怒れるおせっかい奥様

asamurasaki

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七十三話 新しい専属侍女その2

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 メイドを専属侍女にすると決めた私は、他にも働いてくれてるメイドが侍女になる気があるのなら、適性や働きを見て登用することにしたの。

 もちろん男性のサーヴァントも従者になる気があれば同じようにすることにしたのよ。

 すべての人たちをそうすることは出来ないけど、この家はメイドやサーヴァントや下働きの人間が多いのよ。

人の良かったお義父様やお義母様が行き場のない人たちを拾ってきたりしていたからなんだけど。


 それから既存の侍女、従者の人たちにもやる気を出してもらう為に、スキルアップをしたと判断されたら、年二回の特別給金をあげる制度を作ることにした。

 前世のボーナスってやつね。

 メイドやサーヴァントの下働きの人だけを優遇していると思われたくないからね。

 その制度、査定方法なんかについてはフレオ、リリアンナやフィンレルが連れてきてくれたお義母様の専属侍女をしていた二人のご婦人に協力してもらうことになっている。

 それと副料理長アメデオの奥様も元々こちらで侍女をしていたらしく二人のお子様も大きくなってきたし、アメデオが「今は随分働きやすくなったよ」と話していたようで、アメデオ一家も一緒に王都に来たから、奥様も無理のない範囲で手伝ってもらうことになったのよ。

 とっても助かっているわ。


 それで私の専属侍女にしたい子のもう一人なんだけど、洗濯メイドをしていたアンよ。

 アンは肩の上までの茶色の髪に大きな瞳の童顔に見える十七歳の可愛らしい平民の女の子なの。

 いつもニコニコしていて、仕事も真面目なの。

 でもおっとりしているからか仕事に少し時間がかかるって感じで、それに性格からか何かとみんなに少し仕事を押し付けられがちなのよね。

 周りが彼女を虐めているとか、自分の仕事押し付けてるという程ではないのだけど、何ていうか若い時ってモタモタしている人を見ると、我慢出来ずにイライラしてしまうことが私にもあったけど、周りはそういう感じかな。

 洗濯を始めても結局彼女が最後まで残ってやっていて、まだならこれもやって後ちゃんと片付けておいてねって感じなの。

 それでもアンはニコニコしながら嫌がらずちゃんとやる子なのよ。

 それからシーツが少しほつれていたりするのとか、ちゃんと見ていて見つけると自分でちゃんと縫ったりしたりするよく気も付く子。

 私は領地にいる頃からアンに目を付けていた。

 ピアナの方を最初に見つけて、彼女はチャキチャキ動く子だからアンとは真逆みたいな感じだけど、ケイトもしっかりしているからアンみたいな子が一人いてくれる方が上手く回るような気がしたのよ。

 もちろんメイドと侍女はその仕事内容は違うし、マナーや礼儀などを習っていない子にはその素養がないから厳しいとは思うけど、ピアナもアン二人とも根性があるし、何よりも仕事に真面目だからね。

 今後使用人を育てる方法をマニュアル化しようと思っているから、その実験体といえば聞こえが悪いけど、みんなで使用人を育てていこうと思っているから、私が彼女たちをその第一号に選んだ訳なのよ。

 それにピアナも父親のドノバンの生活を一人で支えている子だけど、アンも刺繍の仕事をしている母親と二人で年の離れた弟、七歳のイアンと母親の親友だった亡くなった女性の子八歳のジョンを育てている子だった。

 うちの使用人は貴族も平民もいるけど、貴族の子はもちろん平民の子でも裕福な農家や商会の子が多くて、行儀見習いで来ている子が多くて自分が家族の生活を支えている子は実は少ないの。

 裕福な平民の子は貴族子女ほどではなくとも、幼い頃からある程度のマナーや礼儀を習うみたいだから、下働きでも貴族の使用人に雇ってもらいやすくて結構そう人たちも多い。

 フィンレルの両親が行き場のない人を拾ってくるような人だったみたいだから、そういう人たちもいるわよ。

 でもそういう人たちは独り身が多くて、ここで働くようになって家族を持つようになったりしているんだけど、ここで知り合って使用人同士で結婚している人がほとんどなのと、あとは一人のままだったりで、そういう人たちはここの給金だけでも十分な生活をしていけるだけの収入があるのよね。

 それでね、実質うちの使用人の中で自分が家族の生活を支えていて、収入のほとんどを家族の為に仕送りをしているのはピアナとアンくらいだったの。

 彼女たちに適性がなければ無理だけど、ピアナとアンに可能性を感じたから専属にしようと思ったの。

 他の使用人のやっかみとか気を付けないといけないけど、そこは私やリリアンナとかでみんなで気を付けていくとにするわ。


 で、アンは一人王都に出てきて家族を領地に置いて仕送りをするつもりでいたようだけど、母親とイアン、ジョンも王都に連れてきて彼らも一緒に雇おうかと思ったの。

 家族も使用人として雇えば、王都の邸に一緒に暮らせるしね。

 ピアナの父親ドノバンも王都に連れてくるつもりだったから、ドノバンを庭師に復帰させてアンの弟のイアンとジョンを彼の補佐にして、庭師として育ててもらおうと思ったの。

 ドノバンにやりがいを感じてもらいたかったし、イアンもジョンもお母さんとお姉ちゃんを助けたい!ってずっと思っていたらしくて凄いやる気になってくれたからね。

 アンの母親も刺繍の仕事をしていて、領地で評判の良い人みたいだから、母親も使用人として雇っても問題なかったからね。

 だけどアンの母親は身体が弱いみたいだから、刺繍の良い腕を持ちながらもそんなにたくさん仕事が出来なかったみたいだから、娘のアンに頼らずにはいられなかったみたい。

 アンの母親にも涙を流してお礼を言われてしまったけど、もちろん彼女たちの境遇を見て決めたことだけど、それだけじゃないわよ。

 彼女の刺繍の腕が今後のうちの商売に役に立つかも?と思ったからよ。

 それはまた今後余裕が出来てからやっていこうと思っているの。


 そうやってアンも私の専属侍女に指名して、家族も王都に呼び寄せた。

 アンは凄くやる気になってくれたけど、弟のイアンとジョンの方が凄くやる気になってくれてみんな頑張ってくれてるわよ。

 ピアナとアンは侍女になる為のお勉強中だから、正式に私の専属になってくれるのはまだまだ先かな。




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