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百三十八話 そしてこれがハッピーエンドですわ ①
しおりを挟む私が二人目の女の子を出産して早くも三年の月日が過ぎたのよ。
二人の子はシンフォニアと名付けらたの。
ラファエルの時は私が勝手に考えて決めたけど、シンフォニアの時はフィンレルと相談して決めたのよ。
シンフォニアってこちらでも交響曲や調和って意味があってたくさんの人たちに愛されるようにって願って付けた名なの。
本当は私がラファエルと名付ける時に大天使の名前が浮かんだから、二人目にも大天使の名がいいかなって思ったのだけど、こちらの世界大天使のお話とかがない世界で、もちろん神の存在は信じられていて前世より信心深いことが当たり前の世界なんだけど、天使という存在が神の使徒とか眷属って言い方で御名はないんだって。
それでフィンレルと話し合った結果、シンフォニアになったの。
フィンレルがいろんな書籍を見て一生懸命考えてくれたから、今回はフィンレルの熱意に私も同意したのよ。
シンフォニアはフィンレルの水色の髪を私の琥珀色の瞳を受け継いで生まれてきた。
フィンレルやラファエルみたいにクッキリハッキリした美形ではないけど、楚々とした儚げな美少女って感じよ。
それで生まれた時からラファエルよりは大人しく控えめな子で本当にベレッタかもしれないと思ったわ。
でもまだベレッタだとしての前世の記憶はないみたいだから私も何も言わないようにしているのよ。
だってベレッタであってもなくても私の大切は愛しい子であるのは変わらないもの。
もしいつか前世を思い出すようなことがあったとしても私が受け入れて大切に一緒に考えて見守っていくつもりよ。
それからあれから三年が経ったから陛下は引退して、ギルバード様が国王陛下に即位したのよ。
当時は王妃殿下、殿下の実家のことがあったから確かに一時は混乱したし、いろいろと噂された。
でも陛下もキャロライナ様もアンジェリカやみんながギルバード様をフォローして、ギルバード様も今までより一層頑張ったから貴族たちの信用を得て無事国王陛下に即位されたのよ。
ギルバード様とキャロライナ様は平民の生活についての政策にも多く取り組まれていて、成果も出しておられギルバード様が即位する一年くらい前には平民からも人気になったから問題なかったと思うわ。
陛下は引退されてから王宮の近くにある離宮に一人移られたのだけど、引退してからしょっちゅううちに遊びにくるようになったのよ。
あっもう陛下じゃないからヘルナンド様ね。
アランは相変わらず塩対応なのだけど、ヘルナンド様はケイトとかなり仲良くなって、ケイトを凄く可愛がってくれているの。
アランはケイトを凄く溺愛していて、ケイトの言う事を何でも聞くくらいだから、そのケイトがヘルナンド様に懐いているもんだから、アランはヘルナンド様のことを邪険にはできないって感じなのよね。
「何でしょっちゅう来るんですか?うっとおしい」
なんてアランはヘルナンド様に言っちゃったりするから邪険にしてるか!
元陛下を邪険にするってどうなんだと思うけど、アランはなかなか素直じゃないのよね。
でも何だかんだとヘルナンド様とアランは交流していってるのよ。
それからアンジェリカのとこも三人目が今年誕生したの。
これまた可愛い女の子よ。
嫡男のキャスバルくんも十歳になり、ますます凛々しく麗しくなっていて、貴族令嬢たちが大騒ぎしているわ。
でも令嬢たちがあまりにも集ってくるものだから、キャスバルくんはちょい女性嫌いになりつつある。
でも妹は別みたいで四歳のアリシアちゃんと生まれたばかりの次女のカナリアちゃんのことは凄く可愛がって、目がなくなっちゃうくらいメロメロのデレデレになっている。
うちのシンフォニアも凄く可愛がってくれてるのよ。
シンフォニアはフィンレルとラファエルで美形耐性が出来てるのか、キャスバルくんを見てもキャーッとならないからかもね。
一方ラファエルはずっとキャスバルくん大好きで会える時はいつも一緒にいるけど、ラファエルもフィンレルにそっくりの顔だからキャスバルくんと同じく令嬢たちが集ってくるのよ。
でもうちのラファエルは口が悪いのよ。
「来るな!近寄るな!」
ってすぐ言っちゃうのよ。
ちゃんと貴族教育は受けてるわよ。
親の欲目なしにもかなり優秀だと思うのだけど、すぐ感情のままに口にしちゃうのが玉に瑕なのよね。
誰に似たのか?ってそりゃ私よね。
それでラファエルは令嬢たちに怖いと思われているようだわ。
でもラファエル本人はまったく気にしていないの。
だからって女性全員にそうって訳じゃないのよ。
私にも凄く優しい子だし妹のシンフォニアのこと凄く可愛がって大切にしてくれてるし、キャスバルくんの妹たちや叔母様、メリアンナ、シャルロット、マナベルのお子様たちともとても仲良しよ。
でもそれ以外の令嬢には結構辛辣なのよね。
それも大人しくて控えめ目なシンフォニアが令嬢たちに囲まれて、嫌味を言われたりしているからだと思うのよね。
シンフォニアはまだ三歳でお披露目会はまだなんだけど、令嬢たちも同年代やラファエルと同年代の子たちのところへ一緒に連れて行くことがあるんだけど、もうそんな幼い令嬢たちも大人の令嬢並に嫌味とかを言ったりするみたい。
シンフォニアはそれにメソメソ泣いたりはしないのだけど、言い返したりは出来ないみたいでね。
だからラファエルがそんなシンフォニアを守ろうとして、余計周りの令嬢たちに辛辣になるんだと思うわ。
私はそんな子供たちを今のところ見守っている感じかな。
あんましガシガシ親が前に出て行くのも良くないかなって思っているからね。
そこはちゃんと見極めないといけないよね?私すぐ出て行っちゃいそうになるから自分で押さえてるのよ。
でも後でラファエルとシンフォニアのフォローをすることは忘れないようにしているわ。
シンフォニアは大人しくて控えめだけど決して弱い子ではないわ、芯の強い子なの。
でも人見知りだったり相手に何か言われてもまだすぐに言葉を返せないところがあるのよね。
慣れてくるといろいろとお話出来る子よ。
キャスバルくんやアリシアちゃんとはキャッキャッって仲良く遊んでいっぱいお喋りしているみたいだからね。
シンフォニアのことは様子を見て成長を見守ろうと思っているわ。
もちろんラファエルもね。
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