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百六話 みなさんに会いにいきますわ
しおりを挟む今日はメリアンナ様のタウンハウスにラファエルと私が招待されて、メリアンナ様と三人のお子様、叔母様と二人のお子様と会うことになっているの。
ラファエルも私もお洒落してフィンレルに見送られて、馬車に乗ったのよ。
ラファエルは一歳になったところなの。
タウンハウスでフィンレルと私使用人のみんなでラファエルの一歳のお誕生日のお祝いをしたのよ。
ラファエルはもう掴まり立ちをするようになって、一人でヨチヨチだけど歩くようになったの。
すぐ転けちゃうけど、転けても全然泣かないのよ。
それよりも好奇心旺盛であちこちに行こうとするから目を離せなくて大変なんだけど、我が子の成長は本当に嬉しいものね。
言葉もしっかりしてきて何と最近私の顔を見て「おかぁ~」って言ってくれたのよ!
ラファエルに初めて言われた時は感激しちゃったわ~。
ラファエルをギュウッと抱きしめて、側にいたフィンレルに私の方が先に「おかぁ~」ってラファエルが呼んでくれたわよ!ってドヤ顔で胸を張ってえっへんてしたわよ。
フィンレルはそんな私を見てクスクス笑っていたのだけど。
今度はラファエルが「おっとぉ~」ってフィンレルを見て言ったのよ。
そしたらフィンレルは感激しちやってポロポロ涙を流しながら、ラファエルを抱きしめて頬をスリスリしていたわ。
ラファエルはフィンレルの頬スリスリにちょっと嫌な顔をしてうっとおしそうにしていけれども(笑)
そんな可愛い愛おしいラファエルとメリアンナ様のカエンシュルト伯爵家のタウンハウスにお邪魔したのよ。
私とラファエルが馬車から下りると、メリアンナ様が私を見て慌てて歩み寄ってきて私を抱きしめて涙を流して謝罪してきたの。
メリアンナ様は私を一人にしてしまったことを凄く後悔して、気に病んでいらっしゃった。
でもメリアンナ様は何も悪くないわよね。
「メリアンナ様が何も謝ることなんてないですわ。
メリアンナ様は旦那様のキーファーランド様が心配で戻られただけですもの、何も悪くないじゃありませんか?
それにわたくし何もなかったんですもの、もう泣かないで下さいまし、さあ涙を拭いて。
メリアンナ様わたくし今日をとても楽しみにしておりましたのよ。
メリアンナ様、叔母様そしてお子様たちにお会い出来るんですもの。
今日はお子様たちみなさんに贈り物がございますのよ」
ってメリアンナ様を抱きしめ返して、背中を撫でながら私は後に振り返る。
今日はね、馬車ニ台でやってきたの。
二台目の馬車にはメリアンナ様と叔母様のお子様への贈り物をたくさん持ってきたから、それを護衛と使用人に運んでもらうようお願いする。
メリアンナ様の案内で応接室に私たちは入らせてもらった。
うちの応接室も広いけどカエンシュルト伯爵家の応接室もとても広くてお子様が走り回って遊べるくらいだった。
そこにたくさんの贈り物を置いたらお子様たちがはしゃいで早速贈り物の包みを開け出したの。
みなさんさすがは伯爵家とラバートリー商会のお子様たち。
びりびり包紙を破るんではなくてお行儀良く丁寧に慎重開けているのよ。
そこは前世の日本と同じって感じだわ。
それからお子様の男の子たちはそのおもちゃでみんなで思い思いに遊び初めて、女の子たちはとてもおしゃまでこの中で一番年下のラファエルの面倒を見ようと、ラファエルを中心にして遊び出したの。
ラファエルは生まれてからすぐジェシカのお子様二人が側にいたから、子供たちが側にいることに慣れているのよね。
だからキャッキャッと楽しそうに遊んでいるわ。
叔母様のお子様は八歳のウィルくんと三歳のグローリアちゃん。
メリアンナ様のお子様は九歳のアンローゼスちゃん、六歳のキャンルードくん、四歳のブロズナンくん。
ウィルくんは男の子の中で一番年上で面倒見が良くてとても落ち着いている子で、ブロズナンくんを優先して遊ばせてあげるような優しい子なの。
