怒れるおせっかい奥様

asamurasaki

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百三十四話 あの方たちの結末とこれからのお話ですわ ①

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 それから王妃殿下は陛下と婚約、結婚してからも自分または前侯爵夫妻が気に入らない貴族などを追い落とす行為をしてきたらしい。

 だけど結婚して王太子妃になり王宮で暮らすようになってからギルバード様がお生まれになり数年経つまでは、表面上は比較的大人しく王宮内の人間に対して目立って何かをすることはなかったのだそう。

 しかしギルバード様が生まれて数年が経つ頃から、陛下の周りの人間に対して敏感に反応されるようになったそうだ。

 それは陛下の側近や臣下使用人まで至る男女関わらずだったそうで、王宮内の人間たちは王妃殿下に睨まれないよう陛下との距離など気を遣って行動するようになったそうよ。

 でも年々王妃殿下が陛下の周りに対して反応されるのが極端になっていき、先日の王宮の侍女のように堕胎薬を盛られる、毒薬を盛られるなどのことが起こるようになっていった。

 中には下位貴族の家は圧力をかけられて潰されたりなんかもあったのだそう。

 毒薬を盛られるなどがあっても表立って殺害されるということまではなかったそうだが、毒薬により身体が不自由になりもう働けなくなる人がいたそうだ。

 それとそこまではなくともされたことを警告と受け取り辞めていく人も結構いたのだとか…。

 殺害まではしていなくても結構なことをしていたのね。

 そこまでするかな~?どう見ても陛下は使用人に手を出すような方ではないと思うのだけど、そういうことじゃないのかな~。

 私にはわからないわ。


「それで王妃の様子なんだが、あの時はまるで気が触れたかのようだったが、貴族牢に入れられてからは物を投げたり暴れるようになったようだ。

 そしてレティシアに対して罵詈雑言をずっと叫んでいて、私を呼んでくれとずっと言っているらしい。

 だが貴族牢の看守に便宜を図ってもらおうと取引を口に出すなどの策を講じようとするなど、とても気が触れているとは思えないことも口にしている。

 あやつは気が触れたのではなくあれが本来のあやつの姿だった。

 私があやつを愛せなかったことも大きいのだろうが、それでもあやつは本質的には元からあのような人間で育った環境で余計助長したのであろう。

 あくまでも自分は悪くない、自分は私に愛されるべき人間だと常に思い、自分が気に入らない人間を害してもそれが当然だと思っていて、何も悪くないと思っているのであろう」

 王妃殿下は自分が陛下に愛されないからと精神を病んだのではなくあれが本来の姿なの?

 もちろん育った環境も大いに関係あるのだろうけど、王妃殿下の本質は自分は何も悪くない、何をしても許されると思うような人だったということ?

 やっぱり王妃殿下はある意味エレナ様と同じ?

 エレナ様は前世の記憶を持ち自分が前世のゲームの世界のヒロインとして生まれたから、自分はみんなから愛される人間だ、みんながそのゲームのシナリオ通りに自分の思い通りに動いて当然だと思っていた。

 そしてゲームが終わってからもそれまで自分の思い通りにいったと思っていたから、その考え方が変わらずある意味ここがゲームの世界だということに囚われ過ぎていたのだと思う。

 エレナ様が前世でどんな女性でどんな人生を歩んだかはわからない。

 もしかしたらここが自分がプレイしたゲームの世界ではなかったら、彼女がヒロインではなかったら彼女はあそまでにはならなかったかもしれないわね。

 でも王妃殿下は違った。

 王妃殿下も裕福な高位貴族である侯爵令嬢として生まれたという環境もあったけど、王妃殿下にはあのようなバケモンになってしまう素養があったということだろうか…。

「そうでございますか…それで王妃殿下は北の離宮に幽閉となられるそうですが、いつご出発をされるのですか?」

 アンジェリカは表情を変えていない。

 もうあのこと王妃殿下のことは自分の中で整理がついて切り替えているってことかな。

「王妃は明後日出発の予定だ。

 王妃は本当ならあまりの罪の多さに死罪が妥当だが、毒杯を与えることもしない。

 あれは死ぬことよりたった一人で誰もこない北の外れの離宮で同じく罪を冒した数少ない侍女たちと一生と暮らす方が、死ぬよりも辛いであろうと思い、生涯幽閉という処分とした。

 実家のケラッドンリー侯爵家も同じく処刑が妥当だが、多くの者たちに薬を盛ったりしていたことから、侯爵夫婦には薬物研究の試験体となってもらうことにした。

 相当な苦痛を伴い、二年と生きた者はいない。

 侯爵家の使用人に関してはその罪に応じた処分を言い渡してある。

 もちろんケラッドンリー侯爵家の一族は領地の没収お家取り潰しとなり、貴族位は剥奪。

 夫婦以外の親族は平民となり罪に応じて鉱山での強制労働か修道院送りとなる」

 この世界での薬物研究の試験体というものを私は初めて聞いたけど、聞いただけで身体的にも精神的にも辛そうだ。

 でも罪もない人々に薬を盛り散々苦しめてきたのだから仕方のないことなのかな。

 また王妃殿下に関しては陛下が仰る通り死ぬことより一生陛下に会えず一人孤独に生きていく方が辛いだろうと思う。

 たぶん今後も反省されたり後悔されることはないと思うけれど、言い方は悪いが気が触れたりすることなく、正気のままで寿命まで生きてもらうことが被害に遭った人たちへ少しだけでも償いになる…のかな?

 アンジェリカ、キャスバルくん、ラファエルのこととか私のことを許すことは出来ないけど、どんな罪が妥当なのか私にはわからないよ…。


「それから私からだが陛下の退位についてなのだが、王妃殿下と実家のことについては公には出来ない。

 だが王妃殿下が病の療養、そして実家のケラッドンリー侯爵家がなくなるとなると、みなが混乱し噂となるであろう。

 そんな中陛下がすぐに退位されるのは好ましくない。

 よって私のことも含めて三年を目処にと考えているのだがいいだろうか?」

 ギルバード様が陛下の後に続き発言された。

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