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七十六話

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 すべてのことが終わってみんなが魔国に帰ってきて、3日後に祝勝会が行なわれた。

 昼頃から決起集会が行なわれた王城の庭で全魔族が集まった。

 この時はみんな少しお洒落をした服装だった。

 普段はシリウス様も城のみんなもそんなに服装を気にしないのだけど、今日という日はそれほど特別なのだということ。

 シリウス様や側近の方たち城に住んでいる方たちは基本は黒のスーツやドレスだったりするのだけど、みんな自分の髪や瞳の色を差し色に使ったりしている。

 シリウス様は私の髪と瞳の色の刺繍や宝石があららわれたもの、私もシリウス様の瞳の色の刺繍や宝石があしらわれた黒い膝下の丈のドレスを着ている。

 街に住む方たちは白や青、グレーや赤、茶など色とりどりのみんな思い思いのスーツやドレスを着て集まっている。

 大陸の王族貴族のように豪華ではないけど、みんなが張り切ってお洒落をしているのは凄く伝わってきた。


 前回の決起集会同様に側近さんたち、シリウス様と私が壇上に姿を現すとみんなに拍手で迎えられた。

「みなの者よ、集まってくれたとことに感謝する。

 みなに我から報告だ。

 ゲオング王国とカナンゲート聖王国を滅ぼしてから、大陸の他国との交渉を行なっていたが、全ての国と我が魔国との不可侵条約を締結したことをここに報告する」

『オォーッ』

 みんなから歓声が上がった。

「今後大陸が我たちを侵略してくることも又我たちが大陸を侵略することもなくなる。

 我たちは今後もこの魔国で平和に生活していけることを我は宣言する!」

 シリウス様の宣言にワァーという声援と拍手が巻き起こった。

「みなにはこの魔国の為に我らの為に尽くし働いてくれたことに感謝している!

 今日はみなで楽しもうではないか!」

 シリウス様が口角を少し上げて言うと、みんながジャンプしながら。

 〚ファーシリウス様万歳!〛

 の大合唱となった。


 それから大宴会となった。

 みんなで飲めや食えやの大騒ぎになった。

 シリウス様と私はまたみんなに囲まれてお礼攻めにされたけど、頑張ったのは私たちだけじゃなくみんなだ。

 シリウス様と私は笑顔でみんなを讃えた。

 喧騒とも言える大宴会が続くなか、夕方になり私はシリウス様に声をかける。

「シリウス様、今から二人きりでお話したいのですけどいいですか?」

 これは私が以前から決めていたことである。
 
「ふむリゼットよ、我らはもう下がっても構わんだろう。

 リゼットの部屋に戻ろう」

「はい!」

 私はシリウス様と部屋へと戻った。

 それからナリナさんが部屋にお酒と少し摘めるサンドイッチ、お菓子などを用意してから部屋を出て行った。

 私がお話したいと言ったから今はシリウス様の膝の上ではなくソファに向かい合って座っている。

「早速だがリゼットよ、我に話とは何だ?」

 真剣なシリウス様の赤と金の瞳が私を見つめてくる。

 私はドキッとしてゴクンッと唾を飲んだ。

 シリウス様は私が今から真剣な話をしようとしていることがわかっているのだ。

「あの…シリウス様今まで私を生き返らせてくれて、守ってくれてこの魔国で自由に生活させてくれて本当にありがとうございます」

「どうしたのだ?そんなに改まって」

 シリウス様が私の言葉に少しの戸惑いを見せる。

「ちゃんと終わったら改めてお礼を言いたいと思っていたんです。

 それと…自分の気持ちをシリウス様にお伝えししようと…。

 私シリウス様のことが大好きです!いえ、愛しています!」

 私が告白するとシリウス様が目を見開いて私を見つめてくる。

「………」

 シリウス様は驚いた表情で無言のまま私を見つめたままだ。

 否定する言葉が返ってくるとは思っていないけど、それでも沈黙はちょっと怖いなと思う。

「あ、の、シリウス様?…」

 私が前に座るシリウス様を見つめると。

「…嬉しい、嬉しいのだ…リゼットの告白がこんなにも嬉しいものだなんて…」

 シリウス様が自分の口に手を持っていってそんなことを言う。

 私も顔を赤くしているだろうけど、シリウス様も耳がほんのりと赤い。

「私、…シリウス様はきっとわかっておられただろうけど、もう最初の頃からシリウス様のこと好きでした。

 でも私は人間で…魔族が憎んでいる人間だから、シリウス様の隣に立つのに相応しくなりたい魔族のみなさんに認められてから、自分の気持ちを伝えようと思っていて…今の時点で相応しいかどうかはわからないけど、でも今シリウス様に気持ちを伝え、て…えっ?きゃあ!」

 気付いたらシリウス様が私の側まで来ていてギュッと抱きしめられた。

「リゼット!リゼット!ああ、リゼットよ…愛の告白をされるということは何と甘美なものなのだろう、初めてなのだ」

「えっ?初めて、なのですか?…本当に?」

 私はシリウス様に抱きしめられながら小声で尋ねる。

「ああ、初めてだ…みな我のことを崇拝しているが、愛の告白というものは生まれて一度もされたことはない。

 我が雄と雌の情愛で愛したのもリゼットが初めてだ。

 こんなにも心が躍りドキドキとするものなのだな…」

 染み染みと言うシリウス様に私の顔はもっと熱くなってくる。

「…嬉しい!シリウス様の初めてが私なんて途轍もなく嬉しいです!」

「ああ、リゼットよ、すまぬがもう一度聞かせてはくれないか?」

 シリウス様にもう一度告白してくれと言われて、私はまたゴクンッと唾を飲む。

 ドキドキと胸が破裂してしまうそう。

「シリウス様私は貴方様を誰よりも貴方様だけを愛しています!」

 私がもう一度自分の気持ちを伝えると。

 シリウス様がギュッと抱きしめていた腕を解いて私を見つめてくる。

「ありがとう、ありがとうリゼットよ!我もそなただけを愛している!」

「シリウス様!」

 私はシリウス様の告白を聞いて私から抱きついた。










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