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四十五話
しおりを挟む目の前の画面が変わって、今度は違う世界みたいだ。
これは私の前世を遡っていっている。
次は私はどこかの国の公爵令嬢でその国の王太子の婚約者だった。
王太子とは同じ年で生まれた時から決まった婚約で燃えるような恋ではなかっけど、陽だまりのような穏やかで良好な関係だった。
でも貴族学院に入学してしばらくすると異世界転移してきたという聖女が現れてから変わってしまった。
王太子が聖女に夢中になってしまったのだ。
そして学院で私が聖女を虐めていると噂されるようになり、周りがそれを信じて私は孤立した。
でも私は虐めなど一切やっていないから大丈夫だろうと思っていて、一度は結婚すると思っていたから王太子のことを嫌いにはなっていなく悲しかったけど、王太子は私じゃなく聖女を愛している。
王太子が私と婚約破棄をするなら私はそれを受け入れればいい、私はその後修道院にでも入ればいいと私は冤罪だから大丈夫だと油断していた。
結果学院の卒業パーティーで婚約者の王太子に婚約破棄を言い渡され、私が冤罪を訴えても証言する令息令嬢が多数現れて私の話は一切信じてもらえず、断罪国外追放を言い渡されて、一度も家に帰ることが許されずそのまま馬車に押し込められて、国外に向かっている途中に破落戸に襲われて私は死んだ。
この時にも私が死んだ後の世界が見えた。
私が死んだ後に聖女が聖属性魔法の魅了を使って王太子や側近候補、学院の多くの生徒たちを誑かして操っているいることがわかったのだ。
聖女は国王まで魅了をしようとして失敗し、捕らえられたことでそのことが発覚した。
国王はこの国でも一番といえる魔力の持ち主であり、魅了や精神干渉系魔法に多少の耐性があったのだ。
そして国王の僅かな変化に気付いた王妃がすぐさま治癒師、魔法師を呼び、国王を診てもらって魅了魔法に侵されかかっていることが発覚したのだ。
その後多くの貴族が聖女が怪我だけでなく病も治癒出来る貴重な聖属性魔法を持っていることから極刑は避けるべきとの意見が出たが、ことを重く見た国王と王妃の決断により、聖女は処刑された。
王太子と側近候補は度重なる魅了の影響による副作用で精神不安定により、王太子は幽閉後毒杯を賜り、他の側近候補も領地で幽閉された後、数年後に病死という発表となった。
私は王太子に対して恋はしていなかったけど、いずれは結婚して一緒に人生を歩んでいくものだと思っていたので、この結末は悲しくやり切れない思いになった。
そしてこの国は聖女などの異世界の人間の召喚は一切禁止となり、また転移などでやむなく国へやってくるかもしれない異世界の人間に対して対処する細かい事柄が法として定められることになった。
それと魔力制御の枷の精度の向上や、王族が精神干渉を受けない防御の魔道具の開発も進んでいった。
そしてまた画面がかわった。
次は今までの世界とはまったく違っていて科学が発達した地球の日本という国に生きる平凡なOLだった頃の私。
この時に公爵令嬢だった世界ががこの日本のゲームの世界だと知った。
自分がリナだった時もこの世界のゲームの世界に似たものなのか何かの媒体だったのかもしれないけど、私の記憶にはなかった。
もしかしたら今の世界シリウス様のいる世界もそうかもしれないけど、私にはその記憶にはない。
私は日本で死んで異世界転生して公爵令嬢、悪役令嬢になったのだった。
でも公爵令嬢だった時には前世の記憶が甦ることはなかったのただ。
私はブラック企業に勤める社畜と言われるOLで時間に追われて仕事仕事の日々で、ほぼ毎日仕事場と家の往復という生活をしていた。
そこで殺伐とした日々に少しの癒しをと睡眠時間を削ってやっていたのが乙女ゲームと言われるもの。
そんな日々を過ごしていたある日、横断歩道で飛び出した子供を庇って私は車に轢かれて死んだみたいだ。
異世界転生によくあるトラ転というものだった。
日本での人生のその後は出てこなかった。
誰かに殺されたとか冤罪で死んだとかではないからか?家族がいたような記憶もないから、悲しんでくれる人がいなかったのかな?庇った子供がどうなったかは知りたいけど、私が死んだことでもし気に病んでいたら申し訳ないから見れなくて良かったかも。
そしてまた画面が変った。
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