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八十六話

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「…リゼットよ、そういえば我のことをまた様を付けておるが普段も呼び捨てで呼んで欲しいのだ」

 あれ?シリウス様が私の笑顔が…って言ってたけど、話が変わってしまった。誤魔化された?

「あ、はい…シリウス?」

「っ!…」

 ???また私の笑顔がの時と同じ反応だ。

「シリウス?どうかしましたか?」

「…あっ、いや…何だか…胸がドキドキとするのだ…それから身体が燃えるように熱くなってきている」

 シリウス様が顔を赤らめる。

 そんなシリウス様を見てると私まで顔に熱が集まってきた。

「…これが欲情というものか…リゼットと愛し合ってから今までとは違うのだ。

 我はリゼットの顔を見るだけで欲情している」

「っ!!…」

 シリウス様のあまりのストレートな言葉に私は言葉を失う。

「リゼットよ我はそなたと同じくらいの寿命になり、そなたとの子を望めるかもしれなくなったのだ。

 …我とリゼットの子が欲しいという訳では…いや欲しい欲しいのだが、それだけでなく…我は今猛烈にリゼットと愛し合いたいのだ…良いか?」

「うっ!…」

 シリウス様のどこか焦りながら早口でストレートな物言いに私は心臓が飛び出しそうな程煩く鳴り、顔がこれでもかとほてる。

「リゼット駄目だろうか?」

「…いえ、そんなことありません。

 私もシリウスと愛し合いたいと思っています…猛烈に…」

 凄く恥ずかしいけど、私は自分の正直な気持ちを伝えた。

 ちゃんと伝えないと今のシリウス様は私の思念が伝わってこなくなったと言っていたもの。

 もし否定するようなことを言ったらシリウス様はとても素直な方だからそのままを受け取って、何もしてこないと思う。

 私もシリウス様と愛し合いたいと望んでいるのだから、正直に言ったのだ。

「リゼット愛している!」

「私もシリウスを愛いしています」

「っ!…リゼットベッドに運んでもよいか?」

 シリウス様が頬をさらに赤らめて息を少し上げて聞いてきた。

「はい」


 私が頷いた後シリウス様は私を抱き上げて足早にベッドまで運び、ゆっくりと私を押し倒した。

 シリウス様が私の頬を自分の手で触れてからその美貌を近づけてきた。

 私が目を閉じるとフニッと柔らかく温かいシリウス様の唇の感触がした。

 私はそれだけで下腹部がキュンッとなる。

 シリウス様のキスは最初に触れる時だけの恐る恐るとしたものだったが、すぐに深く激しいものへと変わった。

 まるで食べられてしまうのではないかというくらいにシリウス様の唇で私の唇をハムハムと食んだり吸い付いてきたりする。

 そのうちシリウス様が舌で私の唇を形を確かめるように舐めてきたので、私がたどたどしく口を開けるとすぐにシリウス様の舌が入り込んできた。

 私はシリウス様の長い舌に翻弄される。

 私の舌に絡み付いてきたり息を吸って吸い付いたり、口の中を舌で舐め尽くされる。

 それがとても気持ち良い、キスって気持ち良いんだなと思いながらも私は鼻で息をしながら必死についていこうとするけど、だんだんと息苦しくなってきた。

 私が苦しくなって離れようとしても頭の下はベッドだし、両頬を手で押さえられている状態で固定されて離れることが出来ない。

 私は息苦しさにとうとう我慢出来ずシリウス様の肩をトントンと叩くと、ようやくシリウス様の唇が離れていく。

 お互いの唇の間に銀の糸がツゥーッと広がりプツリと切れる様をボーッと見つめる。

「…リゼット」

 シリウス様の熱を孕んだ声にドキッとして彼の赤と金の瞳を覗くように見つめる。

「…シリウス…」

「リゼット!」

 シリウス様が私の耳に吸い付いてきて、中に舌を差し込んで舐められる。

「ひゃっ!…」

 私の驚いた声にシリウス様は気にすることなく、耳の穴を丹念に舐めていく。

 私は耳の穴で…と思いながらも確かに気持ち良さを感じて「はぁ~」と甘い声が漏れた。

「リゼット愛している、可愛い」

 とシリウス様が言いながら首筋を舐めて私のドレスを脱がしにかかる。

 そこで私もと思いシリウス様のフロックコートに手をかける。

 シリウス様は私が脱がしやすいように身体をひねってくれたから、フロックコートはすんなりと脱げた。

 それからシリウス様のシャツのボタンを外そうとするのだけど、手が震えてしまって、全然上手くいかない。

 私のドレスはすでに上半身からなくなっていて、足に僅かに絡みついている状態になっている。

 恥ずかしさとなかなかボタンが外せない焦りでどうしよう?という気持ちで恐る恐るシリウス様を見ると、色気を孕んだ濡れた瞳で私を見つめていた。

 私はドクンッと心臓が鳴り下腹部がトロッと溢れてくるのを感じた。




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