怒れるおせっかい奥様

asamurasaki

文字の大きさ
上 下
66 / 143

六十五話 敵陣?に突撃ですわよ ①

しおりを挟む



 今レノバングリー公爵のタウンハウスに向かう馬車の中なのだけど、私以外にケイトともう一人実はリリアンナも一緒に来てくれているの。

 王都に到着してから今までの間に既に私の専属侍女が二人決まったのよ。

 でもその二人ともが元は洗濯メイドと掃除メイドだったの。

 私が選んだのだけどね。

 だから今リリアンナや他の使用人についてもらって侍女になる為の勉強中な訳。

 だからまだお茶会などには連れて行けないってことで、リリアンナも同行してくれることになったの。

 リリアンナから聞いたんだけど、お茶会では人数を指定されていない限り、だいたい二人くらいが同行するものらしく侯爵夫人が招待されて同行する者が一人だけだと、格好がつかなくて軽く見られるんだって。

 リリアンナなら何から何まで間違いないからということになったのよ。

 ほんと貴族って何から何まで大変よね。

 リリアンナに「いいの?」って聞いたのよ。

 表に出たくないかもしれないじゃない?

「奥様はよろしいんですか?わたくしでございますよ?」

 て逆にリリアンナに聞かれてしまったけど、悪い訳ないじゃん!

 知っている人がいるかもしれないけど、リリアンナのこと誰にも悪く言わせないわよ!

「何言っているの?もしリリアンナのことを貶めるような人ならこちらから交流するのお断りよ!」

 と私が言うと。

「奥様はそれで良いのでございます」

 ってリリアンナに言われたわ。

 そうよね~レノバングリー公爵のアンジェリカ様は今やこの国で一番力を持っている方だし、他の元側近候補の奥様たちもそうだけど、だからって媚びて擦り寄るのは違うと思うのよ。

 確かにフィンレルはやらかしてしまったけど、私はいくらフィンレルの妻であっても、何も悪いことはしていないんだから、堂々とするべきよ。

 それに私の家庭教師のメリアンナ様がいるのよ!

 情けない姿を晒すなんてメリアンナ様にも恥をかかせてしまうことだもの。

 やれるだけやるだけよ!元々あれこれ先のことを考えてクヨクヨ悩む自分が嫌で、そんな自分を変えたくて率先して火中の栗を拾うような人間になってしまったんだから、敵ばっかりの四面楚歌上等よ!


 馬車で十五分程走ってレノバングリー公爵家のタウンハウスに到着したわ。

 馬車から下りてビックリ!さすがこの国の王族の血統を持つ歴史ある公爵家。

 うちのタウンハウスも凄く広くて豪華だけど、こちらはもうひとつの王宮?ってくらいうちより大きな邸で白に金が装飾されている外観はとても圧巻よ。

 黒のスーツを着たキリッとしていて、品の良い壮年男性二人が出迎えてくれて、護衛と共に庭へと案内してくれた。

 庭も赤や白、ピンクなどの薔薇が咲き乱れていて、邸に見劣りしない豪華で素敵な庭だわ。

 私が到着すると、もう他の方がいらっしゃっていた。

 そして初めて対面するホストのレノバングリー公爵閣下のアンジェリカ様が立ち上がって私を出迎えてくれた。

 陽に照らされて煌めくストレートの腰まであろうかという白銀の美しい髪に大きな目は少し吊り上がっていて、叡智を湛えたようなアメジストの濃い紫の瞳、そして高価な陶器のようなツルツルの白い肌で、出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んだけしからんスタイルのあまりに完璧過ぎて一見冷たそうに見えてしまう圧倒的な存在感を放つ迫力の美女。

