怒れるおせっかい奥様

asamurasaki

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四十三話 フレオの結果

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 あれからすぐ私たちは代わりの馬車が到着して、それに乗って無事に邸に帰ることが出来たの。

 はい!私は泣いてしまったわ!フィンレルの前でね。

 実際にフィンレルがすぐすっ飛んできてくれたこと、心配してくれたこと、フレオとケイトへの言葉が本当に嬉しかったの。

 ラファエルも無事だったから安心してしばらく涙が止まらなかったわ。

 何とラファエルはフィンレルが来た時に初めて泣いたのよ。

 破落戸に絡まれている時とかまったく泣かなかったのにね。

 ラファエルもフィンレルの姿見てホッとしたのかな。

 ラファエルとってもお利口さんだったよ!怖い思いさせて本当にごめんね。


 戻ってからラファエルが眠るまで側にいて、それから応接室にフィンレルとフレオ、ケイト、私が集まったの。

 ケイトと私が今日のことを報告して、フレオのことはフィンレルから処分しないと言質を取ったけど、同行してくれいた護衛についても彼らが隠れている破落戸を見つけられなかったことはあるけれど、元はといえば私が二人の護衛しか付けていなかったこと。

 それに彼らはちゃんと職務を全うしてくれたから、彼らも処分しないで欲しいとお願いした。

 フィンレルは「わかった」と言ってくれたのよ。

 フィンレルからはただ「本当に無事で良かった」とだけ言われただけだった。

 こんなことがあったからラファエルのお出かけデートはなくなってしまったの、仕方ないわよね。

 でもラファエルはだいぶ馬車に慣れたみたいだからもう大丈夫かな。

 そしてそれからその時にフィンレルが朝だけでも私と食事を一緒にして欲しいって言われたのよね~。

 こういう時に言うなんてズルくね?とは思ったけど、今まで彼なりに頑張って私とコミュニケーション取ろうとしてたことを知ってるし、今日のことで見直しポイント少し上がったから、これからはフィンレルと朝食は一緒に食べることになったのよ。


 それであの破落戸たち計七人は護衛に捕らえられて、彼らを追っていた憲兵たちに引き渡されて領地の憲兵所の牢に放り込まれた。


 そして後日、あの破落戸たちはここの隣のドーセンキア子爵領で強盗を働いてうちの領地に逃走してきたらしい。

 うちの領地には何とか入れたものの、すぐに憲兵に気付かれ追われて、馬で街を抜けて逃げていたけど、追われて途中で馬を捨てて道のない茂みの中を逃走していたらしい。

 そしてその茂みを抜けたところの近くに私たちの馬車や馬を見つけたらしいの。

 それで馬車がどう見ても貴族の豪華なものだったから、金品を奪ってこの領地を抜けてさらに逃走しようとしていたんだって。

 護衛が破落戸たちを倒して私たちの安全を確認してから、一人が馬ですぐに領地に戻ってフィンレルに報告したの。

 破落戸の一人が仲間の中に手練れがいると言っていたけど、所詮はチンピラでうちの護衛には造作もなかったみたい。

 うちの護衛たちは優秀ってことよね?

 それでその報告を聞いたフィンレルがすっ飛んで来てくれた訳。
 

 それにしても本当にケイトが居てくれて良かったわ。

 彼女が剣術や体術を訓練していて、物凄く強かったから私たちは無事だったんだもの。

 もしケイトがいなかったらと思うとゾッとするわ。
  
 それにフレオもラファエルと私を守ろうと一生懸命になってくれた。

 この世界で初めて怖い目に遭ったけど、とにかくみんな何事もなく無事で良かったわ。

 それとね、破落戸たちはうちの領に入る時に強盗に入った商会などで通行証も奪って変装して、関所を堂々と通過したらしいのよ。

 でも関所に常駐している憲兵たちがすぐに怪しいと気付いて彼らを追ったのだけど、でも彼らを領内に入れてしまったことについてはフィンレルに厳しく注意されて、半年の減給になったみたい。

 でも今回は憲兵たちが注意と減給だけで済んだのは、フィンレルの温情だとフレオが言っていたわ。

 本当なら領主夫人が襲われたのだからもっと厳しい処分になってもいいはずだと。

 フレオがあまりに厳しい処分にすると私が気にしてしまうだろうからってフィンレルが言ってたと言うの。

 そうねぇ~確かに憲兵たちに落ち度はあったけど、あまりに厳しい処分だと確かに後味が悪いっていうか私は気にしてしまうと思う。

 だからフィンレルの言う通りだわね。

 
 だけどひとつ良いこともあったのよね!

 何と破落戸事件の後、フレオが執事長になることを了承してくれたの!

 彼から話があると言われて、また応接室で面談したのだけど、彼は少し前から思っていたことらしいの。

 でも最初に素気なく断ってしまったから、どう言っていいか悩んだんだって!

 どんな言葉でも私は嬉しいわよ。

 だってフレオと接してみて、彼は優秀なだけでなく本当に真面目で愛情深くて良い人だってわかって私フレオのこと大好きになったもの。

 これからフレオは執事長として邸や使用人の管理と、フィンレルの補佐もしてくれることになった。

 本当に良かったよ~。

 破落戸事件は凄く怖かったけど、結果的には不幸中の幸いの出来事だったわ。

 フレオが執事長になってくれたのは二月のことだった。









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