131 / 143
百二十八話 人を愛するということは…
しおりを挟むえっとあれから王宮から邸に戻ってきたんだけど、王妃殿下のことやアランのことなどいろいろあり過ぎて、本当に一度落ち着いて考えないといけないわよね。
でも今日のところは脳がパンパンでキャパオーバーになっているから、後日ゆっくりとお話することになった。
フィンレルもアランのことをお義父様から聞いたことがないらしい。
まあいくら息子にでも陛下のことだから簡単には言えないことだったんだろうけど、フィンレルも戸惑っているわ。
それにアラン本人は表情はいつもと変わらないけど、何かどこかフワフワとしているように見えて、いろいろと考えて自分の中でまとまらないんじゃないかしら?
彼にも考える時間が必要よね?
だから今日は何も聞かずまた後日にすることにしたの。
翌日フィンレルはまた王宮へ行ったわ。
まだ後処理とかこれからのこととかで忙しいみたい。
落ち着くまでまだしばらくはかかりそうね。
私は二日ほどはゆっくりしたわ。
ちょっと脳を休めないと大変なことになっていたから。
今でも王妃殿下のことを思い出すと気持ち悪くなるのよ。
本当にヤバかったよね?もうまともではなかったと思うわ。
悪いけどバケモンよね。
人を好きになること自体はわかるわ。
私だって前世で十代二十代の時に人を好きになって恋したことあるもの。
嫉妬したりとかはもちろんあったわよ。
でもあそこまで病的なまでに一人の人に執着して、周りがみんな自分の敵みたいに思うことはなかったわ。
前世でヤンデレって言葉があったけど、王妃殿下はまさにそういうのかしら?
ん~でもヤンデレよりサイコパスっぽい?ヤンデレとサイコパスのミックスって感じかな。
本人の元からの資質が大きいのかもしれないけど育った環境も関係あるよね。
王妃殿下は侯爵令嬢として生まれて何不自由なく育った方だと思うの。
それに可憐で美しい方だもの、幼い頃からそれはそれは周りからチヤホヤされて、蝶よ花よって育てられたんだろうね。
タイプは違うけど自分が欲しいものはすべて手に入ると思っているのはエレナ様と王妃殿下は同じだったかもね。
王妃殿下は陛下のことを本当に愛していたんだと思うわ。
王妃殿下は最初は陛下も自分を愛してくれるって自信があったのかもね。
でも陛下にはレティシア様がいた。
陛下はレティシア様だけを愛していたし、レティシア様も陛下だけを愛していた。
そこには誰も入り込めないくらいだった。
でも陛下は王太子でレティシア様は力がそんなに力のない伯爵令嬢だった。
お互いの立場がありお互い愛し合っても簡単に婚約とはいかなかった。
たがら陛下はその時はレティシア様と王妃殿下も含めた何人かを婚約者候補とするしかなかった。
陛下はその間に当時の国王陛下や貴族たちの支持を取り付けてレティシア様を婚約者にしようと奔走して、やっと外堀を埋めれたところで、王妃殿下と実家がレティシア様を排除する為に、レティシア様の両親とお兄様を事故に見せかけて殺害してしまって、結局レティシア様を婚約者にすることが出来なかった。
前世私が生きた時代の日本では考えられないことかもしれないけど、前世でも身分制度があった昔の江戸時代とかの日本ならきっとあった話だよね。
陛下はレティシア様を婚約者候補にしてしまったのが間違いだったと言っていたけど、そうだったのかもしれないし違うかもしれない。
だって誰が見たって陛下が愛しているのがレティシア様ってわかるならレティシア様を排除しようとする勢力は王妃殿下たちだけではなかったのかもしれないし、婚約者候補になっているなっていないは関係なかったかもしれないよね。
そして陛下のお父様の前陛下だけど、前陛下は陛下を助けてはくれなかったみたいだけど、陛下が王太子なんだから自分で何とか出来るようでなければ、国を任せられないと思っていたから手助けをしなかったのかもしれないよね。
陛下は自分に力がなかった、自分が政争に負けたんだと言っていたけど、それはよくわかるんだけど前世自由恋愛を許されていた私の立場だと陛下のこともレティシア様のこともとても悲しいと思うわ。
そんなに愛し合っているなら望み通り結婚出来ていたら良かったのになって思うわ。
でも陛下が王妃殿下の子でも子には罪はないからってちゃんとギルバード様に向き合って愛していたのは良かったと思った。
これで陛下がギルバード様を憎んで疎んじたりしていたらギルバード様が救われない。
王妃殿下も結婚しても陛下に愛されなかったことは可哀想だと思う。
でも陛下からしたら愛してる人を排除したかもしれない人を愛せなかったんだろうね。
その時は確かな証拠はなかったんだろうけど、陛下は十中八九王妃殿下とその実家だと思っていた。
それでも陛下は愛せなくても国の為、民の為に王妃殿下とそれなりに上手くやっていくつもりだったんだろうけど、王妃殿下は陛下の愛を求めた。
王妃殿下は国より民より陛下の愛が欲しかった。
でもそれが得られないからああなってしまったのね。
悲し過ぎるね…王妃殿下がやったことは許せることでは決してないけど、でも可哀想な人だとは思うわ。
人を愛するって難しいっていうか思い通りにならなかったりもするんだね…。
602
お気に入りに追加
3,371
あなたにおすすめの小説
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。

侍女から第2夫人、そして……
しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。
翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。
ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。
一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。
正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。
セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる