?
へっ?いったいそんなことを言った人は誰なの?何の為に?
えっ?もしかして第二王子殿下を慕ってる誰か?
私を排除しようとしている人?
あれほどの魔術師を手配出来るなんて誰なんだろう?
「オマール様、…学院に…入ってから…わかった…と…おっしゃい…ました、けど…どういう…こと…ですか?」
少しスムーズに喋れるようになってきた。
だんだん身体も動くようになってみたいだし、もう少しもう少しよエンヴェリカ!
もう少しで防御魔法が展開出来るかもしれない。
何とかオマール様を喋らせて時間を稼ごう。
「えええ?学院に入ってから毎日エンヴェリカが私とロザリナが一緒にいるところを見て悲しそうにしていただろ?
他の人が見てそう思うくらいだから誰にでもわかるくらいエンヴェリカは私を見ていたんだね」
えええ?私、オマール様とロザリナ様を見て悲しんでなんかいないけど?
他の人がってそれ誰ですか?
でも学院内だから生徒ということ?
オマール様とロザリナ様が睨んでくるから何で?って思っていたし、私のこと相当嫌なのかって思ったくらいなのに。
「オマール様が…私を…目に入れる…ことを…嫌がって…おられ…たんでは?」
私の質問にオマール様は?えっ?と目を見開く。
「そんな訳ないじゃないか。
エンヴェリカが前髪と眼鏡で顔を隠していることを悲しい、憎たらしいとは思っていたけどね。
私のエンヴェリカは美しいということをみんなに知ってもらいたいのに、学院にまであんな格好でいて…あっ、でも他の人間に君の美しさを知られない方が結果的には良かったかもしれないね?
私だけが知っていればいいことだから。
な~んだ、その為に学院でもあんな格好をしていたのか、そうかもっと早くにわかってあげれば良かったね、ごめんねエンヴェリカ」
いやいや違う!
どうしてそうなる?
どんどんおかしい方向にいってるよ!
こわっ、怖いよオマール様!
「もう話はいいよね?
エンヴェリカは早く私のものになってもらわないと」
ニッタリと薄気味悪い笑みをしながらオマール様が私に近付いてくる。
私は全身がゾゾッとして身体が震えてくる。
待って!まだ時間が必要!
「まっ、待って…くだ…さい!」
「もう待たないよ」
オマール様が寝転がってる私の側にしゃがんで、私の頬をネットリと手で触れてきた。
触れられた頬から全身がゾッとして鳥肌が立つ。
気持ち悪い!!
嫌!嫌だ!
助けて!誰か助けて!
殿下!殿下助けて!
でも声になって出ない。
オマール様から少しでも逃れようと身体を捩った時に。
「ぶぉっ!…」
とオマール様がどこから出てくるんだろうという情けない声を出したと思ったらしゃがんだまま横にバッタリと倒れた。
「!…?!」
「エンヴェリカ嬢!」
そこに今までたくさん聞き慣れたずっと私の側にいてくれたあの方の声が聞こえてきた。
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