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六十二話

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オーウェンside


 私は前方の集団に緑の肌を見つけて急に立ち止まって、動けなくなり、背中に嫌な汗が流れてくる。

 嘘だ!どうして魔族が生きいただと!いや、見間違いか何かの間違いだ!でも緑の肌なんて間違うはずがない!

 討伐隊の一番前を歩いていた私が急に立ち止まったものだから後の臣下たちがザワつき、私の隣を歩いているプリシラがあれからも何かを言ってきているが、私の耳に入ってこない。

 そこに今度は左側からヒューッと先程と同じ風が吹いた。

 今度は私だけでなくみなが気がついたようで、その方向を立ち止まったまま見る。

 また少し離れたところから何人かの集団がこちらに向かって歩いてくるが、今度は私たちの前方より距離が近く髪の色などが判別がつく。

 黒い髪が二人、グレーの髪、濃い青の髪、緑の髪そした一番前に白い髪だ!

 人間に黒い髪やグレー、青い髪の者はいるが、緑と白い髪の者はいない!

 それにあんなに鮮やかなグレーの髪色は人間の中でそうそういないはずだ!

「ワァッー、魔族なのか!?」

「何故だ!死んだのではないのか!?見間違いか?」

 後の臣下の誰かの叫び場が混乱していく。

 私もプリシラは声も出ない!

 何が起こっているかわからず地面に足を縫い付けられたように動けなくなった。

 そして次は右側から同じような風が吹いた。

 もう見たくはない!

 身体が震えて足がガクガクとしてくる。

「ヒッ!」

 という悲鳴が聞こえて、後の臣下たちがズリズリと後退りする音が聞こえてくる。

 そんなそんな!ちゃんと毒を魔国に撃ち込んだと言ったではないか?どういうことなんだ?いったい何が起こっている!

「えっ?平民女?…まさか…」

 私と同じように立ち止まったままプリシラが右側を見て呟いた。

「はっ?」

 私はプリシラの信じられない言葉にとうとう右側を見た。

 右側からは二人が歩いてくる。

 黒い長い髪の大きな男と白い髪の小さな女だ。

 距離が近づくにつれて、白い髪の女の瞳が光に照らされてその色が金の色なのが見えてきた。

 腰からゾクッと背中に悪寒がせり上がってくる。

 そして男と女の後にも何人かが歩いてきている。

「…そ、そんなはずないわ!あの平民女は前にここに置き去りになってここで死んだはずよ!」

 エリザベスが叫ぶが、声が震えている。

 私たちは幻想を見ているのか?

「ちょっと白い髪の隣の男両方の瞳の色が違うわ!赤と金なんて…」

「赤と金?…」

 そんな魔族いたか?

「見間違いじゃないのか?黒い髪に赤と金の瞳っていったい何者なんだ?」

 黒い髪に赤い瞳ならヴァンパイア族の色だが赤と金の瞳とはいったい何者なんだ?

 前方、左、右の集団がゆっくりとこっちに近付いてくる。

「うわっ!うわぁーっ」「わぁー」

 と私たちの後方から悲鳴が上がる。

 後方の魔法剣士と騎士たちが逃げようとしたのか?だけど後方から誰かが迫ってきているということか?

 何?何なんだ?私たちは囲まれたのか?コイツらは誰なんだ?本当に魔族なのか?

 私は10メートル先程までその者たちが近付いてきても一歩も動くことが出来なかった。

「ちょっ、ちょっとどういうことよ!」

 プリシラの悲鳴じみた叫びが周りり響き渡る。

 その後に「…まさか…いや違うわ…」と独り言をブツブツと呟き出した。

 プリシラを見ると、顔色を青くさながらも白い髪の女を睨み付けている。

「えっ?」

 私もプリシラに釣られて白い髪の女を見ると、本当にあの第三聖女に似てはいる。

 しかし陽に照らされて白にも銀にも見えるその髪は艷やかに煌めき、黒いドレスからの覗く腕は白く大きい目の中の金の瞳のはキラキラとしていて、目鼻立ちが整っていて美しい。

 いや、第三聖女はあんなに美しくないはずだ、魔族なら白い髪というならドラゴン族?スネイク族か?

「…ど、どどういうこと?…」

 フィオーナも声を震わせている。



「皆様お久しぶりです」

 そこで白い髪の女が思いもよらぬ言葉を発した。

「えっ?」


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