 その人がアンジェリカ様だった。

 私は彼女を前にメリアンナ様に厳しく仕込まれたカーテシーする。

「まあようこそいらっしゃいました。

 初めましてサウスカールトン侯爵夫人お会いしたかったわ、わたくしはレノバングリー公爵家当主アンジェリカでございますわ」

「お初にお目にかかります。

 この度はご招待に預かり光栄にございます、レノバングリー公爵閣下。

 サウスカールトン侯爵家当主が妻ベレッタにごさいます。

 もう皆様お揃いでお待たせしてしまいましたでしょうか?」

 私がカーテシーをしたまま顔を上げず挨拶すると。

「サウスカールトン侯爵夫人どうぞ顔をお上げになって。

 大丈夫ですわ、皆様時間よりかなり早く来られたのでお気になさらず」

 アンジェリカ様が口角を上げて品良く微笑む。

「ご配慮あるお言葉感謝申し上げます」

「さあ、お席にお座りになって」

「はい、失礼致します」

 私はアンジェリカ様が手の平で差してくれた席につく。

「皆様本日はご招待に応えて下さり感謝しますわ。

 まあもう堅苦しいのはやめにしましょう。

 ごゆると寛いで下さいませ」

 アンジェリカ様の言葉でそれぞれにお茶が用意されていく。

 その間にアンジェリカ様が席についているみんなの紹介をしてくれた。

 正面がアンジェリカ様、私の右隣がメリアンナ様、左隣がエスフィテバン侯爵夫人のシャルロット様。

 右のメリアンナ様の反対側の隣が
 プラグリジェン伯爵夫人のマナベル様だった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「君を愛することはない」の言葉通り、王子は生涯妻だけを愛し抜く。

長岡更紗
恋愛
子どもができない王子と王子妃に、側室が迎えられた話。 *1話目王子妃視点、2話目王子視点、3話目側室視点、4話王視点です。 *不妊の表現があります。許容できない方はブラウザバックをお願いします。 *他サイトにも投稿していまし。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた

奏千歌
恋愛
 [ディエム家の双子姉妹]  どうして、こんな事になってしまったのか。  妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。

公爵令嬢姉妹の対照的な日々 【完結】

あくの
恋愛
 女性が高等教育を受ける機会のないこの国においてバイユ公爵令嬢ヴィクトリアは父親と交渉する。  3年間、高等学校にいる間、男装をして過ごしそれが他の生徒にバレなければ大学にも男装で行かせてくれ、と。  それを鼻で笑われ一蹴され、鬱々としていたところに状況が変わる出来事が。婚約者の第二王子がゆるふわピンクな妹、サラに乗り換えたのだ。 毎週火曜木曜の更新で偶に金曜も更新します。

バイバイ、旦那様。【本編完結済】

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
妻シャノンが屋敷を出て行ったお話。 この作品はフィクションです。 作者独自の世界観です。ご了承ください。 7/31 お話の至らぬところを少し訂正させていただきました。 申し訳ありません。大筋に変更はありません。 8/1 追加話を公開させていただきます。 リクエストしてくださった皆様、ありがとうございます。 調子に乗って書いてしまいました。 この後もちょこちょこ追加話を公開予定です。 甘いです(個人比)。嫌いな方はお避け下さい。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

なかった事にいたしましょう

キムラましゅろう
恋愛
生家の懐事情により 自ら第ニ王子の婚約者候補を辞退したその夜に、 何の因果かその第ニ王子ヴィンセント殿下と体の関係を 結んでしまったわたし。 お互い、不可抗力だったとしてもこれはまずい、 これはいただけない。 もうこうなったら……全てなかった事にいたしましょう。 え?そんなわけにはいかない? いいえ!わたし達には何も起こらなかったんです!そうなんです! わたしはこれから借金返済で忙しいんです! だからどうかもう、なかった事にしてください! なのに何故か、ヴィンセント殿下が執拗にわたしに絡んでくるようになった…… 何故?殿下はわたしの事を嫌っていたはずなのに。 完全ご都合主義のゆる過ぎ設定です。 性描写はありませんが、性的表現を思わせる表現やワードが出てきます。 苦手な方は回れ右をお願いします。 小説家になろうさんの方でも投稿してます。

【完結】彼と私と幼なじみ

Ringo
恋愛
私には婚約者がいて、十八歳を迎えたら結婚する。 ある意味で政略ともとれる婚約者とはうまくやっているし、夫婦として始まる生活も楽しみ…なのだが、周囲はそう思っていない。 私を憐れむか馬鹿にする。 愛されていないお飾りなのだと言って。 その理由は私にも分かっていた。 だって彼には大切な幼なじみがいて、その子を屋敷に住まわせているんだもの。 そんなの、誰が見たってそう思うわよね。 ※本編三話+番外編四話 (執筆&公開予約設定済みです) ※シリアスも好物ですが、たまには頭を空っぽにしたくなる。 ※タグで大筋のネタバレ三昧。 ※R18命の作者にしては珍しく抑え気味♡ ※念のためにR15はしておきます。

処理中です...