キャンルードくんはやんちゃって感じで、ブロズナンくんは末っ子ということもあって甘えたさんな感じ。
一方この中で一番年上のアンローゼスちゃんはとても気遣いが出来る子って感じ。
メリアンナ様が私を見て抱きついて泣いているのをとても心配して様子を見ていたけど、大丈夫ってわかったらグローリアちゃんと一緒になってラファエルと遊んでくれている。
グローリアちゃんはあれこれとラファエルのお世話を焼きたいみたいで、アンローゼスちゃんがラファエルを膝の上に乗せて抱っこしていたら私も私もって感じよ。
可愛い天使たちがキャッキャッと遊んでいる姿を見てメリアンナ様も落ち着いてきて、笑顔を見せてくれるようになって良かったわ。
メリアンナ様がとても気に病んでいるみたいだってフィンレルから聞いていたから、もう気にして欲しくないしせっかくだからみなさんで楽しみ時間を過ごしたいと思っていたから、お子様にたくさんの贈り物をしたの。
それにお子様たちに誕生日のお祝いをまだしたことがなかったからね。
メリアンナ様も叔母様もとても喜んでくれたから良かった。
私たちは遊ぶ子供たちを見ながらソファに座ってお茶をしている。
「ベレッタはもう体調は大丈夫なの?」
叔母様が気にかけて声をかけてくれた。
「ええ、叔母様もうこの通りすっかり元気ですわ」
私は二人ににっこりと笑いかける。
「本当に良かったわ、トニオもだけどメリなんて本当に心配して大変だったんだから~」
「だってもしベレッタ様に何かあったらって…わたくし生きている心地がしませんでしたわ…」
叔母様の後にメリアンナ様が悲しそうに眉を寄せる。
「お陰様で大丈夫でしたわ。
フィンレルと王太子殿下が助けに来て下さったんですよ」
「まあ、もう呼び捨てですわよ!」
叔母様が声を上げてメリアンナ様の肩をポンッと叩く。
「侯爵閣下との仲が深まったようですわね」
メリアンナ様も嬉しそうに私も見てくる。
私は恥ずかしくなって顔に熱が集まってくる。
「良いことですわ~ねぇメリ」
「ええ、本当にひと安心ですわ。
わたくし結構ヤキモキしておりましたのよ」
メリアンナ様が柔らかく微笑む。
「ヤキモキ、ですか?」
「そうよ、だってわたくしお邸に行かせて頂く度に侯爵閣下とベレッタ様を見させて頂いておりましたのよ。
閣下は明らかにベレッタ様が大好きであれこれ話しかけているのに、ベレッタ様がずっと素っ気ないものだからわたくし気を揉んでいましたの」
「っ!…」
私はメリアンナ様に言われたことにより一層顔が熱くなっていく。
「そ、そうでしたかしら?」
オホホと笑って誤魔化す。
「ええ、そうだったわね。
完全に閣下の片思いだとわたくしも思っていましたわ。
起こったことはとても許されるものではなかったですけれど、閣下はとても頑張っておられましたからね。
ベレッタが自分の気持ちに気付いて変わったことは良かったと思うわ~」
えっ?叔母様に言われて私の気持ちバレてたの?なかなか素直になれないことも?
これはめちゃくちゃ恥ずかしいことだわ。
それからいろいろフィンレルと私がジレジレだったことを言われて、私はずっと恥ずかしかったわ。
でも叔母様もメリアンナ様も私を気遣ってくれて、あの時のことのあまり話題になることなかったの。
メリアンナ様からアンジェリカ様、シャルロット様、マナベル様たちも私の為に動いて下さったことも聞いてとても心配されていたことも聞いたわ。
手紙は送ったけど今度改めてお会いしてお礼を言わないとって思った
私は叔母様メリアンナ様とカサンドレル公爵家とのこれからの商談のことや、馬具の革の部分に刺繍をして飾り付けていきたいこと、それから子供たちの話をして楽しい時間を過ごして、邸へと戻った。
ラファエルは遊び疲れたのか馬車の中でスヤスヤとよく眠っていたわ。
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