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六十八話 ボスに会いに行きますわよ
しおりを挟むアンジェリカ様たちとのお茶会が無事に終わって戻ってから、フィンレルにその時のことを報告した。
「そうなのか…レノバングリー公爵閣下たちには感謝ないとな。
何か礼の品でも送ることにしよう。
カエンシュルト伯爵夫人には特に口添えをして頂いたからそれなりの物を送らなくてはな」
とフィンレルもホッとしたように言った。
「ベレッタにも足労をかけいろいと大変だっただろう?
すまない、そしてありがとう」
とそれは美しく微笑んでお礼を言われたわ。
ええ、私頑張りましたわよ!
主にラファエルの為ですけれど!
でもフィンレルにお礼を言われて嬉しくはなったわ。
ちゃんとお礼を言うことは大事よね。
それからお茶会のメンバーにお礼の品と手紙を添えて送り、メリアンナ様には帰りにお礼を言ったけど、直に会った時に再度お礼を言ったの。
そういえば、アンジェリカ様たちはリリアンナのことを知っているのかもしれないけど、何も触れてはこなかったわ。
彼女たちはやっぱりそんなことを気にするようなちっちゃな人間ではなかった。
みんな芯が通っていて、潔くて男前でカッコ良くて美しい人たちだったんだから。
私みんなのこと好きになっちゃった。
それから一週間程してからアンジェリカ様から手紙が届いて、贈り物のお礼と共にまたお茶会に招待されたのよ。
今度はアンジェリカ様と私の二人きりみたい。
えっ?えっ?何だろう?やっぱり力添えは止めにするわって言われたらどうしよう?違うわよね?
あのお茶会の時アンジェリカ様ともみなさんとも良い感じだと思っていたのだけど、そう思っていたのは私だけ?
アンジェリカ様たちは表で良い顔して裏ではなんて、そんな方たちではないと思うのだけど…でも不安になってきたわ。
私は不安になりながらも、その日がきてレノバングリー公爵家へと向かったのだった。
前回同様に薔薇が咲き乱れる美しい庭に案内された。
アンジェリカ様がまた立って私を迎え入れてくれた。
私もまたカーテシーをして挨拶をして席につく。
テーブルには前回と同じアフタヌーンティーの食器が二人の斜め前にセットされていたたのだけど、前回とは違うお菓子が用意されていた。
中にはマカロン、あの真ん中に穴に空いたドーナツ、ケーキもタルトやモンブランが並んでいて、そしてそして!白い薄皮に白い粉砂糖がかかった丸めた和菓子まで並んでいる!
この世界で見たことがないスィーツばかりなの!
おまけに和菓子なんて!
私がハッとすると。
「やはりベレッタ様もそうなのですね」
とアンジェリカ様が悪戯が成功したようにふふっと微笑んだ。
「えっ?やはりアンジェリカ様もなのですか?」
「あら、ベレッタ様も気付かれていたのですか?前回のハイティースタンドを見てかしら?」
あのアフタヌーンティーの食器はハイティースタンドというのか、私知らなかったわ!
「いえ、わたくしが前世の記憶を思い出した時に、アカデミーでアンジェリカ様たちの噂を聞いたのを思い出した時にもしかしてと思ったのですわ。
でもそのハイティースタンドというものを見た時にうちにはないもので、この世界にあるものなのかしら?と確かに思いましたの」
「あぁ、そうでしたのね。
この世界にはまだハイティースタンドは出回っておりませんわ。
今のところわたくしのところだけですの。
わたくしはベレッタ様のお話を聞いていて、同じじゃないかしら?と思ったのですよ」
アンジェリカ様は今度は声に出してハッキリと笑った。
「わたくしの話のどこの部分だったのでしょうか?」
私は自分では思い当たらず首を傾げて聞いてみる。
「まずサウスカールトン侯爵閣下のことを主人と仰られたでしょう?
こちらの貴族ではだいたい伴侶のことを他の者に話す時は旦那様と言うのですわ。
主人と言う方にわたくしは今まで出会ったことがないのですの。
それとお子様の為にと話しておられる時に火の中水の中と仰った。
そのような言葉はこの世界で言う方はまずおりませんわ」
あっ!夫のこと主人と確かに言ってたわ。
ここでは言う人はいないのか!それと火の中水の中はラファエルのことで思わず熱くなっていたからだったけど迂闊だったわ。
「わたくし迂闊でしたわ、お恥ずかしい限りでございます」
私は肩を竦めて少し小さくなる。
「いえいえ、わたくしにとってはお仲間が見つかってとても嬉しそとですわ。
ですが、わたくしの他に王太子妃殿下のエレナ様も転生者のようなので、彼女の前では気を付けられた方が良いかと思いますわ」
エレナ様もそうなんだ~そうじゃないかと思ったけどやっぱりなんだ。
私はそれからアンジェリカ様の前世の記憶が甦ってからの話を聞いた。
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