87 / 143
八十六話 フローリアside ②
しおりを挟むそれから年月が過ぎてわたくしもベレッタも十六歳になりアカデミーに入学したわ。
ベレッタは寮に入れられて、わたくしだけが王都のタウンハウスから通うことになったわ。
フンッ!ざまあ見ろって思っていたわ。
それからお母様が他の人に指示してベレッタが義妹であるわたくしをずっと罵り虐げている、それに無類の男好きであちこちで男に声をかけまくっている節操のない女だと噂を流させた。
お母様はわたくしに「いい?フローリア貴方は被害者なのよ。
だから貴方がベレッタを悪く言っては駄目よ!わたくしはお義姉様に虐められて蔑ろにされているけれど、お義姉様は何も悪くないの」という姿勢を貫きなさいと何度も言われたの。
それでお母様の言う通りにしたらベレッタの評判がどんどん悪くなっていって、わたくしの方は『義姉に虐げられていてもそんな義姉を庇う健気な美しい妖精令嬢』と言われるようになったわ。
わたくしはとても嬉しかったわ、わたくしの今までの苦労が報われたと思ったものよ。
それにお母様がお茶会やサロンに参加した時にベレッタを庇いながらも、実はベレッタはこんなところがあってわたくし少し困っていますのって、さり気なく夫人たちに悲しい顔をしながら言ってやったわと言っていたけど、ベレッタの評判はアカデミーだけでなく社交界でもだだ下がりになったわ。
わたくしの気分は最高潮だったわよ。
幼い時に狭い邸に住んでお母様とお父様が来るのを心待ちにしていた日々が報われたような気がしたわ。
それとね、わたくしの方はとても裕福で身分も上で麗しい顔のラットビア伯爵家の第二男のジョシュア様にアカデミー時代に見初められて、婚約したのよ。
ベレッタの方はアカデミーでもいつも一人ぼっちで当然婚約者なんて出来るはずがなかったわ。
だって最悪な評判なんだもの。
それにベレッタは教育を全然受けていなかったから、マナーも礼儀もなっていない義妹を虐げる恥晒しの性悪女だと言われていた。
わたくしは毎日気分が良くてアカデミーに通うのが楽しくて仕方なかったわ。
ベレッタが寮にずっといて邸に帰ってこないから虐めて蔑めないのだけは不満だったけれどね。
それからわたくしたちがアカデミーを卒業したら、すぐお父様がベレッタの縁談を持ってきた。
サウスカールトン侯爵だって。
身分はジョシュア様より上なのは気に入らないけど、アカデミー時代に婚約破棄騒動を起こした評判が最悪な家だと聞いて、あの地味で卑しい平民の子にピッタリの縁談だって、ベレッタが嫁ぐまで散々イビってやったわ。
それから一ヶ月程でベレッタが嫁いでいって居なくなって、わたくしは正式にお父様の子として養女となり、ジョシュア様と結婚したのよ。
わたくしの家は昔は貧乏でベレッタの叔父の平民男の援助で何とかなっていたけど、わたくしがジョシュア様と婚約してから引き続き平民男の援助とジョシュア様の家からの援助もあり、それにジョシュア様の実家と事業提携することになって、うちの領地をどんどん開拓していってうちはどんどん裕福になっていったの。
今まででは考えられないくらいの贅沢が出来るようになったのよ。
ドレスやアクセサリーなどすべて最高級で揃えられるようになったり、邸も綺麗に改築して中も広くなって高位貴族並の邸になって、元から美しいお母様もわたくしももっと美しくなって、コローラル子爵家は飛ぶ鳥を落とす勢いだって社交界でも評判になって、お父様も常に最高級品を身につけるようになって、どこから見ても立派な貴族紳士そのものになったわ。
でもお母様やわたくしがあまりにも贅沢をし過ぎるとジョシュア様に諌められるのよね。
ジョシュア様は見目は麗しいし、優しくて本当に素敵な方なのだけど、真面目過ぎて少し口煩いのがたまにきずだけど、お父様とお母様がどんどん買いたいものを買って、お茶会やサロンにも行きたければ全部行っていいって行ってくれるから、どんどんいろんな物を買って夜会や舞踏会、お茶会やサロンにもどんとん参加しているわ。
でもそこにいる貴族の女たちがわたくしに反感を持って嫌味を言ってくるのよ。
わたくしが自分の夫や婚約者にちょっかいをかけてるって!
だってみなさんがわたくしの美しさに吸い寄せられて、向こうから来るんだから仕方ないでしょ!
自分たちが醜くて卑しいっからってわたくしに嫉妬しないで欲しいわ。
だけどそんな女たちのことなんか全く気にしていないわ。
だって浮気している訳じゃないもの。
ジョシュア様が生真面目で融通が利かないから少し息抜きをしているだけよ。
でもそんな何をやっても順調なわたくしに水を差す出来事があったのよ。
あの卑しい平民の女の子のベレッタなのよ!
619
お気に入りに追加
3,365
あなたにおすすめの小説

年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…

侍女から第2夫人、そして……
しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。
翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。
ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。
一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。
正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。
セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。

戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。

居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。
父親は怒り、修道院に入れようとする。
そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。
学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。
ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。

誤解されて1年間妻と会うことを禁止された。
しゃーりん
恋愛
3か月前、ようやく愛する人アイリーンと結婚できたジョルジュ。
幸せ真っただ中だったが、ある理由により友人に唆されて高級娼館に行くことになる。
その現場を妻アイリーンに見られていることを知らずに。
実家に帰ったまま戻ってこない妻を迎えに行くと、会わせてもらえない。
やがて、娼館に行ったことがアイリーンにバレていることを知った。
妻の家族には娼館に行った経緯と理由を纏めてこいと言われ、それを見てアイリーンがどう判断するかは1年後に決まると言われた。つまり1年間会えないということ。
絶望しながらも思い出しながら経緯を書き記すと疑問点が浮かぶ。
なんでこんなことになったのかと原因を調べていくうちに自分たち夫婦に対する嫌がらせと離婚させることが目的だったとわかるお話です。

出生の秘密は墓場まで
しゃーりん
恋愛
20歳で公爵になったエスメラルダには13歳離れた弟ザフィーロがいる。
だが実はザフィーロはエスメラルダが産んだ子。この事実を知っている者は墓場まで口を噤むことになっている。
ザフィーロに跡を継がせるつもりだったが、特殊な性癖があるのではないかという恐れから、もう一人子供を産むためにエスメラルダは25歳で結婚する。
3年後、出産したばかりのエスメラルダに自分の出生についてザフィーロが確認するというお話です。

王命での結婚がうまくいかなかったので公妾になりました。
しゃーりん
恋愛
婚約解消したばかりのルクレツィアに王命での結婚が舞い込んだ。
相手は10歳年上の公爵ユーグンド。
昔の恋人を探し求める公爵は有名で、国王陛下が公爵家の跡継ぎを危惧して王命を出したのだ。
しかし、公爵はルクレツィアと結婚しても興味の欠片も示さなかった。
それどころか、子供は養子をとる。邪魔をしなければ自由だと言う。
実家の跡継ぎも必要なルクレツィアは子供を産みたかった。
国王陛下に王命の取り消しをお願いすると三年後になると言われた。
無駄な三年を過ごしたくないルクレツィアは国王陛下に提案された公妾になって子供を産み、三年後に離婚するという計画に乗ったお話です。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる