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八十六話 フローリアside ②
しおりを挟むそれから年月が過ぎてわたくしもベレッタも十六歳になりアカデミーに入学したわ。
ベレッタは寮に入れられて、わたくしだけが王都のタウンハウスから通うことになったわ。
フンッ!ざまあ見ろって思っていたわ。
それからお母様が他の人に指示してベレッタが義妹であるわたくしをずっと罵り虐げている、それに無類の男好きであちこちで男に声をかけまくっている節操のない女だと噂を流させた。
お母様はわたくしに「いい?フローリア貴方は被害者なのよ。
だから貴方がベレッタを悪く言っては駄目よ!わたくしはお義姉様に虐められて蔑ろにされているけれど、お義姉様は何も悪くないの」という姿勢を貫きなさいと何度も言われたの。
それでお母様の言う通りにしたらベレッタの評判がどんどん悪くなっていって、わたくしの方は『義姉に虐げられていてもそんな義姉を庇う健気な美しい妖精令嬢』と言われるようになったわ。
わたくしはとても嬉しかったわ、わたくしの今までの苦労が報われたと思ったものよ。
それにお母様がお茶会やサロンに参加した時にベレッタを庇いながらも、実はベレッタはこんなところがあってわたくし少し困っていますのって、さり気なく夫人たちに悲しい顔をしながら言ってやったわと言っていたけど、ベレッタの評判はアカデミーだけでなく社交界でもだだ下がりになったわ。
わたくしの気分は最高潮だったわよ。
幼い時に狭い邸に住んでお母様とお父様が来るのを心待ちにしていた日々が報われたような気がしたわ。
それとね、わたくしの方はとても裕福で身分も上で麗しい顔のラットビア伯爵家の第二男のジョシュア様にアカデミー時代に見初められて、婚約したのよ。
ベレッタの方はアカデミーでもいつも一人ぼっちで当然婚約者なんて出来るはずがなかったわ。
だって最悪な評判なんだもの。
それにベレッタは教育を全然受けていなかったから、マナーも礼儀もなっていない義妹を虐げる恥晒しの性悪女だと言われていた。
わたくしは毎日気分が良くてアカデミーに通うのが楽しくて仕方なかったわ。
ベレッタが寮にずっといて邸に帰ってこないから虐めて蔑めないのだけは不満だったけれどね。
それからわたくしたちがアカデミーを卒業したら、すぐお父様がベレッタの縁談を持ってきた。
サウスカールトン侯爵だって。
身分はジョシュア様より上なのは気に入らないけど、アカデミー時代に婚約破棄騒動を起こした評判が最悪な家だと聞いて、あの地味で卑しい平民の子にピッタリの縁談だって、ベレッタが嫁ぐまで散々イビってやったわ。
それから一ヶ月程でベレッタが嫁いでいって居なくなって、わたくしは正式にお父様の子として養女となり、ジョシュア様と結婚したのよ。
わたくしの家は昔は貧乏でベレッタの叔父の平民男の援助で何とかなっていたけど、わたくしがジョシュア様と婚約してから引き続き平民男の援助とジョシュア様の家からの援助もあり、それにジョシュア様の実家と事業提携することになって、うちの領地をどんどん開拓していってうちはどんどん裕福になっていったの。
今まででは考えられないくらいの贅沢が出来るようになったのよ。
ドレスやアクセサリーなどすべて最高級で揃えられるようになったり、邸も綺麗に改築して中も広くなって高位貴族並の邸になって、元から美しいお母様もわたくしももっと美しくなって、コローラル子爵家は飛ぶ鳥を落とす勢いだって社交界でも評判になって、お父様も常に最高級品を身につけるようになって、どこから見ても立派な貴族紳士そのものになったわ。
でもお母様やわたくしがあまりにも贅沢をし過ぎるとジョシュア様に諌められるのよね。
ジョシュア様は見目は麗しいし、優しくて本当に素敵な方なのだけど、真面目過ぎて少し口煩いのがたまにきずだけど、お父様とお母様がどんどん買いたいものを買って、お茶会やサロンにも行きたければ全部行っていいって行ってくれるから、どんどんいろんな物を買って夜会や舞踏会、お茶会やサロンにもどんとん参加しているわ。
でもそこにいる貴族の女たちがわたくしに反感を持って嫌味を言ってくるのよ。
わたくしが自分の夫や婚約者にちょっかいをかけてるって!
だってみなさんがわたくしの美しさに吸い寄せられて、向こうから来るんだから仕方ないでしょ!
自分たちが醜くて卑しいっからってわたくしに嫉妬しないで欲しいわ。
だけどそんな女たちのことなんか全く気にしていないわ。
だって浮気している訳じゃないもの。
ジョシュア様が生真面目で融通が利かないから少し息抜きをしているだけよ。
でもそんな何をやっても順調なわたくしに水を差す出来事があったのよ。
あの卑しい平民の女の子のベレッタなのよ!
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